デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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クリーチャー界探索が膠着している間、黒井夕哉(くろい ゆうや)をはじめとしたデュエマ部は文化祭準備へと勤しむ。青海飛水(おうみ ひすい)が赤坂火奈(あかさか ひな)の言葉を糧に後夜祭ライブへの参加を決め、人と物事を進める楽しさに目覚めた夕哉が文化祭の遅れた分を、クリーチャー界でアビス達と一緒に行おうとするのだった。


ただいま文化祭準備中!・後

 

自然文明のクリーチャー世界。そこの大きく開けた草原に、黒井夕哉は立っている。

「ジャシン、山盛りウィンナーと唐揚げ用意したから出てきて!」

そう言うとカードからジャシンをはじめとした沢山のアビスが飛び出してくる。アビスは何体もいるため、不自然に思われないギリギリの仕事量を持ち帰ってきたのだった。

 

「黒井様だ、お久しぶりです」

「久しぶり、早速で悪いけど、ダンマ、マーダン、ラギルップ、ラゼルはここでそれぞれ力仕事をお願いしていい?」

「「「「「了解!」」」」」

 

「フォック、ジェンゲガー、エリー、ゲルエール、トートロットは俺と協力して装飾班に。細かい仕事だから疲れるだろうけど、頑張ってもらえる?」

「「「「「了解しました!」」」」」

 

夕哉は予め作っていたアビス達の仕事表を元に、テキパキと仕事を割り振っていく。その手腕にジャシンとジャブラッドは、ぼーっと見ていることしかできなかった。

「こやつ、こんな事できるのか…」

「ジャブラァ?」

「いや、別に『余よりも眷属を使いこなしてる』とは思っていないぞ?」

 

「じゃあ皆、仕事開始!」

それぞれが仕事に入ったのを確認した夕哉は、お化け等の絵を描き始める。元から家で描いてきた絵を見て、エリーが驚く。

「黒井様、これあなたの作品ですの?怖い絵ですわ…」

「まぁ皆を少しだけモチーフに使ったからね。ポルターガイストが起こる幽霊屋敷。余りにも噛み合ってて…」

 

「設計図の見方が分からん…」

「ラゼル落ち着け!力任せに割ろうとするな!」

「黒井様字綺麗だな…」

「ラギルップ!肩のパーツ当たってる!」

「黒井様は呼び出すたびに珍しいことをされるんですよね…毎回毎回新鮮ですね」

 

各々好き勝手言いながらワイワイと仕事をこなしていくアビス達を見て、ジャシンはウィンナーを食べながら悶々と見ていた。

「夕哉よ、何か余も成すことがあるのだろう?…全てを破壊するとか、世界を支配するとか…」

「えっと…?じゃあ、そこに椅子あるからいつも通り座ってて」

夕哉に軽くあしらわれたジャシンは苛立った顔をしながらいつも通り足を組んで座った。

 

夕哉達が各々準備を進めていると、丸っぽい何かが夕哉の元に近づいてきた。

「?????」

「えっと、君は…誰?」

赤と白の身体に、目が3つある異質なクリーチャーが、夕哉をじっくりと見つめていた。そのクリーチャーについてレターが説明する。

「彼は《ガ:ナテハ》というクリーチャーですね、ノワールアビスでジャシン様の新しい眷属なのですが、何を考えているのか分からなくて」

「へぇ…」

 

もちもちとしたボディのガ:ナテハから、夕哉は目を離せなくなる。

「…お手!」

「!」

ポンとガ:ナテハは手を夕哉の上に乗せる。

「お座り!」

「!!」

今度はコテンとガ:ナテハが崩れ落ちるように尻餅をつく。いつの間にか周りには他のアビス達が集まっていた。

「ウィンナー!」

「!!!」

 

ガ:ナテハは大きく飛び上がり、ウィンナーを口でキャッチする。モグモグともちもちの体を大きく動かし、ウィンナーを食べる。まず口があることに驚く夕哉だったが、そんなこと、この愛くるしさの前ではどうだっていい。

「可愛い…」

ガ:ナテハはこれから、アビスロイヤル達のアイドルになったことは語るまでもないだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ…こやつはなんなんだ?」

ジャシンは近くでずっとクルクル回っているタコ型の黒い体のアビスと睨めっこしていた。

「《スパトー:ド:スパトゥー》。こやつはさっき生まれたものだが、何で生まれたのか分からん…」

「ジャシン、皆休憩中だけどウィンナー食べる?…どうしたの?」

ガ:ナテハを抱き抱えた夕哉がジャシンに話しかけてくる。

「ガ:ナテハよ、夕哉にいいように扱われるな…」

「?????」

「いや、何でもない…余にも何考えてるのか分からん」

 

夕哉はジャシンの近くに座り、ウィンナーを手渡す。

「さっき、もしかして何か仕事探してた?」

「………」

「沈黙=肯定でいい?あと、その子は…?」

「よう分からんものだ。スパトー:ド:スパトゥー。余がここに座っていたら出てきた」

 

「アビィ!」

スパトーは夕哉に強引に手を伸ばし、契約をしようとする。

「待って待って!何しようとしてるの!?」

「アビィ…」

「確かに契約は戦力が増えるけど、流石に疲れるというか、俺が死んだらヤバいのも含めてやめて!」

「余は死んでもいいと?」

「勝手に契約したクリーチャーは静かにしてて」

 

「フン…最近、変なノワールアビスが生まれることが多くなった。コイツとかな」

ジャシンが闇を取り出すと、中からメガホンが歪んだようなクリーチャーとサッカーボールから触手が生えたようなクリーチャーが現れる。

「《グ:ボガメン》や《グ:ルボカッサ》。これに心当たりはあるか?」

「…うーん、ノワールアビスの話をレターから聞いた時に、ジャシンが興味を持ったものだと思ったんだ。ジャシンから生まれたものなんだから、ジャシンが興味を持ったもの。メガホンやサッカーボールが、ジャシンには鮮烈に映ったんじゃない?」

「ほぉ?スパトーのことはどうだ?」

「えっと…タコさんウィンナー!」

「いつも食べておる、何を今更と言う話だ」

「うーん、《皆で食べるタコさんウィンナー》。とか?」

「皆で食べる…か。余はジャシンだぞ?能天気は生きるのが楽そうだな」

「えぇ…。まぁ、そろそろ休憩終わりだし戻るね」

 

夕哉がジャシンから離れようとした際に、キャベツを持ったクリーチャー…いや、キャベツそのものが現れる。

「キャベツ!!?」

「ワタシは《キャベッジ・セッションズ》!私の畑を荒らしたのはお前か!」

夕哉達のいる丘から眼下を見ると、枯れてしまったキャベツ畑が目に入る。

「この惨状、闇のクリーチャーであるお前の仕業だろう!」

「何これ、酷い…。ジャシン、そんなことしてないよね!?」

「知らん、なぜそんなことをせねばなるまい」

「いいや口答えしても無駄だ。闇が現れ、災厄をもたらす!最近自然文明に流れている噂の正体はお前らだ!」

「これ、御白が言ってたやつ…自然文明でも信じてる人が…」

「絶対に弁償させてやる!」

「アビスロイヤルの皆は…頑張ってるしできるだけ使いたくないかな」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉の先行で始まったデュエマは、夕哉はド:ノラテップを出し、キャベッジは《ジャンボ・ラパダイス》により手札を増やし、3ターン目に入る。

 

「《ガ:ナテハ》を召喚!」

「???」

 

何もわかっていなさそうな顔で、ガ:ナテハがポトンとバトルゾーンに落ちてくる。首を傾げるその姿に夕哉は癒される。

「あ!ターンエンド!」

「ワタシのターン!呪文、《ボント・プラントボ》!山札の上から1枚をマナゾーンに!パワー15000のジスタジオがマナに入ったから、もう一枚マナブースト!ターンエンド!」

「俺のターン開始時、シールドを2枚墓地に送って、ガ:ナテハの効果、アビス:メクレイド8発動!《アビスベル=ジャシン帝》をバトルゾーンに!」

 

夕哉 シールド3

「シールドを削って展開…あり得ない…」

「可愛い見た目に反して効果がワイルドだよね。まずは2マナで手札から《ド:ノラテップ》を召喚!さらにノラテップ2体、さらにノラテップ2体を破壊することで3マナ!さらにジャシンの効果でコストを下げて!2コストで《ラーテ:ガ:フヨーキ》をアビスラッシュ!アビス・W・メクレイド8!《スパトー:ド:スパトゥー》と《邪龍 ジャブラッド》をメクレイドする!」

「フヨーキでシールドをWブレイク!」

 

キャベッジ シールド3

「トリガーは、無いか…!」

「ターン終了時、フヨーキが山下に帰る際にジャブラッドの効果で墓地を4枚戻して耐えさせる。ターンエンド!」

 

「爆発的展開量…ならワタシも負けない!ワタシのターン!5マナで呪文、《ソイルピンプ・キャベッジ》!次に召喚するパワー12000以上のコストを8軽減する!」

「8!?すごい軽減量…!」

「《キャベッジ・セッションズ》を召喚!パワー12000のクリーチャーが出た時、それよりコストの1小さいクリーチャーをバトルゾーンに出す!ワタシは9マナだから、8マナ!《龍装者 ジスタジオ》!7マナ!《バラギアラ〈ヴェロキボアロ.Star〉》!キャベッジの上に進化!」

「一気に3体も巨大クリーチャーを!?」

「バラギアラでTブレイク!」

「ガ:ナテハでブロック!ジャブラッドの効果で墓地を4枚戻して耐えさせる!」

 

「ターンエンド、だが!バラギアラの効果でお前はクリーチャーを出した際にこちらはそのコスト以下の自然クリーチャーをマナから出せる上、このクリーチャーがタップしている間、ワタシは攻撃されない!更にジスタジオの効果でパワー12000以上のクリーチャーはバトルに負ける以外で離れない!」

「アビス・メクレイドの大型狙いもリスクがあるし、パワーの低いアビス達でバトルに勝たないといけないってことか…」

「その通り!お前は詰んだのだ!」

夕哉は絶望したような顔をするが、すぐに元気を取り戻し、ニヤリと笑う。

「それは、バラギアラのパワーが12000以上の時の話でしょ?」

「…?どういう、ことだ?」

 

 

「《ヤット・パウル》を召喚!効果でシールドを1枚回収した時に、S・バック!《ザンジ変怪(へんげ)》!登場時に相手クリーチャー1体のパワーを−4000!バラギアラのパワーを11000に!」

 

夕哉 シールド2

「く…コスト6のザンジ変怪に反応して、《コレンココ・タンク》をバトルゾーンに!山札の上3枚をマナゾーンに!」

「ガ:ナテハでバラギアラに攻撃!バトルには負けるけど、フヨーキの全体スレイヤー付与と合わせて、バラギアラを2回破壊する!」

「進化元のキャベッジごと…!」

「スパトーでシールドをWブレイク!」

 

キャベッジ シールド1

「シールドトリガー!《タマタンゴ・パンツァー》!パワー12000で攻撃をこちらに誘導する!」

「ジャブラッドでタマタンゴを攻撃!攻撃で増えた墓地でバトルに負けた破壊を耐えて、フヨーキのスレイヤーで破壊する!」

「なぁぁああー!?」

「フヨーキでシールドを攻撃!」

 

キャベッジ シールド0

「トリガー、なし…」

「ジャシン帝で、ダイレクトアタック!もう一度言うけど、キャベツ畑荒らしたの俺たちじゃないから!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「黒井様!終わらせましたよ!」

 

夕哉達がキャベッジを元の場所に帰し、アビスロイヤル達のところに戻った頃には、予定していたパーツの殆どが完成していた。

 

「すごい皆!本当にありがとう!」

パーツの完成度は勿論担当したアビスによってバラバラだが、怪しまれるものではないだろう。

「すごい!この血とかのやつ、誰が作ったの?」

「私です!」

「え、なんで絵の具まみれなの…?」

 

ドヤ顔でフォーク=フォックが進み出る。

「フォックなんだ、リアルだなぁ…このベタベタって、貼られてるやつはどうやったの?フォックのオリジナルだよね?」

「ガ:ナテハ様を使おうとしたのですがいなかったので私に絵の具を塗りたくってそのままビタンとぶつかることで作りました」

「確かにフォックの形の赤い固まりがあったらビビるかも…。あと未遂とはいえガ:ナテハには謝った方いいと思う」

 

マーダンやラゼルと共に、大量のパーツを持ち運んでクリーチャー世界から戻る。

「皆お疲れ様!もう一度言わせて!本当にありがとう!」

(皆と色々作るの、すごく楽しかったなぁ…)

アビスロイヤルの皆がカードに戻っていく。夕哉は上機嫌で、元の世界へと帰るのだった。

 

(でも、あのキャベツ畑の状況、誰がやったんだ…?)

一抹の不安も残ってはいたのだが、その時は気にしていなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クノイチマントラ様、闇のクリーチャー、アビスロイヤル達の目撃情報が入りマシタ」

「何をしていたのデスカ?」

「何かを作っていマシタ、何か悍ましい計画が進んでいるのカモ…」

「夕花の力を借りなければナラナイ日は、近いということですか…」

 

「夕花、今連絡しても大丈夫デスカ?」

『うん、どうしたのクノイチマントラ?』

「アナタは沢山のニンゲンと戦い、経験値を積んできマシタ」

『うん、闇の瘴気とかと戦うためだよね』

「闇文明のクリーチャー、アビスロイヤルを見つけマシタ」

『アビス、ロイヤル…』

「世界を支配しヨウとしたり、ニンゲンを乗っ取ることで人間界で完全復活を果たそうとシタリしているという情報。マサニ邪悪です」

『本当に邪悪じゃん!そんなのと戦えるかな…』

「ワタシの力はまだ本領ではないと言ったハズ。契約の準備が必要ですね、アビスロイヤルの様子をもう少し見ますガ、今度はアナタも来ていただけますカ?」

『うん!悪いことするやつなら、止めないとね』

 




夕哉と!飛水の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「ガ:ナテハ!」」
「4コストのスレイヤーブロッカーのアビス。この時点ですごく強力だよね」
「本領はターン開始時、シールドを2枚墓地に送ってのアビス・メクレイド8。マナを使う前にメクレイドできっから、メクレイドの中でもかなり強力だ」
「ラゼル・ズハイラルやアビスベル=ジャシン帝みたいな強力なカードを呼べれば、一気にゲームを傾けられるね!」
「というわけで次回、『皇龍高校文化祭・前』」
「「お楽しみに!」」
「飛水は文化祭で何を弾くの?」
「…秘密だ」
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