デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
光文明のクリーチャーの強制徴兵。それらからクリーチャーを解放するため、夕哉達は2度目の光文明を訪れる。その頃、その騒動を隠れ蓑にして黒井夕花は兄の夕哉からアビスロイヤルを取り上げるため、そのデュエルを邪魔されないため、そして自分の覚悟を決めるために御白に対して勝負を挑んでくる。御白が知識量と経験値で夕花に対し優勢を保っていたが…
Side:夕花
事故に遭った日のことは忘れない。私は帰り道、知らない人にバッジのようなものを押し付けられた。家に帰って捨てようと思っていたんだけど、段々と意識がどんよりとしてきて、何も考えられなくなっていた。目覚めたら病院にいて、私には重い足の障害が残ったことを告げられた。
前にマントラさんに聞いたけど、それはクリーチャーの力が人間に流れ込んだことによる強烈な逆流効果。ガソリンで走るメカデルディネロに、何も工夫なく電気を流して走れるものかとマントラさんは吐き捨てるように言っていた。
お兄ちゃんが病室に来た時のことはずっと頭から離れない。忘れようと思ったこともないけれど、時間が経っても風化するどころか、私の心にのしかかり続けた。
『夕花…夕花!大丈夫か!?』
『大丈夫だけど…暫く病院生活だって』
『そんな…俺が現場で夕花を助けられてたら…!』
『そんなこと言っても仕方ないよお兄ちゃん』
『そうだけど、そうだけどさ…』
私にはその時のお兄ちゃんのくしゃくしゃに歪めたような顔が本当に辛かった。自分の大好きなものが何もできなくなる恐怖。お兄ちゃんと一緒にゲームをしたり、ご飯を食べたり。そういう未来が消えるという喪失感。そして何より、私は『お兄ちゃんの足手纏いになる』ことに一番の絶望を感じた。
この感覚は今でも変わらない。お兄ちゃんのためにしてあげられることならしてあげたいし、お兄ちゃんを引き留める邪魔なものは全て取り払うべきだと思っている。それをできるような相棒が手に入ったのだから尚更。
マントラさんの言うことも、初めて会ってから暫く経った今なら嘘じゃないってわかる。瘴気で本来の姿を失って不自由になったものを、解き放ってあげたいというマントラさんへの気持ちも、大きくある。
でも、もう一つ。恥ずかしすぎるし、おこがましいから、言いたくないんだけどさ。私はただ…。
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御白 シールド2 マナ5
《ドラン・ゴルギーニ》、《シェケダン・ドメチアーレ》、《アシスター・アルデ》、《星姫機 シリエス》、《星姫機 マリハダル》、《まんまるロボタ》、《トライシェルビ-P6》
シノビ(夕花) シールド6、マナ4
《警鐘の聖沌 n4rc0(ナルコ)》、《忍瞬の聖沌 53nju(センジュ)》、《星姫機 シリエス》×2
最初はシノビ(夕花)が押していた展開ではあったものの、シールドトリガーのトライシェルビから形勢が逆転、ドメチアーレのタップキルなどで夕花は完全に攻め手を失ってしまう。
「私のターン!《ブルトゥーラ-D1》を2体!《星姫機 シリエス》!《まんまるロボタ》!《ドラン・ゴルギーニ》を召喚!センジュとシリエスをタップします!」
(御白お姉さん、本気はこんなに強いんだ…!)
「ドラン・ゴルギーニでシールドを攻撃!その時に手札から《ルベル・ゴルギーニ》をバトルゾーンに!シリエスでドロー!」
シノビ シールド4
「シールドトリガーなし…!」
「まだまだ行きます!ドメチアーレでシールドをTブレイク!」
シノビ シールド1
(クノイチマントラのシールドは最後まで残された…)
「シールドトリガープラス、《忍防の聖沌 h4990u(ハッポウ)》!プラス効果で味方クリーチャーを全てアンタップして、このターン破壊されなくなる!」
(夕花!トリガーが来てもブロッカーは1体!私がニンジャチェンジしてもこれでは…!)
「分かってる…」
夕花は項垂れ、独り言のように喋り始める。
「光屋さん、私は正直、自分のやっていることを舐めていました。皆こんな風に、お兄ちゃんも命を張っていたんですね」
「お兄ちゃん…やっぱりあなた夕花ちゃんなんですね…」
夕花は仮面を外し、御白に向き直る。
「うん、そうだよ。騙してごめん。御白お姉さん」
「ごめんなさい、気づいてあげられなくて」
「ううん、私が勝手にしたことだから」
御白は大きく息を吸い、宣言する。
「お兄ちゃんを助けるためとか、マントラさんの仇を討つためとかって言ってたけど、本当の私は違うよ、マントラさん。私は、『またお兄ちゃんと並びたい』!」
そう宣言したマントラは、何処か楽しそうに夕花を見定める。
「そうデスカ、それならワタシも隠す必要は無さそうデスネ、貴方を利用するつもりダッタのですよ、ワタシが本来の力を取り戻しタラ、アナタを切り捨てるつもりデシタ」
「そっか。私達嘘つきだね」
「そうデスネ、全くデス」
「でもさ、今私は御白お姉さんに勝ちたい。お兄ちゃんを連れ戻したい。それも本当。欲張りな私を助けてくれる?」
「ワカリマシタ、あなたと真の意味で、契約イタシマショウ」
そう言ってマントラは夕花と手を合わせ、2人は光に包まれる。
「御白さん、何か嫌な予感がします」
「そんな気がします、でも、短期決戦で終わらせます!」
「トライシェルビでシールドを攻撃!」
夕花 シールド0
トライシェルビの攻撃が直撃したシールドが光り輝き始め、夕花の手に渡る。夕花は手に加えたそのカードは、光り輝く1枚だった。
「共鳴させてカードが進化した…!?」
「ワタシの本来の力!夕花と力を合わせることで戻るトハ!」
「行くよ、マントラさん!」
「不味い…シリエスでダイレクトアタックです!」
急いでダイレクトアタックを決めようとする御白の前に、クノイチマントラ、いや、さらにしなやかに、体中に金のラインが入ったマントラが、眩い光を放ち始める。
「ニンジャチェンジ!5コストのセンジュを手札に下げて条件達成!《聖(セント)カオスマントラ)をバトルゾーンに!」
突然建物を覆い尽くすほど眩く一度光ったかと思えば、御白の全てのクリーチャーが痺れ、動けなくなってしまっていた。
「ニ…ニンジャチェンジで全体タップですか!?そんなとんでもないことが…。ぐうっ、シリエスでダイレクトアタック継続です!」
「ハッポウでブロック、トリガー+効果で破壊されない!」
「ターンエンド時、ルベルゴルギーニ効果で全ての味方をアンタップします!まだまだ負けませんよ!」
「私のターン!《瞬現の聖沌 n41kun4(ナイクーナ)を召喚!シリエスで2枚ドロー!カオスマントラでシールドに攻撃!」
「させません!ルベルゴルギーニでブロ…嘘、まさか!?」
カオスマントラは再び眩く輝きだし、御白の場を包み込む。
「カオスマントラは『出た時』と『攻撃した時』に、全てのクリーチャーの動きを止める!」
「そんな、あんな考慮にないような戦法で来るなんて…!」
御白 シールド0
「シールドトリガー1枚目!なしです…!2枚目!なし、です…!」
「大丈夫、御白お姉さんの命は取らない。ただ、お兄ちゃんとは2人で戦いたいから、それまで眠ってて。ナルコでダイレクトアタック!」
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Side:光輝
黒井くん達との連絡が取れなくなっている。赤坂くんと守木くんはクリーチャーの集団に巻き込まれてから情報が更新されず、光屋くんは謎のクリーチャーに須谷くんのドローンごと襲われてから連絡が取れない。須谷くんがすぐにサブのものを出したけれど、そこに彼女がいるままとは限らない。クリーチャーと交戦中とはいえ唯一連絡が取れていた黒井くんは…
「なっ!?急にカメラが壊れた!?」
「どういうことだい?耐久力がかなり高いドローンが2機連続で壊れるなんて」
「正路さん、1機目を発見しましたが、骨組みの間に傷が入っています、武器は回収されたようでちゃんとこちらに持ち帰らなければ何が起きたかは分かりませんが、これでは壊れるのも無理はないかと」
オレの中で最悪の考えがよぎる。他の子ども達は大丈夫なのか?もしやとんでもないものに手を出しているのではないか?そう思ってグルグル回り出す思考を無理やり追い出し、なんとか平静を取り戻す。
ドローンを壊した敵は徹底的にこちらに情報を渡さないようにしている。恐らくそういうことに元から慣れているものだ。そのためにはこちらも情報を得るために何らかの動きを…。黒井くん達を一箇所に集める?どうやって?情報を集める方法を変える?危険すぎる…。誰が別のデュエリストを…いや、僕が一番強いと知っている竜也は今フランスで扉の対応をしている。呼び戻すのは論外だ。
そう思いながら何もできなくなっていたオレを見たからなのか、青海くんがインカムを持って立ち上がった。
「すいません公輝さん、単独行動します」
「青海くん…まさか、あそこに向かう気なのかい!?」
「危険なのは分かっています、でも火奈と緑の安否を確認しなきゃいけないし、恐らくクリーチャー達が出払ってる今しかないと思います」
毅然とした態度で喋る青海くんに、ここで止めなければ不味いとオレは声をかける。
「ダメだ、いくらクリーチャーが少なくても契約クリーチャーがいなければ話にならない!オレだって君達を守る責任がある!本当はこんなことに巻き込むこと自体が…」
「それを言ったら、今ここで何もしなかったらアイツらの友達失格なんですよ、すいません、行ってきます」
ゴルギーニ・ピットへのワープゲートに向かって走っていく青海くんを止めようとしたところ、横から伸びてきた須谷くんの腕に制止させられる。
「すいません、光屋さんを見つけたのですがどのように安否確認、声をかければ教えてもらえますか?」
「前にその対応は確認したはずだよ、今は青海くんを…」
「……行かせてあげてください。後悔、したくないんだと思います」
「オレも…後悔したくないんだよ…」
「…分かっているつもりです。ですがあの子達は思っているよりも強いですよ。仕事の合間とかで話していると、心が洗われるような、自分を許してくれるような、優しくて強い子達なんです。その子の1人がリスク承知で行くというのだから…私からもお願いします」
「………どうなってもオレの責任だ。こんなことを言いたくないけれど、この最悪な状況を変えるために、彼を派遣したということにするよ。皆の家族にも、謝らないとね」
「核心は隠して、ですよね?」
「分かってるよ、ちゃんと謝るだけで済むようにしないとね」
オレは隠しながら人を守らなきゃいけない。久しぶりにインカムをつけて、青海くんが操縦する予定だったドローンを動かし始める。黒井くんの信号が途切れた場所に向けて、ドローンを飛ばし始めた。
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Side:夕哉
「………なん……で…!?」
「ごめんね、お兄ちゃん。何も言わずに連れてきて」
突然飛水のドローンが壊れたと思った瞬間、俺はインカムを壊されたと思いきや、そのまま誰かに抱き抱えられて空を飛んでいた。抱えたものの正体を見ようとすると、無理やり手足を縛られて目を隠されて、何もできないまま、この場所にやってきた。
目隠しを取られ、俺は先に進まされる。ここは公輝さんの言っていたことが正しければ光文明の空中都市の一番上の場所。「精霊王の大聖堂」。一番に世界に光を与えたとされるエンジェル・コマンド、『アルカディアス』を祀った場所らしい。そこは優に20mはある天井、白と黄色を基調とした大理石が敷き詰められた空間が、まるで別世界に来たかのように錯覚させる。そこの奥に進んだところに、俺が絶対に見間違えることなどない、かといってここにいることが絶対に信じられない人物がそこにいた。
「マントラさん、お兄ちゃんを連れてきてくれてありがとう」
「夕花…どこから…?」
「このクリーチャーは聖カオスマントラ。私の契約クリーチャーで、相棒だよ」
「契約クリーチャー…。なんでそんなことを!?足の怪我は!?」
「マントラさんが足の補助道具をくれたんだ。マントラさんがいれば、私はどこまでも行けるよ」
「どこまでもって…。何でそれを俺に言ってくれなかったんだよ!?そいつが何も企んでないといえるのか!?」
「確かにそうかも…確証はないよ。でもさ、お兄ちゃんもアビスのことを秘密にしてたよね」
「……!?なんで、知って…」
夕花がこちらに近づいてくる。ちゃんと歩いていることに涙が出るほど嬉しいはずなのに、今夕花が作り出す雰囲気はそのようなことを考えることを許さなかった。
「お兄ちゃん、私の要求は2つ。マントラさんを私の相棒として認めることと、アビスロイヤルのカードを手放すこと」
「…アビスは、俺の宝物なんだ。手放せないよ」
「そっか、私達やっぱり兄妹だね、自分のために、安全か確証のない力に手を出して」
「でもさ、そうするしか無かった。そうじゃなかったら私はずっとお兄ちゃんの足手纏いだったから。ずっと生きながら死んでいるみたいだった。本当に嫌だった!」
「夕花…そんなことを思って…」
「お兄ちゃんは、何でアビスの力を使っているの?」
「…最初は成り行きだよ。成り行きで、使って、その後これが知らないところで夕花の役に立つならって」
「私に一度怪我が治るかもっていった理由、それだったんだね」
「うん。夕花のためってのは今も変わらないけど。自分が自分らしくいるために、今はアビス、ジャシン達の力が必要なんだ。これは夕花に言われようと譲ることはできないよ」
「そっか、聞けてよかったよ、お兄ちゃん」
「俺もだよ。でもさ、まだ喋らなきゃいけないことがあるんだ」
「…時間がないんだ。御白お姉ちゃん達がくる前に、一度決着をつけたいんだけど、いい?」
「喧嘩するの、初めてかもね」
「…だね、本気で行くよ」
「「デュエマ、スタート!」」
夕花と!マントラの、今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「聖カオスマントラ!」
「ニンジャチェンジ5によって相手の攻撃と防御に乗じてタダで出てくる私の切り札だよ」
「出た時と攻撃時に全ての相手クリーチャーをタップするコトで、防御に出せば相手の攻撃できる打点を一気に減ラシ」
「攻撃で出せば相手の防御陣形を無かったことにできるよ!」
「というわけで次回、『聖邪乱舞・前』」
「お楽しみに!」
「ほら、マントラも!」
「オタノシミニ」