成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)=   作:万年赤字一般傭兵

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マスターオブアリーナになったので初投稿です

前回のあらすじ
騙して悪いが仕事なんでな、死んでもらおう


Red Escape

 

 

 

 バズーカの着弾音、激しい爆発煙がカメラを覆う

 

「ん"んっ!!?」

(何だ……何が!)

 

 唐突な攻撃により回避は失敗、ACS負荷は限界間近

 だが操縦はできる。ほぼ無意識にABをふかして、ライフルの追撃を耐えながら距離を取っていた。

 

「わ、私を消す……! どう言う事ですか!?」

 

 [傭兵やってれば、こんな事もある。楽に殺してやるから大人しくしろ。その方が互いの為だろう? ]

 

(話し合いの余地など、とうに無いか……!)

 

 風吹き荒ぶハイウェイの上で動かぬMTの黒煙が流れる中、動揺を抑えながら距離を取って睨み合う。

 

 

 [ジャック!? 一体何が……]

 

「ケイト! 僚機が裏切った、回収地点の変更を頼む!!」

 

 

 慣れが滲み出る口調、明らかな強敵と戦いたいが……何かしらの策があるだろう、敵が目の前のACだけとも限らない。撃破による解決は不安定すぎる。

 今は計画の為に生存を優先、我欲は押さえ込んだ。

 

 [了解しました、ルートを再構築します。それまで耐えてください! ]

 

 

 戦意をグッと堪えて撤退を選択、開けたハイウェイを飛び出して障害物の柱が多い直下の道路へと下降。

 だが、相手も待ってはくれない。逃げに対してABで距離を離しすぎず、空中から全武装による激しい攻撃を与えてくる。

 

 

 [逃げるつもりか? まぁ……逃すつもりはないが]

 

「クッソ……」

 

AP 残り70%

 

 常に飛んで来て圧をかけ続けるライフル弾、QBを強制してエネルギーを確実に消費させるバズーカにミサイル……

 

 本来なら、こちらからも多少の圧をかけて相手の攻撃を抑えなければならないが……今の武装では近距離に詰めなければ不可能だ。APを犠牲にする事で、徐々に距離を離しながら時間を稼いでいると

 

 

 危険を知らせるアラート

 足りないエネルギー残量ではQBを出せず……

 

 白い光が、カメラに見えた

 

 

STAGGER

ACS LOAD LIMIT

 

 バズーカではない、突然の衝撃によって硬直

 すかさず敵ACからの追撃が入り

 

 

 

AP残り50%

 

(何だ……何が起こった!!?)

 

 何とか建物に隠れて、これ以上の被弾を抑えたが……訳がわからない。距離はしっかり保っていた、バズーカも再装填中なはず、ライフル弾によるACS負荷も十分抑えられていた。……このままでは死がチラついてきた

 

 [もう、いいだろう? さっさと諦めてくれ]

 

「まだ、まだだ……こんな所で死ぬ訳にはいかない」

(そうだ、そうだ。こんな所で……私には為さねばならない事が!!)

 

 

 正体不明の攻撃、限界が見えてきたAP。だが、殺してきたものたちの仲間入りをする訳にはいかない。自分の行いのツケを払うまでは、それまでは! 

 

「ケイト……! まだか!」

 

 [……ここならば。ジャック、理由は後で話します。今は表示したマーカーに向かってください。]

 

(ハイウェイの上……いや、躊躇うな信じろ!!)

 

 意気だけでは戦況は変わらない、しかし遂に打開策が出た様だ。より不利なハイウェイの上に戻る事になるが……今は、賭けなければならない

 

 [……何をするつもりだ……? ]

「勘がいいな! 忌々しい……!」

 

 元よりスキャンのせいで隠れられるとは思っていない。回復し切ったエネルギーを使ってABによる上昇、相手よりも先に戻ろうとするが……向こうもそれを察知してか、合わせて上昇を開始してきた。

 

 [……マーカー更新、次はこちらです]

 

 [下の方が都合が良かったのだが……まぁ良い。どちらにせよ、こちらの優位は変わらん]

 

 

 思考は全て敵弾の回避に回し、ただひたすらにマーカーに喰らい付いて行く。別のハイウェイへと移り、第17区画方面へと誘うマーカーを疑う暇などない。後ろから当たるミサイルにライフル弾、バズーカだけは回避しながらも……ひたすらに、ただひたすらに進み続けた。

 

 ABと通常ブーストを使い分け、エネルギーの表示を真っ赤にして神経を擦り減らし、やがて

 

AP 残り40%

 [そこのトンネルに入ってください!! ]

 

(ここか、ここが! 打開策なのか!?)

 

 彼女の声に従い、向いた方向にあるは自分のAC"オラクル"がギリギリ入れそうなトンネル。疑問はあるが、もはや止まる暇はない。頭を擦りながらもABを起動して、オラクルをトンネル内に捩じ込む。

 

 

「こ、攻撃が……止んだ? ケイト、敵機は……」

 

 不思議な事に……一つ目の曲がり角を通過した頃、敵ACの攻撃はピタリと止んでいた。

 

 [間に合いましたか。やはりサイズ的に、このトンネル内までは入って来れない様ですね。……このままマーカーに従ってください、その先で回収しますので]

 

「あ、あぁ了解した……」

(一体、どうして……?)

 

 訳もわからず、しかし消えた追撃とケイトの落ち着いた声で少しは冷静になり、安堵と少しの不安と共にトンネルの中を進んでいった。

 

 

「何故、追撃が止んだ……?」

 

 [説明がまだでしたね。簡潔に言えば、あのACではここに入る事が出来ないからです。]

 

 [このトンネルの高さ制限は貴方のオラクルでギリギリですので……改造されて大きめな例のACは入って来れない、という訳です]

 

「そうか、思い付きもしなかった。……助けられてばかりだな。本当にありがとう、ケイト」

 

 [貴方をサポートする事が私の仕事ですから]

 

 

 

 何事も無く、迷路の様なトンネルを抜け

 

 

 

 [流石に撒けたでしょう……ACの回収を開始します]

 

 [イレギュラー要素こそありましたが、お疲れ様でした。……本日の収支を送ります。]

 

 

収入


成功報酬:84,000c


特別加算:8,000c

 

支出


修理費:115,560 c


弾薬費:2,800 c


特別減算:0 c

 

収支:-26,360c

 

 

 

 

「あ、あぁ……あ"ぁっ!?」

 

 赤字、真っ赤な赤字

 元々あった資産すら貫通する赤字

 

 現資産、-19,698 COAM

 

 

 [……ジャック、大丈夫ですか? ]

 

(何で、どうして? あんなに訓練して来た筈なのに、何故こうなる?何でこの数字にマイナスがついているんだ? おかしいな、本来ならプラスが付くはずだったのに……)

 

(ああ、そうだ私はいつもそうだった。踏み込む事も、どんな失敗も怖くて怖くて"やりたい事がない"と言って来て、小さな成功をずっと重ねるだけだった)

 

 [あの、ジャック……]

 

(甘ったれていたんだ。初めてACに乗るまでは、どんな事も怖くなかったのに……時間が経った今になってダメな私が出て来ていたんだ。だから前回も中途半端に殺して生かして……少しの報酬でも大丈夫なんだと、楽しいから良いんだと自分を言い聞かせていて、あのACからも逃げて良いと思って……)

 

(ダメだダメだダメだダメだダメだ…所詮凡骨の私では、このままじゃあダメなんだ……安定を、望んではいけないんだ)

 

 

 気づけば、中途半端な資産の様に私の心も真っ赤に塗り潰されていた。





ここまで読んで頂きありがとうございました

信頼獲得の安定チャートが僚機の裏切りという屑運によって台無しになってしまいました。故に…ここでオリチャー発動!

ルビコンに里帰りしたら続き書きます
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