デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
クリーチャー界に無理矢理挙兵させられたクリーチャー達を解放しに来た夕哉達は、そこにいるクリーチャー達の物量攻撃などによって、連絡を分断されてしまう。その頃御白と戦っていた夕哉の妹、夕花はクノイチマントラとの契約を完了し、聖カオスマントラへと進化させる。そしてアビスロイヤルを手放させるため、兄妹の決着をつけるため、2人は精霊王の大聖堂で戦うことになる。
お兄ちゃんは、凄い優しくて、カッコよくて、ずっと私のヒーローみたいな存在だった。お父さんとお母さんが海外で、おばあちゃんに頼ってばかりじゃいられない以上、お兄ちゃんが実質的な親代わりだったんだと思う。
ご飯を作ってくれたり、勉強を教えてくれたり。小学3年生くらいの話だけど、怖い映画を観た後私が寝るまでずっと寝かしつけてくれたり。お兄ちゃんも6年生だったのにね。
ずっと優しいからこそ、時々優しすぎると思った。そう思ったのは、お兄ちゃんが中学2年生の時。
「お兄ちゃん、何やってるの?」
「あぁ、宿題やってるんだ」
「お兄ちゃん、宿題終わったって言ってなかった?」
「クラスメイトの子が親戚の結婚があって間に合わないって言ってて…大変そうだから手伝ってたんだ」
「そう、なんだ。私もう寝るね、おやすみ」
「おやすみ、夕花」
お兄ちゃんは優しすぎて利用されやすい人間だった。私の事故が起きてからバイト三昧になって、クラスの人と絡むことが少なくなって、少し安心した自分がいたのが少し嫌になったけど。だから、今目の前にいるお兄ちゃんが信じられない。大事なものがあって、それを手放すことは考えられないって。そんなお兄ちゃんを見て今、私は…
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夕花は、凄い優しくて、可愛くて、ずっと俺の原動力になってくれる存在だった。父さんと母さんがいなくてずっと寂しかっただろうに、中々それを態度に出すことは無かった。
俺にできる限りの協力はしたつもりだけど、今でも夕花の穴を埋められた自信は決してない。でも夕花に聞いたら、『十分すぎるくらいだよ』って言ってくれたんだ。だからこそ、俺は夕花の希望でいたい。
夕花は強い人間だと思っている。夕花が小学4年生の時、
「夕花!?そんなにボロボロになって…待ってろ、とりあえずお風呂準備してくる!」
「だって、ひろきくんが私の友達のこと、ブスって言ったんだもん」
「だからって夕花が戦うことは…」
「だって、友達が馬鹿にされてるのに!許せないよ!」
「夕花…。分かるけれど、そんなに無理はしないでね」
夕花が強い人間であることは分かっていたつもりだけど、俺の足手纏いだと思っているほど思い詰めているとは思っていなかった。クリーチャーと契約するほど強いとは思ってなかった。だからこそ、伝えなきゃいけないことがあると思う。
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「《忍防の聖沌 h4990u(ハッポウ)》、《忍瞬の聖沌 53nju(センジュ)》を召喚、ターンエンド」
「《ブルーム=プルーフ》を召喚!ターンエンド!」
お互いにクリーチャーを出して睨み合う展開から始まった夕哉と夕花のデュエル。お互いの全てを全力でぶつけ合うデュエマが始まった。
「私のターン!《忍爪の聖沌 k491(カギ)》を召喚!ハッポウでシールドを攻撃!」
夕哉 シールド4
「シールドトリガーなし、夕花、めっちゃ強い…。」
「まだ終わってないよ!センジュでシールドを攻撃!」
夕哉 シールド3
「シールドトリガー、《悪灯 トーチ=トートロット》!登場時効果でパワーの最も低いクリーチャーを破壊する!」
「…センジュを破壊!ターンエンド!」
「俺のターン!《セリヴィエット=エリー》を召喚!《邪闘 シス》を墓地に送って、夕花はカードを1枚捨てる!」
「カギの効果で私の手札は捨てられない!」
「トーチトートロットでハッポウに攻撃!」
「相手クリーチャーの攻撃時、場にメカがいるので《瞬現の聖沌n41kun4(ナイクーナ)》をバトルゾーンに!さらにニンジャチェンジ!カギを《聖なる混沌 クノイチマントラ》に入れ替える!」
「ニンジャチェンジ!?」
「ハッポウのパワーを+3000して、バトルを続行!トートロットのパワー5000に対して、ハッポウの5500で勝利!」
ハッポウが手裏剣を連打するのをトートロットが掻き消すように燃やし続けるが、トートロットの方が先にスタミナが尽きてしまったことで、手裏剣が直撃してしまう。
「な…ターンエンド!」
「私のターン!《星姫機 シリエス》を召喚!1枚ドロー!クノイチマントラでシールドをWブレイク!」
クノイチマントラが連続で攻撃を叩き込み、黄色い閃光が2回、聖堂を煌めく。気づけば夕哉のシールドが2枚割られてしまう。
夕哉 シールド1
「シールドトリガー、《ドアノッカ=ノアドッカ》!カギとハッポウのパワーを−4000!」
「ぐうっ…ターンエンド!」
ジャシンがふと、夕哉の違和感に気づく。
「夕哉、お前何を笑っている?」
「え…!?俺笑ってた!?」
「気づかなかったのか?実の妹と余を賭けたデュエマをしているのだぞ?何が面白い?」
確かにその異常さに気づいた夕哉が、顔を治そうとするが、何となく楽しい気持ちが、自分の中を渦巻いていることにも気づいた。
「確かに…おかしいかも、何でだろう夕花」
「何でって私に聞く!?」
「おかしいデスヨ、アナタ」
「カオスマントラにまで言われた…」
夕哉は少し考え込んだ後、何かのピースがハマったかのように話し出す。
「多分なんだけどさ…夕花にこんなに色々言われたり、全力で競ったりしたの初めてだったんだと思う」
「俺は夕花をずっと大事にしていたつもりだけどさ、逆に言うと夕花の本音、ほとんど聞けなかったんだと思うんだ」
「確かに、お兄ちゃんが何々したいー、っていうの、私も聞いたことなかったよ」
「だからさ、今お互いに全部ぶつけ合ってるのが、今までできなかったこと全部やってるみたいで凄く楽しいんだ!」
「フン、負けてお前の望みを失う可能性の方が高いのだぞ?よくそんな事を言っていられるな」
「大丈夫、絶対負けないよ」
「お兄ちゃん、それは私には負けないってこと?お兄ちゃんとはいえそれは聞き捨てならないよ!」
「あ、ごめん!取り消…さないや。ジャシンとも、夕花とも、ずっと一緒にいたいもの!」
「もう!お兄ちゃん…!私も負けない、ここからは全力勝負だよ!」
「……うん!行くよ、俺のターン!」
「セリヴィエット=エリーを破壊して2マナ軽減!《邪闘 シス》をアビスラッシュ!」
4本の腕の筋肉質なクリーチャーが、再び俺の前に現れる。
「私の力、存分に振るうがいい!」
「シスが登場した時、相手クリーチャー1体、クノイチマントラのパワーを−∞(むげんだい)!」
「パワーマイナス∞!?ナイクーナのウルトラセイバーで身代わりにする!
「ダメです夕花、パワーが0以下であり続ける限りそのクリーチャーは破壊され続けマス、身代わりは効きマセン!」
「うぅ…何もせずにクノイチマントラを破壊!」
「シスでシールドを攻撃、その時、アビスWメクレイド5を発動する!山札の上から6枚を見て、その中からコスト5以下のアビスを2体までバトルゾーンに!発動!フットレス=トレースの呪文側、《「力が欲しいか?」》&《ハンマ=ダンマ》!「力が欲しいか?」でアビスメクレイド5!《アビスベル=ジャシン帝》を召喚!」
いつも通りの黒と白の身体に、ギョロリとこちらを見据えるような目。まさに深淵の王と呼べるような、俺の相棒が姿を現す。
「行くよ、ジャシン!」
「フン、散々ぱら言われているが、余はお前のことを仲間などと認めていない、ウィンナーを作る奴隷だ」
「ふふ、オッケー。俺にとっては変わらないよ。続いてハンマ=ダンマの登場時効果を解決!山札の上から3枚を墓地に送って、現在の墓地の枚数は6枚!シリエスを破壊!」
「ナイクーナでウルトラセイバーする!」
夕花 シールド3
(嘘、1回の攻撃でここまで損害が出るなんて…お兄ちゃんとアビス、凄く強い…)
「シールドトリガー、《聖沌大忍者 クーソクゼーシキ》!トリガー+効果で山札の上から2枚を見て、1枚をシールド、1枚を手札に!」
夕花 シールド4
「シリエスで1枚ドロー。こっちの処理は終了だけど、クーソクゼーシキはシールドにあるコスト8以下のメカにシールドトリガーを与える。お兄ちゃん、攻撃を続ける?」
「ターンエンド、邪闘シスはアビスラッシュの効果で山札下に戻る。知らない間に強くなったんだな…」
「それはお互い様。御白お姉さん達と出会ってから、お兄ちゃんは前よりずっと生き生きしてる。友達ができて私も安心してるよ」
「友達できないこと心配されてたんだ…。でもありがとう、心配してくれて」
「うん、どういたしまして。…行くよ、私のターン!」
(さて、シールドトリガーや序盤の攻撃の影響で私の方が有利だけど、シスが1発でここまでひっくり返してきた以上、長期戦は絶対できない。マントラさんが言っていたジャシンの効果を考えると尚更。少し無理してでも、無理矢理シールドを割り切らないとだね…)
「《警鐘の聖沌 n4rc0(ナルコ)》を召喚、効果で山札の上から5枚を見て、1枚のメカを手札に、シリエスでドロー。センジュを召喚してアタックフェイズに!」
「クーソクゼーシキでシールドを攻撃!」
「ジャシン帝でブロック!」
クーソクゼーシキが自分の巻き物を投げて、ジャシンの後ろを取ろうとする。巻き物が見事ジャシンの顔に張り付いたものの、ジャシンはそれを振り払うことなく、自身のタコのような剣を後ろに突き刺し、見事クーソクゼーシキを討ち取る。
「まだまだ!シリエスでシールドを攻撃!」
夕哉 シールド0
「シールドトリガー、ハンマ=ダンマ!シリエスを破壊!」
「ナルコを身代わりにしてターンエンド!次のターンで終わらせるよ!」
「いいや、終わらせるのは次の俺のターンだよ!夕花!」
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Side:飛水
ゴルギーニピット、ゴルギーニタウンはフラウムの送り先の避難所以外間抜けの殻で、興味を持ったクリーチャーに絡まれることもなく空中都市へと到着した。クリーチャー達が連なって倒れているところを追っていくと、緑が火奈を近くの建物の壁に寝かせているのを見つけた。
「公輝さん、緑と火奈を発見しました!」
『分かった、安全を確認したらすぐに戻ってきてくれ』
「緑!無事だったのか!?」
「…良かったぁ、ひすいぃ!火奈とボルシャックライダーがスタミナ切れ起こしちゃって…」
緑は我慢していたものが溢れてきたのか、涙を流しながら俺に抱きついてくる。
「どうしたんだ、急に通信が切れて」
「沢山のクリーチャーと戦っているうちに通信が出来なくなって…。待って、なんでひすいがここにいるの!?」
「それは後だ、インカムは公輝さんに見せた方がいいだろうな、とりあえず緑達は撤退しよう」
「待って、ひすいはどうするつもり!?」
「俺は夕哉の安否を確認しにいく」
『青海くん!!』
「無茶だよ!クリーチャーに会ったらどうするの!?」
「ここまで確認したけど緑達のお陰でクリーチャーは全員と言っていいレベルでいなくなってる、夕哉との連絡が取れたら俺もすぐに戻る」
「せめて僕がついていくよ!」
そうは言っていられない。緑が思っている以上に状況が良くはないのだから。そう思いながらふと上を見た時、黄色い光が2度、ピカ、ピカッと俺の目の中に入る。
「…緑は動けない火奈を頼む」
「待ってよ!飛水、文化祭の時はまだ失敗してもなんとかなったけど…!でも、今は失敗したらひすいの命が危ないんだよ!?1人で行こうとしないで!」
緑は俺に1枚のカードを渡してくる。
「これ、《首領龍 ゴルファンタジスタ》のカード、お守りだから」
「お前の、相棒だろ?帰りの安全も…」
「ひすいが言えたことじゃないでしょ?ボクは力持ちだから、ひなくらいは持ち上げて運べるよ!フラウムのところまで行けばいいし!」
そう言って緑は火奈をお姫様抱っこで持ち上げて、ゆっくりと空中都市の下層へと歩みを進めていく。恐らく、これが緑の中での最善手なのだろう。
「すまねぇ、緑」
俺は光のした方向、精霊王の大聖堂に向かって、急いで向かった。
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Side:御白
『光屋さん!光屋さん!』
「んぅっ…?すたに、さん?」
『良かったです、意識があるようで…何があったんですか?』
「何が…そうです、夕花ちゃんのこと!夕哉くんに知らせなければ!」
『ゆうかちゃん?それって…』
「夕哉くんの妹さんです!私、あの人と戦って負けて…多分次は夕哉くんに戦いを挑みにいって…不味いです…!」
『落ち着いてください、順序立てて話しましょう』
「あ、ごめんなさい…」
私は少し時間をかけて須谷さんに状況を説明します。私の思っていた以上に状況はあちらに伝わっていなかったようで、須谷さんは時々驚いたり、何か書いたりする音をさせながら、私の話を聞いていました。そうしているうちに近くに倒れていたドランさんも意識を取り戻して、私のカードに戻ってきました。
『なるほど、ようやくこちらも情報を理解できました。先程は通信が途切れてしまい申し訳ありません』
「大丈夫です、私も不注意だったので…」
そう喋っている間にビカビカッと何かが鋭く光ったようなものが視界の端に入って、私は思わず立ち上がります。
「これ、夕花ちゃんと夕哉くんがもう戦っています…」
『夕花さんの時間稼ぎは成功しているようですね、まだ動けますか?決着の前に間に合えば彼らを止められるかもしれません』
「…分かりました、ドランさんは休んでてください」
(間に合ってください…2人とも…)
夕哉と!夕花の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「ドアノッカ=ノアドッカ/『開けるか?』!」」
「クリーチャー側は相手に2回パワー−4000を与えるシールドトリガーで、小型から中型まで幅広い敵を倒せるよ」
「呪文側は相手1体を−4000できるよ!序盤の小型の打ち合いを優位に進めたり、邪魔な妨害クリーチャーを除去したり!便利に使い分けられるね!」
「というわけで次回、『聖邪乱舞・後』」
「「お楽しみに!」」
「夕花とこのコーナーやれる日がくるなんて…」
「お兄ちゃん、泣かないの!」