静寂に連れられた白兎はオラリオへ行く。   作:如月悠

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前書き!

いや、ほんと、投稿頻度あげるつもりだったんですよ?でも、学校も、部活も忙しくて誠にすみません。

後新しい短編シリーズやるつもりなんでそっちも見てください!いつになるかは分からないけど。

では、本編どーぞ!


対策会議

ギルドの一室、【ロキ・ファミリア】、【フレイヤ・ファミリア】、【アストレア・ファミリア】に【ガネーシャ・ファミリア】、【ヘルメス・ファミリア】の団長、副団長が集まる会議。

 

「各【ファミリア】の代表、そろったな。ではこれより、定例の闇派閥(イヴィルス)対策会議を始める。」

 

ギルド長、ロイマンの言葉によって始まる会議。それは文字通り闇派閥(イヴィルス)の打倒作戦を考えるため。

 

「──その前に、現状の体たらくはなんだ、お前達!連日のように襲撃は絶えず、つい先日には大規模の奇襲さえ許しおって!」

 

開始の言葉の次は怒号だった。確かに先日、炊き出しの時、闇派閥(イヴィルス)幹部【殺帝(アラクニア)】による襲撃により、オラリオ側は大きな被害を受けた。

 

「さっさと害虫駆除してえなら、闇派閥(イヴィルス)も追ってダンジョン攻略も進めろなんざ、間抜けな注文を押し付けるんじゃねぇ豚が。」

 

それに文句を呈したのは【フレイヤ・ファミリア】副団長であるアレン・フローメルだった。

 

「『遠征』に行った帰りに都市中を回らせやがって……頭の中まで畜生に変わりやがったのか?」

 

「し、仕方なかろう!男神(ゼウス)が消え、女神(ヘラ)の【静寂】しかいない今、都市の内外にオラリオの力を喧伝するのは急務!でなければ──」

 

アレンの喧嘩腰の言葉にロイマンがそう言う。

 

「第二、第三の闇派閥(イヴィルス)を生み出しかねん!迷宮(ダンジョン)の『未到達領域』に辿り着き、都市(オラリオ)の威光を示さねば世界にも余計な混乱が……!」

 

自分(てめぇ)の趣味の悪い席が後生大事だと、素直に吐きやがれ。それ脂ぎった体で権力にしがみつきやがって。」

 

「アレン、やめよう。話が進まない。率先していがみ合う必要は無い筈だ。」

 

それを止めるのが【ロキ・ファミリア】の団長にしてLv.5【勇者(ブレイバー)】の二つ名を神に賜った現在オッタルに次ぐ最高戦力のフィン・ディムナだ。

 

「その口で俺の名を呼ぶんじゃねぇ、小人族(パルゥム)。虫唾が走る。」

 

だが、それで止まらないのがアレン・フローメルという人物だ。

 

「意思疎通さえ出来ない眷属の態度、神フレイヤの品性が疑われるな。」

 

「──殺されてえのか、羽虫。」

 

そんなアレンに苦言をこぼすのは【ロキ・ファミリア】副団長のLv.5のハイエルフ、リヴェリア・リヨス・アールヴなのだ。

 

「もう既に帰りたい……なんで初っ端からさっきで満ちているんですか、この会議……」

 

「【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】の険悪さはいつも通りでございますから。気にするだけ無駄かと〜。」

 

「そもそもなんで派閥会議に副団長(わたし)が駆り出されるんですか……!殴るっ、絶対にあの主神と団長、殴る……!!」

 

そう言葉をこぼすのは【ヘルメス・ファミリア】副団長アスフィ・アル・アンドロメダと【アストレア・ファミリア】副団長ゴジョウノ・輝夜だった。アスフィはもう会議の愚痴ではなく主神たちへの愚痴になっているが。

 

「ロイマンを庇う訳でもないが……先の奇襲を食い止められなかったのは儂の責任だ。詫びのしようもないわ。」

 

その場にいたガレスがそういう。

 

「白昼堂々、しかも往来の中心での突然の凶行など、予想出来ていたとしても止められるものじゃない。ましてや【殺帝(アラクニア)】の仕業ともなれば。」

 

顔を顰めながら、そう【ガネーシャ・ファミリア】団長のシャクティ・ヴァルマがいう。

 

「フィンや憲兵団(われわれ)が想定していたのは爆発物による混乱……、ガレス達に不審物に注意するよう伝えていたのが仇となった。」

 

「『爆発物』?どういうこと?」

 

シャクティの発言に疑問を呈すアリーゼ

 

「一連の工業区の襲撃において奪われておった『撃鉄装置』、あれの用途は『爆弾』の製造ではないかと踏んでおった、ということじゃ。」

 

機構(スイッチ)を取り付け、誰でも作動できる『爆弾』と化せば十分脅威になりうる。それこそ魔石製品のようにな。」

 

「魔剣や魔道具(マジックアイテム)と異なり、戦闘の心得のない『信者』でも設置及び作動できる。警戒していたのだが……山が外れたか。」

 

自分達が悪い、というように皆にいうシャクティ。そしてリヴェリアがいう。

 

「あるいは、まだ切り時ではないと溜め込んでいるのか、だ。」

 

皆が固唾を呑む。

 

「なるほど。理解しました。どうせなら、先に情報共有していた欲しかったものですが。」

 

「あくまで予想に過ぎなかったというのが一点。もう一点は警備を厳重にするあまり、敵の動きを誘いにくくしたくなかった。」

 

フィンが二つの要因を話すと、一部の顔色が変わった。理由は明白だが。

 

「……勇者様の中では、あの奇襲さえ予定調和であったと?犠牲者の数も算盤で弾いて、小を切り捨てたので?」

 

フィンに対して悪態をつくように、その行動に対して、輝夜がそう聞く。

 

「被害の規模までは読めなかった、と言っても言い訳にしか聞こえないだろう。が、おかげで敵の本隊を叩くことが出来た。」

 

「大した勇者がいたもんだ。」

 

「全くだ。常に選択を迫られる今の状況と、それを覆すことが出来ない自分がつくづく嫌になる。」

 

苦笑いを浮かべ、アレンに対しそういう。

 

「──はい、この話題ヤメヤメ!私こんな不景気な話題聞きたくないわ!それに暗い顔してたら団員(アルフィア)に吹き飛ばされるわ!」

 

そう言ってアリーゼがそう話題を変える。

 

「アリーゼ・ローヴェル……あなたという人は……。」

 

「だってそうじゃない!みんな都市を守るために最善を尽くしているのに、それを責め合うなんておかしいわ!」

 

「「「!!」」」

 

「反省するところは反省する、いい所は称え合う!それが正しい話し合いというものよ!子供でもわかるわ!」

 

全員が考え直される。アリーゼの正論は今の会議に必要だったのだ。

 

「くっくっく……ハッハッハ!相変わらず物怖じしない娘よ!しかし、その通りだ!」

 

「ちッ……正論ばかりほざきやがって。」

 

「反論できないなら、悪態をつくのは控えておけ。彼女の正論こそ今において最も建設的であり、有意義な提案だ。」

 

みながそう言う。

 

「清く正しい私の前に第一級冒険者さえひれ伏したわね!フフーン!さっすが私!!」

 

「団長、頼むからこの場で調子に乗るのはやめてくれ……。」

 

調子に乗るアリーゼを制すのは輝夜だ。

 

「ふふ……明るい話は生憎無いが、彼女の言う通り建設的な会議をしよう。」

 

そして、話を戻す。

 

「まず、シャクティ達が制圧した『悪人共の違法市(ダーク・マーケット)』について情報共有を──」

 

今から会議を始める。

 

「─────────」

 

「今まであった事件、及び伝達事項はこのくらいかな。誰か、他に共有しておきたい情報はあるかい?」

 

「……闇派閥(イヴィルス)側に最低でも一人、手練れがいる。恐らくは、生粋の戦士。」

 

都市最強と謳われるオッタルがそういう相手に全員が息を飲む。

 

「あ、例の超硬金属(アダマンタイト)の壁を破壊されたって言うアレね。でも、交戦したわけでも、姿を見たわけでもないんでしょう?」

 

「確認する必要も無いほどの離れ業だった。それだけだ。少なくとも闇派閥(イヴィルス)の幹部どもができる芸当じゃねえ。」

 

アリーゼの問いに答えるアレン。

 

「精査する情報は少ないだろうが、オッタル、敵の能力(ステイタス)を仮定するとしたらどれほどになる?」

 

フィンが淡々とそう聞く。

 

「………Lv.6(レベル・シックス)以上、以下はありえん。」

 

「なっ……!?【猛者(おうじゃ)】と同じ……!?」

 

その答えに一部が驚愕する。いや正確にはあの八年前にオラリオで痛い目にあっていた連中だけが暗い顔をする。

 

「…………こんな時に、Lv.6以上か…。」

 

「嫌な思い出が掘り起こされるから何も言うな。」

 

「お主の場合は主にあやつじゃろうに。」

 

【ロキ・ファミリア】三首領。

 

「……多分、男神の方だ。」

 

【フレイヤ・ファミリア】オッタル。

 

「まあ、過去の強豪共(オシリス・ファミリア)の例もある、第一級冒険者並みの戦力を隠し持っていた可能性も捨てきれんのう。」

 

「……【オシリス・ファミリア】かは、分からないけどその戦士が闇派閥(イヴィルス)の可能性は高い、各派閥、単独行動は避けてくれ。」

 

それに全員がうなづく。

 

「さて、最後になるが……『本題』に入る。」

 

そして、また話題は変わり、大詰めに入る。

 

「【ヘルメス・ファミリア】の偵察によって、闇派閥(イヴィルス)の新たな拠点が見つかった。」

 

「「!!」」

 

輝夜とアリーゼがそれに反応する。

 

「廃棄された施設を利用しているようです。これまでとは異なり、かなりの規模……それも三つ。内部までは探れませんでしたが、」

 

大規模の拠点が三つ、闇派閥(イヴィルス)も本気なのが垣間見える。

 

「一般人を装った見張りの数からいっても、相当に臭う。恐らくは『本拠地』と言っても過言ではないでしょう。」

 

「そこで、この三つの拠点を同時に叩く。」

 

「一つは【アストレア・ファミリア】が行くわ!」

 

「僕はまだ何も言ってないよ?」

 

フィンが今から説明しようとした、前アリーゼが自分達が受け持つと言う。

 

「本拠地に突撃する【ファミリア】を募るんでしょう?二つの都市最大派閥(ロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリア)が散らばるのは当然として、残り一つは余る!」

 

ドヤ顔をしながら都市最大派閥の状況を言い当てるアリーゼ。

 

「なら私たちが受け持つわ!機動力なら負けはしないもの!」

 

「……フィン、我々も【アストレア・ファミリア】と連携する。それなら、頭数も十分だ。」

 

そういうシャクティ。確かに【アストレア・ファミリア】の機動力、【ガネーシャ・ファミリア】の人数、ふたつがあれば闇派閥(イヴィルス)も捕えられるだろう。

 

「……ダメだ。」

 

「!!なんででございましょうか?」

 

けれどフィンの答えは‪✕‬(ノー)だった。

 

「嫌な予感がするんだ。」

 

「だからって──!」

 

「僕は行くな、とは言ってないよ?」

 

アリーゼがフィンに対して反論しようとしたらフィンがそう言った。

 

「ただし、条件がある。【静寂】、アルフィアを連れて行ってくれ。出ないと容認できない。」

 

「何故?」

 

「言っただろう?嫌な予感がするんだ。君たちの派閥にはアルフィアがいるんだろう?連れて行ってくれ、お願いだ。」

 

その条件にアリーゼと輝夜は苦い顔をした。

 

「団長様……わたくし、アルフィアが来るとは思えません。」

 

「奇遇ねー。私もよ。」

 

棒読みの会話をする二人。それを見て全員が苦笑いを浮かべる。

 

「はは、とにかく、お願いできるかな?」

 

「やるだけやってみるわ!」

 

「面倒この上ないですが、勇者様がいうなら従いましょうかね。」

 

フィンに答える2人。

 

「なら予定通り、一つは僕たちが。もう一つは……オッタル、頼めるね?」

 

「いいだろう……」

 

オッタルがそう言う。

 

「話の腰を折るようで恐縮ですが、罠の可能性は?」

 

「それも見越した上で動く。突入部隊に十分な戦力を割くことはもとより、他の区画にも目を光らせる。」

 

輝夜は闇派閥(イヴィルス)が何もしないと思ってないのだろう。

 

「ヘファイストス、イシュタル、ディオニソス……すべての有力派閥に協力を要請する。ロイマン、そっちは任せた。」

 

「仕方あるまい……都市の平和をもたらすためだ。」

 

ロイマンも今回ばかりは全面協力するようだ。

 

「【ヘルメス・ファミリア】は都市全域に警戒を。異状があった際、迅速な情報伝達を頼む。」

 

「了解しました、派閥の者に徹底させます。」

 

「……さて、察しの通り、これは大規模な『掃討作戦』になる。拠点が発覚した今、放置の選択肢はない。こちらから打って出る。」

 

今回、この作戦が決戦となるのが、全派閥が、全冒険者が、わかっているだろう。

 

「作戦開始は──────三日後。」

 

大規模作戦が、三日後、打たれる。

 

「敵に気取られないよう準備には細心の注意を払ってくれ。……ここで戦局を決定づける。」

 

「任せてちょうだい!やってやるわ!」

 

「それでは、解散。」

 

フィンの言葉により、会議は終わる。

 

「…………………………………………」

 

そして、それを聞く、怪しい影がひとつ。

 

 

 

□□□□□□□□

 

 

「ギルドの『内通者』から報告が入った。」

 

そういうのは白髪の闇派閥(イヴィルス)の幹部、オリヴァス・アクトだ。

 

「敵の『掃討作戦』は……三日後。」

 

「ハハッ、でかしたぜ!あの(アバズレ)闇派閥(イヴィルス)の信者様々ってな〜。」

 

そして隣にいるのは濃いピンク髪の幹部、闇派閥(イヴィルス)の指揮官として活躍しており、Lv.5(レベル・ファイブ)のヴァレッタ・グレーデ

 

「敵の懐に潜り込ませてからなんの報告もさせねぇ、一度きりの『密告』。五年前から仕込んでいた甲斐があったぜ〜。」

 

「フフ、間者を放っておきながら今日まで連絡をたっておくとは……普段は型破りそのものの癖に、随分と辛抱強い一面もお持ちですね。」

 

「ば〜か。ここぞって時に切るから『切り札』っつうんだよ。ましてや、フィンはもとより神々も出し抜くんだ。」

 

ヴァレッタがそう言う。

 

「怪しい真似して目をつけられた時点で、嘘なんて見抜かれる。なら、目につかねえほどコソコソさせるしかねえだろ。」

 

やはり、性格とは違い作戦に対しては慎重そのものである。

 

「それよりも『顔無し』、てめえの主神はどこに行った?計画の発起人だろうが。」

 

「さてさて、あの方も御多分に漏れず神なので、今も一人でふらついてるのではないでしょうか。」

 

顔無しと呼ばれたのはLv.4の実力者ヴィトー、『顔無し』……と呼ばれた二つ名の理由は、自身の存在感が薄く、覚えられにくい顔をしている故である。唯一闇派閥(イヴィルス)の首領の眷属である。

 

「ちッ、黒幕は黒幕らしくイスの上にふんぞり返ってやがれ。落ち着きがねえ。まあ、いい……」

 

今回の首領がふらついているという事実に少しイラつきながら”切り札”に話しかける。

 

「──つぅーわけだ。『宴』は三日後。準備しておいてくれよ?『本当の切り札』さんよぉ。」

 

「細かいことは関知せん。その時になったら呼べ。どうせこの身は戦場でしか役に立たん。……それまでは腹を空かせておく。」

 

圧倒的強者として君臨した【ゼウス・ファミリア】の大幹部、最強に相応しいその名を冠したその男、ザルドだ。

 

「フフフ、百を語らず一刀のみで存在を証明する戦餓鬼(いくさがき)……恐ろしい御仁がいたものです。」

 

「てめえがいないと話になんねえからなぁ。あの出鱈目な猪野郎と、道化の連中ブッ潰してやる。」

 

「フフフ、またあの、正義の使者と相対するのが少し楽しみですねぇ。」

 

そういうヴァレッタとヴィトー。

 

「まあいいだろう。ついに我が(あるじ)の念願叶う時……オラリオの崩壊はすぐそこだ。」

 

全員が目標同じにするからこうなるのだろうな。アルフィアが見たら全員をぶっ飛ばすのだろうなぁ、と思うザルド。

 

 

『大抗争』まで、後三日───

 

□□□□□□

【星屑の庭】にて

 

 

「と、言うわけで参加してちょうだい、アルフィア!」

 

「何がというわけだ、小娘。やるわけないだろう?お前らで何とかしろ。」

 

やはり、予想通りの答えは無理。

 

「お願いよ!フィンさんからそう言われてるのよ!アルフィアが来てくれないとダメって!」

 

「何故私なのだ。私はこの本拠(ホーム)にいる。それ以上は何もせん。」

 

「何卒、どうにかできませんでしょうか?」

 

「その喋り方をやめろ、不愉快だ。」

 

その言葉に輝夜はイラァッ。としながら何とかと、アルフィアに頼み込む。

 

「何とかできないかしら!?」

 

「無理な相談だと思いますが。」

 

「何とかできる人いないかしら……」

 

「そうですねぇ。あいつの弱み…」

 

そんなことを言いながら考える2人。

 

「「あ!!」」

 

そして、同時に声を上げる。

 

「いましたねぇ。」

 

「いたわね!」

 

その会話にアルフィアは怪訝な顔をしながら今も尚本を読んでいる。そして、2人は裏に引っ込んでしまう。

 

「…………ん?」

 

そして、ドアがガチャっと開いたと思ったら、服を引っ張られた気がしたのでそちらを見てみると愛おしい白兎がいた。

 

「(チッ、こういうことか……)」

 

「お、おかあさん……おねがい…。アリーゼさん達、手伝ってあげて?」

 

「…………無理だ。」

 

「な、なんで!?」

 

白兎は目を丸くして聞く。

 

「お前が大事だからだ……。」

 

頭を撫で、そう言う。こう言えば引いてくれる、そう思っているからだ。

 

「……なら、僕もいく!」

 

「!?」

 

いつもより頑固な白兎が、そういったことに驚くアルフィア。というか、行かせたくない。けど、自分も行きたくない。どうしよう、と思っているのだ。

 

「僕も、恩恵(ファルナ)は持ってる、行く資格は持ってるはずだよ!だから……。」

 

「わかった、行こう。けれど……お前は連れて行けない…。あそこは危ない。」

 

「えっ……。」

 

行く、という言葉を聞いて安堵したのもつかの間、アルフィアはお前はつれて行けないと言ったのだ。確かに恩恵(ファルナ)は持っている魔法(チート)も持っている。けれど、ベルはまだ子どもだ。

 

「だから……ダメだ。」

 

「いやだ!なにも、力になれないなんて嫌だよ!おかあさん!」

 

駄々をこねる子供のように、そういうベル。

 

「……だめ──」

 

「いいんじゃない?アルフィア。」

 

ダメだ、そう言おうとしたその時。介入したのは小娘たちではなく、女神だった。

 

「……アストレアッ。」

 

「いざとなったらあなたが守ればいい。それに、強くなるのを止める貴方じゃないでしょう?」

 

そういうアストレア。本心は平穏を願っていても、ベルは言ってしまった。

 

 

 

──僕が最後の英雄になる!

 

 

 

それは取り消せない事実であり、ベルのスキルとなっているのだ。

 

「……っ。だが!」

 

「それに、あなたが止めるのは別の理由があるからじゃないの?」

 

「───────」

 

本心を当てられてしまった。図星だった。

今回の戦い、ベルにとって忘れられない人物が絶対に出てきてしまう。

というか、そもそも、オラリオに残るつもりはなかった。

今回の戦いにベルを巻き込みたくはなかった。だから少しだけ来て帰るつもりだった。

 

「……っ……。」

 

「それを言わないと、ベルは納得しないわ。言ったとしても納得するか分からないけど……。」

 

言えないなら、つれていけばいい。でしょ?そういうアストレア。二つに一つ。どちらをとっても最悪。そんな状況にアストレアを恨みながら選択する。

 

「……わかった、連れていく。」

 

アルフィアが選択したのは連れていくことだった。話さず、自分が守ることを選んだのだ。

 

「やったわね、ベル!」

 

「団長、静かにしろ。吹き飛ばされるぞ。」

 

ドアの影から出てきたのはアリーゼと輝夜だった。恐らく全てを聞いていたのだろう。

 

「うん!……僕、頑張る!」

 

まっ、サポーターだろうけど、とベルに聞こえないように言うアリーゼ。

 

「……アストレア、私のステイタスを更新しろ。せっかくだ。」

 

「そうね、ならアルフィア来てちょうだい。すぐステイタスを更新しときましょう。」

 

そして、アストレアの部屋に移動し、ステイタスを更新した。

 

アルフィア

Lv8

力:E490

耐久:F395

器用:E478

敏捷:D531

魔力:B703

魔導:C

耐異常:E

魔防:E

精癒:E

覇光:H

連攻:I

 

■魔法

【サタナス・ヴェーリオン】

□詠唱式:【福音(ゴスペル)

 

□スペルキー【炸響(ルギオ)

 

静寂の園(シレンティウム・エデン)

□詠唱式:【魂の平静(アタラクシア)

 

□完全に『無効化』

 

【ジェノス・アンジェラス】

□詠唱【祝福の禍根、生誕の呪い、半身喰らいし我が身の原罪】【(みそぎ)はなく。浄化はなく。救いはなく。鳴り響く天の音色こそ私の罪】【神々の喇叭(らっぱ)、精霊の竪琴(たてごと)、光の旋律、すなわち罪禍の烙印】【箱庭に愛されし我が運命(いのち)よ砕け散れ。私は貴様(おまえ)を憎んでいる!】【代償はここに。罪の証をもって万物(すべて)を滅す】【哭け、聖鐘楼】

 

■スキル

才禍代償(ギフ・ブレッシング)

 

 

双分運命(アルメー)

 

 

奏律曲光(ヴェル・アルドーレ)

 

 

「相変わらずね。」

 

ステイタスを見ながらそう言う。

 

「変わるわけあるか……。」

 

「そういう意味じゃないんだけど。」

 

「どっちでもいい、それより、私はついて行きベルと私に来る火の粉を払うだけだ。何もしない。いいな?」

 

高圧的にそう聞く。

 

「ええ、それでいいわ。」

 

「なら、まあ、いいだろう。」

 

そして、服を着て、部屋を出る。

 

「……明日くらいに話しておくか。」

 

そう言って団欒室に入る。

 

「あ、お義母さん!」

 

ベルが抱きついてくる。少し寂しかったのだろう。可愛いやつめ、そう思いながら頭を撫でる。

 

「もう寝るの?」

 

「嗚呼、一緒に寝よう、ベル。」

 

「うん!」

 

そして、部屋にいた面々におやすみと言って自分達の部屋に戻って布団に入る。

 

「…………」

 

「お義母さん……っ。」

 

「……なんだ?」

 

「おこってる……?」

 

ベルは怒られる子供のような顔をして、そう聞いてくるベル。

 

「なんでそう思った?」

 

「……話すのも、僕を連れていくのも嫌な顔してたから。僕が行きたいって言った時嫌だったのかなって思って。」

 

「そうだな。不安だ。お前が死んでしまうのではないか、そう思ってしまう。」

 

私がいる限りそうはさせないが、そう思いながらその言葉を言う。

 

「だからだろう。お前に無茶はさせない。」

 

「……うん。」

 

「ベル、悪いと思っているのか?」

 

「……うん。」

 

弱々しい声でそう言う。

 

「なら、三つだけ、これだけは守ってくれ。」

 

「三つ?」

 

「そうだ。一生、覚えているまでは、守ってくれ、私の言葉に従うのは最後でいい。」

 

「……わかった…。」

 

ベルの返事に安心しながら約束を言う。

 

「一つは、仲間を守れ。逃げるな、立ち向かえ。未来で冒険者をしていたのなら、やってくれ。」

 

「……うん。」

 

ベルはしっかりその頭に刻んでそういう。忘れるつもりなんてない。破るつもりもない。だからこそなのだろう。

 

「二つ目は、生きろ。私は多分、お前がいる未来には居ない。だから、私の分まで生きろ。」

 

「……う……ん。」

 

少し、眠くなりながらもちゃんと答える。

 

「最後は、囚われるすぎるな。」

 

「……そ、れ……って。」

 

その言葉の真意を聞こうとするも、眠くなってしまって何とか聞こうとするが目がどんどん降りてしまう。

 

「分からなくてもいい、守ってくれ。」

 

そして、暗くなる意識の中でアルフィアはベルに対して、そういった。

 

 




はい、ということで今回は会議というか、オラリオの情勢についてですね!
このシリーズは事件という事件をことごとく省いてしまっているのでこういう時書いてないと分からなくなるんですよね。
そして、ベル&アルフィア、大抗争に参加決定!

アルフィアにとっては最悪な状況ですね。
というか、アルフィアが話すのを選択したとしてもベルは絶対について行くということをしたのであの話し合いはほんとうに茶番ですね。

多分、次回は大抗争開幕編となるでしょう!幹部メンバーも名前が出てきたので、そうなるでしょう。

期待しないで待っててください!
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