成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)=   作:万年赤字一般傭兵

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勝てない

前回のあらすじ
大豊からの依頼を達成


Xin Rui

 

 [あ〜…今、いいか?]

 

 ケイトと暫く笑い合い、落ち着いた所で降参した男の声が聞こえた。声にダミが入った中年のようだが、状況にしては落ち着いている

 

「ははは…あぁ、何だ?」

 

 [その…これからについて何だが…]

 

 何だかんだで助けてしまったが、その後の事は考えていなかった。どうしようか

 

「何か計画でもあるのか?…言っておくが、お前達を雇える程余裕はないぞ」

 

 [分かってるさ!流石にこれ以上迷惑はかけるつもりはない…ヘリから下ろして貰ってもいいか?そこからは俺たちだけでやる]

 

 [本社には秘密にしておいて欲しい、それだけだ]

 

 その場凌ぎの命乞いかと思えば、意外にも考えていたらしい。こちらとしても契約不履行になりそうな事は言いたくない、好都合だ

 

「元より言うつもりはない…まぁ何だ、頑張れよ」

 

 [余裕が出来たら、いつか恩を返す。忘れないさ]

 

 

 

 

 ヘリから降りてダム周辺に停めてあった車に乗り込む二つの影を見送っていると

 

 […ジャックただ今、大豊との交渉が終わりました。]

 

 [契約範囲外の事ですので賠償請求はありませんでしたが…ある責任者が貴方と直接話したいそうです]

 

 [どうするかは、貴方に任せます]

 

 ケイトが大豊との話し合いを終えたようだ。

 特に問題がなかったことはいいが、直接話したいとは何事だろうか

 

「直接……繋いでくれ、取り敢えず話そう」

 

 [了解致しました………]

 

 […聞こえているな、俺は大豊で傭兵の起用を担当している"子均"と言う。今回の出会いを嬉しく思うぞ"ジャック"]

 

 音に込められた活気が、相手に良い印象を与えそうな若い男の声

 

「一体何の用だ、今更、報酬が惜しくなったか?」

 

 [いやいやいや…寧ろ、その逆さ。もっと払いたくなったんだよ、お前さんみたいな優秀な傭兵にな]

 

「どういうことだ…?」

 

 急で、訳の分からない言葉に困惑を隠せない

 

 [まぁ、聞いてくれ。傭兵がACを使うようになってから随分経つだろう?…でもな、どいつもコイツも大した腕じゃあない]

 

 [傭兵起用担当としては余りいい傾向じゃ無い。依頼を失敗されるとこっちにも責任が来る]

 

 [だが、だがな、アンタは違った…映像を見せて貰ったが、そこらの傭兵とは腕前が別格じゃあないか!操縦の腕だけじゃない、状況判断能力も度胸も]

 

 [こんな下らない依頼は役不足だ!…そう思った]

 

 [本社のボンクラ共は経験が少ないだの何だの言うだろうが、俺は違う。アンタを高く評価して…もっと良い依頼を出せるんだ]

 

 [そこでだ、俺と組まないか?これからもアンタには大豊から依頼が回ってくるだろうが…俺が回す依頼だけ受けて欲しいんだ]

 

 [報酬は勿論、存分に払おう。…それに、今回みたいな説明不足もナシだ]

 

 [悪い話じゃあないだろう?]

 

「…少し、待ってくれ」

 

 突然の賛美の雨と提案。実際、報酬と待遇が改善されるなら悪い物では無いと思うが…2回しか依頼をやっていない傭兵に対して過剰だ。何か裏がある、そう思えて仕方が無い

 

「…確かに、良い話だな」

 

「だが世辞は好かん。理由をもっと直接的に話せ…それ次第だな」

 

 [調子に乗らない…良いねぇ、良いねぇ尚更良い。分かったしっかり話そうじゃないか、アンタとは良い関係を築きたい]

 

 [まぁ、大体の事は本当だ。有能な傭兵は喉から手が出る程欲しい。…でもな、それは俺以外の起用担当も同じだ]

 

 [有能な傭兵は常に取り合いになる。若手の俺だと、中々お得意さんは取れない。出世するなら有能な傭兵が欲しいが、名前が売れている傭兵は取られちまうんだよ]

 

 [そんな時、バラ撒き依頼を受けたアンタを偶然にも、俺が真っ先に見つけられたんだ。名が売れてないのに良い腕前のアンタをな]

 

 [お陰で誰の手垢もついてない。だから、取られる前に俺のお得意さんになって欲しい訳だ]

 

 […少し長くなったな。まぁ要するに、俺が出世するには在野に埋もれたアンタみたいな天才が必要、だから手を組みたいって事だ]

 

 […どうだ?]

 

 彼の話、そして声からは確かな欲と熱が見えた、嘘ではないのだろう。それならば

 

「…よし分かった。その話受けようじゃないか、これからよろしく頼むぞ"子均"」

 

 [ああ、宜しく頼む!取引、成立だな!!]

 

 通信機越しでも伝わってくる自分と同じ若さの熱、根拠は無いのにこれからの付き合いが上手く行くように感じられた

 

 

 

 

 […終わりましたか]

 

「ああ、良い話だったな。…これは技研との契約にも反しないだろう?」

 

 [要は技研との繋がりを隠せれば良いので。それに、ダメだったら私が止めますよ]

 

 [今日は初めての仕事でありながら、2つも依頼をこなしましたね…本日はこれで以上です。お疲れ様でした]

 

「ケイトのサポートがあってこそだった…

 本当に、ありがとう」

 

 

 ACをヘリ内に格納しコックピットから降りる

 

 [これより拠点に帰投します。貴方はゆっくりしていて下さい]

 

「拠点は拠点で別にあるのか?」

 

 てっきり、輸送ヘリ自体が拠点だと思っていたのだが

 

 [ACというよりは、こちらの輸送ヘリ用ですが。

 …料金の請求はありませんよ。こちらは、"オールマインド"による提供です]

 

「そうか、後で礼を言わないとな」

 

 

 

 流石にシミュレータを使う程の体力は無く、自室に入りベッドでタブレットを操作する

 

 6662 COAM

 

「6662…何も買えないな」

 

 今の全財産、赤字ではないもののAC用パーツを買うには程遠い

 

TURNER(アサルトライフル)ETSUJIN(バーストマシンガン)LUDLOW(マシンガン)BUTT/A(パルスブレード)…」

 

 ケイトによって紹介されたネット上のカタログを見るが、最低でも70,000 COAMを超える値段

 

「…"子均"が良い依頼を持ってくれば良いが…今考えても仕方が無い」

 

 続けて今のアセンブルを確認、依頼をこなしてはいるが基本MTが相手であり右腕のライフルは、もっと安いTURNER(アサルトライフル)などに変えても良いかもしれない

 

 しかし

 

 [パーツの売却…? 無理ですよ]

 

 AC6本編よりも昔であるからか、パーツの売却が出来ない。…最初からACを持っている時点で恵まれてはいるのだが

 

「結局、依頼をこなすしかないのか…」

 

 AC6本編より遥かに高い修理費による、少ない報酬。自分好みのアセンブルを出来るようになるまで一体どれ程の時間がかかってしまうのだろうか。

 

 信頼が大事だとは言え、やはり金は入用だ。稼げる依頼もいつ来るかは分からず、目の前にある道の長さに気が遠くなるものの

 

「でも…楽しみだな」

 

 その長さも、そして苦戦も、またACの魅力。

 決してゆっくりは出来ないが、それならば何度も依頼をこなしていけば良いだけだ

 

 敵を倒すだけでは無い独立傭兵としての初日は最高であった。

 これからが、楽しみで楽しみで仕方が無い

 

 そう、言い聞かせた

 





ここまで読んで頂きありがとうございました

例の四脚ACに勝てたら続き書きます
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