デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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魔覇革命編
ゲームオーバー、その先で・前


 

夕花が襲われた。才能と称したものを奪い取って、それを黄色い球に保管している。俺の怒りの隙をついて御白のことを狙った。それを助けてくれた飛水にすぐにターゲットを変えて、飛水をこの空中都市から放り出した。

 

「グゥッ…アァッ…!」

「乗っ取られそうになると実際にはこうなるのか。せめて自己紹介はしておこう…俺は刃金 皇心(とがね おうしん)。と言っても名前だけ聞いても納得しないだろうな。どうしようもないだろうしある程度教えておこう」

 

「まずは俺たちの目標だ。訳あって替えの効かない『才能』を集めている。これで終わりと言ったらそこまでなんだが、他に質問はあるか?」

「グアッ…オマエハ…ナンデ…オレタチノコト…」

「お前が恨みや怒りに呑まれるとジャシンに乗っ取られるだとか、黒井夕花の話に関してはお前達も知っている人間の研究録と、仲間がそこで見聞きしたことから確認したものだ。ここまでちゃんとやってくれた仲間に感謝しないとな」

 

段々と夕哉の視界がぼやけ始める。ジャシンに乗っ取られそうになっていることは分かっているが、時間が経つほどそれに抗えなくなっている。

 

「光屋御白、止めなくて良いのか?」

「…私は…狙わないんですか?」

「ドラン・ゴルギーニがいなくなった後はそう思ったが別の人間の契約クリーチャーが代わってやってきたとなると話が変わるからな。俺は真っ向勝負するほど馬鹿にやるつもりはない」

 

そう言った皇心に、何処からか連絡がかかってくる。電波はクリーチャー界には届かないが、何かがあるのだろうと御白は彼の態度から直観した。

「ハァ?通信場所がクリーチャーの馬鹿騒ぎで壊されそう?冗談も大概に…お前が冗談言うわけないか。分かった、すぐ対応しにいく」

 

「と言うわけで俺はここでサヨナラだ。黒井夕哉にトドメを刺すタイミングを見れないのは残念だが、代わりにコイツが代行してくれる。頼んだぞ、シン」

「…了解しました」

 

そう言って物陰から現れたとシンも呼ばれる少し小柄な男はデッキを携えており、クリーチャーを呼び出せるデュエリストであることは容易に想像することができた。彼に後を任せた皇心は、急いで先程呼び出したクリーチャーに乗って何処かへ立ち去ってしまった。

「…黒井夕哉を…処刑します」

「待ってください!あなたはなんでそんなことをするんですか!?」

「黒井夕哉を…処刑します」

 

その男に話が通じないと見るや御白は急いで夕哉の方に振り返り、彼を落ち着かせようと試みる。

「落ち着いてください夕哉くん!夕花ちゃんはドランさんが連れて行きました!絶対に間に合わせます!飛水くんのことも一緒に探します!だから帰ってきてください夕哉くん!」

「ミシロ…オレハ…ダレモ…」

 

夕哉の絶望のトリガーは押し込まれ、そう簡単には戻ってこない。御白はそれを知っているからこそ、ジリジリと距離を詰めてくるデュエリストを背にしながら、必死に夕哉に呼びかけ続ける。

 

「今、夕哉くんまで倒れたらもう誰も助けられなくなるんですよ!?」

「デモ…オレニハ…アンナニ…タスケテモラッタノニ…」

「ううっ…辛い気持ちは分かっているつもりです…でも…」

「邪魔です、あなたごと死にたいのですか?」

 

「…夕哉くんの前に!私を倒してからにしてください!」

「本来の相棒がいないデュエルなど、勝敗は見えている、時間の無駄です」

「無駄なんかじゃありません!デュエルです!」

 

御白が相手に向かって、1秒ずつ必死に時間を稼ごうとしている。自分の残った少ない希望を、どうにか手繰り寄せるために。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「夕花…飛水…」

「また、救えなかったな?夕哉よ」

「俺は…無力で…また…夕花を助けられなかった…」

「そうだな、あの刃金というニンゲンを始末したいのならば、余に身体をよこせ、そうすればお前の望みは…」

 

ここでジャシンが違和感に気づく。前は簡単に奪い取れた人格の主導権が、今回は奪うことができない。

 

「何を迷っている?貴様の復讐のためには、余に人格を渡すのが1番早いと何度言えば分かる?」

「…ずっとさ…考えてたんだ…夕花はなんであんなに強いんだろうって。なんで御白達はあんなに前に進めるんだろうって」

「フン、貴様には何も無いからな、余のデッキケースを手に入れた幸運を除けば、お前は周りに助力してもらわなければ何も成し得ないゴミ屑だ」

「…待って、何か聞こえてくる…」

 

そう言った夕哉は深淵の深い深い闇の中へと耳をすませる。そこから何かを聞き取ったのか、ジャシンの方に振り向いた彼の顔は少し嬉しそうであった。

 

「俺はさ…御白達に出会う前、ずっと1人でいようとしてたんだ。病気で辛い夕花を助けるためには、俺が強くなるしかないって」

「フン…」

「でも違った。色々な出会いをして、文化祭で色んな人と話したりして、デュエマ部で色んな人の話を聞いたりデュエマしてる人を見て、色んなクリーチャーと会って、凄い人に沢山会ってきた。凄い体験を沢山したんだ。きっとそれなんだよ」

 

「人は1人じゃなくて、『繋がらなきゃ、何かは始まらない』。ジャシンがそれを分からない限り、俺は君に身体を渡したりはしないよ」

「フン、その繋がりが絶たれて可哀想だな?同情狙いか?」

「ううん、その逆。まだ切られてない可能性があるんだったら、切られていたとしても、絶対に手を伸ばし続ける。自分がやらなかった事による後悔なんてしたくない。それが俺の、俺なりの覚悟のつもりだよ」

「…この感覚は…チッ。まだ乗っ取れないか」

「乗っ取れないよ。ずっとね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目を覚ました夕哉は、ジャシンの闇に飲まれそうになりながらも御白に手を伸ばしていく。

 

「御白!ゴルファンタジスタのカードを!」

「夕哉くん!大丈夫なんですか!?」

「うん、でもまだジャシンを抑え込めないんだ!何か別のものを混ぜて、ジャシンの力を弱めようと思うんだ!」

「…わかりました!賭けてみましょう!お願いします、ゴルファンタジスタさん!」

「分かった、俺様の力、無駄にするなよ!?」

 

ゴルファンタジスタが緑色のオーラを地面に流し、急激に植物が生えてくる。それを夕哉が取り囲む闇が跳ね飛ばそうとするが、夕哉がその植物達を掴んで自分の元に引き寄せる。

 

「一つでダメなら…二つで…!」

「頑張ってください!夕哉くん!」

「余をその程度で抑え込もうと…」

「いいや、俺だけじゃないよ、夕花や婆ちゃん、父さんに母さん!今まで戦ってくれたクリーチャー達、御白や飛水、火奈に緑!会ってきたたくさんの人達!その人達の為にも!俺はここで倒れるわけにはいかない!」

 

植物に闇が流れ出し、先端が枯れていくが、闇の方も現れる速度が遅くなっている。

 

「一緒に…戦うんだ!ジャシン!」

「コイツにはまた…フン、その小手先がいつまで通じるか見ていてやるわ」

そう言ったジャシンはカードの姿に戻り、アビスベル=ジャシン帝のカードに緑色のラインが入り、中から新たなカードが現れる。

 

「行くよ、《アビスベル=覇(デス)=ロード》!」

 

「何が起きたのか…いや、しかし皇心様のため、絶対に処刑をやり遂げるだけ」

「やれるものならやってみなよ!俺とジャシンと、アビス皆で、絶対にお前を倒してやる!」

 

「「デュエマ、スタート!!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Side:夕哉

 

『夕花さんがこちらに到着しました、息もあります、無事です!全力でそのデュエリストを倒してください!』

その言葉に俺は安堵の息を大きく漏らす。後は目の前のこの人間を倒して情報を引き出すことと、飛水のことだけだ!

「須谷さん、ありがとうございます。よし、行くよ!ジャシン!」

 

「まずは呪文!《「こっちは甘いぞー』》!山札の上から3枚をみて、《フォック=ザ=ダーティ》を手札に加えて、残りのカードを墓地に送る、ターンエンド!」

「夕哉くん、自然文明のカードを使うようになったんですね!!」

(凄い、一つ文明が増えるだけでこんなに戦法の幅が広がるなんて…!しかも新しいフォックのこのテキスト、これって…!)

 

(闇文明だけのデッキではなくなった…?しかし私のデッキはアビスロイヤルを倒す為に皇心さんが作ったデッキ…負けるはずがない…!)

「私のターン!《青銅のバンビシカット》を召喚!登場時能力でガチンコ・ジャッジをして、それに勝ったら1枚マナ加速します」

「ガチンコ・ジャッジ、山札の上のカードを見て、そのコストの大きさで勝負する効果…!」

 

「「ガチンコ・ジャッジ!」」

 

闘争類拳嘩目 ステゴロ・カイザー(7)

        VSドアノッカ=ノアドッカ(7)

シン勝利 1枚マナ加速(ガチンコ・ジャッジは同コストの場合仕掛けた側が勝利する)

 

(いきなりこんな高コストのカードを…。低コストが多く、墓地リセットに弱いと聞いていましたが…。)

「ターンエンド」

 

「俺のターン!「こっちは甘いぞー」のクリーチャー側、《ハニー=マーガニー》をアビスラッシュ!そしてそのままシールドに攻撃!」

はちみつの瓶にそのまま身体が生えたようなクリーチャーが墓地から現れ、シールドに向かって突撃していく。しかしその時、後ろから暴走族のような服に身を包み、パワーアップしたフォークを手にしたあのクリーチャーが追いつくようにと走ってくる。

 

「ハニー=マーガニーがシールドに攻撃する時、アビスが攻撃する時という条件成立!《フォック=ザ=ダーティ》と『革命チェンジ』!!」

「か、か、革命チェンジですか!?あんなとっても強い能力を!?」

「アイツ色々好き勝手やりすぎだろ!?」

 

「あの中で考えた俺たちがもっと強くなる方法、1人で強くならずに周りにバトンタッチをしてどんどん強くなっていく!そして憧れの竜也さんの戦法の一つ、革命チェンジを思いついたんだ!」

「ハニーマーガニーとフォックザダーティを入れ替えて、フォックの登場時能力発動!山札の上から4枚を見て、ハニーマーガニーをマナゾーンに!残りを墓地に送る!そのままシールドを攻撃!」

 

シン シールド4

「シールドトリガー、無し…!」

「よっし!ターンエンド!」

 

「私のターン!《特攻(ブッコミ)の忠剣ハチ公》を召喚!そのままシールドに攻撃!」

 

夕哉 シールド4

「シールドトリガーなし…!」

「それならば攻撃終了後にガチンコジャッジを発動!それに勝ったら山札から別のハチ公を呼び出す!」

「「ガチンコ・ジャッジ!」」

 

イフリート・ハンド(7)

        VSハニー=マーガニー(2)

シン勝利 ハチ公をバトルゾーンへ

 

「嘘、じゃあこのままじゃハチ公が出る限り無限に攻撃が続くってこと!?」

「そのまま2枚目のハチ公で攻撃!」

 

夕哉 シールド3

「シールドトリガーなし…!」

「それならもう一度!」

「「ガチンコ・ジャッジ!」」

 

終葬5.S.D(8)

        VSフォック=ザ=ダーティ(5)

シン勝利 ハチ公をバトルゾーンへ

 

「3体目のハチ公で攻撃する時、火のコマンドが攻撃したため、こちらも革命チェンジ発動!《轟く革命 レッドギラゾーン》!登場時効果でファイナル革命発動!レッドギラゾーン以外の全てのコマンド、ハチ公を2体アンタップして、自分のコマンドは全てスピードアタッカーとマッハファイターとブロックされないを獲得する!」

 

「不味いです夕哉くん!ここで止めないと絶対に攻撃が浮かりませんよ!」

「大丈夫!アビスは…俺たちは…そう簡単にやられないから!」

 

夕哉 シールド1

「シールドトリガー+!《ア:グンテ》!登場時効果でまずはコスト5以下のエレメント、ハチ公1体をマナゾーンに!さらにトリガー+効果で相手クリーチャー2体をコスト上限無しにマナゾーンに吹っ飛ばす!残りの2体もマナゾーンに!」

ア:グンテが手に持った団扇を大きく振りかぶるととてつもない突風が発生し、みるみるうちにクリーチャー達をマナに送りつけてしまう。

 

「くぅ…ターンエンド…!」

「俺のターン!まずは《謀遠(ぼうえん) テレスコ=テレス》を手札から5マナで召喚!続いて、フォックザダーティでシールドに攻撃する時!行くよ、ジャシン!」

「余の新たな力、扱えるものならやってみよ!」

 

フォックザダーティが走り出したのに合わせて、暴走族のような服に身を包み、黒を基調とした大きなバイクにどっかりと乗ったジャシンがバイクを走らせ始める。フォックザダーティが地面に旗がはためくフォークをチェッカーフラッグとして突き刺し、ジャシンへのバトンタッチの準備を固める。

 

「革命」「チェンジ!」

「「アビスベル=覇(デス)=ロード!!」」

 

大きくドリフトさせてジャシンが車体を傾けて止める。新しい姿を得たジャシンが、俺にはまたたまらなく頼もしい姿に思えた。

 




夕哉と!御白の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「フォック=ザ=ダーティ!」」
「出た時に山札の上から4枚を見て、クリーチャー1枚を手札かマナに置いて、残りを墓地に送る事ができるカードなんだ」
「アビスのクリーチャー全てから革命チェンジできるテキストも強力です!バトンタッチ前のクリーチャーを手札に戻しながら、さらにマナも墓地も増やしちゃいましょう!」
「というわけで次回、『ゲームオーバー、その先で・後』」
「行くよ、ジャシン!」
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