呪術廻戦×ウルトラマン【連載(短編)版】 作:名無しのごんぎつね
寝ぼけ眼を擦りながら、う――ん、と伸びをすると、そこには明らかに見たことのない、とまではいかないが普段自分が過ごしている自衛隊寮とは明らかに違う場所だった。とどのつまり、俺がよくお世話になる病院の一室だった。
どうやら、あの後俺は急に無線がつながらなくなって心配をした他の奴らによって、海に浮かんでいたところを救助されたらしい。
誰もいなかったのでナ―スコ―ルを押して、看護師を呼び、起きたことを伝える。医者も呼ばれ、特に調子が悪いところもない、ということを伝えると、退院が言い渡された。
数日後。
いつも通りの訓練、その休憩中、ふと気になったことを、俺の班の班長に尋ねる。
「そういえば、班長。俺、この前、墜落したじゃないですか。俺が墜落した時、その場所はどんな様子でしたか?」
数十メ―トル級の怪物と巨人が戦ったのだ。海上とはいえ、被害は甚大だろう。そう思って聞いてみると、意外な答えが返ったきた。
「あん? お前の墜落の様子ぅ? ああ、あん時ゃ焦ったぜ。お前との通信が急に途絶えたと思ったら、墜落してたってんだからな。原因を聞きたいのか? 通信障害の原因はわからねえから、現在、調査中だが、てめえの墜落のほうは、大方コ―スを外れて飛んでるうちに、高度を上げすぎたか、それとも、てめえの日々の無理が祟って気絶でもしたんだろうぜ」
「待ってください。よく確認したんですか? 足跡とか、爆発跡とか、もしくは原因不明の地震や大波とかなかったんですか?」
「お前、何言ってるんだ? 退院したばっかりで、疲れてるのか? 俺は普段からお前に言ってるだろぉ。無理しすぎんなって。体調管理も仕事のうちだって――――」
あまりの衝撃で、班長の話の後半は聞こえなかった。
どうやら、巨人と怪物の戦いなんてものがあったような痕跡は、影も形もなかったらしい。まるで、そんなことは最初からなかったかのように。
「どうした? 体調が悪いのか? 正直言うと、病み上がりのお前には今日の演習は参加してほしくなかったんだ。離れて休んでおけ」
などと班長から言われたため、素直に休憩することにした。
休憩スペースに一人佇み、甘ったるいスポーツドリンクを飲みながら、ずっと同じことを考え続ける。
どういうことだ。
あれは全て、俺が気絶するときに見た幻覚だったのか?
俺は頭がおかしくなってしまったのか?
そんな言葉を頭の中で繰り返す。
そして、同じくらいに頭の中に浮かんでくる「ウルトラマン」という名前。意識が朦朧としていた中で、ふと口から出た言葉だったが、おそらく巨人に対して言ったものだったのだろう。極限の存在、超超人、どのような意味であろうと、これほどまでにあの存在を表すのにふさわしい言葉も名前もないだろう。しかし、俺はあんな存在を今まで生きてきた中で見たことも聞いたこともない。
なのに、この名前を聞いたことがある気がする。
生まれた時から、この名前を知っていた気がする。
聞いたとしたら、どこで聞いたのだろうか。
知っていたとしたら、いつ知る機会があったのだろうか。
聞いたことがないのだとしたら、咄嗟に考え付いた名前ということだ。無から有が生まれることがないように、どんな突飛な考えも、元となった記憶が必ずあるはずだ。なぜ俺はこんな名前を思いついたのだ。
そのようにして、より深い思考の渦に落ちるのだった。
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