あ、大抗争の最終回です!ダンまちやっぱり面白いですねぇ。
「どうして……? ……どうして!!?」
目の前のよく知る人に、困惑をぶつけるように問う。
真意を確かめるために。
「失望、問いに答えるのなら、それが妥当だろう。久しぶりだな、ベル」
「なん、で……」
目の前が真っ暗になる。どうして? なんで、なんであなたが? ベルはそんなことを頭で考える。
「ザルドおじさん!!」
かつて、アルフィアとともにベルのところに訪れ、ベルを可愛がった最強。
「……なんで、か? 失望だ。
それは、ベルの知らない話。
「変わらないどころか、
それは、まるで、言い聞かせるように。
「俺は失望した。この世界に、その中に、オラリオが含まれる、という話だ」
「……分かんない、よ。どうして? ……あんなに」
あんなに優しかった叔父が。世界の敵となった。
「──ベル。俺は、お前にも失望している」
「……え?」
「お前は、俺たちの前で、言っただろう?
持っていたナイフを強く握った。ムカついた、からじゃない。ただ、あそこまで言わせる自分に腹が立った。
「……っ。……僕、アーディさん……救えなかった。勝手に飛び出して、でも、守られた……」
今すぐにでも、自分を殺したくなった。
不甲斐ないから。情けないから。申し訳ないから。
「だから、どうした?」
「……ぼ、く……僕は……」
答えられない。そう思った。
だって、何を答えればいいか、わかんないから。
──怖い。
直感でそう思った。だからこそ、俯くしかできなかった。叔父さんはそれを見て溜息をついた。
「……お前なら、成せると思った。お前なら、誰かを救って笑顔に出来ると思った。───思い違いか」
歯を食いしばった。悔しい。
「……僕は……」
僕は、なんだ? ……僕は、何がしたい?
そう自問自答した。
「……っ」
「……それが答えか」
ザルドはため息をついて剣を抜く。
「───構えろ、ベル」
「!?」
「英雄になるんだろう? オレを、殺してみろ」
槍はさっきどこかに落としてしまった。あるのはナイフだけ。震える手でナイフを掴む。
「ぼ、僕は……ただ、前のように……みんなで」
「出来ないだろ。アルフィアは死んだ」
「─────────」
心が抉られた気がした。だって、叔父さんに言われると思うと涙が出そうになる。
「……僕は……ん……」
【敵は出た】
ベルは歌う。新たにでた【
【我が道を阻む者、正義の断罪をここに】
槍はない、勝機もない。
────【
その瞬間、ザルドは目にも止まらぬ速さで距離を詰める。大剣を横から振り、ベルはそれをナイフで受け止める。けれど、彼が保有する漆黒の大剣、《
「っ! ナイフ!!」
ナイフが折れてしまう。
「隙だらけだ」
「っ!! ぐぁ!!」
斬られてはないが、吹き飛ばされた衝撃が大きい、スキルの使用で本来耐えられないハズのザルドの攻撃を受け立っていられている。けれど、それはザルドが手加減しているだけ。
「っ……!! はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぬるい」
「僕は! ……英雄になりたい……いや、ならなきゃいけないんだ! だから、超える、あなたを」
勝てない? 知ってる。当たり前だ。だからこそ、挑みたい。そして認めさせたい。僕を、貴方に。
「【
「! 雷でナイフを作ったか。だが──」
このナイフが壊れることは無い。さっきのナイフと同じ形状だが、こっちは魔法だ。故に壊れない。
「はぁ!! やぁぁぁ!!! 【
雷を落とし、ザルドにダメージを与えようとする。ベルは雷を全身に纏わせて突っ込んでいく。
「───そこか」
「はぁあああああああああ!」
そして、纏わせていた雷を荒ぶらせ、安易には近づけないようにするが、ザルドには関係ない。
「っ!!?」
「この程度、訳無い」
「くっ───!」
「お前の技はその程度か?」
「───違うッ!! ぼくは……!」
ベルは、それを言うと持っていた雷のナイフをやりに形状変化させる。そして、足を踏み込む。
「ぼくは! あなたに勝ちたい!!」
貴方に、貴方に応えたい。救ってくれた貴方達に恩を返して、答えを示したい。
「はぁぁあああああ!!!」
「!」
ベルは突撃すると同時に、姿勢を低く、足元を駆けるように、大剣を避け、槍で転ばせようとするも。
「(うぐっ!? おも───)」
「お前の力で俺を転ばせれるわけないだろう」
呆れるように言うザルド。それはそうだ。200
「ふんっ──くっ!!」
重すぎるのだ。筋力はない。level 1のまだ子供だ。
「はぁ、ベル……」
「くっ!」
バックステップで距離を取り、そして遅れて風圧がベルのさっきいた所を襲う。それは、ザルドが攻撃をしたからであるが、やはり圧倒的。
「(力で、勝てない……。分かってたけど……やっぱり強いなぁ、叔父さん。でも、ぼくだって)」
──お前は力が弱い。逃げ足が早いだけだ。だが、戦い方は一つじゃない。
昔、お義母さんに言われたこと。訓練をしてて、ザルド叔父さんと模擬戦をしていた時に言われたこと。
『でも……わかんないよ? ……ぼく、そんな』
『相手が力だけの筋肉ダルマだ。相手の土俵で戦う馬鹿はいない。そうだろ?』
『そ、それは……』
『ディスられた……』
『どんまい、筋肉ダルマ』
『クソジジイが……』
『【
『『ぎゃあああああああああ!!?』』
『馬鹿どもが』
『うーんと……えっと…………つまり?』
『自分の得意を知っておけ』
そんなことを言われた。そして、おじいちゃん達は翌朝には戻ってきていた。しゅごい……!
「(ひっと……なんちゃら……うぇい? 。それがお義母さんに教えられた戦い方。相手にもよるけどね)」
ヒットアンドアウェイ。それは攻撃と後退を繰り返す戦術や行動であるが、ザルドのようなパワータイプはやりはしない。小柄な
「ふんっ!」
「っ! (速い────?)」
「やぁ!」
「来るとわかっていたらこんなもの」
「てやあ!!」
ザルドの
「っ!?」
「遅い──」
ベルは槍でザルドの頭を狙うようにしている。ザルドの全身フル装備を突破できないと思ったから。故に単調でわかりやすい。次ここを狙いますよ〜と言っているようなものだ。けれど
──かかった!
それは全て作戦通りだったのだ。ベルはザルドが攻撃した時槍を止めると思った。 剣で受け流すのではなく、受け止めると思った。だからこそ、これが通じる。
「【
槍から大剣を伝って雷が流れる。ザルドはそれを見て直ぐに槍を弾くが、もう遅い。
【
ザルドの体には雷が走るはず、それにより脳の神経をバグらせる。運動神経に雷を流し、脳からの伝達を書き換える。けれどこれは近くにいて、尚且つ接触が必要だった。だからこそ、
「おお、凄いじゃないか、ザルドに一撃、いや策略に嵌めるなんてな。さすがお前たちの血筋だ」
エレボスはベルの策略を理解し、それを賞賛した。そして、先程ベルに一撃を入れられたはずのザルドに声をかける
「ああ、全くだ」
「っ! きいていない……!」
ベルの脳の伝達も伝わっていない。ザルドは少し身体が痺れるくらいにしか効いておらず、明らかに失敗。
「この程度、効くはずもないだろう?」
「っ!!」
「おい、来ないのか?」
そして、槍を創り直し、構える。
でも、その時───
『ベル、男ならハーレムじゃあ──ドゴォ!?』
『全く、ベルの教育に悪影響しか及ぼさない好々爺め』
『いつものことだろう? ……家まで壊さないでくれ』
『なんだ生きていたのか。てっきり巻き込まれたものだと思ったのだがな』
おじいちゃんがハーレムとか言い出した時の記憶。
『大切なものを守るためだ』
『例えば、お前が死にそうだったら、私はお前を助ける。そこにどんな障害があってもな』
お義母さんと正義についての記憶。
『ベル、間違ってもアルフィアみたいなやつを好きになるなよ。絶対に大変だからな』
『ほお? そうかそうか、ならお前を大変な目を合わせてやろう。大丈夫だ。頑丈だけが取り柄だからなお前は』
『待て!? 本当に待て! この距離で撃ったらベルにも当たるぞ!? ベルごと吹き飛ばすのか!?』
『大丈夫だ。私は剣もいける』
『ほんと──』
ザルド叔父さんが何か吹き込んできて、お義母さんに見つかった時の記憶。
『へぇ! 貴方ベルって言うのね!』
『ねぇ! 私のファミリアに入らない? どうせ、冒険者になるんでしょ? 英雄になりたいんだし!』
『そうと決まれば、アストレア様に話をつけなきゃね! ベル武器なんかはあるの!?』
強引にファミリアへはいらされた時の記憶。
「───おぇぇぇぇ、うぁ……。あ”ぁ゛ぁぁ……」
ベルは倒れた。発動していたスキルさえも、切れて、魔法をも効果が切れてしまった。
「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
楽しい記憶、面白い記憶、嬉しい記憶、辛い記憶、苦しい記憶、なんて関係ない。全てが頭を駆ける。
叔父さんが消えた日のことも、お義母さんと共にオラリオへ来た時のことも、アリーゼさんと出会ってファミリアへ加入した時のことも。全て。
「うっぁ……」
「……アルフィアの予想通りか」
「そのようだな。全く、恐ろしい限りだな」
ザルドは剣を鞘に直し、ベルの様子を見て呟く。
「ごめ゛んなさ”ぃ……ごめな”さ……い。あ゛ぁ……」
うずくまり、何かを恐れるように、ベルは泣き続ける
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」
そして、ベルは意識を手放す。多分
「……本当に……後悔している」
「だろうな。だから言っただろう? 『本当にいいのか?』とな、こうなってしまっては俺も罪悪感はあるな」
だからこそ、エレボスは1つ、ベルに祝福を、
「すまないな、少年。これは、来る時、お前を助けてくれるだろう。珍しい、英雄候補よ」
「お前がそんなことを言うなんてな。……いい魔法じゃないか。アイツが言っていた意味もわかる」
また頭を抱えるザルド。そして、エレボスも苦笑いをうかべる。 チートすぎるのだ。
「(この少年は大物になるな)」
そして、ベルに
「……連れていく。お前はどうする?」
「ヴィトーにでも護衛してもらうさ。アストレアの眷属は今は大変だろうが、お願いな」
「分かっている」
ベルを背負い、ザルドは連れていく。
「……すまない……ベル……」
一面麦畑、黄金のように輝く黄昏の空。
そこを歩く、2人の
何かを言っている。
それは、私に向けてではない。白髪の子供に向けて。
何か言っている。
そして、少しだけ振り向き、優しく微笑んでいた。
「……ある……ふぃあ……?」
「起きたか?」
「ん……ここは?」
夢を見ていたらしい。起きるといたのは輝夜だった。
「私達の
「輝夜……」
「ようやく起きたか。立て、準備を済ませろ」
私が起きたことを確認すると、輝夜はぶっきらぼうに私に向けて言う。
「
「……………………どうして」
「なんだ?」
輝夜はリューの小さな呟きを逃さなかった。
「どうして、あんなことがあったのに、平然としていられる?」
リュー・リオンには、理解できなかった。
「多くの者が散ったのに……一度は救った命さえ奪われたのに……それを責められ、石を投げられたのに!」
リュー・リオンは、青かった。
「アルフィアが死んだのに! どうして、そんな顔をしていられる!!」
「…………はぁ」
リューはアルフィアを仲間だと思っていた。優しい人だと知っていた。だからこそ。
「ぶぁ〜〜〜〜〜かめ」
「なっ……!」
「『正義』を名乗る時点で、批判、中傷、叱責、そして『犠牲』など覚悟して然るべきなのだ」
だからこそ、納得できない。
「
「──────!!」
「私達の中で、ベルとアルフィアを次いで遅く入団したお前が、一番腹を括れていなかった。それだけの事だ。エルフのリュー・リオン」
ベルはどうなのか? と言われれば難しいが、ベルの方が覚悟は出来ていただろう。
「私は常に言っていたぞ、愚か者。全てを守ることも、全てを救うことも不可能だと……」
実際、アーディは死にかけ、アルフィアは死んだ。
そして、リューは思い出す。18階層で輝夜に言われたことを。あの時会話したことを。
───『つけあがるな、間抜け。英雄でも気取っているのか? 未熟な今の私達が、全てを救えるわけないだろうに』
確かに、ずっと輝夜はリューに言っていた。
「ぁ……」
「今の状況に堪えていないわけなかろう。しかし、あらかじめ覚悟していたなら、受け止めることは出来る」
「ばかな……馬鹿な! あらかじめ『犠牲』を見据えた覚悟など、『正義』と呼んでいい筈がない!」
リュー・リオンはどこまでの潔癖だった。
「少なくともアストレア様の掲げる『正義』は違う! あの方が導こうとしている『正義』は、そんなものじゃない!」
「『現実』を見ろ。『世界』というものを知れ。誰しも『選択』する日を迫られる。……そう言っても、今のお前には届かんな」
そう、リューの言葉を否定する。
「どれだけ強くとも、やはり私達の中で、お前の心が最も弱い。お前は、潔癖で…………青すぎる」
「……っ! 輝夜ぁ!!」
リューは怒る。輝夜の言い分は最も、けれどやはり、リューは納得できなかった。出来なかったのだ。
「それに、どの道あいつに未来は無い」
「!? どういう───」
「輝夜! 何をやっているの!?」
輝夜の発言を問いただそうとした時。アリーゼが割って入ってきた。恐らく、言い争う音で来たのだろう。
「リオンも起きたばかりなんだから落ち着いて──」
アリーゼがリューの肩に手を置こうとした先に、リューは驚くアリーゼの胸に縋り付いた。
「アリーゼ……教えてください……。あなたも『犠牲』を覚悟していたのですか……?」
どうしようもない思いなのは知っている。それでも、リューは聞きたかった。震える瞳で、見つめる。
「『しょうがない』と言って、友の死を切り捨てられるんですか!」
彼女は、聞きたい。ずっと迷い続けている問いを。
「アリーゼ、おねがいっ、教えて……! 我々が追い求める『正義』とは、なんなんですか!?」
リューは、正義の名分も、冒険者の鎧も、エルフの矜持すらも捨て、知己に問う。あの日から、邪神に問われたあの日から、見失ってしまった事を。
もし、ここにこの少女の知己であり、アリーゼとは違う親友である、アーディがいたのなら、彼女なら、なにか答えられたのだろうか? 答えは、分からない。
けれど、一つ、一つあるのだとしたら。リューに答えをあげれるのだとしたら、それは正義の女神か、とある邪神だけだろう。
「……ごめんなさい、リオン」
重苦しい、時計の音だけが響く中、アリーゼは閉じていた瞼を上げ、正々堂々と答えることを選んだ。
「今の貴女を納得させられるだけの答えを、私は持っていないわ」
それが、その言葉に、リューは絶望した。
「……っ!!」
そして、次の瞬間には、リューは駆け出していた。
「リオン!」
「違うっ、違うアリーゼ! 私は、謝ってほしくなんかなかった!」
暗く空の光を閉ざす、厚い雲は不気味な都市の空気を助長させていた。
「そんなことは無いと、否定して欲しかった! いつものように笑って……私の手を、引っ張って欲しかった!」
そう、リューは言いながら、慟哭にも近い感情を叫びながら、ただ街を走っていた。
□□□□□□□□□
「ねぇ、おかあさん。おじいちゃん、埋まってるけど……大丈夫なの?」
「いつも通り、明日には復活しているだろう。これはそういうものだと思っておけ」
「で、でも!?」
「返事は?」
「イエス・マム! サーセンシタァァア!!」
「この
「え!? えっと〜?」
「ベル、そういう時は、グベラァ────!?」
「変なことを教えようとするな、ザルド」
「俺が変なことを教えようとしたことあったか!?」
「ありまくりだ。この筋肉バカが」
「このヒステリック──」
「殺されたいのか?」
「……すみませんでした」
「お義母さん、しゅごい✨」
「そうだろう。ベル、今日は特訓をするぞ」
「えっ……」
「昨日は
「(おじさん! 助けて!)」
「(諦めろ、ベル)」
「ほら、何をぼさっとしている。ザルドお前も強制参加だ。ついてこい」
「……長くなりそうだ」
「お義母さんはぁ……っ! やぁぁぁ!!」
「遅い」
「ぐべぁ!!?」
「まだまだ行くぞ」
「ゴボッ!?」
「どうした? 来ないのか?」
「グッ!?」
「もっと攻撃してこい」
「グハァッ!?」
「おい、そろそろやめてやれ」
「おい、ザルドお前も加われ」
「…………マジでやめてやれ」
夢、じゃないけど、夢らしきものを見た。
多分、悪夢……。
「ベル、英雄譚……について、お、お、おー、お、教えてくれないか?」
「素直に言えんのか」
「【
「ぴぎゃあああああああああああああああ!!」
「お、おじいちゃぁぁぁああん!!?」
「うるさい」
「あて!?」
「さっさと、教えてくれ」
「いえす・まむ」
「はぁ……」
「それで、どれにする? エピメテウス? アルゴノゥト? フィアナ? アルバートでもいいし、ジェルジオも、フルランドでもいいけど……あ、騎士ガラードもあるよ!」
「なんでもいい」
「じゃっ、じゃあ! エピメテウス! 大英雄エピメテウスがいい! ぼく、これが一番好きなの!」
「なら、教えてくれ」
「うん! いいよ!」
いっぱい、教えたよね。
嫌な顔してた。ぼくが沢山話すから、ぼくが飽きるまで教えているから、でも、だからお義母さんはエピメテウスだけいっぱい知ってるよね。
「もう、寝るぞ」
なんて言って、エピメテウスって名前を聞くと沢山聞かされたから嫌な顔してたよね。
「私はお前のいる未来には居ないだろう」
そんなことを沢山言っていた。
嫌ってくらい。
「……でも」
「神ではない私達は永遠の刻を生きられない」
「……うん」
よく、嫌になってた。お義母さん、うるさいから。
「おい ザルド、私の甘味を食ったのは、お前か?」
「──ストップ、ストップしろアルフィア」
「問いに応えろ」
「俺じゃない……」
「なら、あのクソジジイか」
ぼくは、あまいものすきじゃないもんね。
確証なんてないけどね。
「ん……んー。ぁ……ぅ?」
「! 起きた? ベル」
ベルが起きると、いたのはアストレア様だった。
「ぁ……れあ、さ……ゴホッゲホッ! ……こ、ど……こ……なん……すか?」
「ゆっくり、大丈夫! ここは
優しく微笑みかけてくれるアストレア様。
「な……で? は……? ……どして……ぼ……く……おじ、さんと……いっしょ……いたのに……ゲホッ!」
「落ち着いて」
「お、じ……さんっ! ……やぁ……」
「っ!? ベル!」
嫌だ、叔父さんは? どこ? ナンデ? ドウシテ?
ドコ? ドコ? ドコ?
「っはぁ……はっゴホ!?」
ベルはホームを飛び出していた。宛もないのに、ただひたすらに走っていた。音がする方に、ただひたすらに
「っ!」
そして、着いた。
眼前に広がる光景。ザルド叔父さんが倒れてて、
「おじっ! ……さ゛ん”……!!」
なんで、叔父さんが……死ぬの?
「とぅえるの……とぅえる……の……! でて……おねがい……出てよぉ……」
「【
「なっ! 子供!? 何故!」
魔法を展開すると、さすがに気づいたのか。
「先におまえからだァ!!」
「危な───」
「【
そして、空に展開していた雷を落とす。
そして、そこからは覚えていない。何をしたかも、
ただ一つだけ
ぼくはやりすぎたらしい。
「べぇぇぇぇぇぇぇぇぇるぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「……ご、ごめんなさい」
起きて目が覚めたら、泣かれたが、すぐにお説教となった。