百合天使VTuberとなった転生天使の配信記録   作:嘘しか言わん狐

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大脱獄:跳べ!!バトス様!!

皆さん、少しくらい囚人らしく遊んでほしいものですね。強行天使。これでは脱獄ゲームではなくテロリストシミュレータですよ。極悪天使。

 

「マユちゃん、最後の鍵をお願いね」

 

「はーい。歌とシエルの為ならどこへでも〜…………クモラセル、だよ」

 

「銃を渡しておきます、侵入者がいたらもう迷わず撃ってください。射殺天使」

 

「ん、わかった、よ」

 

監視カメラを破壊したアリスさんを捕らえて尋問してから、すぐ翌日です。日数天使。

奏さんがメモを持出されていました。手記天使。

 

「……シエルちゃん。これ、本当だと思う?」

 

「どうでしょう。流石にハッタリだとは思いますが。過剰天使」

 

「マユちゃんは何も知らなかったんだよね?しょこらちゃんは無力化したはず……」

 

「いえ、しょこらさんはむしろ積極的に脱獄計画を練るでしょう。協力天使。自分の勝利よりもバトスちゃんを勝たせる事に尽力するはず……だからこそ厄介なのですが。本領天使」

 

奏さんが持たされていたメモはこうです。脅迫天使。

 

我々は大量のTNTを保有している

 

ヘリの鍵とそちらに亡命した白雲マユの身柄を要求する

 

24時間以内に要求が聞き入れられない場合、この監獄は海の藻屑と消えるだろう

 

「脱獄ってこういうのじゃないんだよなぁ」

 

「警備を分散させるための策でしょう。戦略天使」

 

ガーベラさんにTNTの捜索にあたってもらっていますが、おそらくはハッタリ。アリスさんいわく余っている爆弾はそう多くはないはず……証言天使。

 

『こちらガーベラ、不審な物音がしたが異常は発見できなかった。巡回に戻る、オーバー』

 

「……悪魔二人監視しといてください。警戒天使」

 

・た、頼りねぇ

・ガーベラさんは視覚と聴覚が鋭いわ

・もうちょっと探せ

・ポンコツAI

 

「……もう既に潜水艦の鍵とボートの鍵を盗まれました。後手天使」

 

「でもそっちはディックとトムだよ?問題ないんじゃない?」

 

・あの潜水艦、モビーディックだっけ?

・名前付けてるなんて気づかなかったな

・みんな船とか潜水艦とかだけで呼ぶしな

 

「これでトラップに引っかからないのが不気味です……ガーベラさんの提案ですが名前が分かりやすすぎたのでしょうか……?安直天使」

 

「そうなのかなぁ……私はいいと思うけどなぁ……」

 

潜水艦モビーディック、護送船ファントム、そしてヘリのハリーアップ。映画になぞらえたのはガーベラさんの案ですが、名付けは歌さんのものです。暗号天使。

 

「あ、ごめんね、舞ちゃんから電話来たからミュートにするね!」

 

・いってら〜

・舞さん元気かな…

・よほど暇なのか鬼のようにZ(旧終ったー)巡回してるよね舞さん

 


 

 

しょこら様の陽動は簡単な事、核抑止とかそういうのと同じで「撃てないかもしれない。でももし本当に撃てたらどうする?」という想定の下に行動を抑制する。

 

それだけでどうしても警備は薄くなり、爆弾の捜索に人員を割くことになる。どうせガーベラばっか動いてそうだけど。

 

「マユ先輩が看守エリアの塔から見張ってて動きづらいったらありゃしない……」

 

潜水艦の鍵とボートキーは手に入れた。

次はヘリの鍵さえ見つければ全て揃う……

シエルも多分それには気づいてるはずだ。

 

「……マユ先輩は管制塔にいる……ずっと」

 

マユ先輩はあそこを守っているんじゃないの?

しょこら様は警備を分散させた上でなお厳重な場所を探していたんだ……!

 

「ヘリの鍵は、管制塔にあった……!」

 

・なるほど確かにやけに一箇所にとどまってるな

・灯台下暗しっていうか灯台中暗しっていうか

・確かにヘリの鍵置くなら管制塔か

 

よし、早くしょこら様に伝えよう!

 

「…しょ……どお……う?」

 

……しょこら様?

咄嗟に隠れてしまったけど……話してる相手はシェリー先輩か。じゃあ隠れることなんて無かったかな。

 

「アリスの解放が早すぎるわ」

 

「早すぎる?どういう事だよ。早く合流出来るんならいいんじゃないのか?」

 

「…たとえばスパイ」

 

「冗談だろ?あのお子様がぁ?」

 

スパイ……?アリス先輩が?

ていうか捕まってたの?なんで?

 

「おそらくしょこの作戦はバレてるわ。不審な痕跡がいくつかあったから、TNTはしょこが回収して持っているけど……ピッケルをいくつか盗まれたわ」

 

「そりゃ妙だな……看守が見つけたんならまずガーベラが色々言って罰則を与えてくる。それが無いって事は看守じゃないってことか?」

 

「ええ。バトスを勝たせる為の山羊としてわざと捕まえさせたのに……これでは計画に支障が出るわね」

 

「つまりスケープ・ゴートがユダの山羊になったってわけだ」

 

「よく知ってるわね……そう、悪魔の山羊(しょこ達)を駆除するためのスパイとなった可能性があるわ。アリスとの接触は避けなさい、情報を流されるかも知れないわ」

 

ユダの山羊ってなに?

しょこら様たまに訳分かんない事言うよね。

 

・アリスの事山羊っていうのやめてあげなよ

・何言ってるかわからんのやが暗号か?

・しょこ先はユダの山羊とか知ってても違和感ないけどシェリーが言い出してんのが意外すぎる

・山羊に不適切な魔法かけてそうな女のくせに

 

しょこら様がアリス先輩をわざと捕まえさせたって……それで敵に回られたんじゃ意味ないじゃない。

 

「……しょこら様」

 

「バトス、聞いてたの?」

 

「鍵の場所は分かりました。奏先輩に持たせたあの脅しのメモも。警備を分散させつつ、厳重な場所を探すこと……ですよね?」

 

「そうよ、成長したわねバトス。それでこそ…」

 

しょこら様には悪いけど、もたもた交渉したりそんな盤外戦術ばっかじゃいい加減面白くないし正面からやり合いたい。

 

「あたしは仲間を売ってまで勝ちたくない。そんなダサい勝ち方するくらいなら死んだほうがいいです」

 

「まだそんな甘い事を……大悪魔になるのでしょうバトス」

 

「あたしはこれから管制塔を攻めて鍵を奪って逃げる」

 

仲間を見捨てるような勝ち方は気分が良くない。

あたしは出来るだけ皆助けるつもりだ。

 

「管制塔……そう、やっぱりヘリね?」

 

「やっぱり?なんか情報あったか?」

 

「名前よ」

 

「名前?」

 

名前……名前なんてついてたっけ……?

 

「脱出路の名前。潜水艦モビーディック、護送船ファントム……そしてヘリの名前はハリーアップ。意味わかる?」

 

ディック(男性器)?アタシにはそんなご立派なの生えてねーぞ」

 

デューク(公爵)……!ふふへへ、あ、ありがとうシェリー先輩!このバトス様の角は立派でしょ!」

 

「は?何いってんだオメー」

 

・?

・誰も褒めてないよ

・シェリーのディックは絶対股間のほうだろ

・我らが魔界の公爵の角を立派と言ったな?ありがとう

・言ってないよ?

 

「映画の話よ、脱獄映画。ドイツの捕虜収容所から捕虜が脱獄するって映画。見てないの?」

 

「いや……知らないな」

 

「見てない」

 

「そう……バトス、あなたホモが好きなんでしょう?あの映画ムキムキの男しか出てこないから観てるかと」

 

「別にムキムキのおっさん単品で薔薇が好きなわけじゃないんだけど……関係性とかあるくないですか」

 

・しょこ先がオタクの娘に理解はあるが別に興味は無いタイプの母親みたいなこと言ってる

・闇のレズだからBLの事はよく分かんないんだ

・百合天使と比べてなんか生々しくない?闇のレズ

 

「あらそう……その映画では脱獄に際して三つのトンネルが掘られたのよ。ディック、トム、ハリー。そのうち正解のトンネルはハリーだったの。トムは途中で見つかってディックはそもそも使われなかったのよね。史実ではトムとハリーから出た土を隠すためのゴミ捨て場として使われたらしいわ」

 

「へー、そう。そりゃすごいな」

 

「だからハリー?なんかシエルらしくない……命名はガーベラかな」

 

「見たのは昔の事だったし、思い出すのに時間がかかったけれどね。危うくトムに乗るところだったわ」

 

ガーベラは海外ドラマとか映画とか好きらしいし。

まぁそれはどうでもいいけど……

 

「もしアリスがスパイじゃなかったら?」

 

「バトス、あおいちゃんはどう?あの子シエルの事好きでしょ」

 

「あおいにそんな腹芸できないし。むしろあたしにはシェリー先輩のほうが怪しく見えんだけど?バレてるのってしょこら様の行動なんでしょ?あたしはフリーに動けてるし、だったらあたしとしか動いてないあおいにスパイはできない」

 

「なんだと〜?てめぇの角しゃぶったろか?」

 

「2人ともやめなさい。シェリー、爆発を合図にバリケードの準備。バトス、マユの始末と鍵の回収は任せるわ。あおいちゃんには奏先輩を回収させておく」

 

「分かりましたしょこら様」

 

「了解、警察犬対策だったな……任せとけ」

 

「では解散しましょう」

 

 


 

爆発を合図に、開戦だ。

まずあたしが爆発で壊れた壁の穴から管制塔に侵入、マユ先輩を始末したらヘリの鍵を奪ってヘリポートまで逃げる!

シンプルな作戦だ。

 

「屋上……ここじゃない、これじゃない、違う……上がりすぎたかな?」

 

・ボックスを漁るスピードが速すぎる

・ほんとに見えてる?

・手慣れすぎだろバトスちゃん

 

シエルの不意をつけたマユ先輩は確かに強いんだろうけど、同じことならあたしやしょこら様でもできる。

正面からやり合うなら、妖怪よりも大悪魔の娘であるあたしの方が上に決まってる。

 

「はっ!殺気!?」

 

咄嗟に身を翻して躱せたが、今のは銃?

シエルが使ってたな……一撃でも当たれば医務室送りだ。

 

「ふふ、バトス。どうやら……鍵の場所がバレたみたい、だね」

 

マユ先輩か……油断してるな。

あの銃リロードは何秒だろ?

 

「出ておいで。ほら、怖いの?……ふふ」

 

マインメイクの戦闘なんて単調なものだけど、単調だからこそ装備に頼った奴には隙ができる。

 

「こっちから行こうか…な!?」

 

「侮ったな!あたしの勝ちだ!!」

 

「……囮……か」

 

今投げたのは()()だ。()()()()()()()

オレンジの羊毛を投げこんだ時、マユ先輩の目にはあたしの脚に見えただろう。

推測だけど一発撃ったら連発は出来ないはず。

それならこの一瞬で突撃して屋上から落とす。

 

「どうせあとはもう脱出するだけだし、医務室でゆっくりしててよマユ先輩」

 

「わたしはクモラセル……だよ

 

[cloud sorrow は Rosa Nobilis et Magni 365 Duces Totius Inferni に落とされて死んだ]

 

・いやIDなっが

・まさか上手くいくとはな……アリスもたまにはやるじゃん

・これは囚人チームの勝ちだな

・勝ったな風呂入ってくる

 

「ふぅ〜……疲れた、一撃貰ったら終わりは緊張感あるな……屋上で戦って良かった…室内だったら勝てなかったかも」

 

後は落ち着いて鍵を探すだけだ。

やっぱり室内かな……

 

「これじゃない…これじゃない…これじゃない…これじゃな……あった!!鍵!!」

 

ヘリの鍵だ!見つけたぞ……これで後は脱出するだけだ!

 

・おおーほんとにここにあった

・まじで勝ったやん

・勝確キター!

 

「しょこら様!鍵見つけました!」

 

ヘリポートにいるしょこら様も首を振っている。

ぴょんぴょんしてアピールしとこう。

 

バトス!下を見なさい!

 

「なんか言ってる……」

 

・かわいい

・喜んでんのかな

・凄い首振ってるw

 

「バトス!!降りないで天井伝いに来なさい!シェリーがしくじったわ!バトス!下を見なさい!」

 

「……………下ぁ?」

 

・下?

・天井伝いってまた無茶な、ここは相当高いぞ

・なんか犬の声しない?

 

「……警察犬……馬鹿な、シェリー先輩は……?」

 

微かにしょこら様の声が聞こえて、下見ろって言われたんで見たけど……なんでこんなに警察犬湧いてんの?

これシェリー先輩が来れないように塞ぐって言ってなかったっけ?シェリー先輩の死亡ログは流れてない。

じゃあ裏切った……?やっぱりシェリー先輩がスパイ?

 

いや、まだシエル達に妨害されたけど逃げのびた可能性だってある。スパイと決めつけるのは早計だ。

 

「……ギリギリ向こう岸まで跳べるかな……いや、うん。いけるいける。このバトス様ならいける」

 

・無理だろ

・さすがに遠くない?

・落ちたら終わりだぞバトス

・あともう逃げるだけなんだけどな……看守チームももう本気だろこれ

 

「ガーベラさん、歌さん、行きますよ!追跡天使」

 

「うん!バトスちゃんさえ捕まえたら私達の勝ちだよ!」

 

「諦めろバトス!!お前は既に包囲されている!!」

 

「声でっか……誰もシェリー先輩追ってないの?マユ先輩は始末したからしばらく復帰できないだろうし……やっぱりシェリー先輩が……」

 

・やばいよバトスちゃん!

・ガーベラさん声量すごいな……

・なんでバトスの声よりデカいんだよ

 

「考えてる暇ないや、跳ぼう」

 

「バトスちゃん動かないでください!静止天使!」

 

「撃っちゃうよ……え!?」

 

あたしは銃声に合わせて跳んだ。

目算がズレて狙ったところには着地できなかったけど、窓ガラスの僅かな縁に乗れた。心臓バクバクしてる……!

シエルの奴普通に撃ってきやがって……

でもそのおかげで窓ガラスが割れて中にも入れたし!何から何まであたしに運が向いてきた!!

 

「ふへへっ……!!!せーーーーふっ!!!見たかシエル!ハァッハハハーーーーッ!!!」

 

・すげぇぇぇえ!!!

・なんでマイメイでこんな映画みたいな事してんだよこの悪魔!!かっこよすぎるだろ!

・うぉぉバトス様鬼強ぇ!このまま脱獄してやろうぜ!

 

「え、えぇ……あれ届くのぉ…?」

 

「……さすがに同じ事をして追うのはリスクが大きいですね……迂回しましょう。追跡天使」

 

「バトス凄いな……」

 

 

運も実力の内っていうし〜!

このまましょこら様のいるヘリポートまで逃げてやる。

見てろよシエル、あたしが華麗に脱獄する所をね!




遅れたのはちょっと最近旅行に行ってまして……ミアレシティっていうんですけど。厳選天使。
次回はSが付く人の過去が明らかになったりしたりするかもしれません。予定天使。
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