デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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ジャシンと出会った少年、黒井夕哉(くろい ゆうや)は皇龍市に開いたクリーチャー世界への扉を調査するため、そして妹の夕花の下半身不随を治すために、日々仲間と共に様々なクリーチャーや人間と戦っていた。光文明の探索に向かった仲間の御白(みしろ)と緑(みどり)。光文明を取り巻く環境はかなり特殊になっているようで…


ゴルギーニ・ピット

 

ゴルギーニ・ピット。そこはゴルギーニ・タウンの地下にあるドラン・ゴルギーニ達メカ・デル・ディネロ達の魂の故郷である。富は無から産まれる訳ではない。その為に彼らはこのピットで多数の商いを行い、生きる活力を手に入れ、地上のゴルギーニ・タウンへと足を伸ばしていったのだ。

 

「ここが…ドランさん達の故郷…」

「正確には先祖の故郷ですね、彼らが居なければ、富が脈々と受け継がれて居なければ、私達はここには居ません」

「ドラン様だぁ!」「ドラン様!」

「何処に行かれていたんですかドラン様!」

蝋燭のようなオレンジ色の電灯達が暖かく迎え入れるピット。その向こう側から沢山の影が見えたと思えば、ドランは直ぐに沢山のメカ達に取り囲まれる。このピットに来ているのはメカ・デル・ディネロだけでなく、メカ・デル・ステラやライトブリンガー、エンジェル・コマンドを始めとした他種族などの顔も見え、ドランの人望が窺えるものだった。

 

「弟よ!よく無事に帰ってきたなぁ!」

「ルベル兄さん、お久しぶりです」

「ところで、そこのちっこいのはなんだ?」

 

普段使っているカード達を前に感動で言葉を失う御白だが、気を取り直し自分のことを示す。

「光屋御白です、ドランさんと契約しています、よろしくお願いします!」

「契約…!?ドラン、契約ってことはニンゲンの下に着いたのか!?じゃあコイツはとんでもない金持ちってことか…!?」

「契約は下に着くわけではありませんよ。彼女の意思に惚れ込んで契約したのです。彼女は確かに富を持つものですが、それだけではありません。皆さんも彼女を見ていれば分かると思います」

「ドランが言うなら…引き下がるけどよ…」

 

緑がツンツンとドランの車体をつつく。

「ねぇドラン。この後どうするの?」

「ここは安全な場所です。人間界との扉を開いて第二の拠点とします。地上は危険ですからね」

「そんなになんですか!?」

「はい、そのために須谷さんに頼んだのです」

呆れたように大きく車体の頭を動かしてルベルが説明を始める。

「ニンゲンは何も知らないみたいだな、外はよう分からんやつらで溢れかえってる、災いが来るとかなんとか言って、使えるやつを強制的に軍隊に加入させてるんだ」

 

ゴルファンタジスタがカードから飛び出し、口を挟む。

「つまり、自分たちが色々する代わりに強制徴兵ってことか?便利を押し売りして半ば脅してんのか。虫唾が走るな」

「「自然文明のクリーチャー!?」」

「落ち着いてくださいドメチアーレさん!アルデさん!」

「「ニンゲンに名前知られてるのも怖い…」」

「私が居ない間にそんなことが…」

「社会の不安が高まっている間を狙ってのこれだ。こっちに戻ったらやることは山積みだぞ、ドラン」

「成程、ありがとうございますルベル兄さん。とりあえず扉が開けば、私はカードから2つの世界を行き来できるので一気に状況は良くなると思います。あとはこれを起こした黒幕を…」

 

突如ズーン、ズーンと大きな音が鳴り、ピットが大きく揺れる。

「ピットは秘密の場所の筈です…何が…!」

「ドラン!ピットじゃねぇ!上からだ!」

「上…!行きましょうドランさん!嫌な予感がします!」

「緑さんとゴルファンタジスタさんは皆さんを守ってください!」

「了解!」「任された!」

「待てニンゲン!このカード達持ってけ!」

 

御白は2枚のカードを掴み取る。片方は緑を基調としたクリーチャーで、装甲車のように沢山の装備をした荒々しそうなカード。もう片方はドラン達が小さく見えるほど巨大で、黄色のコンテナのようなクリーチャー。そのクリーチャーは車でありながら空も飛べるようだった。

 

「《ウィリデ・ゴルギーニ》と《フラウム・ゴルギーニ》だ!今は地上と空中で偵察しているが、ゴルギーニ・ピットのピンチだ!同じ文明で呼べば来てくれる!」

「…信用してくれるんですか!?」

「俺もゴルギーニ家!守るための最善を取るだけだ!」

「ありがとうございます!絶対勝ってきます!」

 

御白とドランは入り組んだ地下通路を走り、登り、進んでいく。下水道へと出た2人は不自然さに足を止める。

「嫌に綺麗ですね…使われていないのでしょうか?」

「使われてない下水道って…地上では経済が大きく動いてないってことですか?」

「そういうことになるでしょうね、人払いでもあったようです」

「ようやく来ましたか、元リーダー」

 

2人に声をかけたそのドラゴンは青い体に忍び装束を身に纏い、2本の刀を背中に背負って居た。体のそこかしこに何かを仕込んでいるようで、立ち居振る舞いから強者であると2人は直感した。その足元には須谷が使っていたドローンがあり、踏み潰されてバチバチと火花を吹いていた。

「須谷さん!」

『大丈夫…です…!座標を設定して扉を開く準備くらいは…できます…!詳しい…場所を…!』

ノイズ混じりの音で、ドローンの受けたダメージが伝わる。

「座標はここです!私たちがコイツを引き受けます!早く!」

「裏霧隠蒼頭龍 バジリスク、ニンゲンを介入させないためにこの任務を請け負った、させるわけがないだろう」

 

バジリスクと名乗ったドラゴンが直ぐにドローンの進行方向に先回りするが、ドランが横から体当たりでそれを阻止する。体をドラゴン形態に変化させたドランはバジリスクに掴みかかり、捲し立てるように言葉を続ける。

「何故水文明のクリーチャーがこんなところに!私の街に何をしたのですか!」

「…シノビに文明なんて関係ない、ある利害の一致でここにいるだけ」

「ならここから!私達の街から出ていってもらいます!御白さん、宣言を!」

「分かりました!行きますよ!」

「成程…ニンゲンと契約したのか、数奇だな」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Side:御白

 

私の後攻で始まったデュエマは、こちらは軽減クリーチャーを、あちらはマナ加速を続ける展開に。こちらは2ターン目に《アシスター・アルデ》を、あちらは《地龍神の魔陣》を唱えて、3ターン目に入りました。

 

「拙者のターン!4マナで《ウマキン・プロジェクト》を召喚!山札の上から2枚を確認して、1枚をマナゾーン、1枚を手札に!ターンエンド!」

「私のターン!2マナでアシスター・アルデの2体目を召喚!合計で2コスト下げて、1マナで《星姫機 シリエス》を召喚です!各ターン初めてメカが出た時に1ドローします!」

 

「拙者のターン!6マナで《裏霧隠蒼頭龍 バジリスク》を召喚!自分のシノビがバトルゾーンに出た時、相手1体を次の自分のターンまでアタックもブロックもできなくする!シリエスの動きを止める!」

バトルゾーンに現れたバジリスクがシリエスに鎖を巻きつけ、水道の中に叩きつけられてしまいます。

「ウマキン・プロジェクトはマナの数×1000パワーが上がる!6000のWブレイカーで攻撃!」

「ブロックしません!」

 

御白 シールド3

「シールドトリガーなしです!」

「ターンエンド」

(契約した人間、こんなものか…?)

 

「私のターン!アシスター・アルデ2体で2軽減!場にブロッカーが2体いるので3軽減!4マナで《フラウム・ゴルギーニ》を召喚です!」

「な、急に呼び出され…ドラン!?」

「今はそう言うの無しです!彼女の言うことを聞いてください!」

「召喚時、メカ・W・メクレイド8が発動します!《ドラン・ゴルギーニ》!《ウィリデ・ゴルギーニ》をバトルゾーンに!」

「うわぁなんだ!?俺様地上にいた筈…!」

「すいませんお二人とも!力を貸してください!」

 

フラウムさんのコンテナが開き、中からドランさんとウィリデさんがバトルゾーンに現れます。フラウムさんが大きすぎて窮屈そうですが言っている場合じゃありません!

「ドランさんの登場時効果でウマキンとバジリスクをタップして次ターンアンタップさせません!ウィリデさんの出た時効果で次の私のターンの初めまでウィリデさんはバトルゾーンを離れません!さらにシリエスでドローです!」

「4ターン目に手札を殆ど減らさずクリーチャーを合計6体。ニンゲン、中々戦えるようですね」

「ターンエンド!」

 

「拙者のターン!ウマキン・プロジェクトの2体目をバズレンダを1回使って6マナで召喚!手札とマナに振り分ける行為に2回行う!ターンエンド!」

「私のターン!ドロー!」

(ドランさんでタップしたのもありますが、マナの手札を増やしてくるだけ…でもあのデッキはシノビ…!ルベルさんがいたら対策できるんですが…)

「アルデ2体でコストを下げて、《ブルトゥーラ-D1(ダッシュワン)》を召喚!シリエスでドロー!ブルトゥーラの2体目を出してアタックフェイズ!」

「いつもの全ての除去無効化の布陣!これなら行けます!」

ドランの台詞に呼応するように、私は高らかに攻撃を宣言します。

「ドラン・ゴルギーニでシールドを攻撃する時《シェケダン・ドメチアーレ》をバトルゾーンに!効果で9枚ドローして、こちらの方がクリーチャーが多いので破壊されなくなります!」

「シールドに攻撃を通す」

(シノビを出してこないんですか!?)

 

バジリスク シールド3

「シールドトリガーなしだ」

「…フラウムさんでシールドを攻撃!Wブレイカー!」

「ニンジャ・ストライク5!マナが5枚以上あるため、《怒流牙 佐助の超人(どるげ サルトビ・ジャイアント)》をバトルゾーンに!効果で1枚ドローして1枚捨てる!相手ターン中に手札を捨てたので、《霧隠蒼頭龍 バイケン》をバトルゾーンに!墓地から地龍神をマナゾーンに置く!」

 

突如水の竜巻が現れ、その中から同じくシノビのドラゴンが現れる。

「二つの流派の蒼頭龍…まさか揃っているところを見れるなんて…」

「よく知っているな、拙者は今回の為にバイケンからカードを譲り受けた。バイケンの効果でウィリデ・ゴルギーニを手札に!」

「ブルトゥーラの効果で離れません!」

「それは把握済みだ!バジリスクの効果でシリエスとウィリデを攻撃も防御も禁止する!」

 

バジリスク シールド1

「トリガーなしだ」

「ターンエンドです!耐性の穴を突かれてます…」

「ターンエンド時、佐助の超人のみ山札下に戻る、これでカウンターリーサルだ」

「いいえ、フラウムのターン終了時効果で全てのメカがアンタップします!ブロッカーは生きています!」

「いいや、今から止めるだけだ。何故先ほどニンジャ・ストライクを渋ったか。それはこの為!2体目の《裏霧隠蒼頭龍 バジリスク》をバトルゾーンに!これでシノビが出た時の効果は2倍になる!アルデ2体を行動不能に!」

「更に光牙忍 ハヤブサマルを召喚!バジリスクの効果でフラウムとウィリデを止める!」

「ブロッカー達が!」「これがシノビ…!」

「即断即決!闇から忍び確実な一撃を入れる!バイケンでシールドを攻撃!」

 

御白 シールド1

「トリガー無しです…!」

「ならばウマキンで最後のシールドを攻撃!」

 

御白 シールド0

「シールドトリガー!トライシェルビ-P6!アルデをタップして、メカ・メクレイド5を行います!」

(シェケダン達でのブロックはニンジャ・ストライクの関係上したく無いです…ブロックすればバジリスクで攻撃クリーチャーが減って返しに止めを刺せなくなります…。ブロックせずに止められるカード…!)

「これなら!ウィリデ・ゴルギーニ2体目をメクレイドです!登場時効果でシールドを追加します!」

「トドメを刺し損ねるか…ターンエンド。しかし、半数が動けない状態で拙者達シノビをどう攻略する?」

「そりゃあ前のターン9ドローしたんですよ?それは勿論…数の暴力ですよ!」

 

「私のターン!《星姫機 マリハダル》と《まんまるロボタ》2体をドメチアーレの効果でコストを軽減して1マナで出します!さらにそれら3体をシンパシー:クリーチャーと、ドメチアーレの軽減を乗せて《「正義星帝」〈ダンテ.Star〉》に1マナで進化!これですぐに攻撃できるクリーチャーが3体です!」

「御白さん、こんなカードを…!」

「夕哉くんと前に戦った時手札を増やしたまではいいものの逆利用されただけでしたからね、手札を活用できる方法を探していたんです!」

「ドラン・ゴルギーニでシールドを攻撃する時、2体目のドラン・ゴルギーニをバトルゾーンに!バジリスク、ハヤブサマルをタップします!さらに正義星帝3体の効果でシールドを3枚追加!」

 

御白 シールド3

バジリスクさんに初めて額の汗が伝います。ようやく焦りが見えたみたいです!

「くっ…!まだだ!ニンジャ・ストライク!《怒流牙(どるげ) サイゾウミスト》!シールドを1枚追加して、バジリスクの効果で正義星帝2体の動きを止める!」

(シールドからブロッカーのシノビ、バジリスクを引くしか勝ち目がない!他のあらゆる除去も効かない無敵艦隊…!)

 

バジリスク シールド0

「シールドトリガー、《B.F.F.モーメント》!1枚引き、手札枚数以下のクリーチャーを手札に戻す!」

「ブルトゥーラ2体で完全封殺です!正義星帝でプレイヤーにアタック!」

「…佐助の超人をニンジャ・ストライク!残りのクリーチャーの動きを止める…!」

「それでは止まりません!今度こそダイレクトアタックです!」

「ここまでか…!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バジリスクは大きく吹っ飛ばされ、水道へと勢いよく落ちる。御白とドランはバジリスクの武装を外し、後部座席にバジリスクを乗せる。2人はドローンを追って、下へと降りて行ったのだった。

 

ピットでは、緑たちが暖かく迎え入れてくれた。

「みしろ!ゲート開いたよ!」

「良かったです、こちらもリーダーっぽいのを倒しましたよ」

「おぉ…フラウムとウィリデも無事か。ドランの目に狂いは無かったようだな」

「言ったでしょう。御白さんはお金だけじゃありません。自分の好きなことを見つめて、さらに探求することができる。ある種デュエリストに一番必要な才能です」

「ドラン、結局地上の戦えそうなクリーチャーは全て持って行かれてしまった、あのシノビの目的は達成されているぞ」

「ウィリデ兄さん、分かっています。まずは仲間を探さなければ」

 

奥から須谷のドローンが現れ、一回縦に機体が振られる。

『ドラン・ゴルギーニさん。ゴルギーニ家当主しか知らない場所を貸していただきありがとうございます』

「いいえ、様々なことを考慮して、真に安全な場所はそこしか無いと思ったからです。バジリスクの仲間達は?」

 

ゴルファンタジスタが進み出て、疲労困憊のルベル達の代わりに話す。

「俺様とルベル、お前の仲間達が共同してピットに誰も入れなかったぜ?やっぱりお前も慕われているんだな」

「そうなんですね。慕われているとは、私は幸せですね」

(良いやつだよな…こいつ…俺様と違って調子乗らねぇし)

 

そう話している間に、突如ドランの中からバジリスクが扉を破って出てくる。バジリスクはふらつきながらも、御白たちに刀を向けて威圧し続ける。

「まだ諦めないんですか!?」

「いいや、拙者の仕事は完了だ、時間は稼いだ。ゴルギーニ・タウンは返してやるという話だ」

「…やはり他に黒幕がいるのですか?」

「災いはお前達も無関係では無い。やつは戦力を集め、ある場所へと向かった。その場所をお前たちが知る頃には、もう全てが終わっているはずだ」

「待ってください!あなたの仲間は何を…!」

 

御白がさらに問いただそうとしたが、バジリスクは仕込み靴から煙幕を取り出し、颯爽と逃げ出してしまった。

「やっぱり、まだ終わっていないんですね…」

 




夕哉と!須谷の、今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「裏霧隠蒼頭龍 バジリスク!」」
「6マナのパワー6000のブロッカーなんだけど、シノビが出た時に次の自分のターンの初めまでクリーチャー1体を攻撃も防御もできなくさせられる!」
「バジリスクが2体以上並べば倍々で動きを止められる上、自身がニンジャ・ストライク8を持っているので即席の盾としても役に立ちます」
「2つの出し方を使い分けて、変幻自在に戦えるカードなんだね…」
「というわけで次回、『ただいま文化祭準備中!・前』」
「「お楽しみに!」」
「須谷さんデュエマ詳しくなってきました?」
「光屋さんからメモを貰いました、わかりやすくて重宝しています」
「御白…抜け目ないね…」
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