「がー………すぴー………」
ベッドでうるさいくらいにいびきをかき、布団にくるまって眠っているのは、里中 幸司である。
今の時間はなんと7:50、小学校ならばもう朝の会とやらが始まっている時間だ。
どうしてこんな時間まで寝ているのかというと、昨日なのは達とゲームをし、割と危ない場面もあったことから無駄な向上心が働き、徹夜してしまったためだろう。大人や高校生くらいの大分体が成長してきている頃くらいには徹夜ぐらいするだろうが、今の体は小学二年生だ、そんな体で徹夜してゲームするなど耐えられるはずもない、それに転生するときに親はいらないと言ったため、この家に自分の体調のために無理矢理にでも寝かす人もいないため、必然的にこうなってしまうのだ。
「ん………ふぁ…」
ようやく起きたのか、幸司は大きく体を伸ばし欠伸をする………全く、完全に遅刻だと言うのにのんきなものである。
「……今何時だ?」
眠って入るときの寝相で、床に落としてしまったのだろう。下に落ちているデジタル式の時計を拾い、時間を確認する
「えっと……7:52分と………」
時間をはっきりと確認できた幸司はあーあと、額を抑えため息を吐く。
「仕方ない、今日はサボろう、ちょうどしたい事もあったし」
転生してからは親がいないため、サボった所で誰にも文句を言われることは無い。
駄目だとは思うが、前世の記憶もあるので1日位でなくても大丈夫だろうと、自己完結し、今日の予定を頭の中で組み立てていく
「よっと」
俺はベッドから飛ぶようにして降り、パジャマ姿のまま、機械類が大量に散乱している二階へと向かった
◆ ◆
「……さてと、やるか…」
二階に上がり、機械類でゴチャゴチャしている場所を適当にかき分け座り込む、この部屋にあるのは、大体デバイスの部品や、その部品を作るための材料や道具類だ。
この世界に転生した後、時間があればデバイス作りに取り組んでいたため、既に何個かはデバイスは作れている。
後、一度だけ機械類と聞いて、興奮したすずかに中に入れてしまったが、すずかいわく「私でもどんなものかわからない」という事だったので、一応大丈夫だろう。
「よっと」
ゴチャゴチャしている機械類の中から、どうやって見つけたんだという位正確に機材を取り出し、デバイスを作り始める。
俺は転生してから気がついたが、俺は魔力はあるが適性が圧倒的なまでに低いため、強化魔法といった簡単なもの以外は、術式が組めても発動する事は出来ない。
それとは対極に魔力だけならSSSオーバーといった程バカげた量があるので、一応デバイスに自動的に発動するように設定すれば、魔法を使う事ができる。
「ま、時間とか機材とか色々かかる物はあるけど、魔力タンクにならなくて良かったよ」
作業をしながら、一人そう呟く
「えっと………この配線を繋いで……んで、これをこうか!」
今作っているのは、飛行魔法を使えない俺にとって重要である、スラスターだ。
これがあれば、俺の魔力が続く限りは飛び続けられるし、何よりただの飛行魔法よりも速度が速い。
減速も自由であるため飛行魔法とスラスターでいうなら、此方の方が使いやすいだろう。少なくとも俺は
「おしっ!できた!」
次々に配線を繋げ、昨日以前から作られていた部品を一つ一つ確認しながら合わせ、ようやくスラスターが完成した。
そのスラスターは黒と赤のツートンカラーで、両極に羽が3つずつの、6枚羽となっている。
この羽から魔力を燃料とした風等を吹き出し、飛行魔法と同じかそれ以上の効果を得ることができる
「ああー……終わった……」
幸司は大きく体を伸ばし、そのまま後ろ向きに倒れる。よほど疲れたのか掠るようにして当たる機械類も気にすることなく眠る
「くー………すー……」
朝のいびきとは大違いで、静かな寝息をたて、幸司は眠った。
◆ ◆
あの後三時間程仮眠をとり、今の時間は14:25だ。
割とスラスターの完成に時間がかかかったため、多少1日の予定がずれてしまったが、それでもたかだか20分位なので問題はない。
ところ変わって、今幸司は〈訓練ルーム〉に来ている。
この訓練ルームとは、俺自身の特典と元から持っていた原作知識を活用して作り上げた、リリカルなのはsts編で出てくる、仮想敵を作り出す訓練ルームだ。
原作ではガジェットドローンを作りだしていたが、全く同じでは面白くも無いので、敵は色々と設定を変えている。
「設定は、空と……」
後、これには訓練用の設定が2つあり、最初…つまりスラスターが無いときは陸、という地上戦のみの仮想敵が出てくる設定と、空、といった地上戦と、空中戦の仮想敵両方が出てくる設定の2つに分かれている。
そして今日ようやくスラスターを作る事が出来たので、さっそく訓練設定空と、選択し、背中に作ったばかりのスラスターを取り付ける。
『空戦、設定完了……スタートまでのカウント、開始5……4……3……2……1……0…スタート!』
そんな放送が聞こえてきて、カウントが0となった瞬間、訓練ルームの空中から、8体の1メートル程のカプセル型の機械……ガジェットが出現した。
「よしっ!いくぜ!!」
俺も出現し、此方に突撃してくるガジェットを迎え撃つようにスラスターをふかせ、飛び立つ
「ははっ!すげぇ!! やっぱ、空飛ぶのって気持ちいいんだな!!」
人類共通の夢である、生身の体で空を飛ぶ事が成功した喜びで、訓練が始まっているというのにガッツポーズをとる。
『敵、補足……発射!』
ガッツポーズをとっている間は隙だらけであるため、ガジェットは容赦なく俺に魔力弾を撃ち出す。
「うおっ!?」
それになんとか当たる前に気づき、紙一重で避ける。
しかし完全には避けきれず、服に少し掠り服が破れる。
「『王の財宝』よ!!」
ガジェットから撃たれる魔力弾を全て回避し、一瞬の隙が出来たときに、皆さんご存知の『王の財宝』を開く、しかしこの王の財宝は俺の願ったチートではなく、神が善意でくれたものだ。
そのため、中には宝具などは入っておらず、ただの大きな四次元ポケットと化している。まあ、これのおかげで助かっているんだがな
「ツインストライクランチャー!!」
その開いた王の財宝から、2つの大きな銃型のデバイスを取り出す、大きさは2メートル近くあり、子供の体で持つには大きすぎる物だ。しかしそれを腕に施した強化魔法により、軽々と持つ、そしてそれをガジェット達に向け、照準を合わせる……
「放て!」
『『strike launcher!!』』
照準があった瞬間引き金を引き、デバイスの銃口から巨大なレーザーが発射される。
その大きさは成人男性一人くらいなら包み込める位だ。それが容赦なく2つのレーザーがガジェットに向かう
『ガジェット、残り4機』
今ので半分はやれたようだ、訓練アナウンスの声が聞こえる
「次ぃ!!」
銃型のデバイス2つを、王の財宝の中に放り込み、変わりにアームのような形をしたデバイスを2つ手に取り付ける。
「おおぉぉぉ!!」
デバイスを起動させ、閉じていたアームを開く、そして後ろに背負っているスラスターを吹かせ、此方に向かっているガジェットの群れの中に飛び込む
「デストロイアーム!!」
『『destroy arm!』』
デバイスが真紅の煙を吹き出し、ガジェットを互いに一機ずつ、掴む。
それに力を込めると、ガジェットはアームの部分を境目に二つに分かれる
『残り2機』
王の財宝を展開し腕を突っ込む、そこでアームデバイスを解除(パージ)し、変わりに日本刀のような形をした、俺の身長より長いデバイスを取り出し、構える。
「これでっ!最後!」
向かってくる魔力弾をよけながら、スラスターで突撃し、デバイスに魔力を振動させるようにして纏わせる。
「せぇぇぇいっ!!」
ガジェット2体を捉え、横なぎにデバイスを振るう。
振動する魔力が超振動カッターの刃のように震え、ガジェットに豆腐を切るようにくいこむ
『Vibro blade!』
ガジェットを何の抵抗も無く切り裂くと、何かがショートしたのか電流がほとばしり、ガジェットは2機とも爆発した。
『訓練終了、お疲れ様でしたマスター』
「よしっ、後は簡単に改良していくか」
訓練が終了し、俺は訓練ルームの天井を眺め呟く。
その頭の中では、作ったデバイスをどのように改造するか……それだけ考えていた。