次回からは1話5000文字前後を予定しております。
今でもたまに夢に見る。
奴隷として鎖でつながれていたころのことを。
「———ま———さ———い——す」
奴隷商に連れられて、檻の中で大勢の奴隷に交じって買われるのを待っていた。
買われた奴隷の待遇はピンキリだ。
愛玩用として可愛がられる者もいれば、戦争用の雑兵として囮にされるもの。
性奴隷、生贄、単純な労働力…挙げればきりがない。
その中でも俺はかなり特殊で…
「?———様、あ———す。そろそろ———」
かなり幸運だった。
「おはようございます。レイン様、朝でございます」
男性とも女性ともとれる心地の良いアルトボイスに促されて目を覚ます。
俺の名はレイン・セリオス・ヴォルフガング、奴隷の身分から獣人の国、
ルーヴェリス王国の
付け加えるなら、前世を持つ転生者でもある。
ここはエヴァルシア大陸
エルフが支配するシルヴァリアン法国
ドワーフが支配するグリムバルク連邦
ヒューマンが支配するデルフォート帝国
そして、獣人の支配する我らがルーヴェリス王国。
大きく分けて四つの種族、四つの国で構成された大陸である。
「さあレイン様、もう朝ですよ、そろそろ起きていただかねば」
そういいながら俺の布団をはぎ取るのは、
俺の執事であるユリウス、俺はユーリと呼んでいる。
全身を覆う夜空のような漆黒の毛並みが綺麗で、オオカミ系獣人族特有の
長い鼻筋に白いライン模様が一本入った美しい
「……まだ朝6時じゃないか……もう少し寝ててもいいだろう」
「私としても心苦しいですが、レイン様は誉あるヴォルフガング公爵家のご当主となられたのですから、皆に領主としてあるべき姿をお見せしなくては……そのために、私ユリウス、心を鬼にして、布団をはぎ取らせていただきます」
「それだよ、ユーリ…俺が当主なのはおかしいと思わないのか?」
「思いません。レイン様は領主たるにふさわしき慧眼と度量をお持ちになった素晴らしいお方です、そもそも——」
そういってつらつらと俺をたたえるような言葉を並べていくユーリ
前から思ってたけどなんでそんな俺の評価高いのキミ
というかそもそも俺が言いたいのは才能とか度量とかの話ではなくて……
「——ですから、たとえレイン様が
そう、
これは、特に理由もなく転生した男が、流されるがままに獣人の国で成り上がっていく……そんなお話。