リリカルなのは 最強のデバイスマスター   作:レイハさん

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5話 ユニゾン

「ここ……どこだ……?」

 

幸司は朦朧としていた意識がはっきりすると、いきなり目の前の景色が変わっていたことに対して驚き、目を見開く。

先程までいたはずの所は、学校の体育館裏だった筈なのに、今見ている景色はそんな所とは程遠い、360°完全に真っ白な空間だ。

どうしてこんな事になったのかを考える為、幸司は一度床に座り込み、腕を組んでここに来るまでの記憶を思い出す

 

「えっと、王牙となんか戦う事になって、武器が途中なのは達の所に飛んでいって、そして庇って……どうなったんだ?」

 

庇った所まではしっかりと記憶があるが、それ以降の記憶は痛みのショックの余り忘れてしまっているようだ。つまり何でこんな空間に居るのかという疑問はわからないままで、何かがあって此処に来たという事しか分からなかった……って結局進展してないじゃん、嫌、それどころか更に分からなくなったかもしれない、幸司は必死に記憶を取り戻そうと頭を抱えていると、自分の横の空間がいきなり発光し始めた

 

「うぉ!?何だ!!?」

 

訳がわからない事だらけで頭が痛くなってくる。

しかし、そんな俺の事情など知るわけもなく、更に混乱させるかのように、発光し始めた空間から、真っ白な髪をし、黄金と言ってもいいほどの黄色の目、白色と赤色の服を着た美少女が出てきた。

 

「誰だ……?」

 

「その質問に答えるとしたら、私はあなたのモノですよ?マスター」

 

質問にいきなりそう返され、幸司は思考が完全に一時停止し、表情が固まる。

美少女?モノ?マスター?何この響き、犯罪者にしか聞こえない

 

「いやいやいや!!俺、君の事知らないし、あったことも無いはずだけど!!?」

 

この少女の言うことに対して、幸司は慌てて否定する。そりゃ、あったことすら無いはずの美少女にいきなり“あなたのモノ”とか、“マスター”とか呼ばれれば、その反応は間違ってはいない

 

「その事に関しては、後で説明します。それよりも早く行かなければマスターの命が危険です!!」

 

「ええい!何故だ!?会話が噛み合わない!!」

 

「そんな事どうでもいいです!それよりも早くいかないと本当に手遅れになります!!」

 

「どうでもよくないわ!?それに何!?どこに行けば俺の命の危険は消えるの!!?そこいらへんの説明プリーズ!!」

 

今は別に体から血が出たりとか、何かしてるわけでも無いのに、命の危険とか言われても幸司はさっぱり分からない、むしろ疑問が深まっただけだ。

幸司は、自分はどうすればいいのか、何故自分がこんな所に居るのかという説明を求め、少女の肩をつかみ前後にゆする

 

「もう!早く行って下さい!!」

 

「どぉぉぉ!!?」 

 

少女は急いでいたのだろう、説明している暇が無いと一つ呟くと、俺に跳び蹴りし、蹴り飛ばす。

その先にある空間が、少女が出てきた時のように発光し、俺はその勢いのまま空間の中に引き込まれた

 

◆   ◆ 

 

「(何だったんだ、あの少女は……?って痛っ!!?)」

 

先程の白い空間から、解放され、体育館裏の景色を確認した後、幸司は全身を鋭い痛みに教われた

 

「っ─………!!」

 

しかし、肺がやられているのか痛みに悲鳴を上げることも出来ず、それどころか痛みに悶え、体をよじる事すらできない

 

「もうやめて!もう、やめてよぉ!!」

 

「幸司が、幸司が死んじゃう!!」

 

「お願いします!お願いします!もうやめてください!!」

 

どうして、こんな事になっているのかと考えていると、俺は誰かに抱きかかえられた。

視界が赤く染まって見えにくいが、今聞こえた声からしてなのは達だろう

 

「(やめて……?つまり俺は誰かにやられてこんな事になってる訳か……?となれば王牙か)」

 

なのは達の言葉と、残った記憶から俺にこれだけの傷を負わせたのは王牙だと、そしてそれをやった時間は俺がなのは達を庇ってから覚えていない記憶…その空白の時間だと推測する

 

「(そう、俺はなのは達を庇って……それから…)」

 

しかし、何も分からないのにこれだけの傷を負わされたというのもなんだか気分が悪い。

そのため、ショックで忘れてしまっている記憶を取り戻そうと、記憶を掘り返す

 

「(…そうだ、そこから一方的にやられて、何本か新しく剣が突き刺さって……)」

 

そこまで思い出すと、王牙の容赦ないやりように無性に腹がたってきた。

動かない体に無理矢理に力を込め、必死に動かそうと試みるが、俺が動けるようになるより早く、王牙が俺の額の上に剣を構える

 

「(くっそ……!動け!動けよ!!、こんな死に方はまっぴらごめんだ!)」

 

「もう止めて!!本当に幸司が死ぬじゃう!?」

 

「嫌ぁ!幸司君を殺さないで!!」

 

「何で!?何でこんなことするの!!?」

 

「直ぐに洗脳を解いてやるからな……天の鎖よ!!」

 

そして、俺を守ってくれていたなのは達も、王牙の空間から射出された大きな鎖に捕まり、身動きがとれなくなる。

とうとう王牙の剣は俺の額に当たり、冷たい感触と死への恐怖に冷や汗がつたう。

 

「(…ふざけんじゃねぇ……!このままやられてんのは性に合わねえんだよ!!)」

 

怒りに身を任せ、もう一度、拳に強く力を込めると、漸く手が動き出した。そして、そのまま自分の手を王牙の剣を構えている手にゆっくりと持って行く

 

「終わりだ!モブ野郎がぁぁ!!」

 

「(こい……!ユニコーン!!)」

 

──何とか間に合いましたか!了解ですマスター!!

 

王牙が剣に体重を乗せる一瞬前に、俺は心の中で未だに完成はしていないものの、最高の火力を持ったユニゾンデバイスの名を強く呼ぶ。

その俺の声に応える声が聞こえたような気がした。

そして、俺が王牙の手を握り、力を込めた瞬間、視界が鮮血で染まった

 

◆   ◆

血飛沫が飛び散り、なのは達はそれを見ないようにと固く目を瞑った。

そして、3人共覚悟を決め、目の前にある光景を直視しようと、震えている手を握りしめゆっくりと目を開いた。

しかしそこは、自分達が想像しているような光景とは全く違う光景が広がっていた、それは……

 

「ぎゃああぁぁ!!?俺の、俺様の手がぁぁぁ!!?」

 

「「「え……?」」」

 

…飛び散っている血は、今、地に伏している幸司のものではなく、その幸司に馬乗りになっている王牙のものだったからだ…。 

 

「あぁぁぁ!!?よくも!よくも!俺様の手をぉぉ!!」

 

俺に潰された王牙の手は、骨が完全に砕けており、更に中から骨が突き出し、大量の血が流れている。

王牙は怒りに身を任せ、そのまま片手でもう一度剣を、振り下ろす

 

「当たるかよ!!」

 

幸司は、動かぬ体をスラスターを噴かし、無理矢理動かし、王牙の攻撃を回避し、そのままユニゾンの工程を数秒足らずで終わらせる。

工程が終わった後、幸司の身体は全身が真っ白な装甲で覆われており、その装甲の隙間からは赤い光が発されている

 

「なんなんだよぉ!!?オリ主は俺なんだ!なのに、お前のその姿は…いったいなんなんだよぉ!!?」

 

王牙は先程瀕死であったはずの俺が姿を変え、動くはずのない体を動かしている事に困惑し、闇雲に武器を射出する

 

「知るかよ!てめぇみたいな奴と語り合う口は持ち合わせていないもんでな!!」

 

「ぬかせぇぇぇ!!!」

 

王牙は潰れていない右腕で剣を構え、後ろの王の財宝から大量の武器を射出しながら俺に向かって突撃する

 

「はぁぁぁぁ!!!」

 

幸司は射出される武器を王牙の正面から向かうことで射線から外れ、そのまま後ろのスラスターを最大まで噴出させ、王牙に逆に突撃仕返す

 

「ぐぶっ!?おがあぁぁ!!?」

 

突撃された場所が悪かったのか、王牙は腹を抑え、口から胃液を吐き出す。

そのまま新たに装甲で覆われた拳を鳩尾に三発ほどぶち込み、怯んだ所を踵落としで王牙の頭を地に叩きつける。

 

「オリ主は……!オリ主は俺様なんだよぉぉ!!お前みたいなモブ野郎が俺の邪魔をするんじゃねぇぇ!!」

 

痛みと怒りで脳内にアドレナリンが抽出され、痛みを感じなくなったのだろう。先程よりはましな動きで俺に突っ込む……が、先程よりましになっただけで、俺に当たるわけではない。

スラスターを横と後ろに噴かせ、突っ込んでくる王牙の後ろへと回り込む

 

「くたばれ!」

 

スラスターによって得られた勢いを殺さず、王牙の脊髄辺りに抉り込むようにして、肘を突き出す

 

「おごぉぉぉぉ!!?」

 

もう一度胃液を吐き出し、血走った目で俺を睨みつけ、大振りで剣を振るい続ける

 

「ふっ!だぁ!!」

 

「あがっ!?」

 

王牙の剣の一撃を避け、左頬にカウンターとして拳をえぐり込む。

また更に避けカウンターをいれ、また避けカウンターをいれる。

王牙の体が自分の意志と関係なく動かなくなる所までそれを繰り返し、動きが目に見えて遅くなった時、足払いをいれ王牙を転倒させる

 

「もう、無理だろう……俺を殺すのは諦めて去れ、そうすれば今回は見逃してやる」  

 

もう完全にボロボロになった王牙を流石に見ていられるものではなく。諭すように王牙にそう言葉を投げる。

その言葉を聞いた矢先、王牙は体をプルプルと震わせ…

 

「……っざけるなぁぁぁ!!」

 

…怒りの言葉を吐き出した

 

「何が見逃してやるだ!!俺様はオリ主なんだ!お前みたいなモブにやられる訳がないんだぁぁぁ!!!」

 

王牙は子供が癇癪をおこしたかのように、暴言を撒き散らし、王の財宝の中に手を突っ込む。

そして、そこから一本の黄金の剣を取り出すと、上に掲げるように振り上げ、馬鹿みたいな量の魔力を収縮させる。

しかし、収縮があまり上手くいっていないようで、空気中に魔力が垂れ流しとなり、収縮に時間がかかっている。

 

「隙だらけ……っ!?」

 

その時間を好機と感じた俺は、王牙へと突撃しようとしたが、後ろに居るなのは達を見て、思いとどまる。

そこで、王牙の一撃に耐え、なおかつなのは達を守るために、俺はユニゾンしているデバイスへ、ある一つの命令をくだす……っていうか大技の時は必ず俺の後ろになのは達が居るな…なんだ?狙ってんのか?

 

「死ねぇぇぇ!!約束された勝利の剣(エクスカリバー)ァァァ!!!」

 

そして、漸く収縮しきった魔力を、一気に剣先から放出し、黄金の魔力砲撃が津波のように押し寄せる

 

「はぁぁぁ!!『ME-D(マジックエクスプレッション-デストロイヤー)』起動!!」

 

幸司も負けじと、大量の魔力を使い、緑色に輝くフィールドを数十メートルにわたって展開する。

その時に、幸司のを覆っている装甲の間の赤く発光していた部分は緑色へと変わっており、緑色の粒子がそこから噴き出し始めた。

 

「だぁぁぁぁ!!!」

 

「おぉぉぉぉぉ!!!」

 

そして、黄金と緑が衝突した。

黄金の砲撃が緑のフィールドを紙を破るかのようにビリビリと突き破り、徐々に幸司へと近づいてくるが、緑のフィールドもなんとかそれを押し止め、黄金の砲撃を拡散させている。

 

これが、今、幸司が展開しているME-Dだ。

これはリリカルなのは原作であったAMFとは違い、魔力結合を解くのではなく、デストロイヤーというだけあり魔法の術式そのものを破壊しているのだ。

 

しかし、傷を負っている幸司も身体が限界なのか、魔力の出力が弱まり、拮抗していたフィールドも破られ、遂に幸司に激突する

 

「死ねぇぇぇぇ!!」

 

「「「ひいっ!!?」」」

 

「ぐぉぉぉぉ!!?」

 

激突した黄金の砲撃を、自身の体についている装甲と、そこから発生させているME-Dでどうにか抑える。だが、それも悪あがきでこのままならば後数秒もすれば完全に突き破られてしまうだろう

 

「(それでも……負けられねぇ!この俺の後ろには守りたい奴らが……なのは達がいるんだぁ!!)」

 

幸司は黄金に負けまいと、傷だらけの体に鞭を打ち、ただ全力で魔力を放出し、ME-Dの出力を大幅に上げる

 

「だあぁぁぁぁ!!!」

 

幸司の咆哮とも言える叫びに応えるかのように、ME-Dが高密度で張り直され、王牙の砲撃を大きく押し返す。

 

そして、黄金の砲撃の光が徐々に収まると、幸司は一気にME-Dを解き、スラスターを噴かし王牙へと突撃する。

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

ME-Dの光が尾を引くように流れ、幸司が一瞬流星のように見えた

 

「…終わりだぁ!!」

 

「がぁっ!?」

 

幸司は迷いなく王牙の喉元に、拳を突きいれる。

その一撃で王牙は気絶し、そのまま地に崩れ落ちた

 

「あぁ……クソが……!」

 

しかし、王牙を倒しきった幸司も緊張の糸が切れ、血を流しすぎた体は限界を迎え、幸司は王牙と同じように地に倒れ込んだ

 




今回でてきた女の子については次話でちゃんと説明します。それまで待っていてください。
ていうかだいたいの人想像ついてるんじゃない?
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