デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
「天見颯星(あまみ はやせ)です、趣味は天体観測です。よろしくお願いします」
僕は元々1人で何かをするっていうことの方が好きな人間で、学校の人間とはそんなに付き合わなくても良いと考えていた。進学した理由は、親が喜んでくれたから、それ以上はなかった。
孤立した人間として罵倒、嘲笑の対象になるのに時間はかからなかった。後から回田先輩から聞いたけど、入学前から親等で強固なコミュニティが作られる才縁高校において、最初に友人を作りに行かなかったことが失敗らしい。あの学校の校訓「虹色の才能を育てる」なんて、大嘘じゃないかと思った。
人間の繋がろうとする力は時としてとても強い時がある。僕はそれを嫌というほど思い知った。そのタイミングで手を伸ばしてくれたのが、神谷さんだった。
「我の目的は、遍く人を助ける人間になることだ!」
その助けたい人間に酷いことをされているのにどうしてと思った。
「Prayersに入ってくれてありがとう、やはりこういうのは分からないことが多くてな、手伝ってもらえると嬉しい」
彼女の「神託」を手伝ったことも何度かあった。神社を建て直すために文字通りなんでもする彼女は、僕の目に鮮烈に映った。
「今日はありがとう、遅くまで手伝ってくれて」
「神谷さんこそお疲れ様です、あ…」
「どうした?」
「いや、僕の趣味、なんで…」
「言ってくれ、仲間1人の願いも叶えられずに、遍く人を助けられるか」
僕達はデスフェニックスに跨って大空に飛んだ。
「これ、バレませんかね?」
「大丈夫だ、今まで何度も飛んでいるがバレたことはない」
「そういうことじゃ…いや、ありがとうございます」
改めて周りを見てみる。下には都会の光が眩く見える。上を見上げれば、大好きな星が煌めいていた。
「僕、シリウスが好きなんです」
「しりうす?」
「北極星。何があろうとも、どんなに季節が変わっても、僕達から見える位置が動くことはない。ずっと見守ってくれてるみたいで」
「そうか…だがお前を見守るのは1人じゃないだろう?」
「え?」
「我と千弥佳がいる、Prayersでいる限り、大人になってもずっと一緒だ」
そう簡単に叶わない願いなのは僕だってわかっている。でも、それに賭けたくなるような思いが伝わってきた。その時僕は神谷さんにできる限りのことはしようと思った。
人間の繋がろうとする力は時としてとても強い時がある。それを信じようとこの時思った。
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Side:夕哉
「黒井夕哉!ここから先へは絶対に通さない!神谷さんのためにも!」
「…俺も、緑のために引き下がるわけにはいかない!」
「ジャシン帝と《セリヴィエット=エリー》の効果を合わせて4コスト軽減!《深淵の螺旋 ラゼル=ズバイラル》をアビスラッシュ!」
螺旋階段のアビスロイヤル。その効果はなかなか曲者。使うには骨が折れそうだけど…
「ラゼルの登場時能力、4つの選択肢から俺が2つを選び、その中から1つを天見に選ばせる!」
「僕が選ぶの?それなら都合のいいものを選んで…」
「俺が選ぶのは、①相手は手札を全て捨てる、②相手は自身のクリーチャーを全て破壊、の2つ!」
「な…!?」
(全ハンデスか全破壊!?どの道大損害が出る!破壊はウェルキウスを失うし、ハンデスはロマイオンの弾を失う…)
「…全ての僕のクリーチャーを破壊する」
ラゼルが暴れ回りウェルキウス達に攻撃を加える、ロマイオン2体は残るものの、場のクリーチャーを半分にすることに成功した。
天見 シールド5
「ロマイオン2体のEXライフが離れた時の効果を発動!《T・T・T》と《スター・ゲイズ・ゲート》!TTTはジャシン、レター、ラゼルをタップして、スターゲイズゲートはウェルキウスを呼び出す!ウェルキウス効果で1ドローして効果終了!」
「カウンター効果でリーサルを組まれた…なんてね!ラゼルの効果はタップした時も発動する!先程と選択肢は同じく、①相手は手札を全て捨てる、②相手は自身のクリーチャーを全て破壊!どっち?」
「く…手札を捨てる!」
「ターン終了時アビスラッシュで出たラゼルは場を離れてもう一度効果を起動する。3回目の選択肢は①相手は自身のクリーチャーを全て破壊、③次のターン、マナが3枚しかアンタップしない、どっちを選ぶ?」
「アンタップさせない効果を選ぶ…!」
「レターで墓地と手札を増やしてターンエンド!」
(く…1枚のカードでここまで追い詰められるなんて…しかも黒井の手札は6枚、3回攻撃してもエンジンのジャシンを倒しきれない!)
「僕のターン!マナチャージのみでアタックへ!ウェルキウスでシールドに攻撃!」
天見の相棒、ウェルキウスがビームを放ち、シールドに攻撃する。契約してるクリーチャーの攻撃はやはり痛い。
「神谷さんから聞いていますよ、死なない程度に抑えます」
夕哉 シールド3
「シールドトリガー、ハンマ=ダンマ!墓地を3枚増やして、合計は5枚。効果終了!」
「墓地の枚数が足りていませんね、ロマイオンで攻撃!」
夕哉 シールド0
「シールドトリガー…来た!《悪灯 トーチ=トートロット》!シビルカウント3でパワーの大きいクリーチャーと小さいクリーチャーを破壊させる!」
「ウェルキウスとタップしているロマイオンを破壊、もう一体のロマイオンで追撃!」
「トートロットでブロック!」
「耐え切られた…しかし、なんで笑って…」
「俺も悪い癖だと思うよ、でもギリギリの勝負で高鳴る自分もいるんだ!」
「俺のターン!まずは《ド:ノラテップ》をアビスラッシュ!ノラテップで召喚コストを下げて《深淵の三咆哮 バウワウジャ》!四枚墓地を増やす!もう1体バウワウジャを召喚!さらにノラテップをもう1体アビスラッシュして、《深淵の怪炉 マーダン=ロウ》をアビスラッシュ!」
(手札0枚でハンデスカード…?しかしエリーをコスト軽減のために出し、ジャシン用の手札と両立させた彼なら…)
「バウワウジャで攻撃!その時ロマイオンを破壊して、Tブレイク!」
天見 シールド2
「トリガーなしです」
(シールドの内訳はウェルキウス、アケルナル、《パンドラの記憶》…残り2枚からヘブンズゲートを引けば、まだ逆転できる…)
「マーダンロウで攻撃!」
「マーダンロウ?何故今…?」
「シビルカウント3で相手の墓地のクリーチャーの登場時能力、ウェルキウスを奪う。1ドローした後、「ブロッカー」のラゼルズバイラルをバトルゾーンに!」
「まさか…!?これを狙って…」
「ラゼルの選択肢は①手札を全て捨てる、④相手のシールドを2枚ブレイクする、どっち?」
(手札を捨てたらそれこそ逆転の目がなくなる!かといってシールドを破られたらそのままマーダンの攻撃がダイレクトアタックになる!選択肢が事実上1つしかない!トリガーに賭けるしか…!)
「…僕のシールドを2枚ブレイク!!」
天見 シールド0
「シールドトリガー、ヘブンズゲート!ウェルキウスとアケルナルをバトルゾーンに。ウェルキウスの効果で1ドローのみを行います」
「マーダンロウでダイレクトアタックを継続!」
「アケルナルでブロック!」
「マーダンのスレイヤーで破壊!」
「バトル勝利時、ウェルキウスで1ドローして…ロマイオン達は来ない…か」
「天見、いややっぱり天見くんって呼ばせて。すごく強かった。ドローの結果でどうなるかまだ全然分からなかった。またこういうのが関係ないところでデュエマしたいなって思うよ」
「…敵いませんね。今日は完敗です」
「…バウワウジャでウェルキウスを破壊して、ダイレクトアタック!」
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Side:火奈
「ボルシャック・アークゼオスで、ダイレクトアタック!」
私は御白ちゃんと離れて、千弥佳さんを連れて扉の前で戦っていた。これで、3連勝…
「大丈夫か火奈、疲労が見えている」
「一発一発命懸けだからね…」
「キリがないよ、どうすれば…」
突如として遠くの山の方から爆音が聞こえる。
「もー!今度は何!?」
「祈雨ちゃん…無事でいて…」
『火奈ちゃん、どうですか!?』
「御白ちゃん、とりあえず今の所大丈夫!そっちは?」
『大丈夫です、もう一戦行ってきます!』
「オッケー、ライダー、もうひと頑張り行くよ!」
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Side:緑
『守木さん!』
「須谷さん!?」
須谷遥風(すたに はるか)のドローンが、崖を登るボクの元にやってくる。
『デスフェニックスが上で暴れています、神谷祈雨さんを回収して撤退を!』
崖を登り切って、ボクとジャブラッドは山の頂上へと出る。その時、怯える神谷さんと、それを見つめるデスフェニックスを見つけた。
「ジャブラッド!もうひと頑張りお願い!」
ジャブラッドがデスフェニックスに噛みつき、無理矢理デスフェニックスを引き剥がす。デスフェニックスは激しく暴れて、奇声を上げながらそのままジャブラッドを近くの地面へと叩きつけた。
「神谷さん!何が起きたの!?」
「なにって…突然デスフェニックスが勝手に動き出して…」
「そんな、暴走して…ジャブラッドが止めてる間に逃げよう!ボクたちじゃ止められない!夕哉達の誰かに…」
「だめ…手に入れなきゃ、ヒーリスを…そうしないと、信者の願いを叶えられない…」
「信者さんたちのためなら死んでもいいの!?」
「あぁ…千弥佳や天見が受け継いでくれる…だから今ここで絶対に…」
ボクの中に色々な感情が渦巻いて、神谷さんの頬を叩き、叫ぶ。
「ばか!人のためなら死んでもいいなんて!そんなわけないでしょ!」
「人のために犠牲になるなんて、ただの都合の良い解釈だよ!残された側はそのいなくなった大事な人を抱えて残りの人生を生きなきゃいけない!かいださんやあまみくんだってそうなるんだ!!」
「守木…緑…」
「人は1人で生きるのは本当に難しいんだ。ボクはゴルファンタジスタやまざわさん、ゆうややこうきさん達に会って本当に助かった!誰かと会えなかったら今のボクはいない、言い切れるよ。そしてそうやって命を投げ捨てることは、そこまでの皆を苦しませることになる」
「だから、『繋がりを捨てないように、そして新しい繋がりを作るんだ』」
「そうかもな…なっ!?」
突如としてデスフェニックスが神谷さんに掴み掛かる。
『まさか、光屋さんの事例のように取り込む気では…』
「助けてくれ、守木、緑…」
「待って、夕哉達を呼んで…」
突如としてボクのデッキケースが緑色に輝き出した。あの日から久しく感じなかったあのコースの匂いを鮮明に思い出す。
「いや…須谷さん…デスフェニックス、神谷さんをボクが止めます」
『はい!?それこそ無茶では…?』
「大丈夫です、ボクの相棒は、もう近くに来ています!」
ボクの頬を涙が伝う。デッキのカードを1枚抜いて、あの火事に巻き込まれ黒く焦げたあのカードを入れる。
「行くよ、ゴルファンタジスタ!」
夕哉と!火奈の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「深淵の螺旋 ラゼル=ズバイラル!」」
「ブロッカーのWブレイカー、4つの中から2つの選択肢を自分が選んで、相手がその中から1つを決めるカードだよ」
「選択肢は全破壊、全ハンデス、マナが3枚しかアンタップしない、2ブレイク、だね。全部殺意高い…」
「選択肢を間違えなければ相手が2番目に嫌なものを使わせられるよ、登場時、タップ時、離れた時と使えるタイミングもいっぱいだからメクレイドでもアビスラッシュでも強力だね」
「夕哉、笑顔で言うことじゃないって…」
「というわけで次回、『首領竜(キャプテン)の帰還』」
「「お楽しみに!」」