成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)=   作:万年赤字一般傭兵

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マスターアリーナに挑むので初投稿です

前回のあらすじ

退院して新ガレージ紹介
その後、初依頼達成


Time Limit

 

 

 1,330 COAM

 

「1,330 1,330……」

 

 任務を達成できた喜びがあったはずなのに。

 ACから降り、ケイトから収支詳細を見せられた瞬間、その喜びは頭の中から消え失せてしまった

 

 [ジャック…]

 

「1330…1330…」

 

 ACの操縦には自信があったのに。

 そこらの傭兵とは違うと思っていたのに…

 

 [ジャック、何か問題でも?]

 

「報酬が、な」

 

 

 3万COAMくらいドカッと稼ぎたかったのに。

 任務達成で得られたのは、たったの1,330COAM

 これでは私の計画が…

 

 

 [なるほど、確かに成功報酬の2%ほどですが…]

 

 [バラ撒き依頼なんてこんな物です。

 むしろ、赤字でないだけマシですね]

 

「"マシ"…?」

 

 [はい、このような依頼はリスクが低い反面、報酬は本当に最低限の物になります。今回は改造重機の異常なレーザーにより特別加算が出ましたが…この様な依頼の平均は赤字か少しの報酬です]

 

 [しかしながら、こういった依頼でも確実にこなす事が"信頼"となるのです]

 

 [信頼さえあれば、割りの良い依頼が回されます。それまでは我慢するしかありません]

 

「そ、そうか…」

 

 私の計画

 一角の傭兵としてルビコン調査技研への影響力を持ちコーラルの研究者"ナガイ教授"と協力関係を築く事

 

 彼はコーラル研究においても"破綻"を防ごうとしたマトモな科学者だった。上手く協力すれば"火"の発生を阻止できるかもしれない

 

 

 

 だが、ケイトの言う通りだろう。

 計画のためにも、そしてこれからの為にも重要なのは"金"よりも"信頼"だ

 

「…ありがとなケイト、少し焦り過ぎていた様だ」

 

 [どういたしまして。それに、貴方はイレギュラー要素がありながらも、そつなく依頼を達成できていました。この調子ならすぐに良い依頼が回されるでしょう。私からも申告しておきます」

 

(しばらくは新パーツなど、到底買えないだろうが…

 "依頼の成功"これを目指していこう)

 

 [ああそれと、もう一点。

 ルビコンへの出発についてお話ししておきましょう]

 

(ルビコン…!)

 

 私が招いた火種、それを消さなければならない星。

 この星でも依頼は来るだろうが…コーラル研究が始まれば、いつ"あの火"が起きても不思議ではない。

 

 [ルビコン出発は"3ヶ月後"

 この星で貴方への依頼は更に増えるはずです。

 今の内に信頼を稼ぎましょう]

 

 3ヶ月、疑似的なタイムリミットだ。

 ここまでに最低限稼げる依頼を貰えるくらいには

 出来れば、ナガイ教授と交流する機会を得られるくらいには信頼を得たい。

 

「そうか…そうだな」

 

 [ご心配無く、私がこれからずっとサポート致します]

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

 幸先は不安だが、最悪では無い。

 確かに成功はしたのだ、そう思うと気が楽になった

 

 

 

 

 

 [連続ですが次の依頼です]

 

 

反抗組織排除

 成功報酬:65,000 c

 前払報酬:0 c

 

 [ベイラム系列企業、大豊からの依頼です

 作戦エリアは第17区画、大豊経済特区の山河ダム]

 

 [作戦目標はここを占拠している作業用重ニ脚MT6機、及び防衛用のガトリング砲台2台です]

 

 [先程とは違い、狭い空間での戦闘になるでしょう。

 マップを確認し、慎重に依頼を遂行して下さい]

 

 [大豊は自社部隊の損害を嫌って依頼を出したようです。苦戦した場合でも増援は来ないでしょう]

 

 [説明は以上です。成功をお祈りします]

 

 

 

 [接続…解除、ご武運を]

 

 輸送ヘリがダム周辺にある森林にて私を投下

 鬱蒼とした森だが、隠れるならこれ以上の場所はない

 

 

 [広域レーダー、及びカメラによる目視により敵を確認。

 マップに反映します]

 

「どれどれ…なるほど、まだ気づかれては無いか?」

 

 マップ通り、ダムへの侵入口にガトリング砲台が2台並んでおり、その近くには2機の重MTがいるようだ

 

 [多少警戒はしてますが…許容範囲ですね。

 まずは隠密しながら砲台を破壊、その後重MTに取り掛かりましょう]

 

「了解。"つまり、ブーストを使ったジャンプは厳禁ということ"」

 

 […?ええと、飛びすぎないように…]

 

 初依頼を達成したからだろうか、軽口を言って緊張をほぐしつつ彼女の様な耐久性があればと思いながらマップに従い、森を進んで行く。

 

 

 

「…見えた、どうやら砲台の整備中みたいだな」

 

 重MTは、ただでさえ頼りないライフルをそばに置いてコンテナらしき物を腕に持っている。

 

 奇襲するなら今が好機だろう

 

「…仕掛ける、一応増援だけ気をつけてくれ」

 

 ダム自体は森に囲まれているが入り口付近は木がなく、障害物が少ない。なるべく近距離から飛び出せる位置に行き

 

 AB起動、前面シールドを持つ砲台は無視。

 右手のライフルとミサイルをMTの片割れに撃ち込みながら突撃を開始した

 

 [ACだ!本社の奴ら傭兵を雇いやがったぞ!]

 

 [砲台急げ、取り付かれるぞ!]

 

 [整備中断!整備中断!]

 

 ブレードの間合いまで残り3分の1と言った所でガトリングのスピンアップ、嫌な光景が思い出されたが

 

 

「構うものか、死ぬのはお前らだ!」

 

 この距離なら私が勝つ。

 高速で増えていくACS負荷に減っていくAP

 

 だが、とりついた

 

「まずは一つ…」

 

 

 素早く側面に回り込みブレードの一撃

 爆散する砲台とスタッガーで動けないMTを横目にもう一台に射撃を開始。ライフル弾が薄い装甲を貫き、ミサイルの爆発が弾薬の誘爆を引き起こす。砲台は全て無力化

 

 

エネルギー 残り10%

 

 

 [何なんだよ、コイツ。速過ぎる…]

 

 [怯むな!ずっとは動けないはずだ!]

 

 

 MT達もやられ放題では無い。

 ライフルを撃ちながら接近してくるが

 

 

「遅すぎる…!」

 

 

 ギリギリのエネルギーでも回避は容易だ。

 先にスタッガーを取ったMTに再度、攻撃を集中

 

 [ACS…負荷、限界…ま、待って…!]

 

 

 動きを止めた機体に一閃、防ぐ事能わず一機撃破

 

「次は、お前だ」

 

 [ち、畜生…死んでたまるか!]

 

 

 無駄な抵抗を続ける鈍重な亀に対し、速度を活かして背後に回り込む。一対一なら、もう終わりだ

 

 [……あ"ぁっ!]

 

 ブレードで一方的に滅多切り。これで入口付近の敵は全滅だ。

 

 [残りは内部です。ゲートにアクセスしてください。

 私が開けましょう]

 

 閉ざされている分厚い扉の前に立ち、端末を操作。

 ケイトのクラッキングを待ち

 

 [開きます…3.2.1]

 

 開いた瞬間にスキャンしながら突入

 

「待ち伏せは…ないか」

(隠れられたか…面倒な)

 

 弾幕の洗礼は無かったが、逆に不安を煽る。

 曲がり角、死角には常に警戒が必要だろう

 

「………ここか」

 

 スキャンをかけつつ、コンクリ色の迷路を進む。

 

 

 そして、敵機体の影が壁越しに見えた。

 曲がり角で待ち伏せているが…生憎グレネードは無い

 

(まあいい、近距離でもこちらが優位だ)

 

 しかし、敵の武装は相変わらずライフルだ。

 ブレードならすぐ様倒せると判断し

 

「…死ね![かかったな!傭兵!]…っ!?」

 

AP 残り 80%

 

 接近し切るよりも早く、殴打された。

 ACS負荷限界にはならないが硬直

 

 [ざまぁ無いな!]

 

 だが、それでやられる程柔ではない。

 再度、殴打をしようと近づく敵機に対し跳躍しながら前QB。敵機直上をすり抜けてターン、後ろを取り

 

 [はっ!?]

 

 今度こそブレードで叩き切る。大破寸前の敵機に更にライフル弾を撃ち込み、撃破

 

「クソ…修理費が……」

 

 [ジャック、今よろしいでしょうか?]

 

「…あぁ、いいぞ。どうした?」

 

 [貴方の撃破した機体から通信に関する情報が手に入り、残りの敵機の位置を割り出せました。マップ上に位置を送信…このルートからの奇襲を提案します]

 

「おお、ありがたい。…よし、そうしようか」

 

 

 思わず悪態をついたが、すぐに朗報が入った。

 索敵に長時間を要する事を覚悟していたから尚更だ

 

 

 [はい。まずはそこを真っ直ぐに…]

 

 [隔壁を確認、アクセスしてください]

 

 […この下です。残り全ての3機が集中していますが奇襲ならば先制で一機は軽く屠れるはずです]

 

 マップと睨めっこしながら徐々に進み、今は大部屋の真上にある換気ダクトの中にいる

 

 

 

(…明らかに目立つ色、あれがリーダーか)

 

 下の機体達を除き、優先排除対象を決定。

 リーダー機が真下に来た所でライフルを発射し足元の金網の固定具を破壊、すぐさま落下しブレードによる一撃

 

 [なっ、どこか……]

 

 スタッガーを起こしたリーダー機にミサイルとライフルを叩き込み撃破、向きを変えて残りに取り掛かる

 

 ABを起動して背後を

 

 [リ、リーダー!?]

 

 [ま、待ってくれ!降参だ!]

 

 さっさと壊そうとした所で敵機は武装を解除、通信を繋いできた

 

「…何だ、戦う気はないのか?」

 

 [そ、そうだ!元々、リーダーがストライキを起こしたんだ。あの人がいなければ戦う意味もない!]

 

 [お、俺らは無理矢理やらされていただけなんだ。

 な、なぁ傭兵でも情はあるだろう?見逃してくれないか…]

 

「…はぁ」

 

 面倒な事になった。受けた依頼は機体の排除ではあるが…

 

(まぁ"中身"も含めて、なのだろうな)

 

 ストライキを無理矢理抑える為の依頼

 依頼主の意向を汲むのならさっさと殺すのが正解だ

 

(でもなぁ……うーん)

 

 かつてのテロリストのようなゴミ虫なら殺していた。

 だがこの2人は、ストライキを起こしただけの労働者だ。このまま、というのは少し後味が悪いだろう。

 それに一機だけではなく二機いるのだ、騙して殺すにしても弾薬費に修理費がかかりそうだ。

 

 散々悩んで

 

 [ジャック、リーダー機にとある情報が…]

 

「何…?」

 

 

「………ケイト、少し手間をかけるぞ」

 

 

 

「すまないな、ここで死ね」

 

 [クソが…ついてねぇ、ついてねぇよ!]

 

 ブレードを使い切りかかる。

 戦意が殆どない敵なぞ脅威ではなく

 

 

 

 [ミッション成功、お疲れ様です。

 録画を停止…収支を表示します]

 

 

収入


成功報酬:65,000 c


特別加算:0 c

 

支出


修理費:53,928 c


弾薬費:5,840 c


特別減算:0 c

 

収支:5232 c

 

 

 

 

 

 

 

「おいそこの2人、まだ生きてるか?」

 

 [[な、何とか…]]

 

「ならとっとと急げ、ヘリに乗り損ねても知らんぞ」

 

 足元を走って行く小さい人影二つを見ながらリーダー機にアクセスを開始

 

 

「…どうだ? 使えそうか?」

 

 [可能です、しかし何故このような…?]

 

「何でもいいだろう…まぁ碌でも無い依頼だったしな」

 

 リーダー機の情報を見て、気が変わった。

 このダム、隔壁次第で緊急時には大量の水が、ここを含む様々な部屋まで流れ込むようになっていたのだ。そして、リーダーはそれを引き起こせるプログラムを所持していた

 

 恐らく彼らの最終手段だったのだろうが…

 構造上、元から出来るものではあった。にも関わらず大豊は説明を放棄していたのだ

 

(…脅しの段階で言われていたのだろうな、自社部隊の投入が無かったのはこれが原因だろう)

 

(代わりに適当な独立傭兵を送って起爆…責任を傭兵に擦りつけ、尚且つ敵機体の撃破を不明にして報酬を有耶無耶にする、という所か。気に入らない)

 

(……このまま終えても難癖つけられそうだな。)

 

 ミッションは終わったが、サービスだ。

 大豊に舐められるのも気に入らない。

 折角だから、シナリオ通り起爆させてやろう

 

 [例の2人を確認しました…回収始めます]

 

「了解した…終わり次第例のプログラムを始めてくれ、猶予は2分だ」

 

 [………回収完了、では録画開始]

 

 

 

 赤いランプが光り、激しい警告音が鳴り響く

 

「な、何だ!?」

 

 [どうやら、リーダーに一矢報いられたようです。

 ダム内隔壁が…このままでは大量の水に飲み込まれてしまいます!]

 

 

 リーダー機にブレードで切り掛かり破壊し尽くす。

 これで、万一にも生きてはいないだろう

 

 [依頼は達成されています!早く脱出を!]

 

「わかった!」

 

 残り1分30秒

 ABを使い、閉じようとする隔壁をスイスイ潜り抜け

 

 [そこを左です!隔壁が…!]

 

 残り30秒

 最後の隔壁が閉じる寸前に何とか脱出

 

「ヨシッ!…危なかったな」

 

 

 残り0秒

 途轍もない量の水が流れる爆音が鳴り響く

 

「散々な依頼だったな」

 

 [そうですね、大豊には…]

 

「声が若いから私だと舐められかねん。

 ケイト、頼めるか?」

 

 [了解しました…録画、停止します]

 

 

 

 

 

 三文芝居が終わった

 

「いい演技だったな、役者も出来るんじゃないか?」

 

 [貴方こそ…ふふっ]

 

「ACに乗る時なら、今後もやりたい所だな…ははっ」

 

 

 ただの依頼が意外な程に滑稽な結末に終わった。

 そのことに、私たちは暫く笑いが止まらなかった

 

 





ここまで読んで頂きありがとうございます

傭兵的には、信頼は大事だけど舐められてもダメ
イレギュラーなら気にしなくてもいい

レンコンの対策を思いついたら続き書きます
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