デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
夕哉達の通う高校、皇龍高校は9月の2週目に文化祭がある。基本的には夏休みの間に有志(殆どの人間に何かしらが割り当てられる)が集まりながら出し物の完成を目指す。
黒井夕哉は昨日のクリーチャー界探索のことを考えながら、ボンヤリとホームルームの時間を過ごしていた。
「夕哉…夕哉!」
「飛水…?どうしたの?」
「どうしたのじゃねぇ、4人ごとに集まってグループごとにやりたい出し物出すんだよ、早く来い」
「あ、ごめん。ボーッとしてた…」
「あ、黒井くんだ。よろしくねぇ」
「飛水、お前本当にこいつ呼ぶの…?」
「悪いやつじゃねぇから、少なくとも」
「えっと…名前教えてもらっても大丈夫かな…?」
夕哉は飛水から頭に軽めにチョップを食らう。
「このバイトバカ!暴走特急!シスコン!」
「シスコンじゃないから!確かに、夕花は大事だけどさ…」
「ふふ、確かに悪い人じゃなさそう。私は小森 柚子(こもり ゆず)。好きなことはお料理かなぁ」
「はぁ…俺は田崎 朝陽(たざき あさひ)。ベースとかやってる。飛水とは音楽繋がりで仲良くなったんだ」
「そっか、よろしく、柚子、朝陽」
「お前!柚子は俺の彼女だからな!お前変なこと考えるなよ!?」
「あぁ…小森さん、田崎くんで…」
飛水に拳を今度は頭にグリグリと押しつけられる。
「お前バイトの前に対人経験積んだ方いいぞマジで…。あ、朝陽。彼女とか気にしなくていいぞ、コイツ心に決めた女子がいるし」
「え…!?」(御白は…違うよな…だって俺なんかじゃ…)
「心当たりなさそうだが…?」
「やっぱりお前バカだわ、勉強めちゃくちゃできるくせに」
4人の話し合い、並びにクラスでの話し合いは何か起こることもなく円滑に進み、すんなりとお化け屋敷に決まった。
時間を持て余した1年B組はお喋りタイムに入っていた。
「しかしまぁ、飛水が黒井といつの間に友達になってたんだな、やばいやつとしか思ってなかったのに」
「でも私たちの班の話になったらちゃんと発表してくれたよ、ちょっとだけ無茶振りしたのに」
「え!?俺無茶振りされてたの!?」
「夕哉、やっぱりお前ズレてるよ…。まあ言った通り悪いやつじゃない。準備期間中同じ班とかになったら頼むわ」
「青海くんが言うならそうなんだろうね」
「俺まだ認めてないからな…。訳分からんことが多すぎるし、何より飛水が友達になってるのが意味分からん…何繋がりだよ…」
「あぁ…。いや、普通に話したらいい奴だったパターンだよ」
秘密を共有する5人は、デュエマ部をはじめとしたことを話せない。
学校が終わり、夕哉は光屋家にバイトに向かおうとする。
「ゆうやー!一緒に帰ろー!」
「緑、でもごめん!御白の家にバイト行かなきゃ…」
「大丈夫です夕哉くん、今日は5人で帰りましょう!」
御白の声が聞こえたと思い振り向いた夕哉の前に、御白と火奈(と火奈に引っ張られている飛水)がやってくる。
「御白、普段は学校で会わないようにしてるのに…」
「文化祭の話、したいんです!!」
「あたしも同じく。ね、飛水?」
「せめて離してから言ってくれねぇかな…」
「??? みしろ、誰かいなかった?」
「え、私達だけですよ?」
「早く帰ろ!色々聞かれたら面倒だし!」
(危ねぇ、つーか光屋と赤坂!?転校生の守木もいる…繋がりが!分からん!!)
「へぇ、じゃあ2人はお化け屋敷なんだ」
「うん、まあ正直お化けってどうすんだって思うが…」
「墓から続々と蘇る感じが想像したんだけど…」
「「「アビスラッシュじゃん(じゃないですか)!」」」
「って飛水に言われたから辞めたよ…皆にも言われちゃった」
「私と火奈ちゃんのクラスは喫茶店になりました!色々着るそうです、メイド服とか!」
「へぇいいなぁ、ボクも着たい!メイド服!」
「そっちなのか…似合いそうなのがな…」
中性的な見た目の上美少年の緑は、多分何を着ても似合うと飛水は思った。
「あたし共々裏方になろうとしたんだけど、一部の御白ちゃんファンから猛反対を喰らっちゃって…」
「うん、御白確かに綺麗だもんね」
「ゲッホ!まぁ、確かに、そうだな…」
(これで無自覚?なのおかしいんじゃねぇのか!!?)
「1年D組はね、劇をやることになったんだぁ、ボクがロミオ役」
「ロミオとジュリエットですか、役まで決まったんですね」
「めっちゃ悲劇だよね、大丈夫緑?」
「ゴルファンタジスタに言ったらすごく反対されたよ…でもこういうのをやってもみたいんだ、やりたいことはいっぱいだから」
「いいなぁ、ジャシンに聞いたら『勝手にしろ』だもの」
「ドランさんに聞いたら『不届きものは私が全て追い払いますから安心してください』って言ってました」
「カイザーは『メイド…?』って言ってたよ、やっぱりそれぞれ文化があるんだね」
「なんで全員地味に声真似似てるんだよ…」
飛水はそう言いながら皆の方を見ないようにする。信頼できるクリーチャーの相棒、緑がゴルファンタジスタを取り戻したことで他の4人とは状況が変わったことは、彼には重たい錘としてのしかかっている。
商店街を歩いていた5人だったが、突如として夕哉のデッキケースが動く。
「あぁ、フォックからだ。唐揚げ切れそうなんだね。ごめん4人とも、ジャブラッド用のお肉買って家に置いてくるから、先に行ってて」
「地味に家計圧迫してないかそれ?」
「唐揚げは1日3個!って言ったら聞いてくれたよ」
「ジャブラッドって思ったより素直だね。行ってらっしゃい!」
「うん!皆、また明日!」
そんな5人を朝陽は遠巻きに見ていたのだが…
「黒井夕哉…探ったが逆に謎が深まるな…」
そうして引き返そうとしたその時、後ろに男が現れて…
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「ぐあっーー!」
何処からか聞こえた声に夕哉はすぐに駆け出していく。
「夕哉よ、無視して早くジャブラッドの贄を用意しろ」
「ただの鶏肉でしょ!少なくとも誰かが苦しんでる、今すぐ行かなきゃ!」
夕哉は基本的に困っている人がいたら助ける人間である。夕花の怪我の際に何もできなかったことが一番の理由ではある。彼は、後悔しないために生きている。
夕哉がたどり着いたところには、ある男がいた。
「あぁ?アニキの言ってたニンジャじゃないのか?たしか口を隠してて、忍者の格好してて…」
「ニンジャ?何の話?…田崎くん!」
朝陽は気を失っており、その男に足で踏まれている。
「お前…!折角俺の友達になってくれた人に、なんてことするんだ!」
ジャシンの深淵のフィールドが展開され、夕哉と男を包み込む。
「このフィールド…少なくともお前を倒せばシノビのことを吐きそうだな!見ててくださいアニキ、改良したアニキのデッキで、アイツをぶっ倒してやります!」
「ほんっとうに心当たりないけど、今俺凄い機嫌悪いよ!」
「「デュエマ、スタート!」」
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「有道のアニキ、見ていてください…!俺は尾道(おのみち)!アニキと苗字のよしみで同盟を組んでいる!適当な人間を襲えば出てくるであろうシノビをぶっ飛ばして、アニキの仇を討つ!」
「俺のターン!《伝説演者 カメヲロォル》を召喚!ターンエンド!」
「俺のターン、《ブルーム=プルーフ》を召喚、墓地を1枚増やす!」
「ふん、アビスロイヤルか。突然出てきたポッと出種族が…」
(ポッと出か、竜也さん、公輝さんが頑張ってくれたおかげでこっちの世界で使えるだけ感謝だよな…)
「ターン開始時、お互いにカードを1枚引く!《異端流し オニカマス》を召喚!カメヲロォルでシールドを攻撃!」
夕哉 シールド4
「トリガーなし…!」
(ニンジャとか気になること言ってるけど、とりあえずこのデュエルに決着をつける!)
「俺のターン!《邪龍 ジャブラッド》をバトルゾーンに!出た時、更にブルームがカメヲロォルに攻撃する時に合計四枚墓地を増やす!」
「パワー3000、カメヲロォルと相討ちか!」
「いいや、ジャブラッドは墓地を4枚戻すことで、アビスが場から離れるのを無効化する!ターンエンド!」
「だったらもう一度消すまでだ!《“乱振”舞神 G・W・D》をB・A・D(バッド・アクション・ダイナマイト)2で、このターン終了時に破壊される代わりに2コスト減らして4マナで召喚!登場時効果でブルームとバトル!パワー5000で轢き潰して、バトルに勝ったので1枚ドロー!そのままシールドに攻撃!」
夕哉 シールド3
「シールドトリガー!《ドアノッカ=ノアドッカ》!登場時に2回、パワー−4000を与える!G・W・Dを−8000して破壊!」
「ターンエンド!」
夕哉は一度落ち着き、尾道に声をかける。
「ねぇ、一つ聞きたいんだけど、アニキって何したの?」
「…アニキは、普段通りカツアゲに勤しんでいた…」
(普段通り、カツアゲ…?)
「しかしそこにニンジャが現れ、アニキをデュエマでボコボコにしたんだ。あれから3日経つが、毎日ニンジャにやられる夢を見るらしい…」
「その仇討ちだったんだ…。でもさ、君が俺の友達にやったことは絶対許せないよ、それは反省しなきゃいけないと思うよ!俺のターン!」
「アニキや俺のことを勝手に憐れみ説教しやがって、余計に許さん!」
「あ…!そう言われるとそうかも、ごめん…」
「あぁやりづらい!なんだこいつ!」
(そうは言うがピンチだぞ、どうする夕哉よ)
「分かってる、いつも通りチャンスがあるなら掴みにいくだけ!呪文、《「力が欲しいか?」》!アビスメクレイド5を行う!行くよ!《アビスベル=ジャシン帝》!」
いつも通り夕哉はジャシンを呼び出し臨戦体制に入る。
「うわぁなんだ!?なんだこのカード!?まるで本物みたいだ…!」
「ドアノッカでシールドを攻撃、ジャブラッドで墓地を2枚増やす!」
尾道 シールド4
「シールドトリガー、《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》!ターンを強制終了する!」
(1ターンを稼ぐシールドトリガーを予め叩けた…運が良いな)
「でも結局クリーチャーが1体増えてる、油断もできない…」
「俺のターン!呪文《“必駆”蛮触礼亞》を5コストで唱える!手札からビートジョッキー、《勝利龍装 クラッシュ“覇道”》をターン終了時破壊される制約を背負ってバトルゾーンに!アビスベル=ジャシン帝とバトル!」
「14000と7000…、手札を2枚捨てることで生き残る!」
「クラッシュ覇道でシールドを攻撃!こいつはタップして破壊されたとき、追加ターンを獲得できる!」
(ジャシン帝でブロックしても追加ターンが取られてジリ貧になる…なら!)
「シールドブレイクを通す!」
夕哉 シールド1
「シールドトリガーなし…!」
(ここで止まられたら不味い…シールドから来たあのカードを…)
夕哉は不安そうな顔をし、尾道を誘う。Prayers事件の終結後、夕哉はデュエマ部やPrayersと戦い、ある程度のレベルアップを果たしていた。
「…ならクロックで攻撃!」
「ジャシンでブロックはしない!」
夕哉 シールド0
「シールドトリガーなし…だけど!手札の闇のカード、《フォーク=フォック》を捨てることで、S(ストライク)・バック!呪文《秩序の意思》を発動する!」
「S・バック!?」
「シールドから加わったカードを捨てることで、手札からタダで使えるカード!クラッシュ覇道を封印!そっちの山札を1枚クラッシュ覇道に乗せて、効果を無視する!」
「まさか、さっきのWブレイクで引いたのか!追加ターンが無くなった…!」
「凄い強いよ尾道さん…正直賭けだったし…」
「くそぉ、ターン終了だぁ!」
「俺のターン!《ハンマ=ダンマ》、《ブルーム=プルーフ》、「力が欲しいか?」のクリーチャー側、《フットレス=トレース》をアビスラッシュ!ダンマの効果でクロックを破壊して、ジャブラッドでシールドをWブレイク!」
尾道 シールド2
「うわぁ!トリガーなしか!」
「ジャシンでシールドをWブレイク!」
尾道 シールド0
「Gストライクが1枚…!ダンマを止める!アニキ…すみません…!」
「フットレス=トレースでダイレクトアタック!もうこういうことしないでね!」
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「ハッ!夢…!?なんかでっけぇジャシンとドラゴン達にボコボコにされる夢を見たような…」
「それってこんな感じの?」
夕哉はジャシンのカードを見せる。
「うわぁ!?す、すいませんでしたぁ!」
尾道は急いで逃げていった。
「良かったのか?この程度で済ませて」
「どっちかというと影響受けやすいだけの人に見えたし…これくらいでいいかなって」
「フン、ニンゲンはよく分からん」
「さてと…田崎くん、大丈夫?」
「あれ、俺、誰かに襲われて…黒井?」
「うん、黒井夕哉で合ってる。怪我は無さそうだけど、念のため病院に連れていくから」
夕哉は朝陽を背負って商店街へと戻る。
「黒井、お前思ったより力持ちなんだな…。助けてくれて…ありがとう…」
「ううん、偶々通りかかっただけだし、バイト遅れる連絡は送ってるから大丈夫だよ」
「ハハ、そういうことじゃねぇだろ。…夢でもお前に助けられた。なんかでかい奴が黒井と一緒に戦ってた気がする」
「え!?いや、それは本当に、偶然じゃないかなぁ…?」
夕哉は思わず朝陽を抱える手に力が入る。
「いてててて!痛いって!」
夕哉は力を緩め落ち着く。もう少し歩いた時に、朝陽がもう一度口を開く。
「お前には感謝してる、変な奴だって疑って悪かった、なんか飛水と変なことやってんじゃないかって思ってて、少し追いかけてたんだ」
「…そっか。確かに全くやましいことがないわけじゃないよ」
「じゃないのかよ」
「うん、言えないけど、俺にとって大事なことなんだ」
「ハァ…分かったよ。黒井には黒井の都合があるんだな?飛水を変なことに巻き込んだら許さないぞ」
「うん、分かったよ。努力する」
「努力するって…いいよ。よろしくな、夕哉」
夕哉は新しい友達と言ってもいい人と、また出会えたのだった。
夕哉と!御白の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「《フットレス=トレース/「力が欲しいか?」》!」」
「クリーチャー側は毎ターン終了時墓地肥やしと闇のカードの回収の両方を行う強力なリソースカードです!」
「呪文側は4コストでアビスメクレイド5を行えるんだ、ジャシン帝をはじめとした強力なアビスを呼べるよ」
「しかもこの呪文自体が『アビスへの誘い』という種族を持つので、このカードからこのカードを唱えて再度メクレイド!なんてこともできますね!」
「というわけで次回、『いざ、光文明へ!』」
「「お楽しみに!」」
「御白、遅れてごめん。その分張り切って教えるから!」
「張り切らなくても…大丈夫ですよ…?」