EXVSMBが楽しすぎてなかなか執筆できませんでした。
次話は早めに投稿できるように努力します!!
「ん、じゃあ俺は学校行ってくるよ」
「はい、いってらっしゃいませマスター」
雲一つない晴天の空の下で、私はいつものように学校へ行くマスターを見送る。
マスターは私に手を振りながら後ろ向きに歩きバス停に到着すると、友人のなのは達にバスに乗るのを手伝ってもらう。
何でもマスターの怪我はまだ全快ではないらしく、バスに乗るのも手伝いが無ければ結構しんどいそうだ。
確かに家でも、立つのが少し遅かったりとしんどそうだったのを覚えている
「ふぁ……何だかまだ眠たいですし……もうちょっとだけ寝させていただきましょう」
ユニコーンは幸司がバスに乗るのを見送った後、眠そうに目をこすりながら、家に入る。
デバイスなのに眠たくなるというのはおかしな話だが、眠いのだから仕方ない。
ユニコーンは座布団を床にしき、頭をのせ、ゆっくり目を閉じる
「あれ……マスターお弁当忘れてますね……」
そのまま眠りにつこうとしたのだが、幸司の持って行くはずの弁当が、なぜかテーブルに置かれてあった。
十中八九持って行くのを忘れたのだろう、ユニコーンは「仕方ない」と一言呟くと立ち上がり、弁当を持ち、幸司の通う学校へと向かった。
◆ ◆
弁当を届けるために外に出たのはいいものも、ユニコーンは学校に行ったことが無いので場所が全然分からない。
バス停に沿って歩けば着くことは着くだろうが、それでは弁当の時間まで間に合わないだろう。
一応、マスターから学校の名前は教えて貰ってはいるが、それでも昼までに学校につけるかは分からない。
しかし、このまま立ち止まっていては余計に時間をくうだけなので、とりあえず、町にいる人に道を聞いてみることにした
「あの、すいません」
「ん、なんだいお嬢ちゃん」
まず始めにユニコーンが声をかけたのは、そこらで野菜を買っている主婦のおばさんからだ。
おばさんはユニコーンと目線があうようにしゃがみこみ、にこやかな笑顔を浮かべて返事をする
「えっと、私立聖祥大付属小学校の場所って分かりますか? お弁当を忘れたみたいなので」
「あら、その年でしっかりしてるわね~、誰に届けるの?」
「マスターです」
「ま、マスター?」
ユニコーンが何でもないように放った言葉に、おばさんは動転し、自分の聞き間違いではないのかと一度聞き返す。
「はい、ずっと真っ白な世界にいた私に、こんな色に満ちてる世界に連れ出してくれた……とても大切な人なんです」
ユニコーンが少し口元を緩め、そう微笑む。
それを見たおばさんは、何を勘違いしたのか、目を潤ませ私の肩を震えた手で掴む
「…その年で苦労したのね……かわいそうに……」
なんだか本当に酷い勘違いをされている気がする…。
殆どユニコーンの言いまわしのせいだが……。
でも、ユニコーンは間違った事は言っていない。幸司はデバイスを完成させて、ユニコーンを意識体としてでしか会話する事ができなかった世界(真っ白な世界)から連れ出したのは合ってるし、相棒的な関係であるため大切な人というのもあながち間違ってはいないのだ。
ただユニコーンの言いまわしが悪く、おばさんを勘違いさせてしまっただけなのだ
「おばさんが元気がでるように何かおいしいものでも食べさせてあげる」
おばさんはユニコーンの手を掴み、近くの喫茶店へと歩いていく。
引きずられていくユニコーンは、このまま喫茶店になんか入ってしまったら間違いなく昼に間に合わなくなるだろう
「すいません……また今度に」
「あっ、お嬢ちゃん!」
ユニコーンはおばさんの手を、多少乱暴に振り払い、おばさんが少しぼーっとしている間に、全力で走り去る。
……危なかった。あのまま着いていったら確実に一時間以上は時間が潰れていた…。
ユニコーンはおばさんを振り切れたことに安堵し、ふぅ、と息を吐きだす
「…交番に行って、地図みた方が早いかもしれませんね……」
ユニコーンはまた、さっきのおばさんのように勘違いされてはたまらないという事で、交番で地図を見て学校へ向かうことにした。
地図を学校に着くまで覚えていられるのかと思うかもしれないが、ユニコーンはデバイスであるためその程度なら難なく記憶できる
「確か、交番はあっちだったはずです……前に何度か見ましたし」
ユニコーンは自分の記憶を頼りに、何度か幸司と一緒に散歩した時に見た交番に向かって歩き出す。
しばらく歩いていると、小さくも大きくもない普通の交番が見えてきた。
今、太陽の位置は大分真上に近づいてきているので、ユニコーンは何とか昼までには間に合わせたいため、駆け足で交番に向かう
「えっと、この交番から右に行って……それからこういって、ここを曲がって………」
交番の横に大きく貼りつけてある地図を指でなぞりながら学校までの道を確認する。
距離はこの交番から数キロ位だし、道もそこまで複雑ではないので何とか昼までには間に合うだろう。
ユニコーンは安心してホッと胸をなで下ろす。
「地図は覚えたのでさっさと行きましょう、ゆっくりして、間に合わなかったらここまで急いだ意味もないですし」
ユニコーンは誰に言うわけでもなくそう言い、覚えた道を確認しながら学校へと歩いていった
◆ ◆
「やべぇな……」
幸司は黒色のバッグをあさりながら、目を細めてそう呟く
「どうしたの?幸司君」
なのはが幸司のその呟きに反応し、幸司のバッグの中を覗きこむ
「いや、それがな……」
「どうしたのよ幸司?そんな顔して」
「気分でも悪いの?」
幸司がなのはの質問に答えようとした矢先、いつも一緒に弁当を食べるメンバーである。すずかとアリサが片手に弁当箱をぶらさげながら歩いてきた
「まあ、弁当忘れちまってな……」
幸司は苦笑いをうかべながら右手で後頭部をポリポリとかく、この顔からするに弁当を持ってくるのを忘れた自分に呆れているようだ
「ふーん、忘れちゃったのね、じゃあ私のお弁当分けてあげようか?」
ため息を吐く幸司に、アリサは何気なく問いかける。
「うーん……いや、いいよそこまで遅い時間まで学校にいるわけじゃないし耐えれるさ、それに俺にあげたらその分アリサがお腹すくだろ?」
幸司は腕を組みながら数秒間悩み、首を横に振った。
まあ、確かにお腹はすくが耐えられない程ではないだろうし、元々は幸司自身が弁当を忘れたのが悪いのだ。ここは我慢するのが正解だろう
「別に良いわよ、そんなの、私だってそこまでお腹すいてないんだし」
アリサがそう言い、腕を突き出すようにしてアリサの弁当を俺に差し出す
「え、えっと、それだとアリサちゃんのお弁当が少なくなっちゃいそうだから、私のもあげるね!」
「じ、じゃあ私もあげるよ!」
なのはとすずかもアリサに便乗するように、俺に弁当を差し出す。
流石にここまで気にしてくれているのに貰わないのは逆に失礼だと思うので、ありがたく3人の弁当を貰うことにする
「そう言うなら、ありがたく貰うことにするよ」
「ふふ、私が作ったものもあるんだから、感謝して食べなさいよね」
「なのはのお母さんもご飯作るの上手だから、味は大丈夫だからね」
「私のはノエルが作ってくれたの、ノエルの料理も美味しいから安心していいよ」
3人が口々にそう言い、弁当を袋から取り出そうとする。
後、すずか、安心していいとか言わなくても、ノエルさんの料理は俺も何度か食べた事あるから、安心するもなにもないぞ?ファリンだってそう下手じゃないだろう、メイドやってる位なんだから
──ガラッ!
3人からそれぞれの弁当を受け取ろうとするが、教室の扉が大きな音をたてて開き、思わずそちらを向く
「な、何とか間に合いましたか……良かったです…マスター……」
扉の方を見てみると、今頃家にいるはずの俺のユニゾンデバイスであるユニコーンがふらふらと此方に歩いてくる。
俺の弁当を持っている事から届けにきてくれたのだろう。
デバイスに迷惑かけっぱなしな自分に対して呆れてくる
「お、おいおい…! 大丈夫かユニコーン!?」
今にも倒れそうにふらふらとおぼつかない足取りで歩いてくるユニコーンを見て、このままじゃ倒れると判断した俺は、即座にユニコーンを支えに行く
「マスター…もう……眠いです……」
ユニコーンはそれだけ呟くと、糸の切れた人形のように崩れ落ちる。とっさに俺は反応し、ユニコーンの体を優しく抱き留める
「ユニコーン!?」
力がなくなり、だらんとなったユニコーン見て、俺はそう焦った声を出す
「すぅ……すぅ……」
「って……なんだ寝てるだけか……良かった……」
どこかが壊れてしまったのかと、焦ったが、気持ちよさそうな吐息が俺の腕の中で聞こえてくるので全然大丈夫だろう。
だが、大分疲れているようなので、今日はなにもさせず早く寝かせてやることにする。いつもは俺のデバイスを作るのを手伝っていて寝るのが遅くなっていたから、その分の疲労が溜まっていたのだろう。デバイスを作るのならユニコーンができる前からやっていたし、大丈夫だろう
「……ま、ゆっくりお休み…ユニコーン……」
俺は子供を寝かしつける時のように、ユニコーンの背中をさする。
さすられるのがくすぐったいのか、ユニコーンは少し体を捩らせる。その時にユニコーンの髪の毛が俺の鼻に当たり、いい香りがしちょっとドキドキする。
……自分の作ったデバイスにドキドキするってなんだか人間として終わってる気が……
「って!いつまでそうしてるのよ!?」
少しの間ユニコーンの背中をさすったり、自己嫌悪に浸ったりしていたが、アリサのその一声で、此処が教室であることを思い出した。
「おっと、そういえば此処教室だったな、ユニコーンが家にいるときみたいな顔で寝てたから忘れてたな」
「いっいいい!? 家!!?」
「家ってどういう事!?」
「も、もしかして…同棲!?」
「おい!てめぇ!それはどういう事だ!?モブ野郎!!?」
「「「王牙君(あんた)は黙ってて(ろ)!!」」」
幸司がユニコーンを自分の椅子に、起きないように座らせながら、何気なく呟いた一言になのは達が反応し、慌ててそう声を出す。
後、さっきまで黙っていた王牙が出てきたが、なのは達3人が蹴りを入れて強制的に黙らせた。
「ん?同棲って、まあ俺はユニコーンと一緒に住んでるけど、何か問題なのか?」
「嫌……別に問題は……ないんだけど…その……」
「前、遊びに行った時はそんな子いなかったから…」
「まさか!誘拐しやがったなこのモブ野郎が!!」
俺がなのは達に問題があるのか?と聞き返すと、なのは達は歯切れが悪そうに言葉を濁し、王牙はいつも通り、盛大な勘違いをしている。
あのときおとなしかったのは偶然だったのかよ……。
俺は王牙の反応にいちいち弁明しなければいけないので、面倒くさくなってため息をもらす。
別に弁明しなくてもいいのだが、そうしてしまうと王牙の中では俺が何かしたのを認めたという風になってしまい、根も葉もないデマを流されるので一応弁明しておく
「まあ、最近になってできた家族だからな、知らなくて当然だよ。後、王牙俺は誘拐なんざしてないからな、勝手に勘違いしないでくれるか?」
「はっ!どうだかな!」
王牙は鼻を鳴らし、俺に疑わしげな目線を飛ばしてくるが、やっていないものを認めるわけにもいかないし、それ以前に目線を飛ばしたり、ギャーギャー騒ぐくらいなら全然大したことないので、言わせるだけ言わせておこう。反論するのも面倒くさいしな。
とまあ色々あり、五分前くらい経つとなのは達が沈静化したので、ユニコーンの話は終わった。
未だに王牙はギャーギャー騒いでいるが、割とどうでも良いので放っておく
「……あーーっ!!?」
話が終わって、ようやく弁当にありつけるかと思ったが、なのはの大きな声で俺の箸が止められてしまう
「どうしたのよなのは?そんな声だして?」
「何かあったけ?」
アリサとすずかはなのはがいきなり声をあげたことに少し驚き、何を思い出してそんな声をあげたのか気になったようで、二人はそうなのはに質問する
「どこかで見たことあると思ったら…この人……この前道の真ん中で幸司君と抱きしめあってた人だ!!」
「へ……?」
なのはがユニコーンを指差しながら、言った言葉に俺は反応し、マヌケな声を出す。
「それ本当!?」
「見間違いとかじゃなくて!?」
なのはの言ったことに余程驚いたのか、アリサとすずかは身を乗り出し、なのはの肩を揺すり、焦ってるような声をあげる
「幸司!本当に!?」
なのはを問い詰めた後、今度はアリサが俺の方に身を乗り出し、なのはにやったものと同じように問い詰めてくる
「……ああ、本当だよ」
ユニコーンに慰めてもらってたことを知られるのは恥ずかしいが、もう既に知られているため隠すこともないだろうと思い、俺は何も否定せず、そう頷く
「と、とりあえずこの子と何してたの…?」
「ん、大したことじゃないさ、ちょっと辛いことがあったから慰めて貰ってただけさ」
あの時は本当に色んな事が重なって、精神が不安定になっていたんだよな……。
ユニコーンの胸に顔を埋めたりとか、ユニコーンの服で涙を拭いたりと、思い出すだけでも恥ずかしい事だったが、結果的に精神は安定したのでまあ、恥ずかしいのは我慢するとするさ……
「……幸司君……?」
「ん?どうしたなのは?」
俺がユニコーンに抱きしめられていた時の事を思い返していると、急に肩をポンと叩かれ、後ろを向くと妙に怖い目をしたなのはが立っていた。
その後ろには、なのはと同じようにアリサとすずかも妙に怖い目で俺を見つめている
「おい……どうしたんだよ?そんな怖い目して…」
俺は何でもないようになのは達にそう質問するが、内心はめっちゃ怖い。
蛇に睨まれたカエルってこんな感じなのか?って思う位には…
「胸に顔を埋めたってどういうことかな……?」
「うん…ちょっと聞き捨てならないかな…?」
「ええ……全くね……」
なのは達3人は、まるでホラー映画のように小さく響く声で俺にそう問いかけてくる。
ホラー映画のようにと例えたが、もしかするとこれは、ホラー映画なんかよりも普通に怖いかも知れない
「えっと……まさか、声でてたか?」
「「「うん(ええ)、胸に顔を埋めたとか、思い出すだけでも恥ずかしいとか……ね」」」
どうやら俺の心の声は、口にでていたらしく、なのは達にもはっきり聞こえていたようだ。
しかも最悪な事に、『胸に顔を埋めた』と『思い出すだけでも恥ずかしい』という二つのキーワードしか聞こえていなかったようだ。これじゃあ俺がユニコーンにセクハラした変態のようにしか聞こえない。
……なるほど、なのは達が怒っているのは俺がユニコーンにセクハラした…つまり、女の敵であると勘違いしたためだろう……
「……………さらばだ!」
「待てぇ!」
「待ちなさい!!」
「幸司君、オハナシしよう!!」
なのは達が怒っている理由が理解できた瞬間、俺は一目散に教室から出て、足の痛みを我慢しながら走り抜ける。
その後、すぐになのは達も教室を飛び出し、教室から出た俺を追いかけてくる
「べ、弁護士を!弁護士を呼んでくれぇぇぇ!!!」
学校中に、俺の悲痛な叫びが響き渡った