デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
Side:夕哉
飛水(ひすい)以外の4人が再びクリーチャー世界、自然文明に集まっていた。飛水はドローンで俺たちの周りで待ってくれている。
「お願いします!クリーチャー界に行かせてもらえませんか?」
「でも、キミはクリーチャーと契約をしていない、危険なことになるよ」
「分かっています、でもやらなかったら一生後悔する気がするんです」
「ボクが胸を張って生きるために必要なんです」
緑は俺から離れないという条件で同行が許可された。今は…神谷祈雨が来ると見られる扉の近くで待ち伏せ戦法という形を取っていた。火奈と御白、飛水のドローンが扉の近くで、俺と緑、須谷さんのドローンがその上の崖で待機という形を取っていた。
「ねぇ、本当に神谷さん来るかな…」
「裏取りを警察の方がしてないわけないでしょっていうのは簡単だけど…やっぱり不安だよね」
「ボク…神谷さんに言いたいことがあるんだ」
「うん、俺もある」
『黒井さんは、やはりあの植物のことですか?』
「そうですけど、公輝さんに言われて頭を冷やしました」
俺は公輝さんにゴルフから帰った翌日に少し話したんだ。
「やっぱり、自分のためにクリーチャー世界のものを使うのはダメなんですか…?」
「キミはそのために、だよね。実際、クリーチャー世界の何が起きるか未知数なものを使うことはできるなら止めなければならない。薬効、副作用が確定していない薬を使うようなものだからね」
「はい…」
「だからボク達がいるんだ、それを安全な形にして、少しでも安心して使えるようにする。竜也以外にもクリーチャーのことを知っている人はいるさ、クリーチャー由来の怪我や病気も全て、人間の医療で解決しなければならないわけではないからね」
「じゃあ…」
「うん、夕花ちゃんのことを含めてキミ達のサポートをすると約束させてくれ」
俺は頭を上げて自然文明の澄み渡った青空を眺める。
「改めて、恵まれてるよ、俺は…」
「ゆうや?」
「大丈夫、そろそろ時間だよね。備えなきゃ!」
遠目に見ていた扉が虹色に光ったかと思えば、その中から神谷さんと回田さん、さらに天見くんが現れる。
『飛水さんのドローンに繋ぎます』
「ピピッ」と機械音が流れて俺たちのイヤホンに音が入ってくる。本当に心強いけど公輝さんはたまに怖いレベルの技術の持ち主だよなぁと思う。
「じゃあわたしが見張りをやっているから、祈雨ちゃん達は…」
「待て、誰かいる…?」
嘘、もうバレたの!?俺たちは距離的にわからないだろうけど、突然の言葉に無意識に息を潜める。
「神谷さんは先に行ってください、僕が続きます。回田先輩は、引き返してください」
「分かった、早く来てくれよ、…くれぐれも乱用はなしだぞ」
デスフェニックスを呼び出し神谷さんは何処かへと飛んでいく。
『私が追いかけます』
須谷さんがドローンを飛ばしていく。
回田さんと天見くんの会話は続く。
「なんで…」
「そりゃあここからは部外者に情報を渡すわけには行きません」
「部外者って…!わたしはPrayersの…!」
「裏切り者でしょう?先輩の正義感に僕達を巻き込まないでください、まずこの世界に入った時点で神谷さんの厚意なんですから」
「………」
「もしくはそこにいるデュエリストの相手でもしていてください」
突如として門が開き、火奈と御白が回田さん達の前にワープさせられる。
「え、え…!?」「私達、なんでこんなところに!?」
「やはりいましたね、僕の相棒はこういうのには長けているんです、フェニックスにも追いつけるくらいにね」
次はさらに大きな光の門が開く。御白と初めてデュエマした時に見た、《ヘブンズ・ゲート》…!そこに向かって天使のような風貌のクリーチャーに持ち上げられて、天見くんが昇っていく。
「待て!頼む、ジャブラッド!」
俺はジャブラッドを呼び出して、扉に向かって突っ込む。今を逃したら、神谷さんを見つける手段がなくなる!
「なんだお前は!?確か、前には会わなかった…!」
「黒井夕哉!皇龍高校1年B組!なんてね!神谷さんのところ案内させてもらうよ!」
「ひな!みしろ!早く!」
「無理です、届きません!」
「大丈夫だよ緑!あたしの代わりに、神谷さんに会ってきて!」
俺はそのまま光の門の中へと身体が入っていく。
「閉じろヘブンズゲート!」
天門が閉じて、御白、火奈は取り残された。
「夕哉くん…今度は、大丈夫ですよね…」
「大丈夫だよ!あたし達はやることやらなきゃ!」
『おい御白、火奈!なんかがすげー速度で近づいてくる!それも大量に!』
「「えぇ!?」」
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俺は空中に放り出され、思いっきり身体を木に叩きつける…かと思ったが、大きな布のようなものが木の枝の間を張り巡らされ、一瞬で人を3人程度は受け止められそうなマットになった。
「何これ…手触り…テーブルナプキン?御白の家で見た覚えが…」
「フン、ここで死なれたら余が復活できないからな、眷属の力を借りた。《セリヴィエット=エリー》だ。大切に使え」
「ありがとう、ジャシン。本当に助かったよ」
まさか自分の命を奪おうとしてきた相手が命の恩人になるなんて…そう思った矢先、もう1人人が落ちてきて、俺がお姫様抱っこする格好になる。
「ゆうや…?ありがとう、受け止めてくれて」
「緑!?ついてきてたの!?」
「うん、ジャブラッドの尻尾に掴まって」
中々クレイジーな方法で来たみたいだ。でも天門から投げ出されたということは…
「やっぱり振り切れないですか」
「天見くん…」
「もう天見でいいです、同い年でしょう?」
「…天見は、どうして神谷さんに?」
「僕は神谷さんに救われた。その恩を返す。それだけです、そのために僕は神谷さんを守る盾になります」
睨み合いをしていると、周りの一際大きな山の方からドーン、ズーン、と大きな音が聞こえる。
「この音って…!」
「神谷さんが『ヒーリス』を見つけようとしているのでしょう、いつも通り大掛かりですが…」
「あの薬草『ヒーリス』って言うんだ… じゃなくて!緑、なんか変だよ!とにかく頂上に!」
「うん!」
「行かせるとでも?」
天見がクリーチャーと共に前に立ち塞がる。俺のやることは…一つだ。
「こっちの世界なら…真のデュエルで勝負だよ、天見」
「…へぇ、その間に彼を行かせるって?そんなの決着が着いたら門を開けて先回りすればいいだけ」
「じゃあ間に合わせなきゃいいんだね」
緑がジャブラッドの背に乗り、山肌をどんどん駆け上っていく。
「さっき使っていたクリーチャーを…!?」
「契約してるクリーチャーが2人いるとこんなこともできるみたい。じゃあ、始めようよ」
当然ジャブラッドは使えない。でも、今はやるしかない…!
「「デュエマ、スタート!!」」
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デュエマは俺の後攻で始まった。フィールドはジャシンが作ったフィールド。不安に全くならないわけじゃないけど、御白に約束したんだから、絶対ジャシンには呑まれない!
「僕のターン、3マナで呪文《T・T・T(ザ・トリプル・スリー)》。三枚ドローします」
「俺のターン!3マナで《レター=ジェンゲガー》を召喚!ターン終了時、一枚墓地を肥やしてそれがアビスなので1枚ドロー!ターンエンド!」
「僕のターン、呪文《ケンザン・チャージャー》でデッキトップを確認、呪文のヘブンズ・ゲートなので手札に。ターンエンド」
「俺のターン!アビスベル=ジャシン帝を召喚!レター=ジェンゲガーで墓地肥やし&ドロー!ターンエンド!」
(いやに地味な動き…何があるんだろう…)
「地味と思いましたね?」
「え!?なんのことやら…」
「知っています、僕は地味ですから」
そういう天見の顔を見ようとしたその時…
「呪文、ヘブンズ・ゲートを6マナで詠唱。《闘門の精霊 ウェルキウス》と《星門の精霊 アケルナル》をバトルゾーンに。さらにウェルキウスの効果で一枚ドローした後、ブロッカーの《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》をバトルゾーンに、EXライフを追加して、登場時効果でヘブンズゲートとTTTを墓地から手札に加えます。さらにターン終了時、アケルナルの効果でブロッカーのロマイオン2体目をバトルゾーンに。ターンエンド」
天見 シールド7
「ほう、中々やるではないか」
ジャシンが珍しく人を褒める。
「バトルゾーン0からWとTブレイカーを2体ずつ…」
「それだけではないぞ夕哉よ」
「その通りです、ロマイオンは攻撃時と一度除去された時、つまりEXライフが離れた時にコスト8以下の呪文を唱えられます」
「触っても触らなくても起動する時限爆弾じゃん…!」
「いい例えですね、僕もそれ今度から使います」
とにかく今、俺はすごく追い詰められてる…!
どうにかするには…!
「俺のターン、ジャシンで下げて1コスト、《セリヴィエット=エリー》をアビスラッシュ!お互いに手札を一枚選んで捨てるけど、今回は使わない!」
「3コストのアビス?効果も使わずなにを…」
「エリーは味方アビスの召喚時、自身を破壊すれば2コスト召喚コストを減らせるんだ、ジャシン帝と合わせれば4コスト減らして4コストで召喚できる!ラゼル=ズバイラルをアビスラッシュ!」
螺旋階段を腕に巻きつけたような特殊なアビスロイヤルが目の前に現れる。何より身体が、人3人くらいは乗せられるジャブラッドくらい大きい…8コストに恥じない大型アビスだ。
「さぁ、反撃開始だよ!」
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Side:祈雨
「ヒーリスはこの近くのはず…見つけた!このクリーチャー世界の太陽を反射して金色に輝く葉!我の目的は…達成された!」
藁にもすがる想いで神谷神社にやってきた女性。恋人が難病に侵されている、しかしお金があるわけではなく神頼みするしかなかったという。見なかったフリはできなかった。
彼女は話を聞いている限り、誠実な人間だった。彼のことを愛しているし、私の話を安らぎを求めるかのように聞いていた。話しかできない自分に腹が立った。でも今はデスフェニックスがいる。それなら彼女を彼女たちを救える。
「キアァァァアアア!!!」
突然デスフェニックスが大きく叫びだす。突如としてコントロールが効かなくなり、デスフェニックスはやたらめったらに攻撃を放つ。
「鎮まれデスフェニックス!何があった!落ち着け!…落ち着いて…!」
まさか、ヒーリスの効力…!?
そう思ったタイミングでデスフェニックスは私の上に立ち、エネルギーのチャージを始める。我は…私は…ここで死ぬのか…!?
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Side:火奈
「ねぇあれら何!?こっちに向かってくるよ!?」
『興奮状態のクリーチャー達…としか言えねぇ!』
「あれ止めないと不味いんじゃない…!?」
『あぁ、万に一つも人間世界のゲートを通らせたら…火奈と御白達クリーチャー契約組しか対応できねぇ!』
「じゃあ、ここで全員止めればいいんですね!」
そのタイミングで光輝さんからの連絡が入る。
『大変だ、須谷くんから連絡が入ったんだけど、ヒーリスは人間には効力を発揮する可能性が高いんだ、しかしクリーチャーには興奮剤として作用してしまうらしい』
突然光弾が私達の近くに落ちてくる。もしあの時みたいに大量のヒーリスを掘り起こしていたら…
「あれ、デスフェニックスの攻撃…神谷さんも巻き込まれてるんじゃ…」
『今自分の心配しないでいつすんだ!?落ち着け!』
『扉は2箇所ある、両方止めなければクリーチャーが人間世界に出てしまう!』
「私自分達の方の扉に行きます!移動速度なら彼が一番ですから!お願いします、ドランさん!」
「了解しました、御白さん。シートベルトをしっかり締めてください、全速力で飛ばしますよ」
『オレは避難させるためにクリーチャー界を飛び回らなきゃいけない。予備のドローンが1機あるからね、飛水くんもお願いできるかい?』
『任せてください、ヒーリスの位置から遠いところに呼べば良いんですよね』
「あとは…」
「こっちの扉を守らなきゃね、わたしはクリーチャーと契約してないけど、役に立たないわけじゃないと思う」
「お願いします、回田先輩」
「体育会系だね、千弥佳でいいよ」
「千弥佳…さん。ライダーもお願い!」
「雑魚なら俺の攻撃で一撃だ。それ以外をデュエマで頼むぞ、火奈」
「よーし…行くよ!!」
夕哉と!御白の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「セリヴィエット=エリー!」」
「手札1枚を捨てることで相手にも1枚捨てさせることができるクリーチャー、アビスではアビスラッシュしたいクリーチャーを墓地に送ることになるのかな」
「その上でアビスを召喚する時このクリーチャーを破壊すればコストを2軽減です!ジャシン帝と一緒に出せば1コストで2軽減ですね!」
「これからコストの大きいアビスは増えるだろうし、お世話になるタイミングは増えるだろうなぁ」
「というわけで次回、『あの門をぶち開けろ・後』!」
「「お楽しみに!」」
「今私全力で門を守ってるんですが…」
「ぶち開けるの俺だけだよね」