カタカタと、心地の良い音がオフィスに響く。
窓から差し込む温かな朝日に照らされながらも鳴り止まないタイピング音は、机に乗り切らない書類の山を見てもらえばどれだけの時間仕事しているのがわかるだろうか。タイピング音の主である先生は疲れたのか大きく伸びをして、口から出そうになったあくびを噛み殺しながら椅子の背もたれへ大きく寄りかかった。
「んぅ…休憩にしようかな」
最近キヴォトスでそこそこ名の通ってきた先生その人である。
その仕事ぶりはまさしく聖人のようだが、仕事の量が尋常じゃないので大変な気持ちもあるのだが本人は生徒のためであると自主的に行っているのだから彼にとっても本望なのかもしれない。
「それにしてもそろそろ胃が持たなくなってきそうだなぁ…」
なんてこぼすの御愛嬌である。そんな先生であるが、彼がそういうのも仕方が無いだろう。キヴォトスに来てから日の浅い中でのアビドス高校の一幕。そして続くように来たゲーム開発部の救援。いくつもの壁を乗り越え、時に壊して進んだ。そして今現在ミレニアムに行っていた際にしなければならなかった書類仕事を後回しにしてしまったからこのような山になっている。
先程は御愛嬌などと言ったが、実際には要因があるから胃の不満をこぼすわけで。その要因こそが今現在先生が書類を新たに仕分けている時に見つかった封筒…おそらく手紙を見つけたからであった。普通の封筒であるのなら良かったのだが、風紀委員会の印が押されているのを見るに何かしらの依頼かもしれないと当たりをつけて読む。
「ゲヘナ学園の自治区侵害……?」
封を切り、中身に目を通す。手紙には、ある生徒がゲヘナ学園の自治区に侵入し、それをきっかけにゲヘナの生徒が拉致されたことが書かれていた。そして、犯人と目される生徒は特殊な学園の出身であり、事態の収拾にはシャーレの仲介が必要とのことだ。「(特殊な学園…?)」と思い同封されていた生徒の情報を見る。
「え、男子高校!?」
そう。生徒の名前は
「男子高校…どころか男子生徒っていたんだ…じゃなくて」
「ゲヘナに自治区侵害ね。」
彼もゲヘナに何度かお邪魔しているし、学園にも何度か訪れていた為分かるのだがよく言えば自由、悪く言ってしまえば混沌だ。…それを校風にしているのだから当たり前ではあるのだが、そのゲヘナへの侵入となるとかなり勇気がいるだろう。過激な紛争地帯に態々密入国したと言えば伝わるだろうか。…というかキヴォトスには女生徒しかいないんじゃないかと思えるほど生徒は女性率が高いから気付かなかっただけで本当はそれなりにいたりするんだろうか……
とはいえ問題は起きてしまったわけで、今回依頼されているのは学園同士の仲介と穏便な解決だ。なら、今からすぐに動こう。…決して目の前にある書類から逃げたいわけではない…決して!やらなくてはならないことを頭の中でピックアップしながら椅子から立ち上がり、連邦生徒会のコートに裾を通してシッテムの箱に語りかける
「アロナ、イシノ学園へのナビゲート頼めるかな。」
「………」
「…?」
「むにゃ…せんせ~…」
…どうやらアロナを起こす所から始めなくてはならないようだ。
なんか、思ったより長く書けません。
これが経験が無いヤツの差って事ですかね…