恋愛つよつよアロナちゃん(自称)と恋愛よわよわ先生(クソボケ)のキヴォトス交遊記 ~プラナちゃんを添えて~   作:Lycka

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Ep.0 Prologue S.C.H.A.L.E

 

 

 

~シャーレ執務室~

 

 

「......眩しい」

 

 

カーテンを開けるや否や、早速8割方閉めてしまう。それもその筈、本日の天気は快晴。雲一つとない空模様であり、寝起きの身体には激しく照りつける太陽の日差しは少々堪えるものがあった。

 

 

そのままカーテンを背にして執務室の机の上にある端末...シッテムの箱を持ちあげる。一つ深呼吸をしながら、最低限の身なりを整えて電源を入れる。

 

「おはようアロナ、プラナ」

 

「先生!おはようございます!」

「先生、お待ちしておりました」

 

 

先生の挨拶に元気よく反応したのが、このシッテムの箱のメインOSであるアロナ。そして、その横に佇み物静かに返事をしたのがプラナ。二人とも先生の相棒である。

 

「細かな説明はぜーんぶ省いちゃいます!」

 

「誰に向かって話してるんだいアロナ.....」

 

「肯定。全てを説明するには時間が足りませんので」

 

「プラナも.....この際だから言うけど、あんまりメタ発言はしないでね?」

 

「合点承知です!」

 

 

先生ではない誰かに向けて言葉を放ったアロナ。そしてその補足として続くプラナ。朝早くからいつも通り騒がしくも楽しい一幕を迎えて、先生は困惑しつつも少しホッとした様子であった。

 

 

「そんなことより先生!」

 

「どうしたのアロナ?」

 

「この前の話はどうなりましたか!?」

 

「この前?」

 

「推測。以前お話しされていた生徒との関係性についてかと」

 

 

生徒との関係性、という言葉を聞いて先生は苦笑いを浮かべる。それに気が付いたプラナは、先生に詰め寄るアロナとは反対に考える素振りを見せる。

 

 

少し前にアロナとプラナに相談を持ち込んだ先生。その内容がズバリ"生徒との関係性"についてであり、その際の助言を実行しての結果や感想をアロナは求めているのだろうと先生は遅ればせながら勘付いた。

 

 

「んー、取り敢えずは良い感じかな?」

 

「本当ですか!?やはりアロナちゃんは恋愛上手だったという事ですね!」フフン

 

「.....先輩、先生のバイタルを確認したところ先程の発言は嘘である可能性が高いです」

 

「後でイチゴミルク買ってあげるから許してプラナ.....」

 

「了承。先程の発言を撤回します」

 

「うえぇ!?プ、プラナちゃん!?」

 

 

驚くべき早さで寝返ってしまったプラナに一瞬耳を疑うアロナ。当の本人は先生に頭を撫でられてご満悦といった様子。イチゴミルクの恐ろしさを再確認したアロナであった。

 

 

「目の前で買収しないで下さい!プラナちゃんもプラナちゃんで軽い感じで靡かないで下さいよ!」

 

「.....イチゴミルクの前では為す術がありません」

 

「アロナちゃんはぷんすかぴーなんですからね!全くもうっ!」

 

 

今にもプンプンという効果音が聞こえんばかりの表情で腕を組むアロナ。そんな様子を見て目を合わせて微笑むプラナと先生。

 

 

アロナの方へと手を伸ばし、綺麗で透き通った空色の髪へそのまま落として、まるで慈しむような表情で優しく撫で始める先生。それに気が付いたアロナは未だ腕を組み怒り心頭、といった感じを装いつつ口元はというと完全に緩みきっていた。そんなアロナを横目に、手を離そうとした先生を捕まえて再び自身の頭へ誘導させるプラナ。最早互いの事は頭には微塵も無く、あるのは大好きな先生の柔らかな優しさのみだった。

 

 

「安心して、アロナにもちゃんと買ってあげるからね」

 

「本当ですかーっ!?でへへぇ.....」

 

(.....先輩チョロすぎます)

 

 

仲良くみんなでイチゴミルクを飲む約束をして、無事仲直りをした三人。それから先生はイチゴミルクを買ってくると言い執務室を後にする。残った二人は先生の手の感触の余韻に浸りつつ、徐々に平常運転へと移行する.....予定だったが未だに一人気味の悪い笑い声をしつつニヤニヤしていた。

 

 

「うへへぇ.....イチゴミルク楽しみですねぇ」

 

「先輩ニヤニヤし過ぎです」

 

「へあぁ!?な、何言ってるんですかプラナちゃん!これは別にニヤニヤしてるとかではなくてですね!」

 

「それより先生は大丈夫でしょうか?」

 

 

一転して少し心配そうな表情を浮かべるプラナ。日夜問わず様々な事象が発生する学園都市キヴォトス。爆発や銃弾が飛び交うのは日常茶飯事であり、もっと言えば銀行強盗なんてものも時折発生するくらいである。そんなキヴォトスとはいえ、いくらなんでもイチゴミルクを買ってくるだけの簡単な買い物で心配し過ぎでは.....とアロナは首を傾げながら呟いた。

 

 

「.....いえ、私が心配しているのはそちらではなく先生のお仕事の方です」

 

「お仕事ですか?」

 

「はい。私達にばかり構ってしまい結局いつも通り残業する流れになるのではないかと.....」

 

「心配しなくても大丈夫ですよプラナちゃん!イチゴミルクさえあれば、普段の3倍の速度でお仕事を捌けるのがスーパーアロナちゃんですから!」

 

(.....たった今心配事が増えました)

 

 

胸を張ってプラナの心配に対する完璧な答えをするアロナ。その様子を見て頭を悩ませるプラナ。これもいつも通りの日常でありつつも、先生の負担を少しでも減らすべく今日は我慢しようと決意するプラナであった。

 

 

「というより今日はお仕事の予定ありましたかね?」

 

「.....検索。本日はお昼からトリニティ総合学園にてティーパーティーの皆さんと会合(お茶会)。その後、ゲヘナ学園へ提出書類を届けに行く予定です」

 

「なるほどなるほど、そしていつも通りその後にここで書類の片付けやら資料の作成を.....って先生今日も忙しいじゃないですか!」

 

「.....今更ですか。そもそも、それを見越して朝早くに起床したのではないでしょうか?」

 

 

改めて本日のスケジュールを確認する二人。一方のアロナはあわあわとした様子でどうしましょうと慌て始める。もう一方のプラナは溜息混じりに一呼吸をおいて、直近1週間程度のスケジュールの精査と溜まっている資料作成の確認を始める。

 

 

 

しかし、そうこうしているうちに買い出しに行った先生が戻ってきてしまう。少し前までの蕩けきった表情をした二人とは打って変わり、落ち着きのないアロナと独り言を放ちつつも何か作業をしているプラナに困惑する先生。

 

 

「戻ったよ二人とも。私が居ない間に何かあったのかい?」

 

「先生!イチゴミルクなんて放っておいて早くお仕事を始めましょう!」

 

「.....大変だよプラナちゃん。アロナがとうとうぶっ壊れてしまった。これは由々しき事態だよ」

 

「シッテムの箱のメインOSはそう簡単に破損しないかと思われます」

 

「.....だったらウイルスか何かに感染したんだろうね。ヴェリタスに持って行った方が良いかな?」

 

 

アロナに続き先生までもおかしな事を言い始めてしまったこの状態を死んだ目で見つめるプラナ。仕方ないと肩を落とし、事の経緯を先生に伝える。そうすると先生は一つ安心した表情で胸を撫で下ろす。

 

 

「別に仕事をする為に早起きしたわけじゃないんだ」

 

「.....疑問。であればこんな朝早くに起床したのは何故でしょうか」

 

「なんて言うか.....改まって言うのも恥ずかしいんだけど最近二人に構ってあげられなかったからさ。久し振りにまとまった時間が取れそうだったから色々としてみようと思って」

 

「先生!」パァッ

 

 

先生の本心からの言葉を聞けた二人は俯きがちな姿勢から一転、子供のように真っすぐな笑顔を咲かせて先生へと微笑みかける。

 

 

大きく両手を広げて飛び付くアロナにそれを支えきれず尻餅をつく先生。その傍に立ち手を差し伸べてくれるプラナ。何者にも揺るがされぬ先生の堅い決意が、更に深く強大なものになり上がった瞬間でもあった。

 

 

「そういうことだからさ、まずはイチゴミルクでも飲んで腹ごしらえしよっか」

 

「そうですね!プラナちゃんもこっちに来て座って下さい!」

 

「窮屈.....3人で座るには少し狭いのではないかと」

 

「だったら一人は先生のお膝の上にしましょう!特等席ですよ!」

 

 

机を二つ合わせて、椅子を持ってきたがプラナの言う通り3人で座るには少し狭く、誰かが窮屈な思いをしてしまう事は明白だった。そんな問題を解決したのはアロナであり、先生の膝の上はアロナの言う通りの二人にとって"特等席"であり、いくら普段感情を表に出さないプラナと言えど今回譲る気は毛頭なかった。

 

 

目の色を変えて先生の膝の上を取り合う二人に見兼ねた先生は、ジャンケンで順番を決めて交代で座る事を提案。若干不服ながらも了承した二人は、目に蒼色と灰色の炎が宿ったかと思うほどの気迫で運命の対決に身を委ねる。しかして結果はあっさりと訪れてしまい、一発K.Oでプラナの勝ちとなった。

 

 

「.....先生。その、頭を撫でてもらってもよろしいでしょうか」

 

「勿論。言ってくれればいつでもしてあげるからね」ナデナデ

 

「はい!もう時間なので交代ですよプラナちゃん!」

 

「.....先生、手を握っても良いでしょうか?」

 

「お安い御用だよ。すべすべで柔らかくていつまでも触っていたい気分になるね」

 

「も〜っ!!先生もプラナちゃんも今日はとことん意地悪ですね!」プンスカ

 

 

交代には少し早かったが、その後アロナのご機嫌取りに勤しむ先生であった。なんだかんだ言って先生もプラナもアロナには勝てないのが、ここシャーレの常なのである。

 

 

「それでは反省会でもやりましょうか!」

 

「反省会?私何かミスでもしたのかな?」

 

「いえ、先輩のいつもの突拍子もない思い付きかと」

 

「そんなことはありませんよプラナちゃん。話は少し戻りますが生徒との交流の反省会をするんです!」

 

「あぁ、その話だったんだね。そのまま忘れてて欲しかったんだけどなぁ」

 

 

アロナを膝に乗せたまま恥ずかしそうに頭を掻いた先生。誇らしげにイチゴミルクと合わせて買ってきたケーキを頬張るアロナ。口一杯に甘い香りを広げてから、それらをイチゴミルクで流し込むのが最近のアロナのマイブームであった。

 

 

「ほらほら、スーパーアロナちゃんが先生の悩み事を解決してあげますよ!」

 

「.....あまり時間もないので早速始めましょう」

 

「プラナまで乗り気なんだね。まぁ良いか.....それじゃあまずは━━━」

 

 

 

それから、先生と生徒との様々な交流を詳らかに語っていく先生。その間もアロナとプラナを交代で膝に乗せつつ甘やかせながら。時には褒めて、時には指摘してを繰り返すこと数時間。

 

 

気が付いた時にはお昼を回っており、急いで準備してトリニティ総合学園に向かった先生だったが、生憎と時間までには間に合う事が出来ず仕舞いであった。

 

 

その埋め合わせとして、あるお姫様との二人きりのお買い物に行ったのは、また別の機会に話すとしよう。

 

 

 

 

 





相棒アロナが好きです(直球)
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