デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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御白はデュエマ部と作戦会議した日、黒と青の髪の不思議な女の子に出会う。彼女は御白との問答の中で何かの決意をしたらしく、それを追おうとするも見失ってしまう。夕哉達にとっての決戦の日は、今日この日まで迫っていたのだった。



誰が為の覇道(デスロード)・前

 

Side:飛水

 

『Uta-Awase-Fes、間も無く開場いたします』

このアナウンスと共に、楽屋からも分かるくらいに観客達が静まり返る。水文明中のクリーチャーが楽しみにしているイベントが、始まろうとしている。

 

「Drache、トイレ行ってきていいですか」

「大丈夫だが10分後には戻ってくるんだ」

「分かって、ます…」

 

緊張で頭と身体がどうにかなりそうだ。Dracheはもう演奏モードに入っている。俺はDrache、Eineの2人のバックギターとして働くことになった(Dracheは今回ボーカル専業)。その事実だけでもどうにかなりそうなのに、今はそれに上乗せされた色々な緊張でさらにおかしくなりそうだ。トイレに入って顔を洗うものの、緊張は取れない。

 

『トップバッターはこの方!立てば芍薬座れば牡丹、食べる姿はフローラル!お菓子のためならどこまでも!差し入れのマドレーヌ、すごく美味しかったです!《好詠音愛(こよみおとめ) クロカミ》で、「甘味、それは甘美」』

 

クロカミさんがパフォーマンスを始めた。割れんばかりの歓声に心が押し潰されそうになる。彼女がマドレーヌを振る舞ってくれた時、彼女は緊張しているようにはとても見えなかった。他のクリーチャーも皆…

 

「ヒスイの癖だぞそれは、考えてしまう前に最終調整だ」

「Drache…」

「俺も昔は緊張したが、いつからか緊張しても意味がないと思うようになった」

「そうは言われても…」

「残念ながら観客というものはそんなに機微を見抜いてくれるわけではないんだ、緊張とか、恐怖とかな」

 

Dracheは一度パシャリと自分の顔に水をかけた後、俺の顔にもう一度水をかけた。

「何を…」

「ヒスイ、観客にとっては緊張してるとかどうだっていいんだ、自分が見たいようなパフォーマンスがあるか、それだけだ」

「……はい」

「だからこそ自分をぶつけなきゃいけない。最初から逃げ腰じゃ、伝わるものも伝わらない」

 

「ヒスイ、お前は誰に自分のことを伝えたい?」

「……観客の皆、夕哉や火奈達、Dracheにアメイジン」

「そんなやつらに不甲斐ないところは見せられないだろ。自分を奮い立たせろ、ヒスイならそれができるはずだ」

「顔つきが変わったな。まずはできると思い込むこと、成功のイメージをし続けること。よし、Eineの元に戻るぞ」

「…はい!」

 

『続いては《Kl'aviaTune(クラビア チューネ)さんの「七色キーボード」』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Side:夕哉

 

フェスの会場から歓声が聞こえ始めた。予定通りフェスが始まった証拠。俺はデッキの最終調整を済ませて、会場正門のベンチに座っていた。

 

「…降り出してきたね。水文明でも雨が降るんだ」

「フン、余は濡れても平気だが、お前はそうではないのだろう?不便だな」

「まぁ合羽用意してるし、デュエマ始まったら要らないでしょ?ジャシンがフィールド展開するし」

「余の空間を雨宿りに使うな。良いのか?お前のところには恐らく…」

「分かってるよ、俺も、飛水も、両方やることをやるだけ」

 

カードからジャブラッドとシスを呼び出す。正門に続く階段の下から沢山のクリーチャーが登ってきて、それらが俺たちの目の前、会場前の広場に整列する。その目の前には白髪のローブの男(もうフードは被っていない)がいて、それがすぐに誰かがわかった。

 

「黒井夕哉、やはりここにいたか」

「うん、久しぶり、刃金(とがね)」

「俺のことが憎くないのか?」

「憎いよ、凄く。だからこそ話したい」

「そうか、話すことはない、そのフェスを執り行われるわけにはいかない、Dracheとやらが大きく宣伝していたな、濾過器がなんだと」

「うん、Dracheはそういうので嘘をつきたくないってさ。もう一人のクリーチャーも散々隠してきた分言ったほうがいいって」

「バカだろ、そいつら」

「全会一致だったから俺たちを皆バカにしてるよ」

「構わないさ、お前らが俺を誘い出す口実だったとしても、真正面から打ち砕けばいい」

 

ジャシンが沢山のアビスを呼び出し、広場は沢山のクリーチャーで埋まっていく。

「ジャブラッド、周りのクリーチャー達をお願い、後で唐揚げパーティーしよう」

「ジャブラァァアア!!」

「…夕花を狙った理由は何?」

「クリーチャーを従える才能、それのどちらかは必ず必要という話になった、残った方なのだから大人しくしていてもいいものを」

「俺は夕花と約束したんだ、またデュエマするために返してもらう」

「そうか、それは出来ない相談だ」

「刃金が使っていなさそうだね、多分それがあったら2倍のクリーチャーを従えてるって公輝さんが言ってたから」

「………」

「夕花の才能の行き先はどこ?」

「俺に勝ったら考えてやる」

「……上等!行くよ皆!」

 

ジャブラッド達デッキに入らなかったアビス達が飛び出して、刃金の周りのクリーチャーとぶつかり合っていく。俺も、自分にできることをする!

 

「「デュエマ、スタート!!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「マナチャージして、ターンエンド」

「マナチャージ、ターンエンド」

 

夕哉の先行で始まったデュエマ。夕哉は《ドアノッカ=ノアドッカ》をチャージ。刃金の1ターン目のマナチャージは《「勝利」(ビクトリー)の頂カイザー「刃鬼」》。

 

(詳しいことは分からないけれど、11マナのクリーチャーを出すなら、何らかの方法を使うはず。そういえば昔戦ったミカドレオ使いの(しば)獅馬さん、《流星のガイアッシュ・カイザー》を使って軽減して出してきてたな…。)

 

「マナチャージして2マナで呪文、《「倒したいか?」》を使う、1マナ増やしてターンエンド」

「マナチャージ、《フェアリー・Re:ライフ》を唱え、1マナ増やす。ターンエンド」

 

「俺のターン、《フットレス=トレース》を召喚、ターン終了時、山札の上から1枚を墓地に送って、今送られた《アビスベル=覇=ロード》を手札に加える」

 

夕哉はずっと思っていた疑問を投げかける。

「ねぇ、刃金って何でこんなことしてるの、君は十分過ぎるほど才能を持っているはずなのに、何で人のを奪うようなこと…」

「才能があっても金が手に入るかはまた別だ。ほぼ全ての人間が欲しがる才能を売り捌けるようになったのならば、これ以上のことはないだろう?」

「嘘つきだね、家は裕福なんでしょ?ある程度インタビュー記事とかも読んだよ」

「チッ、知ってるのか。あの学校のそういうところが嫌いなんだよ、全部を自分たちの手柄にしたがる」

「そうじゃなくて、何でこんなことを…」

 

「俺のターン、《ウマキン⭐︎プロジェクト》を召喚、手札とマナを振り分けてターンエンド。逆に質問だ黒井夕哉、お前は黒井夕花の才能を取り戻してどうする?」

「どうもしないよ、元に戻して、また普段通り過ごす」

「はぁ?物欲がないのか、お前は?」

「俺にとっては、その普通に友達や家族と過ごせることが幸せなんだ、それが当たり前にあるものだなんて、今の自分には思えない、だからそれを大切にするんだ」

「友達や、家族…!それに自分を捧げられるのか…?」

「俺はそれを捧げてるとは思ってないよ、逆に貰ってるまであると思ってる。結局自分をどう使うかは自分が決めることだから」

「………お前のターンだ、カードをプレイしろ…!」

 

(自分から話しかけといて…。でも、何かに動揺した?友達、家族、才能?どれだ?それが刃金の動機を聞く糸口になるかもしれないけど…)

「今俺にできることを、だね!俺のターン!《謀遠 テレスコ=テレス》を召喚!ターンエンド!フットレスで墓地を肥やして、《邪闘 シス》が墓地に落ちるけど、今回は回収しない!」

「俺のターン」

「テレスコテレスで1枚捨てさせる!」

「チッ、《地龍神の魔陣》が落ちたか。ウマキンプロジェクトの2枚目を召喚、バズレンダで6マナを使用、デッキ上2枚を手札とマナに振り分けるのを2回行う、ターンエンド」

 

「俺のターン!《邪幽 ジャガイスト》をマナチャージ!まずは《ア:エヌ:マクア》を召喚!登場時能力で2枚マナを加速して、《深淵の壊炉 マーダン=ロウ》を手札に加える、そしてマッハファイターのマクアでウマキンプロジェクトに攻撃!その時、革命チェンジ!」

 

マクアが一度咆哮すると、緑と黒が混ざったような不思議な道ができあがる。それは地上と空中に枝分かれして、地上からマクアが駆け出し、空中の道を通る主人に向かっていく。

 

「さぁ、こやつを叩き潰すぞ、夕哉!」

「オッケー行くよ、革命!」

「チェンジだ!」

 

マクアと覇ロードがバトンタッチして、覇ロードが地上に悠々と着地する。右ハンドルから刀を取り出した覇ロードは、ウマキンプロジェクトを一撃で切り伏せてしまった。

 

「ターン終了時、マナゾーンから《邪幽 ジャガイスト》をバトルゾーンに!」

今度はジャシンが地下から大きな翼を持った黒色のドラゴンを呼び出す。全てを嘲笑うような瞳、人間の手のようなものが4つほど背びれのように着いている異質さ、それは夕哉がこのクリーチャーが敵でなくて良かったと思うほどに威圧感に満ちている。

 

「こんな、クリーチャーが…」

「ジャガイストの登場時効果!手札を2枚、マーダンロウとドアノッカを捨ててアビス・メクレイド5を行う!テレスコテレスをバトルゾーンに!さらに、ジャガイストのもう一つの効果、山札からクリーチャーが出た時そのコスト以下のクリーチャーを1体墓地からバトルゾーンに呼び出す!来い、マーダンロウ!」

「マーダンロウの効果で相手の手札を見る!さぁ、《流星のガイアッシュ・カイザー》を捨てろ!」

 

「あぁ、ガイアッシュカイザーでいいんだな?」

そう言った刃金の手札には、ガイアッシュカイザーが2枚握られていた。

「な…!?」

「ハンデスされるのは分かっているからある程度対策するに決まっている、まぁそれでも2枚揃って、テレスコで落とされなかったのは幸運だが」

「…《「必然」の頂 リュウセイ》を墓地に送る、フットレスの効果で墓地を増やして、ドアノッカを手札に戻してターンエンド」

「ターン終了時、コストを支払わずクリーチャーを出したため、《流星のガイアッシュ・カイザー》をバトルゾーンに、登場時2枚ドローする」

 

「こんなに強いのに、なんで才能なんて集めてるの…?」

「…俺は、才能を自分に取り込んでなどいない、才能などいらない」

「…!?そんなに、凄いって言われているのに…。それで才能を取り込んでもっと強くなろうと…」

「俺が凄いだと…?俺が才能を取り込むだと…?才能があるから凄いのか?いいや違う、それならあいつは、あいつは…!」

(なんか、様子が…)

 

「どいつもこいつも、そして昔の俺も!自分がのしあがること、自分が得することしか考えていない!だから格差が起きる!だから悲劇が起きる!!そんなのもううんざりだ!!!」

刃金の尋常でない様子に、夕哉は驚きつつも言葉の先を聞こうとする。

「待って、それはどういう…!」

 

「…俺のターン!!」

「…テレスコテレスで2枚ハンデス!」

「ドロー!ガイアッシュカイザーで4マナ軽減、シンパシー:ハンターで1マナ軽減!《「勝利」(ビクトリー)の頂 カイザー刃鬼》を6マナで召喚!!」

 

虹色のラインが入ったドラゴンに、虹色のラインが入った龍人。そのクリーチャーの放つオーラが、夕哉を押し潰そうとしてくる。

 

「それが、前の銃の元…」

「ゼニスのクリーチャーは様々な感情を元に作り上げられたもの。逆に人間からゼニスの元になるようなものを引き摺り出すことも造作もない」

「勝利の頂、勝利を分けるような才能か…!あの威圧感、とんでもないのが来る…!」

 

「召喚によって出た時、ハンター・W・メクレイド10を発動!《必然の頂 リュウセイ》、《勝利宣言 鬼丸「覇」(ヘッド)》をバトルゾーンに!」

「不味い…!ジャシン!」

「分かっておる!刃金よ、初めて攻撃するなら必ず余に攻撃しなければならないぞ!」

 

「好都合だな、鬼丸覇で覇ロードに攻撃、その時ガチンコジャッジを行い、勝てば追加ターンを獲得する!」

「追加ターンを…!?」

 

「「ガチンコ・ジャッジ!!」」

 

「必然」の頂 リュウセイ(10)

        VSフォック=ザ=ダーティ(5)

刃金勝利 追加ターン獲得

 

「さぁ、追加ターン獲得だ、鬼丸覇の攻撃は継続している!攻撃中パワーは14000だ!」

(カイザー刃鬼は攻撃時効果を持ってる、タップしてる覇ロードを守っても状況が悪くなるだけだ!)

「覇ロードで受ける、パワー11000で敗北する…!」

 

「カイザー刃鬼は相手のシールドが5枚の時にスピードアタッカーを獲得する、そして攻撃する時もハンターWメクレイドが発動する!《「合体」の頂 アクア・TITAAANS》、《「根性」の頂 メチャデ塊(かい)ゾウ》をバトルゾーンに!」

「火水自然のゼニス達が…!シールドで受ける!」

 

夕哉 シールド2

「来た、シールドトリガー!《ア:グンテ》!まずは基本効果でウマキンをマナゾーンに!さらにトリガー+でリュウセイと…メチャデ塊ゾウをマナゾーンに!」

「ほぉ、鬼丸覇を戻さなくていいのか?」

「メチャデ塊ゾウのバトル勝利時効果で帰ってくるだけでしょ?しかもカイザー刃鬼はジャストダイバーで選べないし…!」

「分かってるじゃないか、アクア・TITAAANSのガチンコジャッジを行う」

 

「根性」の頂 メチャデ塊ゾウ(10)

        VSア:エヌ:マクア(5)

刃金勝利 1枚ドロー、このターン夕哉のクリーチャーの攻撃を禁止

 

「ターンエンド。しかし、その後も俺のターンだ」

 

「…まだまだぁ!」

「なぜ諦めない?ここまで叩き潰せば心が折れると思ったのに…」

「言ったでしょ?大事な妹と友達との約束があるって!」

「また家族、友達か…」

 

刃金の不機嫌な態度は目に見えて分かりやすくなっていた。どちらが追い詰めているのかが分からなくなるほどに。

 

「俺のターン!手札から2体目の鬼丸覇をバトルゾーンに、鬼丸覇で攻撃!その時ガチンコジャッジだ!」

「今度は負けない!」

「「ガチンコ・ジャッジ!」」

 

流星のガイアッシュ・カイザー(6)

        VSドアノッカ=ノアドッカ(7)

夕哉勝利

 

「いよっっしっ!!!これならいける!」

「なに…。だがトリガーがなければ終わりだ、この後にはカイザー刃鬼、鬼丸覇まで控えている!」

 

夕哉 シールド0

「シールドトリガー!《ドアノッカ=ノアドッカ》!ガイアッシュカイザーのパワーを−8000して破壊!さらに《Rev:(レヴォ)タイマン》!効果で次の俺のターンまでアンタップしている鬼丸覇のパワーを+4000して、プレイヤーへの攻撃を不可能にする!」

「それで止めたつもりか!」

「まだまだぁ!革命2、発動!このカードを使った時、俺のシールドが2枚以下なら刃金の全てのクリーチャーの動きを止める!」

 

「チッ、ターンエンド。だがお前の劣勢は変わらない」

「いいや、勝つのは俺だよ。フェスは俺が守る。ここから先、一歩も通さないから!」

 




夕哉と!緑の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「邪幽 ジャガイスト!」」
「パワー9000、5コストのブロッカーで、登場時に手札を2枚捨てればアビスメクレイド5をすることができるんだ」
「さらに山札からクリーチャーが出た時、それ以下のコストのアビスを墓地から呼び出すことができるんだよね」
「うん、1体出るだけで爆発的な展開が可能になる、俺の新しい切り札だよ。覇ロードや邪闘シスとも相性抜群だからね」
「というわけで次回、『誰が為の覇道(デスロード)・後』」
「「お楽しみに!」」
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