成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)=   作:万年赤字一般傭兵

52 / 54

ウォッチポイントを襲撃するので初投稿です

前回のあらすじ
貴様は…スッラか!?




Experience

 

 

 コックピットから出てヘリ内のキャットウォークに足を下ろす。普段なら、そのままシミュレータか自室に行くが…今回は違う。

カツンカツンと音を立てながら、柵に腰掛けて勝手にタバコを吸っている男へと向かった。

 

(人の許可取らずにタバコ吸いやがって…)

「客間が無くてすまないな、何か腰掛けるモノでもいるか?」

 

 小銃付きの監視カメラが睨んでいると言うのに…想像以上の肝の太さと図々しさだ。皮肉の一つも言いたくなるが、堪える。喧嘩を売る為に乗せた訳ではないのだから

 

 

「いいや必要ない…しかし、これはまた…」

 

「何だ、何かおかしいか?」

 

 直接顔を合わせるのはこれが初めてだが…私の顔を見た瞬間、見上げた彼の顔には意外にも驚きが浮かんでいた

 

 

「…本当に子供なのか。場数を踏んだ傭兵が、私と同じ様な詐称をしていたのだと思っていたのだが」

 

「前々から声は若かったじゃあないか、そんなに驚く事もないだろう?何でそんな…」

 

 私は今だに13歳だ。声も年相応だと思っていたが

 

 

「変声機でも使っているのかと…待て、ならばお前は本当に傭兵としては新入りの部類なのか」

 

「まぁ、そうだな」

 

「………はぁ…」

 

 

 余裕から驚愕へ、そして今度は落ち込んでいる。

意外にも表情が豊かな事は驚きだが、そろそろ本題に入りたい

 

「取り敢えず、だ。貴方をここに乗せたのはある事を依頼したいからだ」

 

「…依頼? 例の懸賞金絡みの殺しか?」

 

(食い付きがいいな…正しく傭兵、か。尚更いい)

 

 例の独立傭兵"ジャック"

ケイトの情報によれば、経験の浅さに対して物凄い戦績を挙げている優秀な傭兵らしい…誰かへの恨みを拡声器の如く叫び続ける異常者らしいが

 

「そいつは、私が殺す」

 

 強敵ならば、戦いたい。

 他者に任せてなるものか

 

 

 

 故に、スッラには…

 

「貴方に依頼したいのは…私の、アドバイザー だ」

 

 違う形で協力してもらおう

 

 

 

 

「"アドバイザー"?」

 

「そうだ、何かおかしいか?」

 

 

「おかしい、と言うよりは…何が望みかがわからん。具体的に言え」

 

 私には弱点がある。

 ACの操縦では並の傭兵に負けはしないが…

 

 

「…恥ずかしながら、私は新入りの傭兵。AC操縦の技量こそあるが、それだけだ。オペレーターはとても優秀だが…やはり、私自身の経験が足りない」

 

 兎に角、経験が足りない。

ケイトはそんな私を支えてくれる最高のオペレーターだが…頼り切りになる事はできない

 

 イレギュラー達に届く為に、傭兵として成長する為には私自身の更なる成長が必要だと…そう感じた。

かつての様にヤケになった訳では無い、寧ろ冷静になって振り返った事で見つけられた伸び代だ

 

 

「だから、依頼の選び方にアセンブル、傭兵として利用すべき組織…貴方の経験を私に教えて頂きたい」

 

 そこで、ケイトからは得られない様な経験が目的となった。

 

 本来は時間をかけて培っていくであろうもの。

しかし、私には何年も掛けられる程の余裕が無い…

 そこで、幸運にも捕縛できたスッラだ。

基本的に使い捨ての独立傭兵でありながら、この先50年は確実に生き残る程の猛者。

 

 だとすれば…その経験に勘、そして感覚は間違い無く本物のソレ。

 

 

「勿論、依頼である以上報酬は支払う。…私から出せる報酬はルビコン行きの船に乗るチケットだ」

 

 彼からの教えを得られるのであれば…私に足りないものを確実に、かつ短い期間で習得できるに違いない

 

 

「死ぬ事もないんだ。

 そちらにとっても、悪い話ではないと思う」

 

 熟練の傭兵であるスッラに依頼と言う形で経験を教えてもらい、更なる成長を図る。

咄嗟の思いつきではあるが、成功による利益は計り知れないだろう

 

 

故に、この依頼は絶対に受けて欲しい

 

 

 

「…私のどこが、そんなに気に入ったのかは知らんが……」

 

「確かに、悪い話では無いな…だが依頼ならば、まだまだ協議したいところがある」

 

「契約内容のデータを見せろ、そこからだ」

 

「…ああ!勿論だ。早速、話し合おうか!」

 

 

 隠し切れない喜びを感じながら、ケイトも交えて契約内容を話し合う。最良の結果が近づくのをひしひしと感じられた

 

 

 

『…だから、船とは別で依頼の報酬金を払え』

 

『それなら、前の分の賠償金がある。ケイト、あの時の損失を…………』

 

 

 

『…永遠に付き合うつもりは無い』

 

『期間か、どれくらいが望みだ』

 

『ざっと…』

 

『短すぎる、これなら…』

 

『いや、そこらが限界だ』

 

『例のルビコン行きの船に乗るなら……』

 

『何?一体どういう…?』

 

『ケイト、例の情報を…………』

 

 

 

「…よし良いだろう。この依頼、受けさせて貰う」

 

(やった…!!)

「取引成立、だな」

 

 期間、見合った報酬、情報の守秘義務…細かい部分を詰めたが凡そは望み通りになった。強いて言うなら、例の船"ザイレム"がルビコンに到着するまでが期限になったくらいだろう

 

「これからよろしく頼むぞ、先輩」

 

「…そうだな、よろしく頼む」

 

 最後に固い握手を交わす。

 これまでの戦いの数々を想起させる様な彼の手には、命惜しさの震えも敵意の強すぎる力も無く、依頼の達成を確約するかの様な力強さだけがあった

 

 

 





ここまで読んでいただきありがとうございます

スッラおじさんの知恵袋

コーラルの奔流に耐えられたら続き書きます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。