呪術廻戦×ウルトラマン【連載(短編)版】   作:名無しのごんぎつね

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第十話「友人がお見舞いにやってきた! 後編」

「チッ、ケチくせぇな」

 女に対してだったら通用したかもしれないおねだりを冷たくあしらわれた甚爾は、拗ねたような声を出す――と同時に、勝手に見舞客用のいすを出して腰掛け始めた。

「おい、お前何寛ぎ始めてるんだ。あんまりお前に長居してほしくないんだが」

 そう、俺が言うと、

「い~や、俺は今の言葉に傷ついちまった。ついでに腹も減っちまって動けねえ。誰かに今日の飯を奢ってもらえないと、俺はここに居座り続けるかもなあ」

 と返してくる。

「く、くそ、俺がこの病院の看護師さんに頭が上がらないということを利用して、脅すつもりか」

「いや、別に俺はそんな風なつもりで言ったわけじゃねえ。でも、お前はつい最近、この病院でまた問題を起こしたらしいじゃねえか。どうする。ここで俺が問題を起こしたら、お前も連帯責任になって、また怒られるかもしれねえぞ」

 この瞬間、甚爾と俺の間で静かな勝負の幕が開けた。

「ぐぬぬ」

「…………」

 古典的な睨み合いである。だが、このような意地の張り合いに、俺は甚爾に勝てた覚えがない。

「ウヌヌ」

 声からもわかるとおり、早速、限界が近い俺に対し、

「…………」

 甚爾は無言とポーカーフェイスを顔に浮かべている。正直、甚爾のレアな表情に、見ていて笑いそうになった。

「くぅ~~~」

 どうしてもコイツに奢りたくない、その一心で、目を見開きながら、精一杯の威嚇を繰り出す。客観的に見て、もう負けそうである。

「………………」

 甚爾は無言のままだが、表情がニヤツキ始めた。勝利を確信したような顔だ。

 結局、睨み合いを制したのは甚爾だった。

「わかった。わかったよ。奢りゃいんだろ。奢りゃあ。史彦、寛見、お前らも一緒について来い。全員分、俺が奢ってやる」

 そう言うと、甚爾は現金なことに、

「おっ、いいのかよ。じゃ、ゴチになるぜ」

 などと言ってくる。この、確実に上質な皮でできているであろう面を殴りたくてしょうがなくなったが、やめておいた。

「本当にいいのか。こいつに奢ったところで、図に乗るばっかりだぞ。あと、俺の分は払わなくていい」

「そうだよ。お前だって生活に余裕があるわけじゃないんだろ。俺たちに奢る必要なんてない!」

 などと、常識人二人組は嬉しい言葉を掛けてくれる。

「おい、見たか甚爾。奢られる側にはそれ相応の態度ってものがあるんだよ」

 甚爾に対して、こいつらを見習え、と文句を言う。

「知らね~な~」

 まあ、わかっていたが、甚爾は悪びれることはない。

「ムッキー」

 これには、流石に優しい俺も怒る。思わず口から猿のような声が出る。

 そして、甚爾に対して掴み掛かろうとした瞬間、

「おい。喧嘩をするな」

 意外なことに――いや、あんまり意外でもないか――寛見に止められてしまう。

「なんでだよ」

 後になってから気づいたが、頭に血が上っていたとはいえ、病院の中で喧嘩をしようとするのは流石にヤバい。なので、ここで止めてくれた寛見には感謝しなければいけないだろう。

「看護師が見てるぞ」

 じ~~~っ。

 そんな効果音が聞こえてくるんじゃないかと思うほど、こちらを見つめる看護士がそこにはいた。冷や汗をかきかき、謝りに行く。

「すいません。やかましくて」

 精一杯の愛想笑いを浮かべる。

「いえいえ、いいんですよ。実際には喧嘩にならなかったんですから。ですが、まだあなたは入院中なので、この病院からは出させませんよ」

 それに対して、看護師さんはプロの愛想笑いで応戦してくる。

「へっ? それではどのようにして奢れと?」

 鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔になる。

「さあ、ご自分で考えたらいかがですか」

 看護師は笑みを深くする、が、目だけは笑っていなかった。この瞬間、改めて、この場にいる人間の上下関係が決定された。

 

 結局、俺が甚爾たちに金だけ渡すことになった。トホホ。




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