成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)= 作:万年赤字一般傭兵
ウォッチポイントを襲撃するので初投稿です
前回のあらすじ
貴様は…スッラか!?
コックピットから出てヘリ内のキャットウォークに足を下ろす。普段なら、そのままシミュレータか自室に行くが…今回は違う。
カツンカツンと音を立てながら、柵に腰掛けて勝手にタバコを吸っている男へと向かった。
(人の許可取らずにタバコ吸いやがって…)
「客間が無くてすまないな、何か腰掛けるモノでもいるか?」
小銃付きの監視カメラが睨んでいると言うのに…想像以上の肝の太さと図々しさだ。皮肉の一つも言いたくなるが、堪える。喧嘩を売る為に乗せた訳ではないのだから
「いいや必要ない…しかし、これはまた…」
「何だ、何かおかしいか?」
直接顔を合わせるのはこれが初めてだが…私の顔を見た瞬間、見上げた彼の顔には意外にも驚きが浮かんでいた
「…本当に子供なのか。場数を踏んだ傭兵が、私と同じ様な詐称をしていたのだと思っていたのだが」
「前々から声は若かったじゃあないか、そんなに驚く事もないだろう?何でそんな…」
私は今だに13歳だ。声も年相応だと思っていたが
「変声機でも使っているのかと…待て、ならばお前は本当に傭兵としては新入りの部類なのか」
「まぁ、そうだな」
「………はぁ…」
余裕から驚愕へ、そして今度は落ち込んでいる。
意外にも表情が豊かな事は驚きだが、そろそろ本題に入りたい
「取り敢えず、だ。貴方をここに乗せたのはある事を依頼したいからだ」
「…依頼? 例の懸賞金絡みの殺しか?」
(食い付きがいいな…正しく傭兵、か。尚更いい)
例の独立傭兵"ジャック"
ケイトの情報によれば、経験の浅さに対して物凄い戦績を挙げている優秀な傭兵らしい…誰かへの恨みを拡声器の如く叫び続ける異常者らしいが
「そいつは、私が殺す」
強敵ならば、戦いたい。
他者に任せてなるものか
故に、スッラには…
「貴方に依頼したいのは…私の、アドバイザー だ」
違う形で協力してもらおう
「"アドバイザー"?」
「そうだ、何かおかしいか?」
「おかしい、と言うよりは…何が望みかがわからん。具体的に言え」
私には弱点がある。
ACの操縦では並の傭兵に負けはしないが…
「…恥ずかしながら、私は新入りの傭兵。AC操縦の技量こそあるが、それだけだ。オペレーターはとても優秀だが…やはり、私自身の経験が足りない」
兎に角、経験が足りない。
ケイトはそんな私を支えてくれる最高のオペレーターだが…頼り切りになる事はできない
イレギュラー達に届く為に、傭兵として成長する為には私自身の更なる成長が必要だと…そう感じた。
かつての様にヤケになった訳では無い、寧ろ冷静になって振り返った事で見つけられた伸び代だ
「だから、依頼の選び方にアセンブル、傭兵として利用すべき組織…貴方の経験を私に教えて頂きたい」
そこで、ケイトからは得られない様な経験が目的となった。
本来は時間をかけて培っていくであろうもの。
しかし、私には何年も掛けられる程の余裕が無い…
そこで、幸運にも捕縛できたスッラだ。
基本的に使い捨ての独立傭兵でありながら、この先50年は確実に生き残る程の猛者。
だとすれば…その経験に勘、そして感覚は間違い無く本物のソレ。
「勿論、依頼である以上報酬は支払う。…私から出せる報酬はルビコン行きの船に乗るチケットだ」
彼からの教えを得られるのであれば…私に足りないものを確実に、かつ短い期間で習得できるに違いない
「死ぬ事もないんだ。
そちらにとっても、悪い話ではないと思う」
熟練の傭兵であるスッラに依頼と言う形で経験を教えてもらい、更なる成長を図る。
咄嗟の思いつきではあるが、成功による利益は計り知れないだろう
故に、この依頼は絶対に受けて欲しい
「…私のどこが、そんなに気に入ったのかは知らんが……」
「確かに、悪い話では無いな…だが依頼ならば、まだまだ協議したいところがある」
「契約内容のデータを見せろ、そこからだ」
「…ああ!勿論だ。早速、話し合おうか!」
隠し切れない喜びを感じながら、ケイトも交えて契約内容を話し合う。最良の結果が近づくのをひしひしと感じられた
『…だから、船とは別で依頼の報酬金を払え』
『それなら、前の分の賠償金がある。ケイト、あの時の損失を…………』
『…永遠に付き合うつもりは無い』
『期間か、どれくらいが望みだ』
『ざっと…』
『短すぎる、これなら…』
『いや、そこらが限界だ』
『例のルビコン行きの船に乗るなら……』
『何?一体どういう…?』
『ケイト、例の情報を…………』
「…よし良いだろう。この依頼、受けさせて貰う」
(やった…!!)
「取引成立、だな」
期間、見合った報酬、情報の守秘義務…細かい部分を詰めたが凡そは望み通りになった。強いて言うなら、例の船"ザイレム"がルビコンに到着するまでが期限になったくらいだろう
「これからよろしく頼むぞ、先輩」
「…そうだな、よろしく頼む」
最後に固い握手を交わす。
これまでの戦いの数々を想起させる様な彼の手には、命惜しさの震えも敵意の強すぎる力も無く、依頼の達成を確約するかの様な力強さだけがあった
ここまで読んでいただきありがとうございます
スッラおじさんの知恵袋
コーラルの奔流に耐えられたら続き書きます