「おぉ…ここが…」
「はい。部室棟です。」
校舎を出て近くの商店街を渡り歩き、目的地へとたどり着く。それは塔と形容するには小さく、ビルと形容するには大きい建物。気持ちシャーレの三分の二くらいかな?サイトの説明によると部室棟は元々三階建てだった部室棟に、地域の方からの寄付もあり大きく改修工事をしてここまで大きくなったということもあって、一階は他企業と連携してスーパーやエンジェル24があったりする人の入もいい場所となっているらしい。理由は色々あったらしいけど、割愛。
「なんというか、あまり見ない形だね。地域の方と共同の建物っていうのは」
「いやいやうちなんて物珍しさを比べたら全然ですよ。それと一階は公共施設ですが、二階からはイシノ学園所属の生徒じゃないと…まぁ詳しく言うとイシノ学園の生徒証が無いと上がれません。ほら、エレベーター乗りますよ。」
『何階への移動をご希望ですか?』
「最上階」
エレベーターに乗ると機械音声が流れ、それに応対しているのを見ているとエレベーターが上昇し始めた。壁が一部透明になっていて、外の景色がそれなりの速さで流れ始める。しかしそんなものは一瞬で、すぐに最上階に到達した。
「それで、ここにはなにがあるの?」
「端的に言えばこの建物の制御室ですね。」
「制御室…?」
「はい。この建物はですね、メイナが一人で作ったんすよ。」
「え、メイナが建築を監督したって事?」
「いえ。文字通りメイナが一人で作ったんです。」
「ええ!?」
かなり衝撃的な情報につい室内なのに大声を上げてしまった…いやまって?メイナってもしかしてすごくできる人なのでは?この規模の建物を一人で…いくらなんでもめちゃくちゃだなぁ…(小並感)なんて脳内コントはさておき。もしかしたら彼はミレニアムのマイスター…いや、もしかしたらアリスの技術力にも到達しうるんじゃ?…流石に邪推かな。そんな事を考えつつも足を進めていた中、流石に考え込んだことで足が止まっていたらしく、サイトが振り返っていた。
「ま、諸々についてはすぐわかりますよ。つか先生にメイナの事を知ってもらいためにここに来たと行っても過言じゃないですし。」
「というと、メイナが作った機械とかが見れるってことかな?」
「んー、基本的にはそうだと言っておきま…おっと、つきましたよ。先生」
「わぁ…!すごいね!」
その部屋はどこかアニメで見るようなコントロール室のようになっていて、無数の配線が敷かれた巨大モニターが中に浮きモニターの一つ一つには無数の人々が買い物している中で、監視カメラのようなものから何をしているか詳細に統計を取るものまで、全てが完備されていた。余すことなく使われているモニター画面を見て流石に度肝を抜かれてしまった…けど…
「…ごめん。ここまで来てもサイトの言うようにメイナのことはよくわからないな…」
「はぁ…結論早すぎです、先生。問題ですが、ここのセキュリティってどうなってると思います?」
「え?えーと、メイナが作った機械が…とか?」
「正解っす。これ、見てくれますか?」
「えーとこれは…!?」
そこには信じられないことに、倒れているヘルメット団が映し出されていた。なんで…?
「先生。こいつらは何回もここに犯罪を起こしに来た奴らなんすよ。その中でも出禁に入ってる奴らはこうやってこの建物に入る前に迎撃されるようになってるんです。…メイナ様々でしょう?」
「なるほど、それはすごいね…学園がメイナの貢献がすごいって言うわけだよ」
「あ、いや先生。これ、ここだけじゃないです」
「…?えーと、もしかして…?」
「はい。街中に張り巡らせてます。しかもパッと見でわからないように光学迷彩までついてるすぐれものですからねぇ…正味、イシノ学園の治安維持は8割型メイナの機械依存なので…うちの自治区が広くても平和なのはそういう理由なんです。それを納得する意味で、ここ程説得力のある場所もないでしょう?」
「ま、…まじか…!」
ついつい敬語が外れ得るほどに驚いてしまっている自分に更に驚いたが、流石に…これは生徒一人でできる範疇を明確に超えてる。…うーん。でも、推理するには情報不足かな…
「…あれ?」
不意にサイトが困惑の声を上げる。
「どうかしたの?」
「…いや、いつもならヘルメット団の掃討完了って出るはずなんですけど…不g」
「「…………。」」
「えっと…?」
「いやぁ、おかしいですね。本来なら処理される筈なんですけど…まぁとりあえず掃討しにいきましょう!先生、指揮お願いしてもいいです?」
「もちろん。協力させてもらうね。」
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過去とある先輩が彼に向けて言った。
「お前の戦い方は…なんというか、キモいな」と。もちろん彼はこう返した。「ひどくないすか?」と。
もちろん先輩とて根拠無く言ったのではない。その戦い方を実際に受け、模擬戦をした後の言葉であった。
「だったらお前なんでサブマシンガンに.50AE弾なんて使ってんだよ…死んだかと思ったわ」
とは、先輩の言葉である。そんな彼が一人で掃討戦をする上でそれを使わないはずがなく…
『建物内部の敵対個体総数26。正面13、後方8の多段攻撃。加えて左右側面から左3、右2』
「ナイスっ!」
先生からの通信による相手の位置と数の把握。更には攻撃の仕方に加えて方向まで。相手の情報を赤裸々に、こちらの情報は相手に与えない…ここまでくればもう作業ゲーみたいなもんだ。
「グハッ!」「ボェッ!」「アダッ!」「逃げろー!っぐ…」「何だアイツ!?」「あれだ!イシノの…!」「あっ!まさか【悪jッ!?」
「…言うなよ。恥ずいなぁ…」
口ではそう言いつつも既に前方と側面の敵を倒しきり、後はもう後方の敵を待つばかりだったのだが…
『敵性反応撤退。何かを持っている様子は無し…うん、お疲れ様!』
「はい、お疲れ様でぃーす」
と、言うわけで掃討完了っと。…あ、先生こっち来た。
「怪我とかは無い?」
「はい、特には。いやー、それにしてもメイナの機械が誤作動とは…初めての経験ですよ、これ。あとでメイナに聞いてみるか…」
柄にもなく真面目に考えていると先生が意外そうに見た後(俺だって真面目に考えてんだよ…?)先程来ていた住人の方々に説明をしに行った。先生がいると掃討めっちゃ楽だなこれ…別に戦闘狂ってわけじゃないが、これならそれなりに戦闘のアシストにも期待していいもんかね。先生は指揮が異常にうまいって聞いていたけど、まさかここまでとは思ってなかった。お陰様で一瞬で片付いたな。…にしても、だ。何度も言うようだが、メイナの機械が誤作動を起こすなんて今まで一度もなかった事だ。あいつ…何かあったのか…?
「先生。メイナの事はわかりました?」
「…うん。メイナの技術力がすごく突出してることは分かったよ。」
「なら、ちょっと順番ずらしてラボに行きますか。あそこにメイナも居ると思うんで。」
─────────────────────────
時刻は日暮れ時。私とサイトはある建物の前に来ていた。
ここはイシノ学園寮の隣に位置する、(サイト曰く)メイナが
「ここがメイナのラボってこと?」
「そっす。まぁ、入ってみた方が早いと思いますよ。」
サイトに促されて扉を開く。中はまるで異空間のようだった。
光が一定のリズムでチカチカと瞬く細長い電灯。天井からは太い配線が無数にぶら下がり、床の一部が透明パネルになっていて、下のフロアに動く装置や光る液体タンクのようなものが見える。壁一面には金属製の棚と、積み上げられた大小様々な機械部品。そして中央には、まるで王座のような椅子と、その前に広がる立体ホログラムの操作卓。
「…まるで、SF映画の世界みたいだ」
「まあ、ある意味その通りですからね。というか、よく先生普通に歩けますね」
「ん?どういうこと?」
「この床、センサーで構成されてて、許可された人じゃないと足が滑るようになってるんですよ。あっぶねってなるぐらい」
「…ちょっと待って。じゃあ、僕が普通に歩けてるってことは?」
「はい、つまり“入室許可”が最初から出てたってことです。メイナが、先生に」
その瞬間、ホログラムがひとりでに動き出し、宙に白い光が形を作る。それは、細身のシルエットを持った少女の姿だった。
「ようこそ、先生。はじめまして、メイナです」
「…っ!」
その声は合成音にも聞こえるけど、微妙に人間味があって…何より、その存在感が、明らかに“普通”ではなかった。
「驚きましたか?このボディは仮のものですが、情報共有のために最低限のインターフェースとして構築されています。いわば、分身の様なものですね。」
「えっと、君は朝に話したメイナで…あっているのかな。」
「…はい。厳密には違いますが、気になさらないでください。」
(…気になるなぁ)
「先生のことは、以前よりデータを通じて観察していました」
「観察…?」
「いいえ、監視ではありませんよ。学園のセキュリティの範囲内で、あくまで統計としてです」
(観察と監視ってあまり変わらない気もするけど…!)
メイナ(?)はそう言うと、手を一振りしてホログラムを切り替える。そこには、先ほどの部室棟、街、さらにはイシノ学園周辺の全体地図までが精密に映し出された。点滅する赤い光、動く青いマーカー、それぞれがリアルタイムで動いていることを示していた。
「これは…全域モニタリング…!?」
「はい。私の管理下にあるシステムのうち、約78%は既に連携済みです。先生、今日の誤作動についてですが──」
表情が一瞬、曇ったように見えた。
「それは、私が“触れられた”せいです」
「触れられた…?」
「詳細はまだ不明です。ですが、私の中に“外部からの干渉”があった形跡がありました。つまり、私以外の何者かが、私のシステムに手を入れたのです」
「そんな…可能なの?」
「……通常は、ありえません。ですが、ありえないことが起きた以上、それを想定して動かねばならないのです」
「じゃあ、それって──」
「先生。協力していただけますか?」
ホログラムの中のメイナが、ふわりと頭を下げた。
「もしこの干渉が敵性存在によるものであれば、それはイシノ学園だけでなく、キヴォトス全体にとっての危機となります」
その言葉の重みを、私はしっかりと受け止めた。
「…わかった。私にできることなら、なんでも力になるよ」
「ありがとうございます、先生。では早速──作戦会議を始めましょう」
最近番外編的なアバネが主人公の話を1話だけあげたんですけど、読みたい人っていんのかなぁ…あれ