リリカルなのは 最強のデバイスマスター   作:レイハさん

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この作品に、こんなにお気に入りしてくれてありがとうございます! 
これからも最強のデバイスマスターをよろしくお願いします


8話 春の日

あれから8ヶ月近くたち、俺達は晴れて小学三年生となった。

俺が退院したときはなのは達や、なのは達の兄弟まで来てくれて、嬉しくて、思わず涙が零れそうになった

 

「幸司ー!早く来なさーい!乗り遅れちゃうわよー!!」

 

「そうだよー!早く来ないと走って来ることになるよ!!」

 

「ほらー、早くきなよー!」

 

なのは達がまだバスに乗れていない俺に手を振る。

まあ、あの時の怪我はまだ、俺の体にダメージを残しているらしく、歩くことはできるのだが、走ったりとかの激しい運動はまだできない。

おぼつかない足取りでゆっくりバスにのり、なのは達に座席に座らせてもらう

 

「ふう……ありがとう、いつも助かるぜ」

 

「ううん、なのは達が好きでやってる事だし、気にしないで」

 

「そうよ、あんたは私が世話してあげるっていってるんだから素直に聞いてればいいのよ」

 

「そうそう、幸司君は気にしないで怪我が治るまでお世話になってればいいんだよ」

 

こんな普通の会話をしながら、ふと、あの時の事を思い出す。

 

……俺は、あの時、なのは達の記憶を一部封印し、俺は下校中に、廃墟から落下してきた金具やコンクリートに潰され、大怪我を負ったというように書き換えた

 

……正直、卑怯だし、最低な事をしたと思っている。

なのは達にあの時、俺達(主に王牙)の魔法で危険な目にあったというのに、それを無理矢理忘れさせた。それに、記憶を書き換えるということは、なのは達の脳にダメージを与えるということになる。

結果だけ言うなら、なのは達は怖かった記憶を忘れる事ができ、魔法なんていう危険な世界のことを忘れ、平穏な生活を続けていくことができている……

けど、自分の都合で、なのは達にこんなに酷い事をするなんて、自分自身、あの時死んでいれば良かったのか?なんて思ったりもする。

 

大体、ここまでやるならなのは達の俺に関する記憶を封印すればいいとも思った。

そうすれば、これから先、王牙がなのは達の事で突っかかってくることもないし、王牙との戦闘の時みたいに魔法関連の事に首をつっこむ事は無くなるだろう

 

……それでも、俺は出来なかった……。

怖かったんだ…。なのは達に忘れられる事が……なのは達の友達じゃ無くなることが………。

しかし、なのは達を二度と危険な目に合わせたくないという思いも無かった訳ではない。

でも、俺はこのままの関係を望んだ……望んでしまった……。

いつも、踏み台が絡んでくるからと突き放していたあいつ等との日常が、俺のなかではどうしようもなく大切なモノになってたんだ…。

こんな酷い事した時点で、友達もくそもないと思うけどな……。

 

それに、ここまで酷い目に合わせて、友達じゃ無くなるのが怖いなんて自分勝手で自己中な理由で、自分の都合の悪い、魔法関連の所だけ記憶を封印し、書き換えたり……。

人の悪いところをひっくるめて仲良くなるのが、本来の友達の形であるはずだというのに…。

警察の方にも嘘の証言をして、捜査が進まなくなるなんて迷惑をかけたし……。

 

 

本当に、俺はどれだけクズなんだろう……。王牙のいってた洗脳も本当の事になっちまったし……

なのは達に合わせる顔がない……俺が傷ついて王牙に殺されそうになってたとき、あんなに必死で助けてくれたのにこの仕打ちだ。

暴言を吐かれたり、殴られたりする事はすでに覚悟しているが、もしかしたら絶交なんて事もありえる訳だ。今のうちになのは達に嫌われる覚悟はしておこう。きっと、踏み台と同レベルか、それ以上の扱いになると思うから……。

いや、それくらいならましな方かも知れない。

普通に考えたら、もっと酷いことされても文句は言えないんだしな……どれだけ俺がなのは達にあまえているかが分かる。

本当に、俺がこんなに優しい奴らと友達にならなければ良かったと思うよ…

 

「幸司君、学校ついたよ」

 

「どうしたの?そんな難しい顔して?」

 

自己嫌悪に浸っていると、なのは達が心配した声色で俺の顔を覗き込んでくる

 

「……ああ、いや、何でもないよ……それじゃあ教室にいこうか……」

 

俺は、なのは達の顔を直視する事ができず、顔そらし、そのまま教室へと向かった。

 

◆   ◆

 

座席はなのは達と離れていたので、授業にはなんとか集中する事ができ、いつもとなにも変わらない授業が流れていった。

休み時間は、なのは達がつきまとってくる王牙をどうにかしろとやってくるはずなのだが、今日の王牙は比較的大人しい。

まあ、大人しいに越したことはない。害がないなら放って置くことにする。

もしかしたら、王牙も頭が冷えたのかもしれないし、その時はとりあえず和解する事にしよう。

王牙だって俺達と同じ人間なんだから、話せばきっと分かり合えるはずだ。性根まで腐ってる訳でも無いだろうし。

だが、関係ないなのは達を危険な目に合わせたのは許さない。きっちり罰を受けてからなのは達に謝ってもらうことにする。まあ、これは俺も同様だけどな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ククク……何だか知らないが、あの時俺がやった事はなのは達もあのモブも覚えて無いみたいだな。これが主人公補正ってやつか……やっぱりあんな奴じゃなくて、俺の方がオリ主に相応しいって、神もそう認めたんだろうな! 時が来たら今度こそこのオリ主の俺様が殺してやるから、首を洗って待ってるんだな!モブ野郎!!クハハハハハ!!)」

 

幸司が王牙とどう和解するか考えている一方で、王牙は王牙で全然違う事を考えて(妄想して)いたようだが……

 

◆   ◆

 

色々あったが授業は終わり、今は下校の時間。

俺は、なのは達に捕まる前に一目散に逃げ出し、なのは達が追って来られないよう、何時もと違う下校コースをなるべく早歩きで帰る。

逃げたら行けない、自分がやってしまった事から目を逸らしてはいけないなんて事は分かってる。

でも、俺だって人間なんだ。前世の記憶があるだけで、本当の主人公のように心が強い訳じゃない……。

嫌な事から逃げたっていいじゃないか……。

 

「ああ…くそ、駄目だ。後悔してないつもりだったのに……心が苦しい……」

 

気分が悪くなり、アスファルトの上に座り込む。

まだ春が始まったばかりで外は寒いが、頭を冷やすにはちょうどいいかもしれない。

 

「マスター、何やってるんですか?」

 

しばらくぼーっとしていると、声が聞こえてきたので、上を向くと、呆れたような、困ったような顔をしたユニコーンが立っていた。

スーパーの袋を持っている所を見ると、買い物の帰りのようだ。

 

「いや、何でもないよ……、それより早く帰ろうぜ、寒くなってきちまった」

 

俺は一度、ネガティブな思考を切り替え、飛び上がるようにして立ち上がり、家に帰ろうとユニコーンの手を引く。

 

「………」

 

…だが、ユニコーンは動かず、その場で黙りこくってしまった

 

「ん?いきなり立ち止まってどうした?何かまだ寄るところでもあるのか?」

 

俺はユニコーンにそう言って笑いかけ、荷物持ちならいわれなくてもするぞ?と適当な言葉で何だか暗くなった雰囲気を茶化す。

 

すると、ユニコーンにいきなり思い切り抱きしめられてしまった

 

「お、おいどうした?ユニコーン、俺に抱きつくほど寒いならそれこそ早く家に帰った方がいいぞ?」

 

俺は、ユニコーンにいきなり抱きつかれ、訳が分からなくなり慌ててそう声を出す

 

「…マスター……苦しい時は苦しいって言っていいんですよ……?助けを求めたっていいんですよ…?」

 

「おいおい、ユニコーン…いきなりどうしたんだ?」

 

このまま抱きしめられていると、色々と我慢が聞かなくなりそうなので、無理矢理ユニコーンを押し返そうとするが、ユニコーンの力が強くてなかなか離してくれない

 

「…泣きたい時は泣いていいんです、吐き出していいんです…。吐き出す場所が無いなら私が受け止めてあげますから……だから、無理だけはしないでください……」

 

ユニコーンはそれだけ言い切ると、俺を抱きしめる力を緩めた。

先ほどは力が強くて、少し苦しかったが、今はちょうどよく心地よい

 

「そっか、ありがとな………ユニコーン」

 

「いえ……私がマスターを助けたかっただけですから…」

 

ユニコーンに抱きしめられていると、慰めてもらえることに対する嬉しさ、デバイスに助けられてばかりの自分に対する情けなさなど、色んな感情がごちゃごちゃになって、涙として流れ出る

 

「なあ……ユニコーン……」

 

幸司はユニコーンの胸に顔を埋めたまま、ユニコーンに話しかける

 

「何ですか……?マスター……」

 

「俺は……強くないよ……」

 

「マスターは強い人ですよ……普通の人なら、自分の身を挺してまで、あんな風になのは達を守れません」

 

「それはとっさに体が動いただけだ……そんな風に言われるような事じゃない……」

 

「それでも、守ったじゃないですか…」

 

「嫌われるのが怖くて……なのは達から逃げたんだ…」

 

「人は誰しも弱いんです……怖いことから逃げてしまうのは仕方ないと思いますよ……」

 

「なのは達に酷いことばっかりした……」

 

「なら、謝らなければいけませんね……」

 

この間、ユニコーンはずっと俺の話しを聞いてくれた。ただそれだけで、俺の心は何だか軽くなり、涙も十分流したのか収まってきている…

 

「そろそろ帰りますか?マスター…」

 

数分程時間が経つと、ユニコーンが小さく微笑み、俺にそう聞く。

俺は小さく頭を横に振り、今度は自分からユニコーンを抱きしめた

 

「いや……もう少し…このままで……」

 

ユニコーンが受け止めてくれると言ったのだ……。今はもう少し甘えさせてもらうことにしよう……。

 

今日はまだ寒い春の日……でも、今は何故だかとても暖かかった……

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