百合天使VTuberとなった転生天使の配信記録 作:嘘しか言わん狐
シェリー・アクアマリンの父は真面目で敬虔な男だった。
神を信じ、善き人であろうとしたし善き夫だったが、父としてはすれ違う人生だった。
シェリーは長女として弟や妹と比べ厳しく育てられたが、それも父なりの愛だったのだろう。
「うふふ、すみません。私は早く帰らないと怒られてしまいますので……お先に失礼しますね!」
誰もが清楚と評するだろうこの美少女は誰だ?と思うだろうがこれが高校時代のシェリーである。
カトリックの高校に通うお上品な美少女として学園内では有名だったシェリーだが、もちろんそんなのは偽りの姿。
「
高校2年の冬、父はベランダで全裸になっていたシェリーを見つけ、激怒する。
家族会議の最中「勘当する、出ていけ!」と口走る父を殴り倒し、シェリーは両親から財布を強奪して家を飛び出した。
「もう誰もアタシを止めらんねーぜッ!!!」
それからのシェリーは名のしれた不良となった。
彼女に被虐趣味は無かったので、もっぱら近所の不良を腕っぷしでブチのめし巻き上げた金でアダルトグッズを買ってネカフェで使って寝るのがルーティーンだった。
そうして3年間のネカフェ暮らしと個人VTuber『シスター・リンリン』の経験を経て、
バリケードを作る手筈だったが……すまねぇしょこら。
なんだ……四角い奴…スタンガン?を突きつけられちゃ仕方ねぇよな。
「アリス……やっぱり裏切ってたのか?」
「アリスは悪くない。だから正しい方につく!」
「何言ってやがるコウモリ女」
・堂々とした裏切り宣言
・2期生なんだから裏切りは常だろシェリー
・山羊なのかこうもりなのかどっちなんだ
「やっぱりお前がスパイだったんだなアリス……アタシは味方の背中を撃っただけで味方を敵に売ってはいないぜ」
「いや売られたけど」
・???
・売っただろ
・思いっきりシェリーが先に裏切ったじゃん
・キャプテン、頭が……
「別にアリス
「なに……?じゃ誰が……」
「んふふ……これから死ぬシェリーにはとっっくべつに!!教えてやろう。最初からスパイは他にいたのだ!アリスは陽動なんだよ!」
「なにィ!?誰だよ!?」
・え?アリスじゃないの?
・嘘だろ……スパイは最初から!?
・あの天使思った以上に手段選ばないな
わ……わからん。誰だ?
バトスか?あおいか?しょこらか?クソ……そういやしょこらも最初に捕まってなんか取引してたっぽいしな……!
マユは途中からこっちには来てないし無理だ、奏先輩には絶対無理だし……あの人健康な痴呆老人みたいなもんなんだぞ。
「くっくっく……復讐の機会も貰ったぁ……!!シェリー!ここで死ねぇい!!」
・シェリー!!!
・キャプテンがやられた!
・あーあ、やられたね
「アタシを殺せばシエルの負けだぞぉ!いいのか!?」
「…………どういう事?」
・!?
・えっ
・なに?
・どういうことだ
ひっ…………引っかかったな……
ハッタリだよ馬鹿が。えーとこの後どうしようかな。
「アタシを殺せば……死亡ログが出るだろ?」
「出るね、それが?」
「アタシ達囚人チーム誰かの死亡ログが出た時点で、大量のTNTでこの監獄を破壊するぜ」
「バカじゃないの?残ったTNTはたったの3つだし、さっきの爆発で1個減ったでしょ、それくらい分かるし」
・シェリーちょっと言い訳が苦しいぞ
・どう考えてもそんなTNT残ってねぇぞ
「海底だよ……海底の底には砂があったんだよ。TNTを作るのに砂が足りないって言ったろ?だがな、なら海底まで取りに行けば良いんだよ……わかるだろ?1マス穴を開けてそこから取りに行ったんだ」
「どこに穴開けたの」
「潜水艦の所に行くのに通路があるだろ?そこさ……しょこらがTNTを仕掛けたはずだ。全員脱出した暁にはヘリに乗る直前スイッチを推して爆破する気だった。なんなら確認しに行くかい?」
・え?そんな話あった?
・いや作り話だろ
・よくこんな土壇場に適当出てくるな……
・脱出したならここを沈める意味ある?
「いいか……アタシを急いでヘリポートまで連れて行ったほうがいい。時間が来なかったらシエル諸共ドカンだぞ。いいのか?」
「……シエル、聞こえる?」
全部嘘に決まってるだろバーカ!
アタシはなぁ、アタシさえ無事ならそれでいいんだよ!
何を甘ったれていい子ちゃんぶってんだアリス、テメーも
バトスちゃんは最後まで全員脱出するつもりですね。完勝天使。
今、バトスちゃんは管制塔から天井伝いに移動しヘリポートまで到着しているので、すぐにでも追いかけたいのですが……妨害天使。
「動かないほうがいいわシエルちゃん!この細い階段でもし、このしょこらが一歩前に進むだけでTNTが炸裂し階段を破壊、もうバトスを追えないわよ」
「でしょうね、それで……そちらの要求は?確認天使」
そもそもどっちにしろ爆破するでしょうに。当然天使。
「シェリーの身柄を引き渡しなさい。バトスは全員で脱出したいそうよ」
ヘリポートに上るには、階段を使う必要があります。その階段にしょこらさんは待ち構えていました。待機天使。
階段の中心部にはTNTと感圧板、しょこらさんはあくまでバトスちゃんの勝ちを優先しているはずですので、自分が負けても関係ないのです。自爆天使。
「……ええ聞こえてます。無線天使。ええ、連れてきてください。取引天使」
アリスさんからですね、シェリーさんを捕らえたと……
ちょうどいいですね。都合天使。
「こんなに感ばつ…感あぶ……板を作ってるなんて……」
歌さんも眠いのか舌が回ってませんね。疲労天使。
無理もありません、今は夜の12時ちょうど。歌さんは早寝早起きなのでもう寝る時間です。健康天使。
「シェリーさんはアリスさんが連れてきます。移送天使。ですがしょこらさん、全員脱出はさせませんからね。宣言天使」
「やっぱりアリスがスパイだったのね……あおいちゃん!バトスにヘリで待機するように言って」
「え?あっ、はーい」
さて……今のところ接触し、ある程度話を聞けたのはしょこらさんとアリスさんだけです。取引天使。
シェリーさんにはまだ
「歌さん、シェリーさんにチケットを。提案天使」
「ん、わかった。様子を見てくるね!」
「……なにを言ってるのかしらシエル。なにかの暗号?」
「さぁ……なんでしょうかね。暗号天使」
「やっぱり暗号じゃないの」
バレてもいいんです。これは。
歌さんは少し席を外しますが、しょこらさんはそれを追えないし追うべきではない。戦略天使。
「まぁいいわ。アリスは人質として脱出させてあげる。あの子一人ならどうとでもなるし」
ええ……ふふ、そうでしょうとも。
ですが全員脱出なんてありえないんです。計略天使。
シェリーを確保し、アリスを回収……当然のようにTNTで道を破壊し、シエル達の追跡を妨害した。
後は全員脱出してしまうだけだ。
「あなた達、何も持ってないわね?出しなさい」
「あ?おう、空だよ。待っててくれてサンキューなしょこら」
ヘリポートには3期生の薔薇バトス、紅葉あおい、2期生のシェリー・アクアマリン、甘城しょこら、有栖川アリス、そして1期生の夢追奏……囚人チーム全員揃っている。
「ふぅ……なんとかなったね!」
「ほら、アリス武器捨てたよ。これでいい?」
「これでいい?じゃねぇよ!なにしれっと戻ってきてんだテメー!?」
「まぁまぁいいじゃないか。バリー・パリアプリアくん」
「アタシはシェリー・アクアマリンだぜ奏先輩」
しょこらはバトスが勝つことを最優先にしているとシエルが言っていたな。
協力プレイを完全に理解してるとは言い難いが以前に比べれば大した進歩だ。
「先に裏切ったのはシェリーだし!とやかく言う資格あるとおもってんの?」
「その辺にしときなさい。さっさと脱出するわよ……シエルがなにか仕掛けてたとしても脱出してしまえばこっちのもの」
「あ……あぁそうだ!!おいアリス!お前言ったよな!?スパイはアリス以外にもいるってよ……!だ……誰だ!?」
「……なんですって?」
しょこらはアリス一人なら裏切っても制圧出来る、と考えていたんだろう。だが残念ながらスパイはもう一人いる。
「早く脱出しようよ、全員脱出の完全勝利だ」
「そうだよぉ!あとはヘリに乗るだけだもん」
【Aoi-chan がハリーアップで脱出した!】
「じゃあこのバトス様ももう脱出するわ。ふっふっふ、見たかシエル!!」
【Rosa Nobilis et Magni 365 Duces Totius Inferni がハリーアップで脱出した!】
・脱出おめでとー!
・さすバト
・3期生は有能だなぁ
これでバトスにはもう看守を邪魔できないし、あの子達は仲間意識が強くて優秀だ、見逃してやろう。
「よし、じゃさっさとアタシらも逃げようぜ~」
「スパイが結局誰なのか気になるけど……」
アリスとシェリーを交互に見て訝しんでいるね、しょこら。
完全に意識の外ってことだ、これなら確実に当てられる。
ゆっくり狙いを定めて、引き金を引いた。
最近ちょっと創作に対して詰まり気味だったんですが、やりたい事をやる…頑張りすぎないほうが続けられるという事に気づきましたね。成長天使