貞操観念逆転世界の転生トレーナー   作:潮見犬太郎

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ミラ子の脳が破壊される心配をしている方がいらっしゃいましたが、このお話のミラ子は誰の個別ルートに行っても、EDのスチルのシーンで「ああ、わたし、トレーナーさんのこと好きだったんだなぁ~」とか初めて自覚するずぶずぶウマ娘です。

共通ルートオンリーのこのお話ではミラ子の脳は壊れません!
ご安心ください。


秘密のデジちゃんねる~おかわり~

「お疲れ様でーす!デジたんが来ましたよ~!」

 

「もうちょっとで終わるから、少しだけ待っててくれる?」

 

ミラ子と契約してからというもの、業務量が増え、予定通りに仕事が終わらないことも多くなった。

 

デジたんごめんな、でもこっちは絶対に手は抜けないんだ。

 

 

「了解ですっ!お茶請けとか用意しておきますね~。今日は麦茶でいいですよねぇ?」

 

「うん、助かる。最近暑いしね~。冷蔵庫の中に冷えたポットが入ってるはずだよ」

 

勝手知ったる人の家。

 

トレーナー室には、ミラ子とデジたんの私物がそこそこあるぞ。

 

それでも特に問題にならないのは、彼女らが妙な独占欲を発揮しないからだろう。

 

実際平和である。

 

トレーナー室に入り浸っているミラ子は気づいているが、『誰のだろう? ま~いっか~』ぐらいのノリである。

 

ルナちゃんも見習って。

 

 

「お待たせ。ごめんね」

 

「いえいえお気になさらず~!さあ準備万端ですよ!」

 

デジたんが、シールの貼られたフリップを掲げる。

 

シールでいくつかの項目が隠されているようだ。

 

ひー、ふー、みー…結構な項目数だな。

 

フリップのタイトルには『○○になってほしいウマ娘』と書かれている。

 

「また小道具増やしたの?」

 

「こういう、あってもなくてもよいものにこだわるの楽しいですからねぇ!」

 

わかる。趣味とは往々にしてそういうものだ。

 

「これは、上から順にめくればいい?」

 

「実さんの好きなようにめくってくれていいんですけど、まあ、上の方からがおすすめですよ」

 

「じゃあ、一番上から!」

 

『母親になってほしいウマ娘』

 

おいィ?ちょっと最初から飛ばしすぎでしょ。

 

「さすがに年下の子に『母親になってほしい』は、業が深すぎない? これ、セクハラで訴えられたら確実に敗訴だよ。デジたん、私、まだトレーナー続けたいんだけど…」

 

もう、男女どちらからでもセクハラが成立するご時世なのだ。

 

それに、なんだか学生寮の方からものすごいプレッシャーを感じる…。

 

関西弁の汚い悲鳴も聞こえてくるような気がする…。

 

「まあ大丈夫ですよ。デジたんは誰にも言いませんので!」

 

うーん、ならいいのか?

 

さすが、友人をモデルに妄想して生モノ本を描いているウマ娘だ、面構えが違う。

 

「そうだなあ…。やっぱりヒシアマさんは鉄板な気がする。あとは…グルーヴとか、ヘリオスとか?」

 

「ヒシアマさんは想像しやすいですねぇ!服を泥だらけにして帰って、家の前でお玉片手に仁王立ちで怒られたいです!」

 

「まさに『カーチャン』って感じだよね。グルーヴはちょっとお堅い教育ママタイプで、ヘリオスは親子間の距離がものすごく近そう」

 

「グルーヴさんはきっと毎朝、家事をきっちり時間通りにこなすタイプで、ヘリオスさんは冷蔵庫の残り物でちゃちゃっとご飯作って、子供の友達とかにもごちそうしちゃうんですよ。その友達から『うちのかーちゃんと交換して!』とか言われたりするやつです!」

 

「子供って、結構簡単にそういうひどいこと言うよね」

 

 

「たわけ…」

 

女帝は気分よさそうに尻尾を揺らしている。

 

 

「いや、いくらなんでも年上のトレ公に『カーチャン』たぁ…さすがに気恥ずかしいんだけどねぇ」

 

「アマさん、それは墓までもっていってやれ」

 

「なーに、心配いらねぇさ。そのうちトレ公が慣れるまで、嫌ってほど何回も言わせてやるからね!」

 

 

「なーなーパマちん、トレぴの好物ってなーに!?一緒に練習して胃袋つかんじゃおーぜい!何作る〜?パスタとか!?」

 

「ふーん、好き嫌いとか、特になかったと思うけど。あれ、けっこー付き合い長いのに知らないとか、私ウケるんですけど…」

 

「うぇーい下げんな下げんな!アゲてこーぜい!!」

 

 

「でも…ここまでみんな高等部の子ですねぇ。中等部ではどうですかな?デジたん的にはキングさんとか推すんですけどぉ」

 

今日のデジたんは、やけにぐいぐい来るな。

 

どこぞの天パに『情けない奴』とか言われちゃわないかな。

 

「スカーレットとフラワー…」

 

「…」

 

「あー!あー!こういう話してるときに絶対しちゃいけない顔してる!」

 

「いえいえいえ、デジたんはそんな顔してませんですとも!ほら、この一点の曇りもない澄んだ目を見てください!…まあ、ちょっと予想外だった、というだけで。スカーレットさんは予想の範囲内でしたけど、フラワーさんは母親っていうより、どちらかというとお嫁さん、ってイメージだったので」

 

「あー、確かにそれは、わからないでもないかな。まあ、まだ小さいからね」

 

 

「聞いたわねウオッカ!やっぱり私が一番よ!」

 

「いや4人目じゃねーか!そのミミは飾りかよ!」

 

 

「お嫁さん、お母さん…へへへ」

 

「フラワーは可愛いデスネ!きっとベリーキュートなママになりますヨ!」

 

 

デジたんが、ふと学生寮の方を仰ぎ見る。

 

「…それはそれとして、クリークさんとかはどうなんです?」

 

「…過ぎたるは猶及ばざるが如しかなって」

 

転生直後に年単位で赤ちゃんプレイしたからね。

 

ちょっとお腹いっぱいなんだわ。

 

 

「あんなークリーク、元気だしいや。ちょっとやったらタイシンを赤ちゃんにしてもええで」

 

「タマ、しれっと後輩を売るんじゃねえよ。でもダンナのガキの頃ってのは、どんなだったんだろうねえ。」

 

「トレーナーさんの子供のころですか…。あらあら…ふふふ」

 

「イナリ何しとんねん!火に油注ぎよって!こんなところにいられるか、ウチは逃げるで!」

 

 

「じゃあ、そろそろ二つ目、行きましょうか!」

 

「イクゾー!」

 

おとなしいお題で頼むぞ!

 

『幼馴染になってほしいウマ娘』

 

「あ、でも実さん、学園に幼馴染多いですよね?」

 

「まあ、確かにね。姉さんのおまけだったかもしれないけどミークとは幼い頃から。それから、そこそこの頻度で顔を合わせていたのは、メジロ家とシンボリ家のみんな。ここまでは幼馴染って言ってもいいかも。数回会ったことがある程度なら、もうちょっと増えるかな」

 

「うわぁ…なかなかすごい面子ですね。いや、ほんとうに…」

 

「まあ、『なってほしい』だからね。実際の幼馴染っぽい子たちは、今回は発走除外ということで」

 

幼馴染は負けフラグ…とか考えると…いや、これはひどいな。ヤメヤメ。

 

「幼馴染か~。同年代のイメージだと、ユキノとかかな?小さい頃は家が近くて、お互いの家を行き来したりして、男女の区別なく外で泥んこになって遊んでたんだけど、途中で引っ越しして離れ離れになっちゃって。大人になってから、ふと旅行で昔住んでいた場所を訪れたら、昔の面影を残しつつ、すごく綺麗になった幼馴染と偶然再会する…とか」

 

「な、なにそれエッモ!!ふああ~~~っ!!ちょ、ちょっと時間ください!深呼吸して落ち着きますんで…!…ひっ、ひっ、ふーっ」

 

デジたんが尊さのあまり発作を起こしてしまった。

 

それを見て、ちょっとしたいたずら心が首をもたげてくる。

 

「懐かしくなって、昔を思い出しながら話していると、ふと彼女の左手に目がいくんだ。薬指には、キラリと光るリングが…」

 

「あっ、デジたん、そういうのダメなんで。否定はしませんが、せめてデジたんのいないところでお願いしますね」

 

「アッハイ」

 

デジたんは純愛派、ちぃ覚えた。

 

「年下だと、だれかな~。ターボとか?元気いっぱいの年下のいとこ、って感じがしっくりくるなあ。年上だと、ウイニングチケットかな。近所の遊び場で偶然一緒になって、年下の子たちの面倒をよく見ながら、一緒に遊んでくれそうな感じがする」

 

 

「あたしの地元、みんな出ていく一方だはんで、引っ越しで別れるのはよくある話だなはん」

 

「ユキノの実家って農家だっけ」

 

「ンだ。だから一緒に畑やってくれる人を見つけて帰らねばなンねぇべ」

 

「ユキノが帰ってくるの待ってる男の子とかいたりしないの?」

 

「…いたら、ここでこンなふうに聞き耳立ててねぇべな」

 

 

「ターボもトレーナーと遊ぶの好きだぞ!」

 

「ターボは仮に幼馴染でも、遊び方が10年ぐらい変わらなそうだね~」

 

「マチタンとネイチャも一緒に駄菓子屋行く?最初にきな粉棒買って、あたりが出たら一日トレーナーのおごりだぞ!」

 

「そんなことしてんのかい…次は誘って」

 

「私も、行くよー!」

 

 

「アタシってそんな感じなの?」

 

「ふむ、まあ想像はできるな。実際はどうだったんだ?」

 

「どうだったっけなー。よく覚えてない!!」

 

(精神年齢が同じぐらいなだけじゃないの?)

 

タマモクロスと一緒に、スーパークリークの膝の上にちょこんと並びながら、心中でツッコむナリタタイシン。

 

 

「はい、次行きまーす!」

 

『姉になってほしいウマ娘』

 

「なんかこういう話って、姉のいない人が幻想を語って、実際に姉を持っている人たちに幻想をぶち殺されるのがお約束な気がするんですが、実さんはどうなんです?」

 

「幻想は幻想、現実は現実だしなあ。なにより、姉さんはそのまんまというか、幻想をぶち殺すほどの裏表はないから。でもお題の返答としては、姉さんとは違うタイプを選ぶかな」

 

そういって、少し考え込む。

 

「姉…姉か…。ちょっと年の離れたお姉さんなら、マルゼンさんかな。向こうは社会人で、こっちは学生。たまに会うと、ご飯をご馳走してくれたりするタイプ。わがままなタイプなら、シービー?こっちの許可なく勝手に部屋に入ってきて、ベッドの上でゴロゴロしながらマンガ読んでそう」

 

 

「えー、アタシそんなにワガママかな?ちょっとひどいんじゃない?」

 

「シービー、こういう時こそ自己省察、日頃の行いを顧みるべきではないか?」

 

「ふふ、でもさ、そうやって予想されてるってことは、実際にやっても平気ってことだよね?」

 

「ふむ、そうではないと思うのだが」

 

「ルドルフも一緒に行く?」

 

「…いや、言語道断だ。トレーナー寮への侵入など、洒落では済まされんぞ」

 

「え、ルドルフは寮に忍び込む気だったの?アタシ、トレーナー室かと思ってたんだけど」

 

「…無論、トレーナー室とて例外ではないぞ」

 

(んー。一緒に食べに行くならなにがいいかしら。やっぱりイタ飯?タッちゃんで遠出してもいいわよね♪)

 

 

「次は双子の姉とかだとどうです?なんかまた違ったシチュになりそうじゃないですか?」

 

「双子かあ~。双子だと、実際には仲が良好でも、周りから見てベタベタ仲良く見えるタイプは想像しづらいな~。ここはシャカールかな」

 

「んー。わかるようなわからないような」

 

「忘れ物とかしたときにさ、『チッ、仕方ねーな』とか舌打ちして悪態付きながらも貸してくれる感じ?」

 

シャカールはツンデレ。

 

 

「ふふふっ!トレーナーもシャカールのことよく見ているね」

 

「…チッ。うるせェ」

 

「もう、素直じゃないなぁ~♪かわいい」

 

 

なんか、ぺりぺりめくるのが楽しくなってきたぞ。

 

『妹にしたいウマ娘』

 

まあ、姉が来たら妹も来るわな。

 

「うーん、学園の生徒は、だいたい『妹がいたらこんな感じかな』みたいな感じで接してるから、絞り込むのは難しいな…」

 

「12人どころじゃすみませんね。デジたんは兄チャマとか呼びましょうか?」

 

「それはちょっと遠慮しとくかな…。テイオー、マヤノ、スイープあたりは、元気でちょっとおませな妹って感じ? 引っ込み思案なタイプだと、ドーベル? 双子設定なら、ファル子とかもハマるかも。双子の『姉』だとあまりベタベタした感じが合わない気がするけど、『妹』だと猫かわいがりする方がしっくりくるのは何でだろうね」

 

 

「使い魔のクセに~っ!生意気よ!魔女の力思い知らせてやるわ!」

 

「テイオー様を子供扱い!?これはぜったいわからせてやらないと…!ねっ、マヤノ!」

 

「落ち着きなよテイオーちゃん、スイープちゃん、最後に勝たなきゃ意味ないんだよ?妹のふりして背中にピタッと張り付いてさ、ゴール寸前でぴょいっとすればマヤたちの勝ちなんだから♪」

 

「…えっ、あっ、…うん」

 

テイオー様、マヤノがガチすぎてちょっと引いてるぞ。

 

 

「…ふふふ」

 

ドーベルのしっぽが、ゆっくりと左右に揺れている。

 

 

「うーん、呼び方は『お兄ちゃん』がしっくりくるかな?毎晩、お兄ちゃんの部屋で二人っきりの秘密のリハーサルしちゃうぞ☆」

 

「ウマドルは恋愛禁止なのでは?」

 

「大丈夫大丈夫!ファル子が引退するまで、余計なこと考えられないように、みっちりツアーに引きずり回すからっ!」

 

「ドイツでお待ちしてますね、ファルコンさん」

 

「行かないよ!海外は行ってもドバイだよ!」

 

 

母親、幼馴染、姉、妹と来て、次は何だ?

 

ぺりぺりっと。

 

『恋人にしたいウマ娘』

 

 

ウマ娘たちの間に電流走る――!

 

「は~。トレーナーさんはモテモテですねぇ~」

 

お前はそれでいいのか?

 

この恋愛感情ずぶずぶウマ娘!

 

せんべいかじってるんじゃない!

 

 

いや、あるかもなーとは思っていたが…、それにまだ一枚めくる所残ってるんだよね。

 

「デジたん、最後のも一緒にめくっちゃっていい?」

 

「どうぞどうぞ!」

 

ぺりぺりぺり。

 

『お嫁さんにしたいウマ娘』

 

Oh…。

 

「念のため言っておくけど、絶対に外で言っちゃだめだよ?」

 

「もちろんですとも!デジたんは誰にも言いません!」

 

これは…どっちも一人だけ選ぶと、なんか非常に危険な気がするなあ。

 

「恋人の方は…ゴルシとイナリかな」

 

「ほほう。どちらも一緒にいて絶対に退屈しないタイプですねぇ!」

 

 

「さーすがトレピッピだぜ。ゴルシちゃんのあふれ出る魅力ってやつ?かーっ、罪な女だなーアテクシ」

 

「うわ…なんであたしの耳元でささやくんだよ。…ちょっとねっとりした声やめてくんない?」

 

「拗ねんな拗ねんな!ちゃんと宇宙行きの荷車8号、引かせてやっからよ!ギャラクシーエクスプレス564だぜ!」

 

 

「へへへ、どうでい、タマ!悔しくてもべそかくんじゃねえぞ。」

 

「誰が泣くか!これはあれやで『恋人と結婚相手は違う』、からのウチの逆転勝利の布石やで」

 

「はっ」

 

「おうおうおう、今どこ見て笑ったか言うてみい。言わんとしばくぞ。言ってもしばくけどな」

 

 

「じゃあ、最後、『お嫁さんにしたいウマ娘』ですね!」

 

「選んだのはー…パーマーとマチタンでした」

 

「ふむふむ。あまり共通点はなさそうに思えますが…。そのこころは?」

 

「パーマーは…なんていうか、『メジロ家のパーマー』としてじゃなくて、『ただのパーマー』として、肩を寄せ合いながら一緒に暮らしている感じが、すごく似合うというか」

 

「デジたんはてっきり、『お嫁さん』って言うからには、結婚式のウエディングドレス姿がどうとか、そういう話になるかと思ったんですが、とんでもないところまですっ飛んでいきましたねぇ!」

 

「パーマーとなら、別に豪華な結婚式とかなくてもいいかなって。ドレスとタキシードだけ貸衣装で借りてきて、近所の商店街とかにある小さな写真屋さんで記念写真を撮ったり。それが、狭いアパートの箪笥の上とかに写真立てで飾ってある…みたいな。もちろん、パーマーにちゃんとしたドレスが似合うっていうのは、よく知ってはいるけどね」

 

「タキシードは男の子の夢じゃないんですか?…川沿いの小さなアパートで、お休みの日は遠出はせず、一緒にお弁当用意して、のんびり散歩するとか、そんな感じですか?」

 

「そうそう!まさにそんな感じ。二人で力を合わせて、一生懸命生活してる、っていうのが似合うと思うんだ。『襤褸(ぼろ)は着てても心は錦!』ってやつ。あと、個人的にはタキシードにそこまで強い憧れはないかな」

 

 

「ええー、なんかやけに具体的で照れるなー。帰り際にスーパーに寄って、アパートの窓から光が漏れてるのを見つけたら嬉しくなっちゃうかも。『起きて待っててくれたんだなあ』とか思って」

 

「なんだか、ちょっと昔のドラマみたいだね」

 

「狭いお部屋にも、それはそれで良い点がありますのね。…でも、こういう話が似合うというのは、果たして誉め言葉なんでしょうか?」

 

「でもさ、好きな人と一緒だったら、きっとどこにいたってハッピーなんじゃない?」

 

「…今日はパーマーがすごく大人に見えますわ」

 

 

「マチタンの方は、婿入りして、実家の定食屋さんを一緒に継ぐコースだよね。毎朝、軽自動車に乗って二人で市場へ仕入れに行って、戻ってきたらマチタンの親御さんも一緒に、ちゃきちゃきと下準備して。お昼になったら、お店の暖簾をかける…みたいな生活」

 

「ご実家が確か定食屋さんなんですよね。デジたんこの前行ってきましたよ」

 

「ええ~、なんで誘ってくれないのさ!夜になると、マチタンの友達とか、現役で走っていたころを知っている常連さんが飲みに来たり。私の元同僚とかが、担当の子を連れてきてくれたりして、一品サービスしちゃったりして」

 

「お店の壁の上の方には、いろんなウマ娘のサイン色紙とかが、ずらーっと飾ってありそうですね!トゥインクルシリーズファンの間では、知る人ぞ知るお店…みたいな」

 

「うんうん。お店を閉めて、片付けが終わってから、お義父さんお義母さんには先に上がってもらって、二人だけで、薄暗い店内で、その日の料理の残り物なんかをつまみに、ちょっとした晩酌とか…すごくいいよね」

 

 

「んふふ…お婿さん。お婿さん。えへへ…」

 

「ちょっとタンホイザ、鼻血、鼻血!いったい何想像したの!?ターボ、ティッシュ、ティッシュ!」

 

「おおっ!ターボにまかせろー!」

 

 

「ミラ子よ、お主は何か言うことはないのか?」

 

「え、なんでです?」

 

「なんでって、お主のトレーナーじゃろ?」

 

「ええ~?まあ、面と向かって言われたら、さすがにちょっとムッとしちゃうかもしれませんけど、こういうお遊びみたいなのに対して、特に何か言う気はないかな~。それに、そもそもこれ、盗み聞きですしねぇ」

 

みんなの胸のど真ん中に突き刺さる剛速球。

 

「それに、トレーナーさんは、ちゃんと『トレーナー』であろうとしてるから。多分、そういう感情とかは、持たないようにしてると思いますよ~」

 

え、なにその『私はわかってます』感。

 

周囲のウマ娘たちはちょっと負けたような気になっている。

 

「ほほう。まあええ、夜討ち朝駆け戦の華よ。横からかっさらわれても知らんぞ」

 

「うーん、もしトレーナーさんが誰かを選んだんなら、それがきっと、トレーナーさんにとって一番いいことなんだと思いますよ~」

 

おい、どうすんだこの微妙な空気。

 

ミラ子のせいです。

 

あーあ。

 

 

めくり切ったフリップを片付けようとして手に取ると、もう一枚、フリップが重なっていることに気がついた。

 

「あれ、フリップもう一枚ある?なになに、学園編?」

 

「あ、それ、実はお題が多かったので分けてたんですよ。でも、今日はもう時間切れですね。また今度、使いましょうか」

 

「ちなみに、今日のは何編だったの?」

 

「うーん、今日の方を先に作ったので、特に名前は考えてなかったですね。まあ、『家族編』とか、『プライベート編』とか、そんな感じじゃないです?」

 

「ふーん。そういえば、デジたんは今日のお題の中だと、どのポジションがよかった?」

 

「うーん、やっぱり『幼馴染』ですかね!一緒に壁になって、ウマ娘ちゃんの成長をすぐそばで見守って行きましょう!ウイニングライブでは、もちろんデジたんと二人で後方壁際タイガーですよ!」

 

デジたんはほんとうにブレないなあ。

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