デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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皇龍高校の後夜祭が始まったものの、夕哉の友人である小森柚子(こもり ゆず)が見つからなくなったと同じく友人の田崎朝陽(たざき あさひ)と一緒に探すがそこで見つけたのはクリーチャーに取り憑かれた柚子で…!?更にその頃体育館では飛水がステージにもうすぐ立とうとしていた。


逃げるな、進め・後

 

Side:夕花

 

御白お姉さんに送ってもらった後、私は急いで別の顔に変えてもらって学校に入り直した。背丈が変わっているので盛り上がった生徒の中にいれば、木を隠すなら森の中だから、大丈夫とマントラさんが判断してたから。

 

皆が体育館に向かう中、私の足がふと止まった。

「お兄ちゃん、どこ行くんだろう?」

「お兄サンのことを気にしている場合デスカ、最後のチャンスです、体育館で探さなけレバ」

「…マントラ、そっちはお願い」

「ちょっと、夕花サン!」

 

全く関係ない方向に走り出したお兄ちゃんの後をつける。そこで体育館の裏にたどり着いた時、お兄ちゃんと友人のお兄さん、1人のお姉さんがいるのを見た。そう思った瞬間、下には黒い塊が広がってきていて…

 

「お兄ちゃんが、アビスを…?」

 

黒いモヤで包まれてよく見えないし聞こえない。けど、中でお兄ちゃんがアビスを使って戦っている。

「嘘、アビスの配下の人間って…お兄ちゃん…!?」

 

あのお兄ちゃんが、いつでも優しくてカッコよかったお兄ちゃんが。

 

(私のためにお兄ちゃんかずっと頑張ってるのは分かってる、だからこそ、あんな危ないクリーチャー達に…!)

「マントラさんに…伝えなきゃ。お兄ちゃんを、アビスから助けないと……!」

 

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Side:飛水

 

ステージに立つ。明かりは自分の上の数少ない照明だけ。皆は俺だけを見ている。俺だけを…。

 

『友達のことも見れないで、追いつけるなんて思える日はいつなんだろうね!』

 

火奈の言葉が反響する。好き勝手言って彼女はそのままエキストラとして華々しくステージを降りて行った。自分にもできなきゃ、一生、追いつけない。

 

そう思い、ギターに手をかけ、マイクに向かって口を出す。

 

身体が動かず、口が動かない。歌詞も、ギターのリズムの思い出せない。

(嘘だろ!?このタイミングで飛ぶか普通!?どうにか、どうにか…!)

 

「何が起きてるんだ?」

「1人で出てきて固まっちゃったのかな?」

「おーい大丈夫かー?」

 

皆の好奇の目、期待の目がさらに体をこわばらせる。何もできない、何も考えられない。

(…やばい、何かしなきゃ、何か…!)

 

そう思っているうちにギターが手から滑り落ち、大きく不快な音を立てる。前の列は耳を塞ぎ、目を覆うものもいた。

 

「俺は…俺は…!」

 

そう言ってギターも持たずに俺はステージを駆け出す。その時、俺を見捨てたはずのあの声が耳をつんざいた。

「逃げないで!向き合って!飛水のいいとこ見せてよ!」

 

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Side:夕哉

 

黒を基調とした体色の、4本の腕、2本の足を持った筋肉質なクリーチャー。腕にはそれぞれ槍や棍棒などの武器を持っていて、顔には白い仮面がついており、顔の裏は見ることができない。

 

「君が、《邪闘 シス》?」

「私はジャシン様の忠実な部下、ノワールアビスの意思の集合体。あらゆるものを破壊し、アビスに住み良い世界を創造することこそ、私に与えられた定め」

「そっか、そんなに強いんだ。お願いシス、このままじゃ俺はあのクリーチャーに殺される。俺と契約して、一緒に戦ってくれない?」

「私はジャシン様の命令にしか従わない。お前が殺されればジャシン様が自由になる以上、手を貸す理由もない」

「じゃあさ、ウィンナーとかは!?」

「意思の集合体の私にはいらないもの」

 

困った、思ったよりも強敵かもしれない…。

「逆に私から問おう。何故あなたはジャシン様の力を使い続けるのか。別にクリーチャーはいる。この力を不吉だと、すぐに手放したものもいた。何故お前はジャシン様の力を行使する?」

「うーん…。確かに俺にはこれ以外にも、夕花を助けたり、御白達と仲良くなったりできたかもしれないけどさ」

 

俺は少し置いて、この言葉を続ける。

「俺はアビスの皆が、今いるみんなが好きなんだ。不吉な力と言われようと、ジャシンに邪険に扱われようと、ジャブラッドと仲良くなった時や、文化祭で一緒に準備して、アビスの皆と仲良くなった思い出は消えないよ。俺は大好きだからジャシン達と一緒にいたい。それだけだよ」

「…力を抜きにクリーチャーといるのか。我らアビスロイヤルとか?面白い、私の力、使ってみせよ。破壊と創造の力、アビスを知らなければ使いこなすこともままならない力、お前には乗りこなせるか?」

「…上等だよ!」

 

夕哉 バトルゾーン 《ブルーム=プルーフ》、《ド:ノラテップ》、《邪龍 ジャブラッド》、《シラズ死鬼の封》

墓地 《邪闘 シス》、《アビスベル=ジャシン帝》など

バクロ法師 バトルゾーン 《コッコ・武・ルピア》

手札 《百鬼の邪王門》×2 その他に何枚かの鬼エンド?

 

(改めてこんな所か…今までの経験と今使えるカード、それを全部総動員する!飛水と戦った時みたいに、手札から使うカードの対策はハンデス!そのためにはジャシンを蘇生するためのマナは足りないから、今はこっちに賭ける!)

 

「まずは、ノラテップで1マナ減らして5マナで邪闘 シスをアビスラッシュ!登場時効果で、コッコ・武・ルピアのパワーを∞(むげんだい)にマイナスする!」

 

シスが大量の触手を伸ばし、ルピアの体に突き刺す。ひとしきりエネルギーを吸い取り切ったシスは、満足そうに触手を引き抜き、ルピアは力を失い地上に落ちた。

 

「黒井の使うやつら、えげつないな…!」

「よく言われるよ。でもそれが…俺だから!」

 

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Side:飛水

 

俺の足は止まる。声の主を見てみると、周りに見られるのを憚らず大声を出す火奈だった。

「負けるな!進めー!」

 

「そうだよひすい!頑張れー!」

「えっと、フレー!フレー!飛水くん!」

緑と光屋の声も聞こえてくる。光屋は恥ずかしさで縮こまってるけど。

 

簡単に、1人にはなれない。それはこういう意味なのかもな。人間は1人で発表したり、戦ったりすることはあっても、そこまでにあった人との気持ちのぶつけ合いがなかったことにはならない。多分、それは良くも悪くもそうで。

 

『…ごめんなさい、この後の動きが飛んだのが恥ずかしくて逃げようとしました』

 

会場が笑いに包まれる。まさか明け透けに全部いうとは思わなかったんだろうな。

「頑張れー!」

「応援してるぞー!」

 

多分お客さんは、敵でも味方でもない。俺を見ている鏡みたいなものだ。

『2曲やる予定だったんですけど、自分で時間を潰してしまったので1曲にします。友達への応援歌で、自分への応援歌です。《Stronger》』

 

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『どんなに歯をくいしばって そのチャンスに全てを駆けても また壁は立ちはだかって抜け道も見つかりはしない』

 

決して大きくはないけれど、そこにいると証明するようなまっすぐな歌声が、俺たちの耳に届く。

 

「飛水の声だ、体育館で歌ってるんだ。すまねえ夕哉…」

「大丈夫!飛水の歌が元気をくれるよ!絶対に勝つ!」

 

『でもそんなピンチでさえもワクワクしてる僕は crazy? この感情振りかざして切り、開く、チェンジ!』

 

「シスで攻撃する時、アビス・W・メクレイド5発動!山札上6枚から、コスト5以下のアビスを2体までバトルゾーンに出す!来い、《深淵の怪炉 マーダン=ロウ》!《ノラディ:ド:スルーザ》!」

シスが4本のうち2本の腕を使って手を開き、その中からマーダンとノラディが現れる。

 

『もっと、 強く、なりたくて挑むんだファイト 攻められたってやばくたって 最後は僕だけのターン』

 

「マーダンロウの効果でそっちの手札を見て、クリーチャー、敗北回避効果を持つ《一王ニ命三眼鬼(バラド・ヴィナ・シューラ)を捨てさせる!さらにノラディで相手の手札をランダムに1枚捨てさせる!一番左だ!」

「チィッ!邪王門が!」

 

『もしも道に迷うその時は ゼロに戻ったっていい』

 

「シスでダイレクトアタック!」

「百鬼の邪王門を1枚宣言!4枚墓地に送って、クソ、《「大蛇」(おろち)の鬼 ジャドク丸》をバトルゾーンに、バトルでブルームを破壊し、登場時効果でアンタップしているクリーチャー、ノラテップを破壊!」

「シスの攻撃は止まっていない」

「クソ、こんなところで俺の自由が!」

「1人での自由なんて、虚しいだけだよ。邪闘 シスでダイレクトアタック!」

 

『剣が磨かれ!光るように!心を研ぎ澄まして I'II be stronger !』

 

少し置いて、拍手が鳴り出す。火奈や緑たちは勿論、ここにはいなかった夕哉や朝陽も、聞いてくれたのか…?いや、多分聞いてくれた。きっとそうなんだろうな。

 

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「柚子!柚子!」

柚子は朝陽の呼びかけに答え、すぐに目を覚ました。御白の時のように消耗した様子もなく、夕哉も安堵する。

(あれ、デッキがなくなってる?)

デッキがなくなっていることに気づいた夕哉は、先程までの出来事に不信感を募らせるものの、外には出さなかった。

「朝陽…あれ、ここどこ?」

「保健室に連れて来てもらった、黒井も手伝ってくれたんだ」

「…もうこんな時間!?私実行委員なのに」

(夕哉、やっぱり忘れてるみたいだ)

(それでいいと思うよ、苦しかっただろうし)

「…それ今気にすることじゃないって。ゆっくり休んでくれ」

「うん、ありがとう朝陽、黒井くん」

柚子のベッドにカーテンをかけて、夕哉と朝陽は保健室の外で話し始める。

 

「なぁ、あれがお前の秘密か?」

「うん、アビスベル=ジャシン帝。俺の相棒で、俺の大事な秘密」

「…俺に言ってよかったのか、柚子が助かったわけだし、1人で後夜祭行く…わけないわな、分かってるよ」

「そうだね、あとは俺は皆に怒られて終わりかな」

「終わりじゃねぇだろ。柚子を救ってもらったし、文化祭を通じてお前のこともいいやつだと思ってる。誰にも言わねえよ」

「それでもバラしたことには変わりないわけだし」

「真面目だよな、良いと思うけど」

 

夕哉が苦笑し、少し置いた後に、朝陽が言葉を続ける。

「正直不気味なやつだと思ってた。何考えてるかわかんねーって思ってたし、ただの甘い天然くんだと思ってたから。こんなに人のために投げ出せるやつだと思わなかった。黒井は普段から、あんな危険なことやってたんだな」

「そうだね、あ、シールドブレイクの時のやつ痛かった!?」

「そういうのじゃないっつーの」

 

夕哉の方を向き直り、朝陽は頭を下げる。

「お前がいなかったら、訳わかんないまま俺も柚子も大変なことになってたと思う。本当にありがとう、夕哉」

夕哉は胸の中がジワジワと熱くなり、涙を流す。

「…そっか、助けられたんだ。良かった…」

「…これからもよろしくな。夕哉」

 

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「飛水くんお疲れ様です!」

「ひすいー!カッコよかった!」

御白と緑の賞賛を受けて、飛水はようやく現実に帰って来たような感覚を受ける。

「なんつーか、ありがとな。お前達の声で正気に戻った」

「それを言うなら火奈ちゃんにですよ!一番最初に応援してたの火奈ちゃんじゃないですか!」

「そうだよな、火奈は…?」

「わかんない、どっか行っちゃったの」

 

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あるメールのやり取りにて

 

『また会えそう?』

「なんで今更連絡かけてきたんですか?」

『火奈が最近元気そうだなって思って』

「それじゃあダメなんですか?私と先輩はもう他人ですよ」

『大会のメンバーに選ばれたんだよね?火奈なら楽勝だと思ってたけど。私も出るんだ、運命の悪戯か、同じレースで』

「知っています」

『知ってたのに連絡くれなかったんだ。別に良いけど』

「何が言いたいんですか?」

『火奈もうすこし元気じゃなかった?文章が硬いよ?』

「いいから、言ってください」

『あなたの大事なもの、全部壊してあげるから』

『宣戦布告。大会で会おうね』

 

あたしだけが知ってる昔の出来事。憧れの先輩はもういない。こんなメールを受け取ったあとじゃ、どうしても皆と一緒にこの後居れる気がしなくて、あたしはそのまま家に帰ってしまった。

 

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Side:夕花

 

マントラさんに導かれ、光文明の外れにあるシノビの村へと私は来た。和風でちょっと昔の街並みが広がるそこは、家が壊れて、井戸が跡形もなくなり、そこに住んでいる人達から、心の光は余すことなく潰されていた。闇の瘴気は地面のあらゆるところに噴き出し、近くでもん

 

「つまり、お兄さんがアビスに協力してイルト」

「うん、前にお兄ちゃんとデュエマで遊んだ時は、火単のファイアーバードデッキを使ってたのに」

「何らかの後ろめたさデショウね」

(御白お姉さんと一緒に遊んだし、多分御白お姉さんも知ってる、両方に話を聞かないと)

 

マントラさんは大きく体を動かし、私に向き直る。

「ワタシは2日後、闇の瘴気討伐作戦に出マス。集めた兵を使って、闇文明を攻め落とすノデス」

「マントラさん、私も連れて行って」

「…分かりマシタ。恐らく光文明のリーダーが民を取り戻すために立ち塞がることデショウ。闇の瘴気の原因のクリーチャーを攻め落とせば良いので、それは陽動に過ぎまセンガ」

「じゃあ、マントラさんは…」

「アビスを倒しマス、アナタも戦うのですか?」

「…うん、お兄ちゃんの目を覚まさせて、一緒に帰るの」

 




夕哉と!飛水の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「邪闘 シス!」」
「アビスラッシュを持つ6コストのクリーチャー!出た時に相手クリーチャー1体を選んでパワーを−∞にすることができるよ!」
「攻撃時に発動するアビスWメクレイド5は、必要なタイミングで必要なクリーチャーや呪文を使える多機能かつ小回りの効く効果だな」
「用途に応じて必要なクリーチャーを呼び出して、展開と除去を両立しよう!」
「というわけで次回、『一刃、世界を切り裂け・前』」
「「お楽しみに!」」
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