デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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飛水とDracheのライブが始まり、彼の必死の働き、お互いに認め合ったことで遂に飛水はDrache、アメイジンと契約。そこにフェスの妨害に現れた垣外礼児(かきそとれいじ)が掻き乱そうとしてくるが、逆に飛水がそれをパフォーマンスの一部へと昇華。自身がゲームに勝つことで、会場のボルテージと濾過器の魔力を一度に溜めようとするのだった。


革命、虹かかる時・後

 

Side:アメイジン

 

本番の前日。飛水が最後の打ち合わせにこちらに来ていた時。我らと共に真沢という男の研究録を確認していた飛水はため息を漏らしていた。

 

「『クリーチャーと契約するためには、お互いの心を理解しなければ真の意味で従わせることは不可能』か。はぁ…」

「どうかしたのですか?」

「叔父さんは、それを諦めたんだ。現実、無理矢理従わせて、力を振るう方法を選んだんだ」

 

「俺は、おじさんのやって来たことを受け継ぐって約束したんだ、今度は無理矢理従わせる方法じゃなくて」

「それでも我らと契約するのは無理なのか?」

「…最後の踏ん切りがつかないだけです」

 

「私(わたくし)は彼の研究で気になったことがあります。何故彼は、自分自身ではなく他人にクリーチャーから世界を守る人間になって欲しかったのでしょうか」

「あぁ、研究録でもかなり初期の段階から他の人間で治験するみたいだったしな」

「叔父さんは自分にもかなり無理をしてたからってのはあると思います。あと…」

 

「「あと…?」」

「今は、誰かに止めてもらいたかった、誰かに自分と違う道を見つけて欲しかったんじゃないかって思います」

 

私と我のCPUには、何故だかこの言葉が深く刻まれた。我々の至上命題の一つに、水文明を守るというものがあったが、2つの意思が私と我にあったせいで、中々意見がまとまりませんでした。

 

バンキシー様、マスターが何故そのような機能をつけたのか、それは私と我より頭脳スペックの高いマスター自身にしか分からない。彼がどこにいるかわかってそれを聞き出せるなら早いが、それを行うこともできません。

 

でも、マスターが私と我を起動する際に言った言葉が、漸く復元することができた。

「お前達にはあるロックが掛かっている。そのロックを外す方法は教えないし、多分外す必要もない。だけどもし、外さなければ水文明を守れないとなった時に、外せるヒントを残しておこう。2つの意思が相反していて、対立するしかないなんてことは、そうないはずで、2つの意思が本当に一緒になることも、そうおかしなことでもないだろうということだ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

礼児の先行で始まったデュエマ、礼司はマジックアウトレイジを、飛水はマジックの革命チェンジを使い、お互いにクリーチャーを並べる準備を始める。

 

礼児 シールド5 マナ3

飛水 シールド5 マナ2

《AQ Vibrato》

 

(さっきからサーチカードばかりだな…何を戦法としてやってくるのかがわからない…だが!)

「俺のターン!3マナで《灼熱の演奏(フレイミング・プレイング)テスタ・ロッサ》を召喚!手札からマジックまたはアウトレイジ、《歌舞音愛(うたまいおとめ) ヒメカット》を手札から捨てて2枚引く!vibratoでシールドを攻撃!その時、革命チェンジ!《芸魔隠狐 カラクリバーシ》!」

 

初めて水文明に辿り着いた時から飛水を守って来たクリーチャーが、この戦いの先陣を切る。

 

「カラクリバーシの登場時能力!1枚ドローして、コスト3以下の呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断(パーフェクト・ファイア)》を唱える!この呪文は3つの効果、

・コスト3以下のクリーチャーを出す

・自分のクリーチャー1体にスピードアタッカーを与える

・味方1体を初めての攻撃終了後アンタップ

を合計2回選べる!コスト3以下呼び出しとアンタップを宣言!vibratoをバトルゾーンに出し、カラクリバーシはこの攻撃終了後アンタップする!」

 

礼児 シールド4

「S・バック!《神にも届く旋律(ゴッド・ノレッジ)》!アウトレイジメクレイド8を行い、《終絶電融 パワーロビン》をバトルゾーンに!パワーロビンはクリーチャーが出るたびに1ドローか相手を手札に戻す!カラクリバーシを早く手札に戻せ!」

 

礼児 シールド5

「…お前、その煽る感じどうにかならないのか?」

「これが俺だからな、お前も言葉が汚いぞ?」

「…意図的に人を貶めるやつが言うことかよ、神谷と違って演技でもないだろうに」

「早くカードをプレイしろ、まだ攻撃できるクリーチャーがいるぞ!」

 

「テスタロッサでシールドに攻撃!カラクリバーシに再度革命チェンジ!1枚ドローして、《♪ やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》!数字の「7」を宣言して、それと同じコストのパワーロビンの攻撃と防御を止める!」

 

礼児 シールド4

「シールドトリガー!《熱血大帝(グレイトレイジ) カツカイザー》!パワー4000でカラクリバーシとバトル、相打ちになり、破壊された時にコスト8以下のアウトレイジ、《俺神豚(エンシェントン) ブリタニア》をバトルゾーンに!好きな数のアウトレイジを墓地から手札に加える、つってもこの効果は使わないけどな。さらに2体クリーチャーが出たため、パワーロビンでvibratoを手札に戻し、1枚ドロー。で、この後どうすんだ?」

「…ターンエンド!」

 

「俺のターン!神にも届く旋律の呪文側、《戦慄の魔女 アリス》を4マナで召喚、3枚ドローして2枚を山札の上に戻す」

 

飛水は礼児が手札に加えるカードを吟味している間に考えを纏める。

(シールドをブレイクしたら確実に反撃を食らう、多分人から奪った才能使ってんだろうけど、まずデッキ全体がカウンターに寄ってんだ。だからほぼ確実に俺の攻めをいなせるカードが飛んでくる。しかも素かはわからねぇけど、煽りもしっかり戦術として機能させてる、色々複合して俺の革命チェンジデッキには相性悪い相手…)

 

「ターンエンドだ、ほら、早くやれよ」

「…俺のターン!」

 

アメイジンも似たような結論に辿り着いたのか、飛水に声をかけてくる。

「飛水、このままでは…」

「ジンさん、分かってますけど、ここで逃げる選択肢はないんすよ、観客の皆が見てくれてる!」

 

飛水が観客の方を向くと、飛水の、Drache達の勝利を切望するクリーチャー達と目が合う。

「しかし飛水、あなたのデッキにはあの防御壁を突破するカードが…」

「メイさん、でも俺たちは夕哉やDrache達の頑張りを無碍にできない、無駄にできない、だから…!」

 

(具体的には、トリガーをロックできるカードは存在する。ただクリーチャーも呪文もバランスよく採用されてるから多少止めたところで漏れたところから切り返される可能性の方が高い…でも!)

「いまここで逃げたら!昔の俺に!夕哉達と会う前の俺に逆戻りだ!テスタロッサをバトルゾーンに!テスタロッサでシールドを攻撃する時、《芸魔山鷹 トリノドミノ》に革命チェンジ!テスタロッサの1枚捨てて2枚ドローと、トリノドミノの3枚ドローして2枚捨てる効果を起動する!」

(よし、1枚来た!まだこれがあれば…!)

 

礼児 シールド3

「シールドトリガー、《ブータン両成敗(ジャッジメント)》。お前のクリーチャーを1体選んで破壊し、俺も1体破壊する」

「…トリノドミノを破壊!」

「アリスを破壊してラストバースト発動。破壊された時に呪文側の神にも届く旋律を唱える。《終剣連結 アビスハリケーン》をバトルゾーンに。EXライフを追加」

 

礼児 シールド4

「回答札探しは上手くいったか?いやまずその様子だと回答札があるかどうかも怪しいなぁ?」

「……俺は勝つんだ、このパフォーマンスを最良の結果で終わらせる」

「諦めたらどうだ?俺のコンボの準備も整ってる。殴らなきゃいけないデッキでは俺の幸運と相性最悪。勝ち目なんて0なんだよ、クリーチャーにずっと認められなかった落ちこぼれが!」

 

怒りを露わにし、礼児に歯向かおうとするアメイジンを飛水が制止する。

「大丈夫だ、アメイジン。これは全部本当のことだ。真沢の甥っ子であることも、5人の中でデュエマに関する才能がなかったことも、クリーチャーに中々巡り会えなかったことも全部本当だ」

「だろ?そんな奴が俺に挑むなんて…」

「だからって、自分の過去を無かったことにしようとしたらもっと後悔する!俺はそんな自分に胸を張って生きられない!」

 

「ひすい…!」

一言一句残さず中継された飛水の叫びにクリーチャー達が、仲間達が勇気づけられる。特に聞き覚えのある言葉を聞いた緑は、思わず笑顔を綻ばせていた。

「ハァ?なんでこの流れでそっちが勢いづくんだよ?」

「お前は昔の俺に似てる、自分の意見を絶対だと思って押し付けてた時の俺だ、だからこそ絶対に負けられない、ここから全部ひっくり返して勝ってやる!」

「…お前、楽な倒し方しねぇからな?」

 

飛水の勇気を見て勇気づけられたのは観客達だけでは無かった。

((飛水を、助けなければ…契約した身として、認めてくれた友人として、飛水を助けたい…!))

アメイジンは少しずつ、暖かく、何かが広がっていく感覚を覚えた。

 

「俺のターン!アリスの2体目を召喚!3枚引いて2枚を戻す!…2枚目のブリタニアが揃った!」

「まずはブリタニアでシールドを攻撃!」

 

飛水 シールド3

「Gストライク、芸魔隠狐 カラクリバーシ!アビスハリケーンの動きを止める!」

「アビスハリケーンの効果で攻撃終了後ブリタニアが破壊される、そしてウルトラ・ドロン・ゴーを発動、ブリタニアが場を離れた時手札から

神(シェン)を名前にもつクリーチャーをバトルゾーンに出す、2体目のブリタニアをバトルゾーンに!ブリタニアの登場時効果で墓地からブリタニアを手札に加える」

「まさか、無限攻撃…!」

「そうだ、しかも攻撃するたびにもう1体のブリタニアになるからGストライクや水文明お得意の手札戻しに攻撃禁止、火文明の破壊も意味がない。チェックメイトだ、落ちこぼれ。ブリタニアで攻撃!」

 

飛水 シールド1

「シールドトリガーなし…!」

「先程と同様にブリタニアを出し直し、アビスハリケーンでスピードアタッカーを得る。さぁ、これで終わりだ」

 

飛水はニヤリと笑い、礼児を挑発する。

「おい礼児、お前なんでそんな強いのに運を得ようとしたんだ?」

「あ?運がなければ実力なんて意味がないからな。俺は元々クラシックをやっていたんだ。毎日死ぬほど努力して、人生を変える大会での本番の出来は先生から1位は貰ったようなものと太鼓判を押されるほどだ。だがその結果は入選すらできなかった。後から聞いたところ、審査員にの厳正なる判断、だってよ」

「その後、どうしたんだ?」

「どうしたもこうしたも、高校入ってすぐにアルテナに入った俺は審査員の運を奪い取りにいったよ。あらゆるものが上手くいかなくなる奴らの顔は最高だったよ、あぁあとは、才縁高校に来てたクラシックの奴の運も奪い取ったな」

 

「お前…可哀想で、ロクでもないやつだな」

「あぁ?俺は人生を滅茶苦茶にされた、だから滅茶苦茶に仕返してやった、それの何がおかしいんだよ!?」

「それで今、お前どれだけ音楽弾けるんだよ?」

「……はぁ?」

「自分を滅茶苦茶にしたと思ったやつに固執して、自分自身を見失ってるじゃねぇか、確かに納得いかないこともあるかも知れねぇけど、本当にやるべきだったのは復讐じゃなくて、自分を高めておくことしかなかったんじゃないか?」

「黙れよ、黙れよぉ!!俺の辛さなんてわかんねぇのに!知ったような口を聞くなぁ!!」

「目的を見失うなって言ってんだよ、そんなやつに待ってるのは酷い結末だけだ!」

「黙れぇええ!ブリタニアでシールドを攻撃!ブリタニア、こいつの口を閉じさせろ!!」

 

飛水 シールド0

「これはあくまでパフォーマンスだからな、ここからは俺のパフォーマンスの相手になってもらう。だから口を噤(つぐ)んでてくれ。《終止の時計(ドゥームズ・デイ) ザ・ミュート》!2枚ドローして1枚捨てる、さらにトリガー+効果で相手プレイヤーはクリーチャーで攻撃できない!」

(ドローで引いたもう1枚の逆転パーツ!だが今のままじゃ…)

「チィ!そのタイプのシールドトリガーか…ブリタニアを入れ替えてターンエンド、だがしかし、俺のシールドは4枚、更には俺の運でシールドトリガーも大量に入っている!」

 

「礼児!あくまで俺の経験則なんだが、同じような運を持つ時時最後に女神様が微笑むのは…自分から掴みにいったやつだ!」

 

飛水はデッキから勢いよくカードを引き抜く。

そのカードは赤く、青く燃えて、そして青く、そして赤く潮流が流れ、やがてまた1枚のカードとなった。

「アメイジン…!」

「「飛水を助けるため、今我と私は同じ結論に至った!行くぞ、私と我の相棒よ!」」

「…おうよ!!」

 

飛水は今日一番の笑顔を見せて、1枚のカードに手をかける。

(すげえ、新しいアメイジンのこの効果!これがあればずっとやりたかったことができる!手札から捨てざるを得なかった選択肢を、これなら墓地から使いこなせる!)

「まずは、カラクリバーシを5マナで召喚!効果で1枚引いて、コスト3以下の呪文、《本日のラッキーナンバー!》を唱える!こいつは宣言した数字のクリーチャーの召喚、呪文の相性を止める!まずは「6」!神にも届く旋律を止めさせてもらう!」

「ハッ!それが止まった程度で何を!」

 

アメイジンの身体から城壁がこぼれ落ち、新たな身体となる。

「カラクリバーシでシールドに攻撃する時、《芸魔王将 カクメイジン》に!」

「革命!」「「チェンジ!!」」

 

二頭の龍の放つ水と火は更に勢いを増し、礼児のシールドへと向かっていく。

「カクメイジンは全てのマジックにスピードアタッカーを与える!更にシールドに攻撃が着弾した時、俺のマナ枚数(5)以下のコストをを持つ呪文をブレイクする枚数(2枚)分唱えることができる!」

「ハァ!?」

「1枚目!墓地から本日2つ目のラッキーナンバー!次に宣言するのは「3」、ブータン両成敗のコストで合ってるよな!?2枚目!墓地から瞬閃と疾駆と双撃の決断!今度選ぶのもコスト3以下のクリーチャー呼び出しとアンタップ!《単騎連射 マグナム》をバトルゾーンに出し、この攻撃終了後、カクメイジンをアンタップする!」

 

カクメイジンがシールドを焼き払い、再度攻撃体制に入る。その2つの意思が介在するとは思えないほどの息の合い方に、飛水は感動を覚えていた。

 

礼児 シールド2

「シールドトリガー!カツカイザー!ブータン両成敗!」

「マグナムの効果発動!俺のターン中お前のクリーチャーが出る時代わりに墓地に送られる!ブータン両成敗はまず唱えられない!」

「グゥ…!だが!だが!!」

 

(まだ俺にはあいつが止め損ねた呪文、ブリタニアの呪文側、コスト4の《「カツキング、俺とお前の勝負だ!」》がある!シールド以外に2枚見えているが、墓地を4枚増やせばその枚数以下のコストであるカクメイジンを破壊して攻撃を止められる)

 

「再度カクメイジンでシールドを攻撃!まずは1枚目、瞬閃と疾駆と双撃の決断!コスト3以下呼び出しとスピードアタッカー付与を選択して《アシスター・Mogi林檎》を呼び出してスピードアタッカーを付与する!そしてもう一枚だ!呪文!《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》!!お前の墓地を全部山札に戻してこっちは2枚ドローする!」

「まさか…!」

 

「これで墓地が無くなったから俺が止め損ねた最後の呪文はマグナムを破壊するので精一杯。それでマグナムを破壊してパワーロビンでカクメイジンを手札に戻されても、呪文の効果でスピードアタッカーを持っているMogi林檎が詰め切れる」

「……マグナムを破壊して、ブロッカーを…!」

「Mogi林檎をカラクリバーシにチェンジして、《♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり》で動きを止めればチェックメイトだ」

 

礼児 シールド0

「シールドトリガー、《「カツキング、俺とお前の勝負だ!」》、マグナムを、破壊…!パワーロビンで、カクメイジンを手札に戻す…!俺とお前の、何が違うんだ…!」

「変わらねぇよ、最初のWブレイクでそのカードを踏んで負ける可能性もあった。だからただ、音楽とデュエマが大好きで、ただ少しやり方間違えただけなんだ。…Mogi林檎で、ダイレクトアタック!」

 

会場は、今日一番の歓声に包まれることになった。

 




飛水と!火奈の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「芸魔王将 カクメイジン!」」
「味方のマジック全てにスピードアタッカーを与える、パワー10000のWブレイカー。俺の切り札だ」
「飛水の切り札…!あ、読まなきゃだね!シールドブレイクする枚数だけ自分の枚数以下のコストの呪文が唱えられるんだ、ライダーと効果の条件が似てるね?」
「あぁ、革命チェンジで出せば、呪文の数だけ戦法のある底なしの戦い方ができる。俺のやりたいこと、全部させてくれるカードだ」
「…良かったね、飛水!」
「というわけで次回、『神(ゼニス)の仮面が落ちる時』」
「「お楽しみに!」」
「飛水、カードに見惚れるのは分かるけど…」
「な、見惚れてたか!?」
「カマかけただけだよー」
「おま…!今は何も言わねぇよ、ったく…」
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