デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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双竜戦記編
デュエマ部始動!


「うん…!いい朝…」

 

黒井夕哉(くろい ゆうや)は今日も午前5時半ごろに起きて祖母を起こさないようにしながら普段通りのストレッチを始める。今日は土曜日では本来スーパーでのバイトがあるのだが、訳あって今日はそのシフトをずらして貰っている。

 

「おはようジャシン、良い朝だね」

「フン、もう太陽が出なければ良いとすら思うわ」

「それは皆凍死しちゃうって…」

 

彼は訳あって《アビスベル=ジャシン帝》というクリーチャーに出会い、そこからデュエル・マスターズの世界に入った。クリーチャー達を操る人体実験をしていた真沢(まざわ)と虹村(にじむら)という男との戦いから1ヶ月が過ぎ、朝食をとりながら、梅雨の間の晴れ間を夕哉は楽しんでいる。

 

「さてと、行かなきゃね。ジャシン、今日もよろしく」

「さて、今日は誰を叩き潰そうか…」

「君は一応持っていくけどデュエルするのかな…?」

 

ジャシンというクリーチャーはかなり危険な存在であり、一度夕哉は乗っ取られかけたことがある。しかしこの事を知っているのは夕哉ともう一人だけであり、何より夕哉にとってはある理由でジャシンを手放すことはない。彼にとってデュエマは遊びでありながら、もう一つ大事な意味がある。

 

夕哉は自転車を回して虹村達と戦った跡地へと向かう。家からそこまではあまり遠くはない。15分ほど自転車を漕ぎ、そこにはあの時一緒に戦った仲間がいた。

 

「夕哉くーん!おはようございまーふ!」

「御白おはよう!何食べてるの?」

「ゴクン、ランチパック食べてます、寝坊しそうになっちゃって」

 

光屋御白(ひかるや みしろ)。夕哉をデュエマの世界に引き込んだ張本人であり、《ドラン・ゴルギーニ》の契約者、夕哉の家庭教師のバイトの雇い主である。なぜ同い年でこうなっているかというと、友達を逃したくなかった御白と妹の入院費のためにお金が欲しかった夕哉との利害の一致である。今は2人は良き友達として過ごしているが。

 

「そういえばちゃんと問題集やった?」

「ギク…やり…ま…した…?」

「やってないね、教えるから帰ったらやろうね」

「はい…でも今は…」

「公輝さんの呼び出し、珍しいよね」

 

正路 公輝(しょうじ こうき)という夕哉達の協力者によって彼らはこの跡地に集まった。といっても跡地には新しく建物が立っており、元が真沢の研究所であった面影を感じさせない。

 

「おはよう黒井くん光屋さん、待っていたよ」

「おはよー!」「おはよ」「おはようー」

「火奈、飛水、緑!」

 

夕哉の他の友人であるボルシャック・カイザーの契約者の赤坂火奈(あかさか ひな)、訳あって夕哉の友人となった青海飛水(おうみ ひすい)、クリーチャーの世界で幼少期を過ごした守木緑(もりき みどり)の3人が、すでに集まっていた。

 

「夕哉は今日何をするか聞いた?あたし達も何も知らなくて」

火奈が全員が気になる事を聞いてくる。

「ごめん、俺も聞かされていないんだ」

 

「だよなぁ、早めに来た俺たちにも教えてくれなかったんだ」

飛水が言葉を続ける。

 

「ボクもこうきさんの家に住ませて貰ってるけど聞かされてないんだ」

親がいないため今は公輝の家に住んでいる緑も聞かされていない。5人は首を傾げるしかなかった。

 

「さて、そろそろ皆気になってる事だろうし…」

公輝が言葉を続ける。

「今日皆を呼んだ理由はね、真沢の研究についてなんだ」

 

「真沢叔父さん!?」

飛水が真っ先に反応する。今は実験の副作用で死んでしまった真沢だが、甥っ子であり彼を尊敬していた飛水にとって無視できない話題だった。

「うん、研究等の情報を片付けている際に、守木くん達も知らない部屋を見つけたんだ」

「ボクも知らない部屋…?」

「うん、それはね、『クリーチャーの世界への扉』」

「クリーチャーの世界ですか!!?」

今度は御白が一際大きな声をあげる。デュエル・マスターズが大好きな御白にとってこんなに興味をそそられる話題もないだろう。

 

「うん、真沢が焦っていた理由がここにあったんだ。実際にクリーチャー界への扉が世界中で開きかけてる」

「え、それってすごく危険なんじゃ…?」

ジャシンというリスクを知っている夕哉がすぐに声をかけた。

「そうなんだよ黒井くん。日本ではそこまで確認されてないのは、ここに大きな穴が空いているからだと思う。現に海外の方は竜也が全力で回っている状況だ」

「竜也さん、今度は扉を止めるために…」

「水漏れみたい…あ、あたし変な事言っちゃった!」

「大丈夫。黒井くん、光屋さん、赤坂さんのようにクリーチャーと契約できる人は早々いないから、君達にはこの世界の調査、安全の確保をして欲しいんだ」

 

皆がどよめく中緑が言葉を遮る。

「クリーチャーの世界は、危険だからだよね?クリーチャーがいないと話にならない、そんなレベル」

「そうなの、緑?」

「うん、ゴルファンタジスタがいなきゃ絶対にボクは生きてなかった」

「そう、だからオレ達ができない仕事なんだ。相応の危険もあるから、報酬を高めにするとかしかできないんだけど…」

「高い報酬…やらせてください!」

「夕哉落ち着け!お前今までよく変なバイトに引っ掛からなかったな!?」

張り切る夕哉を飛水が嗜める。

 

「時間の流れも違うからクリーチャーとの契約がスタートラインのレベルだ。黒井くん、光屋さん、赤坂さんに任せて、青海くん、守木くんには後方支援をお願いしたいんだ」

「俺はやります、報酬もあるけど…ジャシンのことをもっと知るためにも必要な気がする」

「私もやります!危険があるとはいえ、クリーチャーの世界なんて最高です!」

「ボクも、みんなを手伝えるならやりたいなぁ」

 

夕哉、御白、緑が乗り気な中火奈と飛水がこう続ける。

「あたし、できなくはないけど部活あるんだけど…」

「俺は…叔父さんには興味あるけど危険なのか…クリーチャーと契約してないし、結局夕哉とかに負担かける訳だしな」

「うん、急ぎの依頼じゃないから空いているタイミングでいいよ、それでも人手の方が欲しいからね」

「ありがとうございます」

「俺は…戦力になれないからな」

「そんなことはないよ、君の力も頼りにしている」

飛水の顔は晴れない。自分には何も言えないと、夕哉は声をかけることができなかった。

 

「じゃあ暫くは黒井くんと光屋さんを中心にやっていこうか。あとはもう一つあるんだ」

「何があるんですか?」

「オレはずっといれるわけじゃないから、もう一人アシスタントを呼んだんだ、入ってきて」

「須谷 遥風(すたに はるか)と申します、みなさん、よろしくお願いします」

須谷と名乗った女性は眉ひとつ動かさず事務的に自己紹介を終える。

 

「よろしくお願いします、須谷さん」

「はい、よろしくお願いします、黒井さん」

「ねぇ遥風さん!何か好きなものとかある!?」

「特にありません、仕事に必要ありませんし」

「えぇ…そうなの…?」

 

心の壁を前に撃沈する火奈の代わりに御白が喋り出す。

「えっと、デュエマは知ってますよね、ここに来てるわけですし…」

「名前は知っています、仕事は皆様のサポートですからどういうものかは知りません」

「…それは勿体無いです!こんな面白いゲーム中々ないですよ!」

御白の布教スイッチが入った。飛水が頭を抱えている。

「夕哉くん!クリーチャー界に行く前のデモンストレーションとしてデュエマしましょう!遥風さんにも教えたいですし!」

「御白…デュエマしたいだけじゃない…?」

 

その時夕哉のカードケースからジャシンのカードが現れ、ジャシンが顔を出す。

「余の新たな力がある。使いこなしてみよ」

「そうなの?ジャシンがこういうのに乗り気なの珍しいかも。折角ならやろうか!御白!OKだよ!」

「分かりました!よーし行きますよー!」

「「デュエマ・スタート!!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「デュエマは何をするゲームなのですか?」

「お互いにクリーチャーや呪文を使ってプレイヤーを守る5枚のシールドを割り、先にシールドを割り切り、ダイレクトアタックを目指すカードゲームだよー」

「そのためには毎ターン1枚ずつマナっていうエネルギーを貯めるんだ」

 

夕哉の先行でデュエマは始まり、お互いの得意戦術、夕哉はジャシンの墓地蘇生、御白はドランでの大量展開狙いでの戦いが始まる。

「マナチャージ、《ド:ノラテップ》を召喚!ターンエンド!」

プテラノドンが歪んだようなクリーチャーが機械の映像に現れる。光屋コーポレーションのVR技術は凄まじく、デュエマのクリーチャーを描画する技術も開発されているのだ。

「新しいクリーチャーですか!私も新顔で行きます!《アシスター・アルデ》を召喚です!ターンエンド!」

 

「なるほど、こうやって戦うのですね」

「うん、ここからすごいよー」

 

「呪文、《邪侵入》!墓地を4枚増やして、《アビスベル=ジャシン帝》を墓地からバトルゾーンに!ターンエンド!」

一際禍々しい夕哉の相棒、ジャシンがバトルゾーンに現れる。

「あれが黒井さんの相棒…」

「私も行きます!アルデさんは各ターンに1回、メカを使うのにかかるコストを1下げてくれます、ですから3マナで《ドラン・ゴルギーニ》を召喚です!」

スーパーカーとドラゴンが合体したような青を基調とした体色のクリーチャーが現れる。こちらが御白の相棒、ドラン・ゴルギーニだ。

「ドランさんは場に出た時、相手クリーチャー2体をタップし、次の夕哉くんのターン、アンタップしません!」

「ジャシン、ノラテップ!」

 

「タップとアンタップとは?」

「タップは所謂休憩状態、アンタップは攻撃や防御ができる待機状態みたいな感じだ。あいつのドランは無理矢理2体のクリーチャーを動けなくしちまうんだ、結構色々聞いてくるんだな、須谷さん」

「仕事に必要なので」

(本当に仕事熱心というか…仕事しか見えてないんじゃないか?)

 

「こっちのターンだよ!アビスラッシュで《邪龍 ジャブラッド》をバトルゾーンに!アビスラッシュでクリーチャーを出せば、ターン終了時に山下に戻るかわりに出たターンに攻撃できる!さらにノラテップの効果でコストを1下げて、《深淵の怪炉 マーダン=ロウ》をバトルゾーンに!《シェケダン・ドメチアーレ》を手札から墓地へ!さらに《ハンマ=ダンマ》を召喚!登場時効果でアルデを破壊!条件達成でジャブラッドがクリーチャーになる!」

「相変わらず展開力すごいですね、流石アビスです!」

「全力で行くよ!ジャブラッドでシールドを攻撃!攻撃時効果で2枚墓地を増やして、W(ダブル)ブレイク!」

 

御白 シールド3

「まだまだぁ!シールドトリガーです!」

「シールドトリガーとは?」

「シールドが破られた時にタダで使える反撃カードだよ!」

 

「シールドトリガー!《トライシェルビ-P6》!ブロッカーで攻撃を止められますが、さらに効果で味方のメカをタップすることで、《メカ・メクレイド5》を行います!」

「メクレイド?御白、何その効果?」

「山札の上から3枚を見て、種族とコストが合っているならそのクリーチャーや呪文をタダで使う新しい効果です!私が呼び出すのは、《シェケダン・ドメチアーレ》!ドメチアーレの効果で3枚ドローです!」

「嘘!?折角ハンデスしたのに…止まるわけにはいかないか、ダンマで攻撃!」

「トライシェルビでブロック!パワーが勝っているのでダンマはバトルに負けて破壊され、墓地に行きます!」

「マーダンでシールドに攻撃!」

 

御白 シールド2

「シールドトリガーなしです!」

「じゃあターンエンド!マーダンは山札の下に戻って、ジャブラッドは自身の効果で墓地を4枚山札に戻して山札の下に戻る効果で耐える!」

 

「それじゃあ反撃しますよ!私のターンです!シェケダン・ドメチアーレはクリーチャーを出るコストを減らして、《星姫機 マリハダル》、《シェケダン・ドメチアーレ》、《ルベル・ゴルギーニ》を1,3,1コストでバトルゾーンに!」

「ブロッカー2体と…マリハダル?なにそのカード?」

「それは後のお楽しみです、ドランさんでシールドに攻撃!その時、手札から《ドラン・ゴルギーニ》2体目をバトルゾーンに。ジャシンとノラテップをタップして、さらに私の方がクリーチャーが多いので破壊されなくなります!」

 

夕哉 シールド3

「シールドトリガー、《ハンマ=ダンマ》!」

「墓地を3枚増やして、シェケダン・ドメチアーレを破壊!」

「ドランさんの効果で破壊は効きませんよ!そしてドメチアーレさんで攻撃!その時シビルカウント5でTブレイカーになります!」

 

夕哉 シールド0

「シールドトリガー引かなきゃ負け…でもこういうのが…」

「さいっこうに楽しいんですよね!!」

「うん!シールドトリガー、《悪灯 トーチ=トートロット》!登場時効果で破壊できるけど、それは効かないからブロッカーとして使う!」

「ギリギリ届きませんか…トライシェルビで攻撃!」

「トートロットでブロック!相打ちだけど、そっちだけ残る…」

 

「ターンエンド、その時ルベル・ゴルギーニの効果で味方を全てアンタップします。さらにマリハダルの効果で夕哉くんは次のターン2体までしかクリーチャーを出せません、言いたいことは分かりますね?」

「2体だけでゲームに勝たなきゃいけないってことね」

 

「アビスの大量展開が出来なくなっちゃった!?」

「嘘、ゆうや負けちゃう!?」

そういう火奈と緑に飛水が声をかける。

「夕哉さ、こういう時が一番怖いんだよ。こういう時、アイツは…」

 

「分の悪い賭けにもガンガン飛びついていく、最後まで一切諦めないんだ」

「俺のターン!まずは、《深淵の怪炉 マーダン=ロウ》をアビスラッシュ!登場時効果で相手の手札を見て、クリーチャーを落とす!俺の勘が正しければ…《ドラン・ゴルギーニ》を墓地へ!」

「良いんですか、後1体ですよ?」

「十分!ノラテップで軽減して、マーダン=ロウをアビスラッシュ!」

「え…まさか!?」

「もう一発マーダンロウでドランを捨てさせる!」

 

「マーダン=ロウで攻撃!攻撃時にシビルカウント3で相手の墓地のクリーチャーの登場時効果を使うことができる!ドメチアーレ2体をタップする!ジャシンにやられた分の倍返しだ!」

「すごいよゆうや!ドメチアーレの大量ドローを逆手に取ったんだね!」

「くぅ…ルベルでブロックです!」

「マーダンロウで攻撃!同じくドランの効果を使って、トライシェルビをタップ!これでブロッカーはいない!」

 

御白 シールド1

「嘘、ドローの裏目を…!」

「ハンマ=ダンマで追撃!」

 

御白 シールド0

「シールドトリガー、なしです…!」

「邪龍ジャブラッドで、ダイレクトアタック!!」

「うわー負けですー!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「マーダンロウをそう使うのは反則じゃないですかー!?ドローがそのまま墓穴を掘ることになっちゃうなんて…」

「俺もドメチアーレを見て思いついた戦法だし…御白の破壊されないマリハダル戦法厄介だった、強かったよ!」

 

感想戦を始める2人を見て須谷遥風は呟く。

「2人は仲が良いのですね」

「2人ともデュエマ大好きだからね、あたしも好きだよ」

「そうですか、私にはよく分かりませんでしたが…」

「え、そんなぁ!途中普通に楽しんじゃったからですかね!?」

御白が落胆する。そこに遥風が続ける。

「でも少なくとも、悪い印象は持ちませんでした」

「仕事、これからよろしくお願いしますね」

 

「「「「「はい!」」」」」

公輝が笑顔で一部始終を見ていた。彼も悪い気はしなかったらしい。

「あ、そうです!」

御白が突如思い出したように喋る。

「私、高校入った時デュエマ部を作ろうとして即刻却下されたんですけど、」

「何してんだ何を」

「ここの集まりで『デュエマ部』にしませんか!折角名前決まってないのなら!」

「俺は賛成、こういうのやったことなかったし」

「確かに部活みたいで楽しいかも、あたしも!」

「ボクもそれが良いなぁ、響きが楽しそう」

「多数決決まっちまったよ…いいよ、分かった」

「やりました!デュエマ部、これから本格始動です!」

 

夕哉、御白、火奈が扉の中に入り、クリーチャー世界への1歩を踏み出した。

 

 




夕哉と!御白の!今日のカード紹介!
「というわけで今回から始まる本編内で活躍したカードについて特集するおまけコーナーです!ちなみにパーソナリティは2人組で毎回変わりますよ」
「…というわけで初回はこのカード!」
「「《アビスベル=ジャシン帝》!」」
「4コストパワー7000のアビスロイヤルです!」
「ブロッカーを持っていて墓地の種族:アビスにアビスラッシュを与えて、墓地から召喚するクリーチャーを2コスト減らすことができるカードなんだ」
「夕哉くんの相棒ですね!ブロッカーで1ターン耐えて、次のターンに連続アビスラッシュです!」
「手札2枚を犠牲に生き残る能力もあるから、思ったより全然ジャシンは生き残れるよ」
「捨てた手札もアビスラッシュの弾にできるの無駄がなさすぎて怖いですね…ジャシンの名に恥じない高スペックカードです!」
「初めてデュエマをした時から、俺を支えてくれてる大事なカードだよ」
「というわけで次回、『いざ、クリーチャー界へ』」
「「お楽しみに!!」」
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