デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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ジャシンと出会った少年、黒井夕哉(くろい ゆうや)は皇龍市に開いたクリーチャー世界への扉を調査するため、そして妹の夕花の下半身不随を治すために、日々仲間と共に様々なクリーチャーや人間と戦っていた。その頃妹の夕花にもある影が近づいていて…。


聖沌ニンジャ、見参!

 

1年前、私の体は事故で奪われた。原因不明の下半身不随となって、私の中学校生活、お兄ちゃんやおばあちゃんとのかけがえのない日常は終わった。

 

「ハァ…」

 

私、黒井夕花(くろい ゆうか)は、消灯時間を過ぎた病院のベッドで、ボンヤリと上を見つめていた。昼間はお兄ちゃん(夕哉)が来てくれて、いろんな話をしてくれたんだ。友達のこと、学校のこと。私を元気づける為にお兄ちゃんは色んなことを話してくれた。

 

私のお兄ちゃんは私の病院の入院費のために色んなところでバイトしていて、その上で勉強もやっているからすごく忙しい。その上で私のお見舞いにも来てくれる、優しくて大好きなお兄ちゃん。私が入院したばかりの頃は辛い顔をしていたけれど、最近はお友達の御白(みしろ)お姉さん達のお陰で笑顔が増えているみたい。私も嬉しい。

 

最近には私が元気になるかもしれないという話もあったけれど、原因不明の怪我を治してくれるほどお兄ちゃんが万能じゃないことは流石に知ってる。

 

「早く、外に出たいなぁ…」

 

病院の窓から見える風景は変わり映えせず、私の部屋からは2回目の夏が過ぎているらしいとしか言えない。今私が元気だったらもうすぐ中学1年生の夏休みだろうか。どうしてもため息が出てしまう。自由を求める私の気持ちと裏腹に、身体は動いてくれない。

 

「元気な身体に、戻れたらなぁ…」

 

その時突然窓が開いて風が吹き込み、夏の空気が私を包み込む。なぜ窓が開いたのかとナースコールを呼ぼうとした私の目に一枚のカードがテーブルに置かれているのを見つけた。

 

「え、何これ…デュエマの、カード?」

 

いつの間にか窓は閉まっていて、一枚のカードは元からあったかのようにそこに鎮座する。お兄ちゃんや御白お姉さんに教えてもらったデュエマのカードということはすぐに分かったけど…

 

「なに、これ…?」

 

カードを手に取ろうとした時、白と金色の体に身を包んだ人型の何かが、私の前に現れる。機械のような駆動音が囁くように鳴りながら、顔はまるで手裏剣がくっついたみたいな…とにかく異質な見た目。

 

「ワタシの主君、ようやく見つけタ」

「主君…?っていうか貴方だれ!?ナースさん呼ぶよ!」

「ソレは困る。何故ならワタシとアナタは秘密の契約を結ばなければならナイ」

「秘密の契約…?」

「ワタシはクノイチマントラ。訳あってニンゲンと契約しなければならないほど弱体化している。契約するニンゲンを探す為にこの世界に来た」

「じゃあ、デュエマのクリーチャーが、ここに来たってこと…?信じられないよ、ゲームのカードでしょ!?」

「そうだろウナ、証拠を見せよう」

 

クノイチマントラは、手から巻物を取り出し、ホログラム?のようなものを映し出した。

「これが我がシノビの里だ、闇の侵攻を受けて、クリーチャー達は甚大な被害を被ってイル」

そこにいるクリーチャー達は黒い煙に飲まれて苦しそうにしていた。

「すごいリアル…CGとかじゃなくて…?」

「そうではナイといったハズだ」

 

クノイチマントラは手裏剣を投げ、それは近くのカレンダーに命中する。今日の日付を打ち抜かれたカレンダーは、手裏剣のぶつかった衝撃で支えを失う。

「コレで信じるカ?」

「…うん」

下手なことを言ったら何されるかわからない。一旦は彼女の言うことを聞くことにした。

 

「その為にはニンゲンの力が必要だ。そしてアナタはクリーチャーと一緒に戦う適性が『とてつもなく』高い。闇の侵攻を止める切り札になるハズだ」

「私が…クリーチャーと一緒に戦う…。でも私、普通の人間だし、下半身が動かないんだ」

「そうか、ならコレくらいの助力は必要だろうな」

 

クノイチマントラが力を込めて、私の体に触れる。

「足を動かしてみろ」

「…!? え、なんで動くの!?」

「人型のメカ・デル・ステラの機構を動作補助に使っている。リハビリとしても悪くない」

 

私は動く体に感激して、

「うそ!私の体…!ありがとう…!」

「手伝う気になったカ?」

「…うん!この足は、私に必要なの」

正直軽はずみだったと思う。でもそれくらい、1年振りに動く体に私は興奮していた。

 

「そうか、ナラとりあえず力試しといこう、近くで悪さをしている愚かなニンゲンをデュエマで倒す」

クノイチマントラさんが窓を開けて外に出たと思った瞬間、私の体も外に出ていく。まるで足に羽が生えたかのような軽さで家々の天井を渡り歩き、自分が自分でないみたいで喜びが止まらなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おうおう、早く出してくれよ、今月金欠なんだよ…!」

「やだよ、この飲み会だって勝手に君が連れてきたもので…」

「俺に口答えするのか!?だったら…!」

 

「待って!それ以上その人に危害を加えないで!」

(あー言っちゃった!めちゃくちゃ怖い…!)

「そこの人!早く逃げてください!」

「は、はいぃー!」

私の顔はカオスマントラさんに変えてもらっていて、私から見ると仮面をかぶっているような感覚。これなら病院を抜け出してもこの時間ならバレない。

 

「なんだお前!?女…?こんな時間だ、家に帰りな?」

「ドコの世界にも力を過信した者はいるようデスネ」

「でもこの人をどうするの?」

「言ったハズです、デュエマで止めるト」

 

突如として機械仕掛けの忍者屋敷に、周りの景色が変貌していく。

「な、なんだぁ!?」

「さあ、デュエマで勝負デス」

「デュエマァ?確かにひかる、なんだっけ?の影響で流行ってるが、まさかこんな事にもデュエマか?子供の遊びが…」

 

クノイチマントラの投げたクナイが、男性の横を掠めていく。

「デッキを持っていないのならそれで、ただ処罰するダケ」

「や、やりゃあ良いんだろう!?」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「俺は有道(うどう)。お前が負けたら、俺に喧嘩を打ったやつとして仲間に個人情報をばら撒いてやる!」

 

すごい嫌な人…。それはともかく、私のデッキは光文明のみで構成されたデッキ。沢山のシノビ、メカと書かれたカードでできていた。メカのデッキ、御白お姉さんみたい…

 

「私の2ターン目、《忍防の聖沌 h4990u(ハッポウ)》を召喚」

八方手裏剣を模ったメカが現れ、私の前に立つ。本当にクリーチャー達なんだ…

「さらに、場にシノビがいて、マナの光のカードが2枚以上あるため、《忍瞬の聖沌 53nju(センジュ)》を0マナで召喚、ターンエンド」

 

「見た事ねぇカードだな、俺のターン、《フェアリー・Re:ライフ》を唱えてマナを1枚増やす、ターンエンドだ」

「私のターン、《星姫械(プリマシーン) シリエス》を召喚、各ターン、自分のメカが出た時に一枚ドローする」

 

「あとは御白お姉さんみたいに盤面が揃うまで待って…」

「ソレはいけません、今すぐ攻撃をするべきです」

「攻撃!?だって攻撃してタップしたら相手に攻撃されるリスクを背負っちゃうよ!?」

「大丈夫です、ワタシ達のモットーは即断即決。こんなニンゲンとのデュエル、さっさと決着をつけましょう」

 

「分かった、53njuでシールドを攻撃!」

 

有道 シールド4

「シールドトリガーなしだ」

「h4990uで攻撃!」

 

有道 シールド3

「なんだよ、このタイミングのGストライクは意味ねぇじゃねぇか、ほら、ターンエンドだろ?」

有道は舌打ちして、ターンを急かしてくる。

「うん、私のターンエンド」

 

「フン、俺のターン。Reライフをもう一度唱えて、《Disノメノン》を召喚!コイツはスピードアタッカーでマッハファイター!そのキモイ忍者、53njuに向かって攻撃!」

「攻撃される、53njuがやられちゃう!」

「安心しなさい、シノビは不測の事態にも備える、そして必殺の一撃を不可視の位置から叩き込むのです」

 

私は手札のクノイチマントラのカードを相手に見せる。

「これだね!ニンジャ・チェンジ3、発動!《忍瞬の聖沌 53nju(センジュ)》を手札の《聖なる混沌 クノイチマントラ》と入れ替える!」

 

53njuに向かって突き進むヤドカリのようなクリーチャー、Disノメノン。53njuは彼のハサミを受けたかと思えば、いつの間にか消えていた。次の瞬間後ろからクノイチマントラが短刀を持って現れ、Disノメノンを一刀両断してしまった。

 

「…シリエスの効果で各ターンメカが出たので一枚ドロー、クノイチマントラのパワーは7000、5000のノメノンに勝利する」

「クリーチャーが攻撃したら入れ替わる…!?めちゃくちゃだそんな能力!」

「めちゃくちゃではありません、由緒正しいニンジャ・ストライクをさらに発展させ、クリーチャーを元手に何度でも暗闇から現れる。それがニンジャ・チェンジです」

 

「私のターン!シリエスの2体目を召喚!2枚ドローして、53njuも0マナで召喚!このままh4pp0uでシールドを攻撃!」

 

有道 シールド2

「チィ、なんでシールドトリガーが来ない…!」

「あなたみたいな人にはシールドトリガーなんて来ないよ」

「クソォ、シールドトリガーさえくれば…」

「クノイチマントラでシールドをWブレイク」

 

クノイチマントラが刀に力を込めた次の瞬間、一気に2枚のシールドが叩き割られる。まるで光のような速さ、何もさせない速攻の戦い方…

 

有道 シールド0

「よーし!シールドトリガー!《ドンドン火噴く(ボルカニック)ナウ》!山上3枚をマナ、手札、墓地に振り分けて、コスト3のDisノメノンを墓地に!そのコスト以下の攻撃できるシリエスを破壊!」

「それは意味がないよ。シリエスは場から離れる時、代わりに味方のメカ1体を破壊する事でそれを無効化する。h4pp0uを破壊する事で、シリエスは場から離れない」

「そんな…俺、何もできずに…!」

「シールドトリガーが来ても、何も変わらなかったね」

 

「シリエスで、ダイレクトアタック」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「この人はどうするの?」

「とても嫌な夢を見たコトになるでしょう、暫く悪さをする気も起きないヨウナ。そういう忍術をかけておきましたノデ」

「それ本当に忍術なの…?」

 

いつの間にやら忍者屋敷から元の裏道へと戻ってきている、私もまるで夢を見たような感覚。でも手元にあるクノイチマントラのカードが、それが現実であると教えてくれる。

 

「そういえば私の力を試すみたいなこと言ってたよね、結局それはどうだったの?」

「ソレは合格…いや、それ以上。初めてこのデッキを使うのに、こんなに使いこなすとは思わなカッタ」

「じゃああのクリーチャー達を助けに行くの?」

「ソレはまだデスネ。アナタの力は十分なのですが、ヤハリ物事には準備というものが必要ナノデ」

「ふーん、そっか」

(ワタシの力、まだ戻りませんか…闇の瘴気は厄介デスネ…)

 

「ソロソロ夜が明けます、早く病院に戻りましょう」

「そうだね、足を貸してくれてありがとう!」

「イイエ、ワタシも助かっています。しかしくれぐれもバレないように。ワタシ達が会うのは夜だけデス、ワタシの力が必要な時はマントラと呼んでください」

 

私は飛ぶように自分の病院のベッドに向かう。マントラのあれを使えばもう動けるんだから、ソレって仮病なのかな?そうは言わないか。私の体は自力じゃ動かない。クノイチマントラが作ってくれた夢のようなものに、私は浸りきっているのかも。

 

(彼女は素直で、トテモ凄いニンゲン…。これなら我が里に闇を作り出したクリーチャーとも戦えるハズ…)

 

マントラは病院に戻った私を見届けて、朝日が差し込む街の中へと消えていったのだった。

 




夕花の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「《聖なる混沌 クノイチマントラ》!」
「ニンジャチェンジによって相手が攻撃した時、味方のコスト3以上のメカ、シノビと入れ替われる!」
「味方のパワーを次の自分のターンの初めまでパワーを+3000する能力、更に本人はパワー7000のブロッカーとして戦えるカードだよ!」
「というわけで次回、『文化祭がやってきた!』」
「お楽しみに!」
「マントラのこと、お兄ちゃんにも秘密か…お兄ちゃんに言えたら、足のこと喜んでくれるのかな…」
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