成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)= 作:万年赤字一般傭兵
交信できたので初投稿です
前回のあらすじ
スッラに教導依頼を受けてもらえた
[ジャック、一旦帰投しましょうか。
本拠点で他の話もしましょう]
「ああ、そうするか…」
固い握手を交わした後、ケイトからの通信が入った。…そう言えば
「待て、スッラが保有していた輸送ヘリにAC…何とか持ち帰れないか?」
破損している方は無理だろうが、もう一機は十分に飛べるだろう。加えて、爆散していないACもある。折角なら持って帰りたい
[ご心配無く、こちらの輸送ヘリは無人制御でしたので既に私の操作下にあります。ACもそこに積み込めば良いかと]
「流石だな、ACは私が操縦しよう。ああそうだ、一つ聞きたいのだが」
「何だ」
「アレには、一体何を積んでいるんだ?」
ケイトの仕事には感心するが、積み込むならば中身ぐらいは知っておきたい。爆弾なんかを積まれていたら流石に困る
「大したものでもない、依頼先で撃破したMTなどのジャンクだ」
「"MT"?何でそんなものを…」
(予備の弾薬や修理資材などを積んでいると思っていたが…)
予想外の答えに、少し困惑してしまう
「そんなの当たり前…ああ、そう言う事か。……ここまで私を追い詰める程の腕前なのに何で知らないか不思議でならんが、早速教えてやろう」
「依頼で得られる報酬は、何も雇い主からの支払いだけではない。内容次第だが…撃破した機体なんかは、業者に売り捌けば良い金になる」
「その様子ではやってない様だな、装甲を後付けすれば修理費も浮くというのに…」
(ええ…)
「ケイト、これは…本当か?」
今まで思い付きも、教えられる事もなかった。
一生悩まされるであろう修理費すら解決できるかもしれない情報、余りにも美味しい話に思わず確認をとる
[………申し訳ございません]
「ケイト!??」
「不憫な事だ……」
[恐らくはデータとして出ておらず…把握しきれませんでした]
色々と聞きたくなるが、今すべき事ではない。
今、話をするべき相手はスッラだ。
そう言い聞かせて無理矢理話を続ける
(ケイトにも、知らない事が…)
「…流石は熟練の傭兵だな、ならばもっと教えて頂きたい事がある。信頼できる業者を教えてくれ、出来ればその見極め方もな」
「教えるが…流石に長くなりすぎる。先にお前の本拠地へ戻れ、ここは安全という訳ではないからな」
彼の言葉で今の状況に気がついた。ACに乗ってもいないのに、ここにい続ける事はあまり良くないだろう
ケイトに出発を要請して例のACに乗り込み、適当にチューニングを終えてから積み込む。
よく分からないスクラップを押し除けながら内部のクレーンに接続し…
「よし、大丈夫だ。戻るから少し待ってくれ」
何の問題も無く、無事に帰路へと着けた
『…しかし、剛毅な事だな。
殺し屋に教えを請うなど……』
『勝負は既に着いた、もう恨んではいない。
それに…』
「何だ?」
『確かな強さを持つ貴方を傭兵として信頼している。依頼を受けた以上は最善を尽くすだろう?』
『……そうだな』
「…さて、先ほどの続きを話してもらおうか」
収まっていくプロペラ音が雑談に負けてきた。
安全な拠点への到着を感じながら話の続きを始める
「まずは業者からだな。この星で私が利用している所は
「後は…そこのリーダーが元々知り合いの傭兵でな、こちらの事情を理解しているから融通がきく」
ただ信頼性を確保するだけではない、長い傭兵活動による人脈を使う事で質の良いサービスを確実に得ている。やはり、やり手だ
「成程……私でもそこは利用できるか?」
「顧客を選んでいる訳ではないから出来るな。
…ああそれと。選び方だが、こればかりは実際に見比べないと分からない。今から言う指示に従ってサイトに入れ」
彼と並んでタブレットを操作して、業者が並ぶサイトに入り…
「まずは自分で選んでみろ」
試しに自分だけで選ぶ事に。
あれこれ考えるよりも、まずは実際にやるのが一番。その点に於いて、彼と考えは一致していた
『この業者はどうだ…?』
『成程、買取金額で選んだか。だが、やめておけ…契約内容をよく読んでみろ』
『何々…回収後減算あり、まさかこれか?』
『そう言う所は…偶にだがな、こちらの品に傷を付けて値下げしてくるぞ。勿論そのまま買い取る事もあるが、トータルで見れば損になる事が多い』
(どこかで聞いたなぁ…そういうの)
『ならばここはどうだ?条件もちょうど良いと思う』
『見せてみろ…』
(行けるか…?)
『やめておけ…確かに条件はちょうど良い。だがな、ジャンクの引き渡し場所を見てみろ』
『場所…?』
『この地形、お前はどう見る』
『……ここ、奇襲には最適だ。両脇を高い建物で覆われていて分厚い天井もある、おまけに退路もゲートで閉め切る事ができるな。まさか、そういう事か?』
『そうだ。必ず、という訳では無いが欲に駆られる馬鹿はそれ相応にいるからな、ACの様な高級品を扱うなら特に気をつける必要がある。いざ襲われたとしても大丈夫な所が最善だろう』
『どこであれ、気は抜けないという事か。ならここは………』
選ぶ度に指摘をくらうが、今後は自分一人でも見極められる様に説明を一字一句聞き逃さずにメモを取りながら書き続ける。
一見大丈夫そうでも穴があったり、逆に駄目そうな所が良かったり…経験に裏打ちされた批評はかなり参考になった
……思えば、誰かと一緒にタブレットを使うのは随分と久しぶりだ。
かつては親友と共に目を輝かせながら、撮影したMTなどを鑑賞していたものだが…お互いに小さく、画面は十分に広かった
しかし、成長して大人と共に見た画面は…とても狭い
(確かに、成長したのだな…)
何の咎も無く、ただひたすらに夢へと進めたあの頃そして1人では抱えきれない責務を負って進む今。
しかし、不思議と今が悪い様には思えなかった。何であれ、確かに歩んできたこの道を否定する気にはなれなかったのかもしれない。
或いは…こんな現況でも、存外余裕を持って楽しんでいるのか
「こんな所か。…吸収が早いな」
「まだ成長期だからな、色々と覚えやすいんだ」
60社ほど提案した所で、互いに疲れが出てきた。
何せ、ついさっきまではACで殺し合いをしていたのだ。本来なら休むべき状況であった
「取り敢えずは例のPatchWorkに、明日から行かせてもらおう。借金はさっさと返したいからな」
「そうか、なら…これが連絡先だ。かけてみろ」
「助かる…ケイト、今いいか?」
[………えぇ、勿論です]
「今から例のジャンク屋と取引をする。
これに通信を繋いで欲しいのと…念の為、交渉中に確認を願いたい」
だが善は急げだ。スッラから鹵獲したジャンク品もある、経験も兼ねて早めに売り捌くのが良いだろう
[…承知しました]
(調子が悪い…?いやまさかな、AIだぞ)
ケイトに礼を言って、耳の通信機に集中する。
しばらくの静寂の後
聞こえてきたのは
[…こちらPatchWork頭領の
どこか聞き覚えがある声
「初めまして、私は独立傭兵のジャック・Oと言う。用件……待て、お前は…」
[……ま、まさか…]
ダミが入った中年の声
「………!!」
どこで聞いたか、思い出した
[ち、違う、これには訳が…]
「そう言えば以前に約束したな。
余裕ができたら恩を返すと…
随分と早く、余裕ができているようだ」
「少し、話そうか」
スッラといい…今日は随分濃い日だ
ここまで読んでいただきありがとうございました
バルテウスを倒せたら続き書きます