恋愛つよつよアロナちゃん(自称)と恋愛よわよわ先生(クソボケ)のキヴォトス交遊記 ~プラナちゃんを添えて~   作:Lycka

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Ep.1 セミナーと騒がしいある日

 

 

 

~シャーレ執務室~

 

 

 

「先生、ちょっとお時間頂きますね?」

 

「......はい」

 

 

そう言って正座を始める先生。こうした状況下において、辿々しく言い訳を並べても助かった試しも無かった為に潔く膝をついたのは良いものの、それからと言うもの対面し腕を組むユウカからは様々なお小言を貰っていた。

 

 

「先生、もう一度聞きますがコレは何ですか?」

 

「ユ、ユウカ?まぁそう怒らずに聞いてほしいんだけど」

 

「.....コユキ、先生のPCから購入履歴を遡りなさい」

 

「にははは!私のハッキング技術を駆使して既に終わってますよユウカ先輩!」

 

「流石はコユキね。ハッキングに関しては後で話があるわ」

 

「なんでぇぇぇぇ!?」

 

 

顔面蒼白になりつつも、先程まで踏ん反り返っていた椅子から立ち上がるコユキ。当たり前だと言わんばかりの顔で一部始終を見ていた先生だったが、すぐさまその余裕も崩されることとなる。

 

 

「せ〜ん〜せいっ.....」フゥ

 

「うわぁっ!?」

 

「ふふ、飛び上がるほど気持ちよかったですか?」

 

「ノア?お、大人を揶揄うのは良くないよ?」

 

「揶揄ってなどいませんよ?私はただ、先生の名前を呼んだだけですので」

 

「分かっててやってるよね?」

 

「......秘密です♪」

 

 

 

妖艶な笑みを浮かべながら、口元へそっと手を当てて呟くようにしたノア。その一連の仕草にドキッとした先生だが、心中を悟られるわけにもいかない為、あくまで整然とした態度で持ち直す。

 

 

今日のシャーレの当番はユウカであり、特に用事もなかったノアがお手伝いとしてやってきたまでは良かったのだが、コユキ一人だと何かしらの事件や事故が起きるのは想像に難くない。その為、コユキを引き連れての来訪と相成ったのである。

 

 

 

「先生!お話がまだ終わってませんよ!」

 

「仕方がなかったってやつなんだユウカ。休憩中にネットサーフィンしてたら、まさかカイテンロボFX Mk.∞の限定色彩カラーと出会うだなんて思ってもみなかったのさ」

 

「......はぁ、先生は全くしょうがない人ですね」

 

「分かってくれてありがとうユウカ!」ギュッ

 

「ふえぇ!?こ、こっちこそ仕方がなくって感じですけど!まぁ許してあげますよ!」

 

 

(ユウカちゃん&先輩、チョロいです)

 

 

 

 

隙を見逃さずサッと手を取る先生に呆気なく堕とされてしまうユウカ。いつものことかとノアは先程まで嗜んでいた紅茶を改めて口へと運び、コユキに至っては先生のPCで何やらカタカタと作業を始める始末。

 

 

その後はと言うと、PCを弄り始めたコユキを正座させて説教を始めてしまったユウカ。そんな二人の様子を伺い、少し外を散歩しないかとノアから提案を受けた先生はそれを快く受け入れ、現在はシャーレを出て何気なく並び歩いていた。

 

 

「ユウカちゃんではありませんが、先生も程々にお願いしますね?」

 

「あはは.....出来る限り善処してみるよ」

 

「はい。言質は取りましたからね♪」

 

「うぅ、出来ればペロロジラの方も買いたかったんだけどなぁ」

 

 

そう言うとノアから"カイテンジャー"や"ペロロジラ"等に対する質問が飛んできた為、ここぞとばかりに興奮気味に説明していく先生。フィギュアの枠に収まらず、とうとう背景ストーリーの話にまで発展したタイミングでノアから驚きの発言が飛び出す。

 

 

 

「そんなにお好きなんですね。良ければ私が買ってプレゼントしましょうか?」

 

「えぇ!?いやいや!生徒からお金を巻き上げる趣味は無いよ!?」

 

「そんな人聞きの悪い言い方をしなくても良いじゃありませんか。これは私からのほんの気持ち、ということにしておきますよ」

 

 

 

セミナーの書記や弁理士として活躍する彼女だが、会計のユウカと同じくことお金に関しては不自由なく暮らせるレベルである。そんなノアからの甘い誘惑に乗り、内心では悪魔側が優勢だったが何とか耐えきり、何故か食い下がるノアを抑えて場を鎮めた先生であった。

 

 

「こういうのは、やっぱり自分で手に入れるからこその嬉しさもあるからね」

 

「まぁ今回はそれで良しとしましょう」

 

「出来れば次が無いように頑張るよ.....」

 

「でも無理はいけませんよ?ただでさえ先生は生徒の為であれば、文字通り身体を張るのを厭いませんから」

 

「私はこれでも先生だからね。生徒が困っていたり助けを求めていたら、手を差し伸べてあげるのが役目だから」

 

 

屈託のない笑顔でそう語る先生に、少々呆れた様子で溜め息を吐くノア。そんなノアに心配そうに気をかける先生だったが、コロコロと表情を変える先生を見て、自然とノアの頭の中にある杞憂は晴れていくのだった。

 

 

「ノアも何かあったら私を頼ってね」

 

「そうさせていただきます.....が、先生はまずお金の管理を徹底すべきかと」

 

「結局その話に戻るんだね.....」

 

「ユウカちゃんから聞きましたよ?RABBIT小隊や便利屋68、先週はゲーム開発部に差し入れを持っていってたと」

 

 

それを聞いてすらすらと言い訳っぽく言葉を並べる先生だが、どれもこれも生徒のためを想った先生なりの優しさの表れであり、頭ごなしに否定したり説教を出来る気分にはなれないノア。

 

 

「お弁当やお菓子だって続ければ相当な出費になります。それを辞めれば先程お話ししていたフィギュアだって買えるかもしれません」

 

「そうかもしれないね.....でもやっぱり生徒達には元気で健やかな生活を送ってほしいからね。それが出来るならフィギュアだって何だって我慢してみせるさ」

 

「ふふっ」

 

「.....私なにか変なこと言ったかな?」

 

「いえ、とても立派で先生らしいなと思いましたよ」

 

 

付かず離れずの距離感で会話を続けていた二人。時々手と手が触れ合い、その度に先生の熱を肌で感じていたノア。どこまでいってもこの人は.....先生は変わらないな、と心底感動していた矢先。後ろから聞こえてくる声と、ドタバタという騒音が耳にうるさく響いてきた瞬間現実に戻り、そういえばトラブルメーカー(トラブルが向こうからやってくる意味合い)でもあったと再認識する。

 

 

「わあぁぁぁ!!先生助けて下さいぃぃぃ!!」ガタガタガタ

 

「コユキ!?というかその乗り物はなに!?」

 

「にははは!これはですね、私がこの前にエンジニア部から盗ん.....じゃなかった、お借りしてきた"誰でも乗れる簡単全自動スクーター"というものです!」

 

「ノア.....コユキはエンジニア部と言ったのかい」

 

「はい、間違いありません。この私が保証します」

 

「私の本能が今すぐ逃げろと言っているんだけど」

 

 

大声をあげて助けを求めていた数秒前とは打って変わって、コトリに似た様子で得意気に説明を始めてしまったコユキ。今も備え付きの様々な機能をベラベラと話しながらも、後輪付近から煙のようなものが上がりつつ所々からガタガタと音が聞こえていた。

 

 

先程コユキが説明した通り、全自動を謳っているだけあって現在コユキはハンドルを握っておらず機能説明であちこち忙しなく手を動かしていた。エンジニア部の発明品+セミナー屈指の問題児コユキという方程式を見て、先生は若干顔を青ざめながら自らの本能に従ってノアの手を引いてコユキから逃げ始めるのだった。

 

 

「変な機能が付いてる辺り、ヒビキかコトリの発明品かな!?」

 

「先生、この先は行き止まりですので右折した方がよろしいかと」

 

「あーっ!!先生もノア先輩も逃げないで下さいよ!!」

 

「それよりコユキちゃんも先生に助けを求めていませんでしたか?」

 

「あ、そうでした!私もユウカ先輩から逃げている最中だったんです!!」

 

 

 

そう言うコユキの背後から、同じくスクーターらしき乗り物に乗ったユウカが見えてくる。まるで鬼の形相をしたユウカに気付いたコユキだったが、先程からの不調で思うようにスピードが出せず段々と追いつかれてしまう。

 

 

「コユキ〜!!やっと追いついたわよ!」

 

「ユウカ先輩もエンジニア部から盗んだんですか!?」

 

「馬鹿言わないで!コレは私が!直々に!ウタハ先輩から借りてる物だから!」

 

「確かに以前移動手段の一つとして発明品の依頼をしてましたね」

 

「特に問題ないところを見るに流石ウタハ.....というかヒビキもコトリもやれば出来るのに、変な機能ばかり付け足すからああなるんだよね」

 

 

アリスの光の剣の件でも、エンジニア部のお陰で窮地を脱したと言っても良いくらいであった。だがしかし、先生の言う通り普段の発明品開発に関して言えば興味からくる変な機能ばかりを付け足すあまり、今回のコユキの様に何かしらの事故やエラーが起こってしまうのが必然である。

 

 

「あぁ.....とうとう止まってしまいました」

 

「はぁ、貴女が逃げるから余計に手間が掛かったじゃない」

 

「あの〜、先生達は逃がしちゃってもいいんですか?お説教してる隙にノア先輩に横取りされて怒ってたんじゃ.....?」

 

「別に怒ってたわけじゃないわよ!?あの二人をこの後追いかけるとしても、まずは問題児の対応が先でしょう」

 

 

シンプルな問題児扱いをされてしまうコユキだったが、今までもそういう扱いを受けることが多かった為か、特別心にくるものもなかった。しかしかながら、そんな問題児扱い等はどうでも良くなる程の緊急事態が差し迫っていることをコユキは理解しており、刻々と近づくその時を想像して冷や汗が止まらなくなっていた。

 

 

「.....コユキ?汗が凄いけど体調でも悪いの?」

 

「にははは!すこぶる体調は良いのでユウカ先輩はお二人を捕まえに行った方が良いかと思いますよ!えぇ!」

 

「怪しいわね。まだ私に何か隠してる事でもあるんでしょう?さっさと吐いたほうが楽よ」

 

「......まぁこの際だから旅は道連れって事で!このスクーター、実は停止すると数分後には爆発する仕組みらしいんですよ!」

 

「はぁぁぁ!?何でそれを先に言わなかったのよ!!コユキだったらハッキングでも何でもして爆発止められたんじゃないの!?」

 

「いやぁこの手のタイプは無理ですね!結構アナログ方式で爆発させるらしくて!.....あ、因みにあと10秒で爆発するっぽいですよユウカ先輩」

 

 

半ば諦めていたコユキをスクーターを走らせながらキャッチして走り出すユウカ。ハンドルの横に隠されていたスイッチのカバーを開き、余裕のない様子で思いっきりボタンを押すと後部からマフラーが追加で表れて物凄い勢いで火を噴き始める。

 

 

「ちゃんと捕まってないと舌噛むわよ!!」

 

「はっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

瞬間、とてつもない加速力でその場を後にしたユウカとコユキ。そのほんの数秒後、後ろから爆発音が聞こえてきたところで、漸く安堵の息を吐いた二人だった。

 

 

 

 

~その日の夜~

 

 

 

「はい、遅くまでお疲れ様です先生」コトッ

 

「ありがとうユウカ。こんな遅くまで付き合わせてしまってごめんね」

 

「いえ、今日はコユキがとんでもない迷惑をお掛けしましたので」

 

 

スクーター爆発事件の後、少し騒ぎになってしまいヴァルキューレが出動する事態にまで発展。流石に先生も事の一端を担っていた節があったので、責任を感じ局長のカンナへ電話で一部始終の説明を行った。

 

 

カンナからはキツいお叱りを受けた先生だったが、ユウカやノアの助太刀もあり次から気をつけるよう注意に留まった。勿論、コユキ云々に関しては伝えておらず、現在コユキは反省部屋でノアにお説教を喰らっているとのことだった。

 

 

「コユキが絡むと本当に碌なことになりませんから」

 

「でも久しぶりにあんなに身体を動かした気がするよ。お陰で気分をリフレッシュ出来たかな」

 

「ずっと座っているとお身体に良くないですからね。かく言う私も最近は肩や腰が凝ってまして.....」

 

「私は最近で言うと眼の疲れかなぁ」

 

 

ユウカが淹れてくれた温かいお茶を啜りながら、仕事であまり話せていなかった分、最近の身の回りの出来事等をお互いに話始める。シャーレの仕事をする上で必ず発生するデスクワークだが、セミナー会計であるユウカも同じくしてデスクワークに日々励んでおり、そのせいか肩や腰が凝って仕方ないとの事を聞いた先生はある提案をする。

 

 

「ユウカさえ良ければ私が揉んであげようか?」

 

「えぇ!?き、急に何言ってるんですか先生!!」

 

「だって最近辛いんでしょ?心配しないでユウカ。こう見えてマッサージは得意なんだ」

 

「あぁ.....マッサージの事でしたか」

 

「逆に何の事だと思ってたの.....?」

 

 

揶揄うような表情でこちらを見つめる先生にドキッとしつつも、あらぬ事と勘違いしていた事実に今更ながら恥ずかしくなり顔を朱に染め上げるユウカであった。

 

 

 

後日、"先生のマッサージが凄い"という中途半端な広がり方をした影響か、やれ肩が凝った腰が痛い等の理由を付けてシャーレに赴く生徒が後を経たなかったとか。

 

 

 





ヒカリしか引けませんでした。
メモロビ1軍ですありがとうございます。
プレ先カード未だに砕いてない同志諸君は手を挙げなさい。

そんな君には紫封筒(すり抜け)をプレゼント。
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