呪術廻戦×ウルトラマン【連載(短編)版】   作:名無しのごんぎつね

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第六話「ベ―タ―カプセル」

 頭の中に大量の情報が流れ込むのが終わり、現実へと意識が帰ってくる。

「今のはなんだったんだ」

 経験していないはずのことを、経験していたかのように感じるという体験に戸惑い、そのような言葉がつい口から洩れてしまう。自分ではない誰かの人生を追体験させられたかのようだった。

 夢でも見ていたのだろうか? だが、その記憶は夢とは違いまだ鮮明に残っている。どんな麻薬でもこんな幻覚(トリップ)を味わうことはないだろう。

「おい。なんでそこに座り込んでいるんだ。まだ、気分は悪いのか? さっきよりも、体調がよくないように見えるが」

 どうやら、思っていたよりも長く幻覚を見ていたらしく、演習が終わった班長達が俺へ心配そうに声をかけてきた。

 だが、班長の質問に答えられないまま、大量の情報を処理している脳を守るために、俺の体は強制的に意識を断った。

「おい。――――、――――。――、――――」

 そんな声が遠くに聞こえる。

 

 意識を取り戻した時には、再び病院へと逆戻りしており、無理をして訓練に参加したことに対して、烈火のごとく班長から怒られ、一か月間の検査入院という名の謹慎を言い渡されてしまった。

 

 入院二日目、あまりの手持無沙汰に、病室内で筋トレをしていたら、看護師から、休め、と怒られ、むっとして、つい、病室からの家出を決行した。だが、病室を抜け出しても、暇なのは変わらない。しょうがないので病院の敷地外へは出ずに散歩をしていると、

「すいません」

 そう、後ろから呼び止められた。

 知らない声のため、誰かと思って振り返ると、俺に怒った看護師とはまた別の看護師だった。

「なんです?」

 と用件を聞くと、

「これ、この前にあなたがこの病院に運ばれてきたときに、あなたの服の中から見つかったものです。渡そうと思ったのですが、退院を申し上げたと同時にお帰りになられたので、今の今まで、この病院でお預かりしておりました。お返しできてよかったです」

 と言って、俺に何かを手渡そうとしてくる。

「あ、ありがとうございます」

 とは言ったものの、そんな大事なものなんて自衛隊の服に入れていた覚えなんてない。だから、俺はすぐに帰ったのだ。

「服の中にあるものは処分してもらって結構です」

 とだけ言って。

 頭の中に浮かぶ疑問を目の前の看護師に向かって尋ねると、

「ちょっとした小物程度でしたら、こちらで処分いたします。ですが、それは小物というには、大きく、高級そうだったので、どう処分すればいいかもわからなかったんです」

 そう答えられても、そんなもの服の中に入れておいた記憶なんてない。ひょっとしたらその日は間違えて他の人の服を着ていたのかもしれない。それならば俺が受け取って、持ち主に返せばよいだろうと考え、その手渡されたものを見る。

「えっ」

 自分でもびっくりするほど、気の抜けた声が出る。

 手渡されたのは、確かに見覚えのあるものの、絶対に俺の仕事仲間が持っていようがない物だった。

 そこにあったのは全体的に白く、黒い模様の入っていて、上部にはLEDライトのような物、側面に小さな赤い丸いボタンが付いた大きい棒状の物体、例えるなら近未来的なデザインのペンライトのようだった。

 これは幻覚の中で見た巨人、初代ウルトラマンの変身アイテム「ベ―タ―カプセル」そっくり、いや、そのものだ。




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