君のトラウマ旋空弧月   作:ミルクネコ

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第15話

次の日、結構な量のマカロンを持って、本部へ走る。

そして、何とか複雑な道を覚えた太刀川隊の作戦室へ向かった。

「おはようございます!」

「おー」

「おはよ〜凛ちゃん」出水くんと国近先輩と…

「お邪魔している」

「風間さん?でしたよね、おはようございます」名前あってるかな。

「そうだ、よく覚えているな」

「風間さんの方こそ」

「太刀川が君の話しかしないからな、嫌でも覚える」

「そうなんですね…」相槌をうちながら、マカロンをお皿に並べた。

「どうぞ、食べてください!」

「これ、凛さんが作ったの?」

「おいしそう!いただきま〜す」2人がマカロンを頬張る。

「風間さんもどうぞ。」

「いただこう」3人ともおいしい、甘くて良き、と言ってくれた。

作るのも好きだが、お菓子の感想を聞くのもお菓子づくりの醍醐味だ。

しばらくみんなで談笑してから、私は席を立つ。

「他の方にも配りたいので…」名残惜しいが、仕方ない。と自分を律する。

「ごちそうさん!いってらっしゃい」

「マカロンありがとね〜!」

2人に別れを告げて、作戦室を出たのだが、風間さんが後についてきた。

「荷物持ちとしてついていこう。」

いくらマカロンとはいえ、量が量だからバッグはそこそこ重くなっている。

(こまかな気遣いができる大人ってすげー)お礼を言って持ってもらった。

ほどなくしてランク戦ロビーに着き、加古先輩、村上くん、

そしてなんかすっごい見てきた二宮さんとテーブルを囲む。

話しているうちに風間さんがサッと1つ食べていたような気がしたが、

証拠がない、と言われてはどうしようもない。

ドヤ顔がなんとなく腹立つが、

それよりも口端にクリームをつけた二宮さんが面白かった。

加古先輩もそれに気付き、お腹を抱えて大爆笑。

村上くんが必死になって伝えるのだが、

二宮さんにはうまく伝わらなかったようだ。

クリームがついていない右側を拭いている。

なんとも真剣に拭いてるのがまた面白かった。

その後は、加古先輩と二宮さんのランク戦を観戦したり、

風間さんと勝負してみたりして、気付けばもう夜になっていた。

朝起きて、料理して、トレーニング。

ときどき任務があって、夕方や休日にはいろんな人に会ってランク戦。

太刀川先輩とお菓子作ったり、外食したり…

あんなに何もなかった私にも、いろんな幸せができた。

「自分にはなにもない」なんて言った自分はどこかに消えてしまったみたい。

先輩におやすみ、のスタンプを送って、私はベッドに体を預けて目を閉じた。

 

数日たって、私は城戸司令に呼び出されることになった。

ネイバーフッドへの遠征についてらしい。

てっきり私は参加できないものだと思っていたのだが…

「失礼します」

「どうぞ、こっちに来てくれ」言われた通りに机の前まで歩く。

「遠征についてなのだが、君は必ず参加してもらう。」

え?次々と疑問が湧き出る。

そりゃ私はネイバー嫌いではあるが、実力不足にもほどがある。

A級だから遠征OKというわけでもないのだから、意味が分からなかった。

「僭越ですが、私が遠征に参加しなければならない理由を教えてくださいますか。」

「それには今一度、君のサイドエフェクトについて確認する必要がある。」

ぺらり、机に置かれた紙を私のほうへ回す。

ATフィールド、自我境界線の具現化。

感情によって強度や最大展開数の何もかもが変わり、

場合によっては暴走状態に陥り、質量攻撃も可能となる。

対象に抱く感情がマイナスであればあるほど強力無比なものとなり、

プラスであればあるほど強度が下がる。

これまで私が検証したことが書いてある。

「つまりだが、ボーダーにとっては無害、君も嫌いなネイバーにとって

強力な力を有する、他隊員の援護にも使える。

ブラックトリガー級の戦力は、遠征に大きく役立つのだよ。」

「了解しました。ちなみにいつですか?」

「明後日だ。」

まじかよ。司令室を出てからも、私の頭はまじかよで満ちていた。

いきなりすぎるし、心の準備ができていない。もしかして、それを狙ってたのかな。

太刀川先輩も参加するらしいし、決して悪いわけではないのだが。

遠征参加メンバーの中に面識がない人がちらほらいるのだ。

ま、まああくまで仕事だし。きっとどうにかなるはず。

レイジさんも、「希望的観測は必需品」的なこと言ってたし、

ポジティブにとらえておいてそんなことはないはず。

玉狛支部のみんなや加古先輩、村上くんたちに挨拶をしているうちに、

その日はやってきた。

太刀川隊、冬島隊、風間隊、エンジニアの方。

遠征艇に乗り込み、女性部屋のドアを開ける。

オペレーターの真木さん、国近先輩、三上さんがすでにいた。

「このメンバー、年ほぼいっしょなんだから、かしこまんなくていいよ~」

「そうよ、私は真木理佐、冬島隊のオペレーターよ。よろしく」

「風間隊オペレーター三上歌歩、凛ちゃんだよね!風間さんからきいてるよ~」

「太刀川隊の和泉凛です、よろしくおねがいします」

堅苦しいのは最初だけで、私たちはあっという間に打ち解けて、

たくさん話した。こういうお泊り会のようなものは中学の修学旅行以来で、

テンションが上がっているみたい。

遠征から帰ったらお菓子をもちよる、いわゆる女子会を行うことも決まった。

「そういえばなんだけど…太刀川さんと付き合ってるってほんと?

風間さんが、太刀川がうるさいって愚痴ってくるんだよね」

え、どうしよう。

たしかに太刀川先輩とは付き合っているようなことはしているけれど、

それはあくまで幼馴染だからだ。でも言い切れるほどじゃない。

幼馴染はキスをするものなのか、どうにもそのイメージはわかない。

昔から男女問わずそう言われてからかわれることはあった。

そのたびにはっきりし否定してきたが、なんだろう。

なんとなく、違う といいたくない感じがするのだ。

「一緒に過ごす時間は多いかな。」

「ふ~ん?」

「なるほど、了解」

「お菓子作り一緒にしたならそれはもう…ねぇ?」

3人がなにやら怪しい目をしている気がする。気のせい…だよね。

地球時間でおよそ1週間だろうか、そのくらいたった時、

突然アラートが遠征艇内に鳴り響いた。

「人型含む近界民(ネイバー)が攻撃を仕掛けてきました!

戦闘員はトリオン体に換装したのち、

人型ネイバーに接触をお願いします!」

素早く戦闘準備をするが、風間さんはもう準備を終えていた。

何かネイバーと話しているようで、直後に「交渉失敗。戦闘を開始する。

すぐに外に出て、スコーピオンを構える。

太刀川隊、風間隊によってそいつらは瞬時に殲滅され、

一息ついた瞬間、「第2波、来ます!」

国近…柚宇ちゃんの声が飛び、

数秒後には大量のトリオン兵がこちらに向かってきていた。

すさまじい数の砲撃を、ATフィールドを展開してすべて防ぐ。

「凛…お前こんなのだせたのか…」太刀川先輩がそうつぶやく。

自分でも驚いている。ふつふつと湧きあがる怒りに身をゆだね、

スコーピオンを振る。すると面白いくらいトリオン兵が壊れていった。

出水くんのバイパーが装甲にダメージを与え、

私たちアタッカーの負担を軽減させているからみたいだ。

全部倒しきると同時に、

黒い角をはやした人型ネイバーがこちらに歩いてきた。

とっさに風間さんが動く。スコーピオンが相手の胸を貫く…

その瞬間、スコーピオンの刃が消失した。

ネイバーの頭上には巨大な漆黒の太陽が出現している。

驚愕して一瞬動きを止めた風間さんの首をつかんで、

そいつは指先からこれまた黒い光線を放つ。

それは的確にトリオン供給器官を打ち抜き、風間さんは生身になった。

その直後、太刀川先輩がネイバーの腕を切り落とそうと剣をふるう。

しかしその刃はすごく薄くなっており、皮1枚も切っていなかった。

風間さんが投げ飛ばされ、歌川さんが急いで遠征艇に運び入れる。

一気に緊張感が高まるのも気にしない様子で、奴は笑う。

「われの名前はダグラス、亡く空アントラムを支配する者」

破格の攻撃、防御性能からしてブラックトリガーであることは明白だった。

ただ、肝心の能力がわからない。

「アステロイド!」出水くんが弾を放つが、奴に届く前に消えてしまった。

「弾トリガーのトリオン反応を比べてみた限り、

おそらくですが…トリオン吸収能力だと推測できます。

距離によって吸収量は変動するようですね。スナイパーで対処します。」

真木さんが鋭い声で指示を飛ばす。

「相変わらず人使いが荒れぇなー」

その口調からは想像もできないほど正確な狙撃。

しかし当真君の弾丸は心臓に向かう直前、奴の太陽に向かって吸い込まれる。

打つ手がない…私のスコーピオンもすでに消えている。

どうすれば…そのとき、私の頭に電流が走った。

暴走状態、質量攻撃…

そこまで考えたところで、思考は中断される。

目の前にはあの黒い光線。

間に合わない!そう思ったが、それは私に到達することはなかった。

「先輩!」

先輩が私の前に立ち、光線を受けていた。

トリオン体が破損し、生身にもどる先輩。

追撃でもう1発光線が飛んできたが、私にはそれがすごくスローに見えた。

右手を前に、手のひらを相手に。

まだ使い始めてから間もないけれどイメージは出来た。いける。

「ピィィニィォォン!!」

トリオン兵の砲撃を防いだものよりもすさまじく大きいATフィールドを展開される。

それは光線を受けてもヒビすら入らず、堅牢な要塞のように存在していた。

不思議と気持ちは凪いでいるが、内心はらわたが煮えくり返理想な気持ちだ。

トリオン体の換装が何故か解けたが気にしない。

先輩が私の手を握って何か喋っているが聞こえない。

最初の1枚目を破壊しようと奮闘する奴ネイバーに視線を向け、

そいつの上に何重にも重ねたATフィールドを展開して垂直ににたたきつける。

地面と挟まれた体からピシピシと音がなり、

同時にネイバーの汚い叫び声が聞こえるが手を緩めるなんてしない。

ただただ不快で気持ち悪くて私は眉をひそめた。

こいつは無駄に頑丈で中々潰れない。

躊躇なくさらに重ねて展開し、どんどん質量を増やしていくことにした。

5分くらいだろうか。その鳴き声も消えたが油断はできない。もっと……

「凛!もう大丈夫だ。トリオン反応はない。」

その言葉を聞いて自然と力が抜ける。

先輩に守ってもらった分、恩返しできたかなぁ。

途端に意識が混濁してきて、私はその場に倒れてしまった。

気を失う直前、視界の端で見えたのは先輩の焦っている表情。

久しぶりに見たな…




当時の私文章力低すぎて発狂しました。設定も雑だし手直し諦めるレベル...
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