百合天使VTuberとなった転生天使の配信記録   作:嘘しか言わん狐

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大脱獄:アリスは悪くない

 

大人は嫌いだ。

 

悪くもないのに頭を下げて、嘘ばかり吐く。

 

子供にもそれを強要する腐った存在。

 

忘れもしない小学五年生の夏休み明け、学校で給食費が盗まれたって話を聞くようになった。

噂話でしか知らない事、アリスはまったくなにも知らない。

なのに、アリスがやったことにされた。

 

「ちがうよ、わたしは悪くない」

 

アリスは、スケープ・ゴートとして使われた。

全部偽装、給食費を盗んだのは他の誰かでそいつはアリスに罪を擦り付けて知らない顔をしていたんだ。

アリスの父親は頼りないやつだった。事なかれ主義などと言っても自己保身の事しか頭にないクズ。

 

「とりあえず形だけでも謝ればいい」

 

大人は敵に変わった。親すらもアリスの味方をしなかった。未来を腐らせた劣化した敵だ。

アリスは漫画家として売れたしVTuberとしても成功した。同じ事を出来る大人がいるだろうか。いやいない。

 

アリスは悪くない。アリスだけは正しい、そのはずなんだ。

 

……なんでこんな事思い出してるんだろう。

気分が悪い、アリスは今、また裏切られたのかもしれない。

 


 

 

「看守エリアへの潜入、TNTの設置と爆破。強行天使。アリスさん、事情聴取を始めますので、お入りください。入室天使」

 

・囚人ってなんだっけ

・これは悪いアリス

・テロリストじゃねーか

 

「あぁ、アリスさん。どうぞごゆっくりくつろいでください。安楽天使。まずはどこでTNTを手に入れたんですか?尋問天使」

 

「……アリス悪くないし」

 

「質問に答えたほうが良いですよ。提案天使。簡単な質問です、どこでTNTを手に入れましたか?尋問天使」

 

計画はうまくいった。

アリスはTNTを作って監視カメラの制御モニターを壁裏から破壊したんだ。

シェリーも他の場所を同時に爆破して、看守を分散させて逃げるつもりだったのに、そうはならなかった。

 

「……シェリーに指示された」

 

「ほーシェリーさんが。しかし妙ですね、ではなぜアリスさんが実行したんですか?疑問天使」

 

「あー……ほら、全部シェリーの保身だと思うよ」

 

「保身ですか。ではアリスさんは保身の為にシェリーさんを売ると、アリスさんは大人ですねぇ。挑発天使」

 

「……」

 

分かりやすい挑発。てか挑発天使って言ってるし。

この程度でアリスをどうこうできると思ってるの?

 

「アリスさん、あなたはシェリーさんが指示したと言いましたが、ではなぜ自分で動かなかったんでしょう……疑問天使」

 

「だからぁ、自己保身でしょ?」

 

「TNTを作ったとして、数は限られているはずです。貴重天使。確かに作るだけなら可能ですね……ポーション室には火薬が沢山ありますが砂を入手する経路は限られてますからね……素材天使。例えば、中庭の運動場には小さな砂場があります。少数天使」

 

気持ち悪い感覚。

説教くさいやつだと思ったけど、こいつ舞とは全然違う。

一瞬でアリスがどうやってTNTを作ったのかを見破られた。

 

「であれば同時に爆破したほうがいい。分担天使。同時に爆破すれば看守は分散してバレずに逃げられる可能性が上がります。当然天使。なぜ1人でやったんですか?質問天使」

 

全部分かってて聞いてるくせに。

百合シエル……こいつは底しれない。

そこらの無能な大人共と違う、やっぱり悪魔のしょこらみたいにこいつも本当に天使なのか。

 

「アリスさん、あなたはシェリーさんと共に同時に爆破するつもりだった。並行天使。看守の動きを分散して、逃げる手はずだった……にもかかわらずシェリーさんは爆破せず、あなたはすぐに囲まれてしまった。推測天使」

 

……そのとおりだ。

シェリーは怖気づいて逃げた。

……そうだ、わたしはまた裏切られた……

 

「であればもう一つ爆弾があるハズですよね?追及天使」

 

「ぅっ……」

 

「私が聞きたいのはその爆弾の所在です。確認天使……モニターを構成するパーツがいくらか爆発で消失したので、監視カメラが使えなくなってしまいましたからね。損害天使」

 

・これだけであまりにもデカい損害

・メインカメラをやられただけだ

・つまりどういう事?アリスはハメられたって事?

 

「ふ、ふーん……使えなくなったんだ……!」

 

だったらいいか、計画通りだし。

本当はもっと量産して全部ぶっ壊すつもりだったけど、これでバトスがなんとかするでしょ多分。

 

「今、マュ…クモラセルさんと歌さんがTNTを探しています。捜索天使。見つけ次第アリスさんは厳重に処罰しますが、もし、今残ったTNTの場所を言うのなら罰を減らしますよ。取引天使」

 

「……好きにしたら?どうせアリスが何日削られようとももうじき全部終わるんだから」

 

アリス達が騒ぎを起こして、バトス達が探索を進める。

今回だってその予定だったのにシェリーの奴、怖気づきやがって。情けない奴。

すでに脱出経路三つのうち一つの鍵は揃った。

アリスだけならいつでも逃げられるはずだ!

 

「そうですか、アリスさん。反省の意図が無いのでしたら……少しお話しましょうか。雑談天使」

 

・シエルが尋問する時圧強くて興奮する

・ていうかアリス、すでに脱出できる算段が整ってる、とでも言いたげだな

 

「2期生には帰る場所が無い、というのがマユさんの見解でした。孤独天使。でも、私達はこのライブライフという企業に属するVTuberです。企業天使」

 

「……何が言いたいわけ?」

 

「私はこのライブライフを帰る場所にします。私達が帰る場所、アリスさん達の居場所……改善天使」

 

「……居場所?」

 

「というわけでアリスさん、私達と取引しませんか?計略天使」

 

この天使、悪魔よりも取引持ちかけてくるな。

 

 


 

 

 

「よっ、しょこら」

 

「アリスは上手くやってくれたみたいね、シェリー」

 

「そうみたいだな。で?これで上手くいくのか?」

 

アリスは見捨てた。

マユもシエルも、アリスとシェリーはセットで動くと思っていたはず。そのつもりでシエル達は動いていたし、当然二人まとめて捕まえられるよう警備を敷いてたハズ。

 

アリスが本当に一人で監視カメラシステムを破壊できたのは予想外の大活躍だったけど。

 

「もうこの手しか無いわ。どう頑張っても見つからないもの。シエルちゃんは今のブランクがあるしょこでは到底勝てないわ。というかしょこ自身はとっくに負けてる……」

 

「バトスか?あいつなら勝てんのか?」

 

「ええ。バトスにしか勝てないわ。バトスを勝たせる事、それがしょこの役割……とにかくアリスが監視カメラを破壊したのはとても助かるわ。あなたが見捨てたおかげね」

 

「おいおい酷い言い草だな!!アリスを見捨てろって言ったのはしょこらだろ?アタシは命令に従っただけだぜ」

 

そうよ、そのとおり。

アリスを見捨てるように言ったのはこのしょこらの指示。

少なくともシエルとマユの裏はかけた。

 

「マユは裏切った、アリスとシェリーが同時に動く事を漏らしたハズ。どちらかを斬り捨てるならアリスよ……それで、TNTは持ってきたんでしょうね」

 

「もちろん、それが任務だったからな……」

 

シェリーからTNTを受け取る。数はたったの三つ……

心許ないけれどそれで十分ね。

 

「これ以上は作れないのね?」

 

「ああ、砂が足りない。どれくらい足りないかっつーとローターの刺激が弱くて尻ではギリイけないくらいの足りなさだ」

 

「知らないわよそんなの」

 

何も知らないのはアリスだけよ。

シエル、お望み通り結束してあなたを倒すわ。

 

「だがしょこら、アリスを見捨てる必要はあったのか?」

 

「あなた間引きって知ってる?成長途中の果物を意図的に切り捨て、残った他の果物に栄養を凝縮させる。それと同じ事、バトスを自由に探索させるためよ」

 

一人捕まえたら、看守は一人アリスに付いて尋問しなくてはならない。歌ちゃんは方向音痴で役に立たないとはいえ、ガーベラちゃんだけでなくマユまで看守になった以上常に分散させなくてはならない。

 

「それに……山羊には他の使い方もあるしね」

 

「山羊ってエロいよな」

 

「黙りなさい」

 

「バトスの巻角もいいよな、掴みやすそうで」

 

こいつ悪魔の誇り高き角をなんだと思ってるのかしら。

 

まぁいいわ……アリス、あの子には脆いプライドと短絡的な悪意がある。悪魔としては実に扱いやすくていい。

 

「もう既に脱出するためのピースはほぼ揃ってる。後は絶えずトラブルを起こし続けて、バトスを勝たせるだけ」

 

「らしくなってきたなしょこら!当然アタシも脱出させてくれるんだろ?」

 

「ええ……もちろんよ」

 

 

終わりは近いわよシエル、バトスの勝利という終わりがね。




また更新遅れました。謝罪天使
実は破壊の規模が凄すぎてアリスが悪くなるところだったので、2話ほど書き直しました……極悪天使
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