デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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ジャシンと出会った少年、黒井夕哉(くろい ゆうや)たちは探索に向かったクリーチャーの世界で本来不可能なクリーチャーとの契約を行う少女、神谷祈雨(かみや きう)と遭遇する。人のどんな病気でも治る薬草、それを人間界に持ち込むのを防ぐために、仲間の光屋御白(ひかるや みしろ)、赤坂火奈(あかさか ひな)、守木緑(もりき みどり)と共に再度クリーチャー世界に乗り込む。暴走したデスフェニックスを抑え込む為に、緑はゴルファンタジスタと契約、デスフェニックスを下し、ついにデュエマ部とPrayersの長い戦いに決着が着くのであった。


帰る場所

 

Side:緑

 

あの決戦から1週間。自然文明のクリーチャーはデスフェニックス達が暴れたことなどなかったかのように平穏に過ごしている。ひすいとこうきさんが走り回って皆を落ち着けて、扉の近くに寄ったクリーチャー達はひなとみしろが追い払って、ゆうやがあまみくんを止めてくれた。皆がいなかったら、大変なことになっていたと思う。ボクはゴルファンタジスタと再開した日常、久しぶりに過ごせた日常を楽しんでいた。

 

「とりあえず、暫くは見つからないようにしないとね」

「これで一安心ですね、守木さんに感謝しなくては」

「そうだね、彼がゴルファンタジスタを呼び覚ましてくれたお陰で、かなり状況が変わったよ」

 

扉はゴルファンタジスタの植物を生やす、「生命を回転させる」力で「かもふらーじゅ」して、簡単に見つからないようになった。こうきさんとすたにさんの努力じゃ限界があるからと、ボクは感謝された。凄いのはゴルファンタジスタだよ。

 

ヒーリスについては、たつやさんという人とその外国での友達の人が預かることになった。クリーチャー世界のことを教えても大丈夫な信頼できる人はまだ何人かいるらしく、ヒーリスの効能、副作用の確認のために動いてくれている。それを聞いたゆうやは、すごく安心した顔をしていた。

 

かみやさんがヒーリスを届けようとしていた患者さんは、こうきさんの紹介した病院に移ることになった。お金を全部どうにかできるわけじゃないって言っていたけれど、こうきさんがそんなに冷たい人じゃないってことも知ってる。深く聞かない方がいいことがあるのも知ってるよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おーい緑!ゴルファンタジスタが行っちゃうよ!」

ボクは今日、ひすいも連れて5人でクリーチャー世界に来ている。ゴルファンタジスタが見せたいものがあるって言ってたんだ。

「待ってゆうや、すぐ行くよ!」

 

ゴルファンタジスタが見せた場所は見渡す限りの平原…と言っても雑草はめちゃくちゃに生えていて、手入れが行き届いていない、誰も住んでいない場所だった。

「見せたかったのってこれなの、ゴルファンタジスタ?」

「あぁ覚えてないよな…ここは、俺たちが元々住んでいた場所だ」

「住んでいた場所って、じゃあここ、元々ゴルフコースだったりがあったんですか?」

「そうなの!?ゴルファンタジスタ!!」

「あぁ。カードを通じて緑に会いに行けるから、暫くはここの掃除になる。はぐれた皆が帰れる場所を作らないとな」

「それなら早く言ってよ!ボクも手伝う!」

 

ゴルファンタジスタがボクの肩に両手を置いて、目線を合わせて喋りかける。

「俺様もお前と一緒にいたい。前と違って契約してるから時差の影響も受けづらいだろうが、お前が人間なのを忘れちゃいけないと思ってる。お前は人間界に帰らなきゃいけない」

「そんな…そしたらゴルファンタジスタは1人だよ…寂しいよ…」

「大丈夫だ、前に比べたらカードを通じてそっち覗けるだけ大分状況良いじゃねぇか。お前の友達を呼んだのはこのためだ。こいつ寂しがり屋だから1人にさせないであげてくれ」

「その約束は…まだできかねないな」

 

ひすいが意外な言葉を放つ。ゴルファンタジスタは怒って、

「あぁ?今何言ったか分かって…」

「ゴルファンタジスタは緑の親代わりなんだろ、緑もまだ子供なんだ。ここの面倒を見る理由もあるかもしれねぇけど、子供の面倒をもう少しだけ見てやるのもお前の責任だと思う。大事にしてくれる家族って貴重だからな…。それに緑がゴルファンタジスタがいない間、どれだけ寂しがったと思ってるんだ」

ひすいはゴルファンタジスタの前に胸を張って立ち、彼を見据える。

「だからちゃんと緑と仲良くするって言ってほしい。子供の責任取らないやつと約束をできないってわけだ」

 

ひすいはゴルファンタジスタのカードを取り戻す前のボクを知っている。抜け殻のようなボク。だから言ってくれたのかな…

「責任を取る、か。確かに俺様は緑の親代わりだ。緑の友達にここまで言われちゃな。分かった、多少街の復興が遅れようが、緑の面倒見てやる」

「…ありがとうゴルファンタジスタ、でもそのために復興が遅れるのも…」

 

4人がなにかソワソワしている。なにか言いたいことがあるみたい…?

「緑、ゴルファンタジスタ。その、それなんだけどさ」

「私達、この1週間の間に自然文明中を走り回ったんです」

「全員じゃないけど見つけられたんだ、ゴルファンタジスタの仲間達」

「お前もゴルファンタジスタも1人じゃないってことだ」

 

「「「「「首領(キャプテーン)!!」」」」」

沢山の聞き覚えのある声が聞こえる。ボクとゴルファンタジスタは涙を溜めながら、彼らを迎え入れた。

「アカネに、配球(ワーナー)!サイネリアもいるのか!?」

「とこしえ先生に、キャディ先生!?雲(くらうど)さんに、氷打(アイシング)さん!?」

「首領!1人で復興なんて水臭いですよ!私達もゴルファンタジスタ様が大事なんですから!」

「緑よ、よく生き残ってここに帰ってきた…ワシは感無量だぞ…」

「じつはくらぶはうすだけはなおしたんですよ!ゴルファンタジスタさま!」

「あ!まだ言っちゃダメだよシネラリアちゃん!」

 

「緑もゴルファンタジスタも沢山のクリーチャーに大事にされてたんだね…」

「ね、ゴルファンタジスタの名前を出したら、皆すぐに話聞いてくれて…」

「その時はもうちょっと疑い深くあれよと思ったが、こう見てみると人望の裏返しかもな」

「何はともあれ良かったじゃないですか!皆再会できて!」

 

「よっしゃ緑、俺様はお前と一緒に戦うことも、他の仲間を探すことも!自然文明の復興も全部やるぞ!安心してろよ!」

「ボクも空いている時手伝うよ、皆がいるならすぐ終わると思う!」

「よーし俺様を復活させてくれた緑を胴上げだ!ニンゲン達も混ざれ!」

 

クリーチャー世界で会った皆。人間世界で会った皆。両方ボクの大事な家族で、友達で、ボクは凄い幸せだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Side:祈雨

 

「ただいま」

私は神谷神社に久しぶりに帰ってきて、お父さんと顔を合わせる。

「祈雨、お帰り」

「ただいま。…ねぇ、何も聞かないの?」

「…正路(しょうじ)さんという人から聞いたよ、人のために動いたんだろう?偉いよ祈雨は。少しは私に言って欲しかったけどね」

 

お父さんの話によると、クリーチャーの話を緑たちの味方の人間は言わなかったらしい。秘密にするべきだったのか、私のために黙ってくれたのか分からないけれど…

「祈雨、とりあえずご飯を食べようか」

「うん、そうする」

 

私が自分を強く見せようとした理由。才縁高校に入学した時、私は自信がなく、上手く勧誘することができなかった。

「すいません、神社を…手伝ってもらえますか?」

「あ?神社?俺はそんなしけたところいかねぇよ」

「あはは、私達そんなことして場合じゃないんだ」

「そのためにここに来たんですの?ここはエリートの集まり、そんなことしたってバレたらお父様とお母様に怒られてしまいますわ」

 

だからせめて気迫で負けないようにと我と言って自分を大きく見せようとした。後から考えると恥ずかしい…

「あなたが神谷さん?」

「そうだ、我が神谷祈雨だ、それがどうした?」

「……… ふふ、そっか。私は回田千弥佳(かいだ ちやか)。あなたのお手伝いをさせてくれない?」

 

…今ならどうして千弥佳が来てくれたのか分かる気がする。

 

翌日、千弥佳と颯星(はやせ)を集めて話をした。

「Prayersは暫く、クリーチャー世界に入ること、クリーチャーを使うことを禁止します」

「神谷さん…デスフェニックスの暴走はヒーリスの影響ですよね!?なんで…デュエマ部に何か言われたんですか!?」

「いや、私達はクリーチャーのことを知らなすぎたんだと思ったの。無知な状態で人を助けようとしたら、それは無責任だと思う」

「祈雨ちゃん…」

 

千弥佳が涙ぐんでハンカチを取り出す。

「気づくのが遅れてごめん、千弥佳。私達Prayersは一旦再スタートという形で、私たちにできることをやっていこうと思うんだけど、どう、かな…」

「僕は…賛成です」

「確かに知らなすぎました、黒井夕哉と会って、そう思い知らされました…だから神谷さんと一緒に出直します」

「わたしは…反対かな」

「千弥佳…?」「回田先輩!?」

「わたし達だけじゃ限界があるって分かったんだから、デュエマ部の皆にも色々教えてもらおう?あの子達の方がクリーチャーとかに関しては先輩みたいだし」

「…そうだな、じゃあ連絡をとって…?連絡先、知らない…!」

「大丈夫だよ、わたし+デュエマ部の5人のグループがあるから、それに2人が入ればオッケー!」

「そうなんだ…」

やっぱり、千弥佳には敵いそうにない。

 

「あと、こんな感じの喋り方が素なんだけど、それでも、いいかな…」

「それは大丈夫です、2人とも知ってます」

「わたしはそっちの方が可愛いと思うよ!」

「何より、無理していない感じがいいです」

「そっか、無理してない、か」

 

神谷神社を立て直す。大きな目標が遠かったとしても、2人がいれば大丈夫、そんな気がした。

 

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Side:???

 

丑三つ時も過ぎ、寝静まった皇龍市。皇龍駅の駅舎の天井に、その影はあった。その影は白色を基調とした体を持ち、絡繰りでできた体を軽そうに動かす。

 

『ボルシャックライダーで攻撃!アーマードメクレイドを2回発動!』

『きゃあ!?』

『千弥佳さん!?大丈夫ですか!?』

『大丈夫…デュエマに集中して…!』

『火奈、追撃をかけるぞ!』

『…分かった!』

 

(クリーチャーを従えたニンゲンというものを初めて見た。もう1人のニンゲンを庇ったタイミングを見計らってワタシはコチラの世界に来たが、それ以外は通さなかったあたり、粗いところもあるが彼女達の実力は本物だろう)

 

「ワタシの主君、どこに…」

 

その影は、自分と意思を共にするニンゲンを探している。

 




次回、忍邪乱武編第1話、『聖沌ニンジャ、見参!』
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