静寂に連れられた白兎はオラリオへ行く。   作:如月悠

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前書き

ビビッときた、的な?感じです。


脳筋(フレイヤ・ファミリア)

 何よりも高い摩天楼、地上から全貌が見えるわけもない程高く大きな建造物

 オラリオ創設神たるウラノスに恩恵(ファルナ)を与えられた数少ない眷族である名工・ダイダロスによって、オラリオの象徴とも言える50階建ての摩天楼施設である『バベル』

 その一番上には美しい美神、フレイヤがいる。けれど、一目拝もうとしたとしても、見れやしない。

 

「ねぇ、オッタル」

 

 けれど、その逆はそれにあてはまらない。

 

「なんでしょう、フレイヤ様」

 

「今から闇派閥(イヴィルス)の残党をヘディン達と倒しに行ってくれないかしら?」

 

「……なぜ、でしょう」

 

猛者(おうじゃ)】オッタル、それはオラリオ最強。下界で一、二を争う程の力を持った存在だ。そして、敬愛すべき女神の頼まれごと、いつものオッタルなら「仰せのままに」と即答していただろう。

 けれど、内容が闇派閥(イヴィルス)に関わることならば話は別に決まっている。

 

アストレア・ファミリア(あの子達)が行かないから」

 

「仰せのままに」

 

 今アストレア・ファミリアを監視していたとある侍女からの情報によって冒険者依頼(クエスト)を受けず、突き返すなど言っているというのを知った。

 

「早急に行ってまいります」

 

「ええ、お願いするわ」

 

 だからこそ、アストレア・ファミリアが行かないならば、とフレイヤは思ったわけだ。闇派閥(有象無象)など、本来は相手にもしないのだが、相手が動いているならば別だ。

 それに、自身が惚れ込んでいるベルにとっても闇派閥(イヴィルス)は許せないと思っているらしいので、あわよくば滅んで欲しいとさえ思っていた。

 

「……ベル、貴方の願いは全て叶える。だからこそ、()()アストレアに預けるわ。けど」

 

 最初から首魁が消え、力を失った闇派閥(イヴィルス)など眼中に無い。それ以上に、大切ができたから。欲しいものが見つかったから。白く輝く綺麗な

 

「ベルが欲しい」

 

 それだけでいい。それがいい。アルフィアが今も生きていたならばフレイヤなどボコボコのボコで、眷属にしようとも出来なかっただろう。考えられなかっただろう。

 けど、もうアルフィアはいない。ベルの心は傷心中。

 

「会いに行こうかしら、彼に」

 

 だからこそ、誰も気づかない。誰にも止められない。

 

 

 ■■■■■■■

 

 

 

「というわけだ」

 

「お前一人で行けばいいだろうが」

 

「なぜ我々まで行かねばならん」

 

「「「「脳筋ゴリラだけで十分だ」」」」

 

「……フレイヤ様のご命令だ」

 

 円卓の間にて、訳を話したら、全員から拒否られた。

 

「宿命を約束されし豬のゴリラは、混沌に迷い込み──」

 

「キモイ黙れ、喋るな」

 

「くっ、供物たる兎、正義謳う清き乙女達より美しき女神の悲願、叶えたるが宿命、けれど背きたるもまた宿命」

 

 そして、とあるチューニ病は、喋っていたらヘディンから一蹴され、それに対抗して答える。

 

「なんだと殺すぞ」

 

「おいヘディン! 通訳しろ、そいつはなんて言ってる」

 

「なぜ私がせねばならん、理解しろ」

 

「「「いいからしろ!」」」

 

「チッ、『とっととベル・クラネル取ってくるのが優先じゃね? つか殺さね? ヘディンうるさい』」

 

「「「ハッハッハッ!! 全くその通りだな!」」」

 

「全員ならべ、殺してやる」

 

「やれるもんならやってみろ、羽虫」

 

「黙れ愚猫」

 

 そうして、取っ組み合いとなった、ヘディンとアレンは後でフレイヤから怒られ、反省した。

 そして、オッタルは一人で行こうと誓った。

 

 

 

 ■■■■■■■

 

 

 

「……ベル・クラネル」

 

「?」

 

 オッタルはフレイヤから任務を頼まれたあと、円卓の間にて幹部達が荒れに荒れ、ホームから出てきたのだが、出た矢先に出会ったのがベルだった。

 

「……えっと、お、おー? ……ゴリラさん!」

 

「……オッタルだ」

 

「あれ? ……で、何の用ですか?」

 

 惜しくもない間違えをして挙句、それが嫌味などでなくガチの間違えだということに少しオッタルは胃痛がした。

 

「僕、暇じゃないんですけど……」

 

「この後、用があるのか?」

 

「……ナイデスケド」

 

 顔を背けながら、ベルは後ろめたそうに答えた。暇じゃないと言ったのに、用はない。矛盾しているからだ。

 

「(ダンジョンにいく)付き合え」

 

「へ?」

 

「聞こえなかったか? 付き合え」

 

 前の主語が抜けているせいか、オッタルは気づいていないせいかとんでもない発言となっている。「ま、まさか、これが! BL!」「マジかよ猛者www」「ベルきゅんピンチ!」「おい誰か、アストレア・ファミリアに連絡しろ〜!」なんて、男神や女神がふざけ倒している。

 

「……エットー、お、お友達から始めましょう?」

 

「なぜ友達にならねばならん」

 

「……んー、なりたくないから(順序からあるから)

 

「なぜなりたくない、というかお前が言ってきたんだろう」

 

「?」

 

「( っ °、。)っこてん」

 

 首を傾げ、考える素振りをする2人。というか、これを見ていた全員が思った。

 

「この空気めちゃくちゃにしてぇ」

 

 と、もどかしいのだ。伝わってないことが。

 

「友達……とはなんだ?」

 

「え、えー? ……仲間、みたいな?」

 

「俺とお前は仲間、なのか?」

 

「え………………違う、と思い……ます?」

 

「なら、友達? では無いのではないか?」

 

 うーんうーん、と左右に揺れながら考え悩むべル、オッタルは宇宙猫となっている。

 

「友達……仲間……違う? アリーゼさん達は友達、じゃないと思う……し……、友達ってなんですか?」

 

「俺に聞くな」

 

 しってた、と言わんばかりに苦笑いをするベル。

 

「うーん、ゴリラさんは友達でも、仲間でもないし……」

 

「オッタルだ」

 

「ゴリラさんのファミリアは友達らしい人はいるんですか?」

 

「オッタルだ、いない」

 

「可哀想……」

 

 年下から哀れみの目を向けられる、オッタル。というか、ベルも友達はいなかった。いないもの同士考えたって正直意味はない。

 

「なに、やってるの?」

 

「! アイズ、なんでここに? アーディさんは?」

 

「ん……あっち」

 

 そちらの方を見ると、アーディが頭を抱えていた。それは、リヴェリアやアリーゼへの説明だった。

 

「ううぅ……お姉ちゃんとか、【九魔姫】とかアリーゼ…………どうしよう……」

 

 頭を抱え、何かをブツブツ言っていた。アーディはもう、白目を向きそうになっていた。

 

「あんな感じ」

 

「あ、アーディさん……」

 

「ふむ」

 

 アーディに目を向けてうわぁ、と顔に出すベル。オッタルは何故か考え込むような感じを出す。ベルはこてんと、首を傾げている。アイズもだが。

 

「……ベル・クラネル」

 

「なんですか、ゴリラさん」

 

「……まあ、いい、来い。用事がある」

 

「? ……わ、分かりました」

 

 オッタルは歩き出す。ベルとアイズもついて行く、アーディを置いて、ダンジョン内へと進んでいく。ちなみに、ベルはマインドダウンで倒れており、マジックポーションを貰い回復した。

 

「何処に行くんですか?」

 

「ダンジョンだ」

 

「! ……ワクワク」

 

 全然ワクワクした感じではないのだが、アイズは口に出してオッタルについて行く、食い気味に。ベルはそれを見て呆れているものの、オッタルを見極めるチャンスだ! なんて思いながら、ついて行く。アーディのことを忘れて。

 

「どうしてですか?」

 

「アストレア・ファミリアが依頼を拒否した」

 

「それを、フレイヤ・ファミリアが受けたってことですか?」

 

「そうだ」

 

「ワクワク」

 

「それは、なぜ? ……正直、受けなくてもいいやつだと思うんです。僕たちが依頼を受けなくても、それで誰かが死ぬなんて言う大層な依頼なはずがない」

 

 ベルはこのオラリオにきて、フレイヤ・ファミリアの実情というのを知った。都市から嫌われているのもしってる。ロキ・ファミリアとオラリオ二大看板だと言われているが、厄介者扱いされているのも、何となく伝わってくる。

 

「ふむ……依頼が────『イヴィルス掃討の依頼』だと言ったらどうする?」

 

「!!!?」

 

「?」

 

「それは! ほんとですか!?」

 

「あぁ、正確には残党だがな」

 

 ベルはオッタルに食いつくように声を出した。正直、依頼などどうでもいいのだ。誰かが代わりに受けるようなら、尚更どうでも良くなる。けれど、それがイヴィルスというのなら、話は変わる。

 

「ぼ、僕も行かせてくれるんですか!」

 

「ワク……ワク……?」

 

「その通りだ」

 

「なんで!?」

 

 アイズはようやく後ろにいる二人の会話に気づいたのか、振り返っていた。無論襲いかかるモンスターは全て斬り伏せて。ベルとオッタルが会話しているのに気づいたからか、内容を聞こうと少し下がる。

 

「なぜ───に─────、なんで僕だったんですか!?」

 

「お前が───寵愛を─────からだ」

 

「!!」

 

 そして、途切れ途切れだが、少し聞こえてきた。アイズの耳は決して悪くない。ただ、独断先行しすぎて10mくらい離れているという難点があった。

 

「(ベルが、【猛者】と!)」

 

 その難点のせいで、途切れ途切れになってしまい。こんな勘違いが完成してしまうのだ。アイズは│容認されて飼ってるウサギ《ベル》が取られてしまうと思ったのか、一瞬で距離を詰めて、ベルを抱きしめる。

 

「ダメ」

 

「え? アイズぅ?」

 

「なにをする、【剣姫】」

 

 何故か、抱きしめられたベルは困惑するし、アイズとあまり関わりのないオッタルも困惑する。アイズは正直そんな場合じゃなかった。だって、ベルとオッタルなんて、神々でも想像しないカップリングだ。趣味が悪い。

 

「ダメ、ベルはあげない」

 

「? 何の話?」

 

「ハッ!?」

 

 オッタルは気づいた。アイズが、フレイヤのいちばんの難敵になるのでは? と。今だって、ベルを自分のものとフレイヤ・ファミリアの前で宣言しているくらいなのだから。

 

「(フレイヤ様のものだ)渡さん」

 

「!! ……ダメ」

 

「えぇ……」

 

 バチバチやり合う雰囲気だった。目の前にイヴィルスがあと少し行けばいるのに、アイズとオッタルは一触即発の状態だった。ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリアをパーティに加えてはいけない本当の理由を今知ったベルだった。

 

「お前ら! 起動しろ!」

 

 そして、ルドラ・ファミリアのジュラが仲間に言う。アストレア・ファミリアじゃなかったのは想定外だが、イヴィルスは知っている。二年前にLv7か8の冒険者が火炎石の爆発で死んだことを。だから、高レベル冒険者すら殺せる、なんて思っている。

 

「しねぇ!! 【剣姫】! 【猛者】!!」

 

 そして、爆発する。連鎖する火炎石の爆発。理不尽が彼らを襲う。勿論、ルドラ・ファミリアの方を。

 

 


 

 

 

 

「ば、化け物が……!」

 

オッタルとアイズ、ついでになんかいたやつを巻き込んで爆発させたはずなのに、傷一つ付いていないどころか、ベル達の周り以外全て吹き飛んでいる。綺麗に中抜き円を作るように。

 

「爆発、火炎石か」

 

「斬るよ、貴方達を」

 

言うのはオッタルとアイズ、ベルは睨んでいるが何も言っていない。イヴィルスは吐き出すようにいう。

 

「そもそも!お前らがなんでいる!俺たちはアストレア・ファミリアを呼んだはずだ!お前らがなんで、いる!!」

 

その発言にベルは眉を顰める。アイズもずっとイヴィルスの方を睨んでいる。オッタルは何も言わない、ただ斬ることしか念頭にないという顔をしている。

 

「……アストレア・ファミリアを罠にはめる?……殺すなんて、お前らに出来ると思うの?」

 

「お前ら!間近で見ただろ!あの威力を!破壊力を!あれがあればアストレア・ファミリアを殺せた!お前らさえ来なければ!」

 

見当違いを重ねるイヴィルス残党にベルは心底軽蔑した。首魁が消えればここまで組織は退化するのだと。

 

「───死んで」

 

同時にこんなのと同じ扱いをされて死んで言ったザルドが可哀想に見えてくるくらい、ベルにはこの組織がザルに見えた。放つは超短文詠唱の雷魔法。

 

「斬る」

 

ルドラ・ファミリアは逃げるために1歩後ろに後ずさりした時。パチンと音が聞こえた。それは、木の枝を踏んだ音だった。でも、それは厄災の終わりを告げる音だった。

 

『ぎゃああああああああああ』

 

「?……なんだ」

 

ベルの魔法が、アイズの剣が、オッタルの動きが、一斉に止まった。大きな音と共に現れるのは一つのモンスターだった。

 

「黒い……なにあれ」

 

それが、誰も知らない未知だと気づくのはその一秒後だった。

 

 


 

 

 

「それで?」

 

「えっと……それで、ゴリラさんに助けて貰って、雷で援護射撃したんですけど、跳ね返されたから、アイズがバーンって行ってギャキンギャキンって切って……それで、その」

 

ベルは今、尋問されていた。誰に?アストレア・ファミリアにだ。アーディがアイズとベルを見失ったあと、アリーゼ達にも伝えていた。だから探していたのだが、なぜか【猛者】とともにイヴィルスの残党を討伐しに行ってるなんて聞いてない。

これには、普段優しいアストレア様もびっくりである。ダンジョンに行くなら行っていいが、もう少し下級冒険者の域を超えないでなんて思ってしまう。

 

「ぐぁーんっ来たんです!で、ゴリラがぐーん!振り上げたら、がーんって凄くて、有象無象なんてビクビクしてて!ぎーんって凄くて」

「あーもういいわよ。無駄だから」

 

アリーゼはまだ言い続けるベルに辟易してそう伝えた。アイズに聞いてもそんなんだからベルに聞いたのに、アイズと同じくらい酷いなんて聞いてない、とばかりにジト目で睨む。

 

「うぐっ……」

 

「ベル、無闇に下に行ってはいけない。そして、知らない者についていってもいけない。あなたはまだ子供だ」

 

「はぁい……」

 

「そこじゃねぇんだよ、バカリオン」

 

「んなっ!?バカとは何ですか!ライラ!」

 

「少し黙れ、青二才」

 

「輝夜!!」

 

アリーゼ他は騒がしてくて、喧嘩しかしていない。ベルは思った。だからイヴィルスに反感を買うのか?と。

 

「いま、なにかんがえてる?」

 

「イエ、なにも」

 

「そう?ならいいんだけど」

 

アリーゼはアリーゼでずっと睨んでくるし、酷く居心地が悪かった。けれどその中で静かだったリャーナが口を開いた。

 

「ねぇ、ベルが言ってるモンスターって新種、なのかしら?」

 

「……どういう意味?」

 

アリーゼが聞いた。

 

「そのままの意味で、普通30階層付近だったらそれ相応のモンスターが出現するはずじゃない。でも明らかにそのモンスターは私たちが知る中でも圧倒的に強い」

 

「つまり、イレギュラーを感知したダンジョンが生み出したなにかだって言いたいのか?」

 

「ええ、ネーゼが今言った通りのことを考えてるわ」

 

「でも、それなら筋は通るよね」

 

「そうねぇ〜、でもそんなことがあるかって言われたら、わかんないわよ?」

 

「でも、ないとも言いきれないじゃん」

 

「いや、別の線を考えるべきだ。いくらダンジョンに意思があるとはいえ、そこまでをできるとは考えにくい。」

 

「それ以外に何かある?」

 

「考えにくいな」

 

アストレア・ファミリアは考える。たくさんの線を、隠されてるかもしれない可能性を。アストレアからの助言は受けられない。ギルドに行ってしまったから。

 

「そういえば……魔石、なかったなぁ」

 

「「「「!!!?それを先にいぇぇぇ!!」」」」

 

「ひゃい!ごめんなさいっ!!」

 

たくさんの可能性にアストレア・ファミリアは自分達のしっくりくる答えを探していたが、ベルのつぶやきから、ほぼ確実のこととなった。それは

「やっぱり、イレギュラーの線が正しいでしょうね」

 

「やっぱりそうなりますか」

 

「ま、分かってたことだけどな」

 

「だとしてもです」

 

そう結論づけた。だって、それ以外にありえない。と言えるほど魔石が無いモンスターなどおかしいのだから。アストレア・ファミリアはベルの方をむく。

 

「な、なに!?」

 

「……ねぇ、ベル」

 

「……な、んでしょう」

 

アリーゼ達の気迫がすごすぎてなぜかベルは敬語あんど涙目となっていた。正直、怖すぎる。今すぐにでも逃げ出したかった。

 

「30階層って何?」

 

「あ…………【秘技・脱兎〈改〉】!」

 

高速で逃げようとドアまで走る。Lv1といえ、俊敏特化、いざとなればケラヴノスもあるし、大丈夫なんて思っていた時も数秒前までありました。

 

「オラ、逃げんなよ」

 

「わなっ、はなして!」

 

「あの、ずっと思っていたのですが、秘技の名前が……」

 

「え!?ダメなの?ロキ様っていう男神様に聞いたんですけど」

 

「そうでしたか、あとベル……神ロキは男神でなく女神です。失礼なので覚えててください」

 

「そうなんですか!?」

 

どこからか「誰が乳なしじゃボケぇ!!」なんて聞こえてきたが、知らない知らない。知らなかったものは仕方ないと割り切るしかないと知っている。

 

「あれが……絶壁(ウォール)

 

「不敬って知ってる?」

 

「でもでも!子供でももうちょっとありますよ!」

 

「不敬ですよ!?」

 

「ヘルメス様が言ってました!あれを天界ではロキ無乳って言うんだって!持たざる者って言うらしいです!」

 

「ベル!?不敬!失礼だから!相手一が応でも神様だから!あんなのでも敬意払わなきゃいけないから!」

 

「あなたも失礼だ!!」

 

神に不敬することは義理堅い子供たちからは絶対にダメとされているのにこの2人の発言にリューは声を荒らげる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「落ち着いた?」

 

「ま、まあ……落ち着きました」

 

いつも無駄に大人びているというか、大人な感じにしているベルがここまでなることは無いのだが。アリーゼは少しいい兆しだとも思った。

 

「ベル、いいことを教えてあげるわ」

 

「?なんですか?」

 

「私は今!赤い下着を着てるわ!勝負下着よ!フフーン!」

 

「アリーゼぇぇぇぇ!?」

 

「んなっ!?何言ってるんですか!?」

 

二人は声を荒らげた。いや、声を粗げなくとも他のみんなも目がギョッとしていた。正直、何言ってんだこのバカくらいなのだが、アリーゼは続けざまに

 

「女の子のことを知っておいて損は無いのよ!バチコーン☆」

 

「バチコーンじゃない!何を言ってるのです!アリーゼ!」

 

「ちなみにリオンのは白い下着よ!」

 

サラッとリューの下着の色もばらすこのバカにリューはもっと顔を真っ赤にさせる。

 

「なぜ知ってる!というかバラすなぁ!!」

 

リューガ1番声を荒らげているのだろう。肩で息をしているくらいだ。輝夜とライラなんてリューを煽ればいいのか、アリーゼをドン引けばいいのか、正直反応に困っていた。

 

「アリーゼさん、勝負下着でもする相手いない……」

 

場が固まった。イヴィルスとの戦いを先頭切ってなしていた彼女たちは男の影など皆無──ベルを除いて──だから、アリーゼ達はそういうのに飢えていたし、いい男がいるのなら、ゲットしたいとも考えていた。行き遅れになりたくないから。

 

「ナニカイッタ?」

 

「ヒエッ!?」

 

だからこそ、このベルの発言は地雷だった。アリーゼだけでなく、ネーゼ達まで顔色を暗くしている。みなもうそろそろで全員が二十代。なのに、男の影はゼロ。なんてことでしょう。

 

「イッチャイケナイワヨネ?」

 

「ソウネェー、イッチャ、イケナイワヨネェー」

 

「年齢と同じくらいな」

 

「大体、ベルは女心をわかってないんだよねぇ」

 

「ネーゼ、マリュー抑えておいて」

 

「「任せろ(まかせて)」」

 

「いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして、地獄を見た。

 

 


 

 

「おおー、かわいい!」

 

「可愛いわね!」

 

「すごい」

 

それは、ベルきゅん、メイド化である。

 

「うう……なんで、こう」

 

脱がされて、パンツまで変えさせられて、悲しいことにピッタリなのが怖いくらいだと、ベルは思う

 

 

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