静寂に連れられた白兎はオラリオへ行く。   作:如月悠

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幕開けと絶望

全員が慌ただしくも、冷静に、自分の位置に着く。決戦までの三日など、眠るより短かった。

 

「団長、全員配置に着いた。」

 

そして、今日、全ての【ファミリア】が協力し、大規模な『掃討作戦』を成し遂げる。

それは【アストレア・ファミリア】であっても例外はなかった。

 

「そう、わかったわ。敵には気づかれていない?」

 

「現状そのような気配はない。……逆に静かすぎて、何かあると勘繰りたくなるほどだ。」

 

そういう輝夜には嘘は無い。ここ三日、闇派閥(イヴィルス)側からの動きは無い。奇襲もない。そして、それは今も。

 

「そう……でも、行くしかないわ。今日、何としても闇派閥(イヴィルス)の拠点を落とす。」

 

アリーゼは、いや、オラリオは本気だった。八年前、二大派閥失脚の末の、闇の時代、暗黒期。史上最悪とされる『悪』が蔓延る最悪の時制。それに、終止符を打つ。

 

「いやな静寂だな。」

 

「お義母さん大丈夫?」

 

「……嗚呼、お前は自分の心配だけをしていろ。何があっても守ってやる。」

 

「!……うん。」

 

短い会話、だが、二人とも覚悟は決まった、というより再確認出来た。

 

「アーディ……」

 

「なに、リオン?」

 

「……いえ、勝ちましょう。」

 

「───うん!」

 

お互いに励ます妖精(エルフ)人間(ヒューマン)

 

「オッタル様、アレン様、本当によろしかったのですか?ヘグニ様及びヘディン様、そしてアルフリッグ様達を置いて……」

 

「エルフと小人族(パルゥム)の手なんざ要るか。この猪がいるだけで過剰だ。」

 

佇むアレンとオッタル。二人(アレンとオッタル)だけで十分と判断したそれに本当に大丈夫なのか?そう聞く。

 

「予備隊の指揮は全てヘディンに委ねる。有事の際は奴に指示を仰げ。」

 

答えは───Yes(イエス)それだけだった。

 

「はっ!……ご武運を。」

 

それが、仲間にとってとても勇ましいものだった。そして、安心できた。

 

「刻限と同時に轢き殺す……止めるんじゃねえぞ。」

 

「ああ……殲滅するのみだ。」

 

そして、二人の武人はただ刻限(トキ)を待つ。

 

「フィン、作戦準備は完了した。三拠点同時突入まで間もなく───どうした?」

 

「……親指が疼いている。」

 

フィンの様子を心配するリヴェリアにフィンはそういう。嗚呼、どこぞ(ダークエルフ)の厨二病と同じじゃないからな?

 

「いつもの『勘』か?」

 

「ああ。八年前、暗黒期が始まってから、常に疼いていた。けれど……今日のそれは、一番強い。」

 

フィンには危険等が迫ると親指が疼き出す体質をしていて、危機感知能力が非常に高いのだ。

 

「……どうする?」

 

「行くしかない。先延ばしにしたところで意味は無い。万全の準備を済ませたのなら、後は乗り越えるか、砕け散るか、二つに一つだ。」

 

フィンの言うことは最もだった。

だが、リヴェリアが心配するのもわかる。なぜなら、フィンの勘は外れないからだ。

 

 

 

 

 

───だが、後は刻限を待つだけ。

 

 

 

 

そして、その時は訪れる。

 

「時間だ。」

 

「──突入。」

 

その言葉だけで、『大抗争』は始動する。

 

 

─────時は来た。

 

神は、静かに()()()

 

 

 

‪✕‬□□□‪✕‬□□□‪✕‬

 

 

「ぐああああああああああああ!?」

 

施設に響く信者の悲鳴。

 

「施設を制圧するわ!ネーゼ、マリュー!イスカ達を連れて散って!私達本隊は奥まで行く!ベルはアルフィアから離れないで!!」

 

高速で動く部隊。その連携は見事なものだった。アリーゼは動きながら指示を出す。

 

「一人たりとも逃がすな!全員無効化し、捕縛しろ!」

 

信者を切り捨てながら動く。

 

「通路奥!後は上!来んぞ!」

 

「任せて!」

 

「青二才、右をやれ。逆は私が仕留める。」

 

「言われなくとも────!」

 

それはまさに()()()()の如く、全員が幹部にも引けを取らない実力を持ち、それを遺憾なく発揮する。

 

「───【空を渡り、荒野を駆け、何物より疾く走れ】【星屑の光を宿し敵を討て】!!」

 

妖精の最強を魔法を放つ。

 

「───【ルミノス・ウィンド】!」

 

それは、敵をあらかた吹っ飛ばしてしまうほどの威力をこさえた長文詠唱(ウタ)なのだ。

 

「魔導士でもねえのに相変わらず馬鹿げた砲撃!敵もあらかた吹っ飛ばしたし、こりゃ楽勝だぜ──と言いてえが。」

 

「ああ、()()()()()()()()()()。」

 

その言葉に、全員の顔が引き締まる。

 

「やはり罠をこさえているか。敵の拠点であるなら防衛手段の存在は然るべきではあるが……」

 

「だとしても作戦続行よ!相手も既に施設内の人員を大勢失ってる!このまま畳み掛けるわ!」

 

アリーゼがそう言う。

 

「……!道が開ける!最深部!」

 

そして開かれるトビラ、最奥部にたどり着く。そして、待ち構えるは──

 

「よぉ、来たなぁ。」

 

「【殺帝(アラクニア)】!」

 

Lv.5(レベル・ファイブ)、ヴァレッタ・グレーデだった。

 

「フィンがいねぇ……ちッ、外れだぜ。あの(アバズレ)、テキトーな情報よこしやがって。」

 

宿敵(フィン)が居ないことに舌打ちをするヴァレッタ。

 

「にしても、ここまで来んのが早すぎんだろうがよぉ。電光石火どころじゃねえぞ。ったく……」

 

「言葉と顔が一致してねーぞ。汚え笑みぐらい消しやがれ。……何を隠してやがる。」

 

そういうと、ヴァレッタは口角を上げ、言った。

 

「さあなぁ?テメェ等をぶち殺す算段じゃねえか?」

 

「ヴァレッタ・グレーデ!施設内は制圧した!兵士もほとんどを捕らえている!大人しく投降しろ!」

 

ヴァレッタの狂言など真に受けず、シャクティは言い放つ。

 

「ヒャハハハハ!その台詞(セリフ)にハイそーしますと頷く悪党がいるかよぉ!出ろぉ、てめえ等ぁ!」

 

ヴァレッタの言葉に合わせるように、潜んでいた信者達がヴァレッタとアリーゼ達の前に出てくる。

 

「伏兵!」

 

「まだこんなに!」

 

「来やがれ!遊んでやる!」

 

アリーゼ達に向かってくるのは信者たち。

 

退()け!!」

 

「がっっ……!?」

 

切り伏せるは黒髪の正義の剣客、そして妖精の正義の使者だった。

 

「乱戦……!最後の抵抗というわけですか!」

 

妖精はそういい、乱戦に参加し切り伏せる。誰もこの乱戦に、()()()()()()()()()。ただ一人を除いて。

 

「(()()()()()。アタシはフィンじゃねーが、どうしようもなく臭う。)」

 

ライラはなにか予感していた。戦いの最中、ヴァレッタをシャクティが、信者達をアリーゼ達が相手している、そんな中。

 

「やるじゃねぇか、ハハハハハハハハ!!」

 

「(あの女、何を企んでやがる!)」

 

ライラがヴァレッタに睨みをきかせる、その時。

 

「あ、ああああ!!」

 

「な……子供!?こんな幼い子まで巻き込んで……!」

 

幼い子供がアーディに向かって切りかかる。

 

「ぁ、ぁぁ……」

 

「ナイフを捨てて!戦っちゃダメだ!君みたいな子に武器を持たせる大人の言うことなんか、聞いちゃいけない!」

 

そう言って、アーディは子供を保護しようと──

 

「私は君を傷つけたりしないよ?さぁ、こっちへ──」

 

──近づいた。

 

「───ヒャハッ。」

 

近づいてしまったのだ。

 

「…………………………かみさま。」

 

子供が、弱々しい声で、はっきりと、

 

「おとうさんと、おかあさんに、合わせてください。」

 

()()()()()

 

「────────────」

 

その時、近くにいたアーディは気づいた。

 

 

でも─────遅かった。

 

 

「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!?」」」

 

そして、最奥部は光に、爆音に包まれた。

 

「………………え?」

 

一人のエルフが声を漏らした。

 

「……………うそ。」

 

一人の人間(ヒューマン)が。

 

「まさか……」

 

「………『自決』した?」

 

一人の剣客が、一人の小人族(パルゥム)が。

 

「……………………………………………………………………………………………………………アー、ディ?」

 

そして、一人の姉が。

 

誰もが絶望と、焦燥に駆られる。そして、煙が晴れ、爆発地点が良く見えてしまった。

 

「………えっ。」

 

そして、そこには、()()()()()()様子のアーディと()()がいた。

 

「ぁ……ぁ””ぁ”……。」

 

そして、聡いアリーゼやライラはわかってしまった、アーディは見てしまった。

 

『アーディさんっ!!』

 

といい、爆発する前に近づいてきた一人の男の子と、それを追いかけた一人の母親を。

 

「……………………………」

 

誰よりも早く、ベルは気づいた。誰よりも早く、見つけてしまった。アーディが近づく女の子に巻き付けられた自決装置を。不敵に笑う(ヴァレッタ)の存在を。

 

「あぁ……ああああああああああああああ!!」

 

ベルは、アーディを守るために、死ぬと思っていても、助けようと飛び込んだ、

 

 

 

──ハズだった。

 

 

 

女の子の元には来た。けれど、後ろから来た"何か"に、投げ飛ばされた、しまった。そして、その何かは、最期に呪いとなろう言葉を残した。

 

『ベル、愛している。』

 

それが、最後の言葉だった。たったそれだけ、なはずなのに、ベルはアーディを助けるために力もないのに飛び込んで、最愛に肩代わりさせてしまった。

 

「お……かあ…さ、ん……?」

 

それが何かの正体。ベルを投げ飛ばしたのは、たった一人の肉親であるアルフィアだった。

 

「───ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

姉の言葉を破り、自己満足の良心を振りかざした結果がコレ?と、今ベルは焦燥に駆られ、自己嫌悪をし、何も聞こえなくなっていた。

 

「見てるかァ、死神(タナトス)の糞野郎!てめーが誑かしたガキが、冒険者を道連れにしたぞォ!!」

 

されど、不快な声は、汚泥のような声はこの最奥部の中で響いていた。

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

「……うそだ。……そんなの……。」

 

今ベルの中にあるのは虚無と絶望。それだけがベルの中に渦巻いている。

 

「────ッッ!!アリーゼ、リオン、輝夜ァ!倒れてる連中から離れろぉ!!」

 

ベルを抱え、まだ突っ立ているアーディの手を引くライラがそういった。

 

()()()()()!!」

 

「「「────────────っっ!?」」」

 

そして、一人の信者が立ち上がった。

 

「主よ……この命っ、どうか愛しき者のもとへ───!!」

 

そして、その瞬間悟った。()()()()と。

 

「「「ぐうううぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」」」

 

爆発には巻き込まれなかった三人だが、その熱風と爆風のせいで、ダメージをおっていた。

 

「『火炎石』に『撃鉄装置』の機構!上々じゃねえかァ!」

 

そういった、ヴァレッタの発言に輝夜とアリーゼがハッとなった。それは、あの会議で出た問題。

 

「(フィンさん達の憂いが、()()()()()()()()()()!)」

 

本当になるなんて思わなかった、こういう風に使うなんて考えもしなかった。

 

「誰にでも簡単に使える『自決装備』の完成ってなぁ!!」

 

「くそがっ!糞ったれがァ!!てめえ、仲間を全員───!」

 

「ようやく気づいたのかぁ?施設の制圧?兵士を捕えた?───関係ねぇよ。」

 

ライラがヴァレッタに対し、怒りを向ける。ライラはとある神に蛇の道も知っていると言われたが、ライラはそれを知識と知恵に変えている。結果的に自分達を助ける手助けにしているのだ。それを、闇派閥(こいつら)は人を道具として使い、尊厳を踏みにじる。

 

「なぜならそいつらは『戦力』じゃねぇ───ただの『花火』だからなぁ!」

 

 

 

───『悪』。

 

 

 

その事実がライラを怒らせる。

 

「なんだ、今の爆発は!?団長達は無事なのか!」

 

ただ、その時、何も知らない部隊が来てしまった。

 

「──っ?おい、お前っ、何をしてっ───」

 

そして、信者が()()()()()()()()

 

「この命をもって、罪の精算をぉ───!」

 

「っっ!?ノイン、アスタ、逃げてっ──!!」

 

巻き込まれたのは【ガネーシャ・ファミリア】だけでは無い、ネーゼ達も、爆発に巻き込まれてしまう。

 

「周囲から、爆発が連鎖して……!」

 

「一発目が『合図』だ。もう止まらねぇ。──じゃあな、冒険者ども、くたばりやがれ。」

 

そういうとヴァレッタは姿を消した。

 

「(全敵兵()()()()──施設が持たない──建物ごと、私達を押し潰して───!!)」

 

アリーゼは爆発の最中、冷静になろうとし、思考をめぐらせて、敵の狙いを見出そうとした。

 

「シャクティ、ライラ、輝夜、リオン!脱出っっ!!」

 

仲間にそういった。

 

「わかってる!けどっ……兎、やめろ!」

 

「お義母さん!お義母さんっ!!」

 

母親を求める子供のように、何回も何回もそう言って、さっきの所まで行こうとする。

 

「ベル!落ち着きなさい!」

 

抜け出そうとしては抜け出せず、もがくベル。

 

「でもっ!!待ってぇ!お義母さんが!!」

 

けれど、Lv.1(ベル)Lv.2(ライラ)の前に力でかなうわけがなかった。

 

「おかあさぁぁああああああああん!!」

 

その叫びに、答えるものはいなかった。崩れゆく施設を後にしようと、出るアリーゼ達。

 

 

□□□□□□

 

 

 

「───────!!」

 

神の眷属たる子供が死んだ場合、それは恩恵(ファルナ)の消失となり、そして、神にも伝わる。

 

「……アルフィア…?……みんな?」

 

この時、アストレアは気づいてしまった。

 

──恩恵(ファルナ)が一つ消えたことを。

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「なんや……何が起きとる!?あの煙はなんなんや!」

 

「ロ、ロキィ!!都市から、爆発が起きて……」

 

「なんやと!?まさか、フィン達の攻め込んだ拠点からか!?」

 

神ロキ、終わらせるもの(トリックスター)として知られ、神すらも言葉で騙し、平静を装い、盤上の駒を操ることに長けている神。

 

「……………違うっす。」

 

「……ラウル?」

 

その神がここまで取り乱す、それは事態の深刻さを有に表していた。

 

()()()()()()()、ないっす……」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「……被害は?」

 

「五人()られた。ちッ、よくもあのお方の眷属(所有物)を……」

 

そして、その時。アレンがなにかに気づいた。

 

「……?おい、待て。この『爆発』……いつまで続いていやがる?」

 

「───まさか。」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「負傷者はリヴェリアの魔法円(マジックサークル)まで移動!治療を済ませろ!部隊を再編する!急げ!」

 

「お主が敵の装備に気づいとらんかったら、一人二人失ってたな。だが、フィン、これは……!」

 

「ああ、街の様子がおかしい!」

 

冒険者は、フィン達は気づいた。敵の本当の目的を、そして、企みを。

 

「……そういうことか、ヴァレッタ。この拠点に仕掛けられていたのは『罠』じゃない。『狼煙』だ!」

 

馬鹿げている、されど、今のままでは成される勢いでオラリオ軍は先手を打たれている。

 

「狙いは冒険者(ぼくたち)じゃない!敵の標的は───」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「敵の標的」は……都市、そのもの?」

 

声に焦りが出る。【万能者(ペルセウス)】ことアスフィ。

 

「オラリオが───!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□

 

 

「きゃああああああああああああああああ!!」

 

「い、闇派閥(イヴィルス)だあああああああああああ!!」

 

たくさんの悲鳴が、たくさんの爆音が、たくさんの斬撃が、いくつもの音がオラリオに反響する。

 

「さぁ、皆さん。舞台の幕開けです。」

 

そういうのは、幹部であるヴィトー。

 

「あるいは平和という名の終焉(カーテンコール)。もしくは、我が主神なら『祝福の式典(モーニング・セレモニー)』というやもしれない。」

 

汚い笑みを浮かべ、人が逃げ惑う中、声を上げそう言う。

 

「歌いましょう、踊りましょう!凄惨な歌劇を!私も存分に愉しませてもらいますとも!」

 

それは正しく『異常』。

 

「酔いしれることしか出来ない、この血の宴を!ふふふっ……ハハハハハハ!!」

 

 

┄┄┄┄┄┄

 

 

「第六区画から救援要請!闇派閥(イヴィルス)の無差別攻撃に遭っています!その他にも、第一、第二、第三、第四区画も敵勢と衝突!」

 

「被害が爆発的に拡大中……全容、把握しきれません!?」

 

そんな中、やはりギルドも大忙し。

 

「な、なんだ……!何が起きてる!?これではまるで戦争ではないか!?栄光あるオラリオで、そんなことが……!」

 

そして、ロイマンは気づく。

 

「───ま、まさか。」

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「さぁ、宴の始まりだ!いい声で哭け!そして死ね!ハハハハハハハッ!!」

 

「や、やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「死ねぇ、無知な罪人どもぉ!消え去れぇ、オラリオぉ!」

 

「助けてええぇぇぇぇ!!」

 

「我が命を持って灰燼に返せぇ!」

 

「お、お前はっ─────ぐああああああああああ!?」

 

「───やれ。オラリオに真の絶望をもたらすのだ!!」

 

「「「はっ!」」」

 

「いい合唱(コーラス)じゃねえか!最高だァ!ずっとこれがやりたかったんだ!」

 

狂ったように笑うヴァレッタ。

 

「一人たりとも逃すかよ。民衆も、冒険者も、神々さえも!全員皆殺しだ!」

 

そして、

 

「なんたって、これは(私たち)正義(てめえら)の─────『大抗争』だからなぁ!」

 

悪は嗤う。

 

□□□□□□

 

 

「ぁ……ぁぁ……。」

 

烈火の如く燃え上がる都市、逃げ惑う人々。

 

「うああああああああああああ!」

 

「そっちへ行っちゃダメ!こっちへ──!」

 

冒険者(ぼくたち)の声も聞かず、混乱と殺される恐怖でどこそこ行く民衆。そして、殺される。

 

「助けてぇ、冒険者様ぁぁぁぁぁ!!」

 

「こっちだ!急げ!都市の中央なら!」

 

そして、案内されても、無差別攻撃は民衆を殺す。爆発と斬撃が飛び交い。

 

「……………くそ。ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

もはや、この世に秩序はないんだと知った。

 

「うあああああああああんっ……!」

 

「誰かっ、誰かぁ……!」

 

逃げる人々に余裕はなく。無数の攻撃に冒険者すらも困惑していた。

 

「あぁぁ……。うあああ……。」

 

「突っ立っいるな、間抜けぇ!」

 

放心状態のベルにそういう輝夜。

 

「……っ!か、輝夜さん……」

 

「さっさと剣を取れ!何を木偶(デク)と化している!今、私達が愚図であることは許されない!」

 

「で、でもぉ!」

 

「資格を提示したんだろ!!ならば剣を振るえ!参加すると決めたからには戦え!!」

 

「ぅ……。」

 

「現実から目を背けるな!一人でも救え!多くを助けろ!お前には何がある!」

 

「……槍が……あり、ます……。」

 

「その槍を振るえ!考えるな!動け!救え!一人でも多くの命を救え!」

 

でないと、そう言葉を続ける。

 

「でないと、また、アルフィアの二の舞を増やすぞ!」

 

「あ、……ああああああああああ!!」

 

この都市で、ベルを守れる人はいない。戦力も人も足りないこの戦争で、恩恵(資格)もちを休ませていられないのだ。

 

┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

「敵の数が多すぎる……!どこからでも湧いてきやがる!」

 

「指揮系統が麻痺してる!市民を守ればいいの?敵を迎え打てばいいの!?」

 

「知るかよ!知らねぇよ!?どうすればいいんだよ、こんなのぉ!」

 

「落ち着きなさい。冒険者(あなたたち)の動揺は守るべきもの達にも伝播する。」

 

その時、一人、割り込んできた者がいる。

 

「あ、あんたは……」

 

「【アストレア・ファミリア】の……」

 

「市民の避難は全て、『都市中央』に。『盤面』を俯瞰できるものたちは必ずそこに集結する。」

 

そう、正義の女神、そしてちゃっかり武闘派、アストレアだ。

 

「貴方達はどうか、ここで力無きもの達のための盾に。────私の名のもとに星の加護を与えます。どうか、耐えて。」

 

「「「は、はいっ!!」」」

 

「アストレア、無茶するな。神が護衛も付けず子供達の鼓舞なんて……体を張りすぎだぜ?」

 

そして、アストレアに話しかけたのは、旅行者の神として知られている神ヘルメスだった。

 

「あら、ヘルメス。高いところから一人状況を見渡しているかと思ったのに、そういう貴方は、どうしてここにいるの?」

 

「……オレは女性の味方でね。ましてや麗しい女神の消失なんて耐えられそうもない。好々爺(ゼウス)にも負け犬呼ばわりされてしまうぜ。」

 

そう、ふざけたような様子で言う。

 

「後は、そうだな……オレも民衆の主(ガネーシャ)の真似事をしてみたくなったのさ。」

 

「それならば、私と同じ。少しでも子供達の背中を押し、命を救う。ヘルメス護衛(エスコート)を頼める?」

 

「……勘弁してくれ。貴方との逢瀬は夢見たが、こんな戦争(デート)はあんまりだ。」

 

そういうヘルメス。

 

「生憎、オレの子も総動員している。はっきりいって手が足りない。零能の神二柱(ふたり)が火の手に巻き込まれたって、誰も気づきやしない。」

 

「そうね、貴方の言う通りよ、ヘルメス。けれど、私は常々思うわ。」

 

アストレアが言う。

 

「神々は下界で子供達を見守ることしか出来ない。けれど、挺身して、光の道筋を示すことくらい許されると。」

 

それは正しい、とはいえず。神の思いなのだろう。

 

「子供の成長を願うというのなら、(おや)の背中を見せるのも一つの方法でしょう?だから──行きましょう。」

 

そういうと、アストレアは別の場所へと移動する。

 

「……嗚呼、まったく。ちっとも似ていないのに、あなたは気高き神(アルテミス)と同じ『お転婆』だよ、正義の女神(アストレア)。」

 

そんな言葉は戦火の中に消えていく。

 

 

 




あとがき!

はいっということで、怒涛の展開ですね。予想出来た人も多かったのではないでしょうか。

ここで補足です!
まず、ベルが言った姉の言葉を破りっていうところはまず最初にアリーゼはベルはアルフィアの近くから離れるなっていう言葉を破って、アーディを助けに行ったからという意味ですね。

そんでもって、今回、ベルがアーディの元に行かなかったら死んでいたのはアーディとなっていましたね。アルフィアはベルと自分に降りかかる火の粉しか払わないので。

今回はアルフィアの方を頑張りすぎて、他が適当になってると思いますけど、まあ、いいでしょう!
そして、そして、大抗争は後2話3話くらいで終わると思います。長いので。

そして、今回はすごく早く更新できたと思います!ほんでもってすごくよくできたと思います!

なので、本気でコメントください……私に、やる気をください。コメントをみたらやる気出ますんで……

まあ、では次回ということで!ばーい!
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