デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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夕哉、飛水がそれぞれのアルテナのメンバーと戦い、辛勝ながらも勝利を掴む。飛水とカクメイジンの活躍でどうにか電磁砲の準備は完了し、濾過器は稼働したのだった。


神(ゼニス)の仮面、今落ちる

 

Side:御白

 

「ドランさん!行きますよ!」

「はい、御白さん!」

 

一際大きな歓声が会場から聞こえて10分ほど。突然大きな機械が現れて、エネルギー砲を放ちました。それはすぐに水の中に浸透して、ゴミや汚れをみるみるうちに取っていってしまいました。そこで見えたアルテナのアジトに向かって、私はレイクポーチャーさんに乗せてもらい、アジトに着いたところで降ろしてもらいました。

 

「なんか、気持ち悪いですね…」

 

不気味な珠を作り出しているこの工場の中は薄暗く、ドランさんのライトが無いと足元を見誤って転んでしまいそうな程複雑です。ゴウンゴウンと音を立てながらひたすらに「才能」を纏めた珠を作っているという事実に、私は身の毛がよだつ感覚がしました。

 

「御白ちゃん、久しぶりぃ」

 

聞き覚えのある声に振り向くとそこには黒と青の髪の毛の、あの女の子がいました。

「須谷、風音(かぜね)さん」

「黒井くんから話聞いたの?もう少しびっくりすると思ってたよぉ」

「はい、私も聞いた時は驚きましたが、不思議と納得もしています」

「へぇー。なんで?」

「須谷さん、遥風(はるか)さんは決して昔のこと、自分のことを喋ろうとはしていませんでした。貴方との事を思い出すのが辛かったんだと思います」

「へえ」

「どいてください、私はこの工場を破壊しにきました」

「奇遇。オーブも十分生産したし、ちょうど処理するんだ。後でやっといてくれると嬉しいなぁ」

「………」

 

御白は気を取り直し、もう一つ知りたかった質問を投げかける。

「何があったんですか?遥風さんと貴方の、お二人の間に」

「………ねぇ、デュエマしようよ」

「話を聞いてください!」

「私が勝てば皇心(おうしん)がここまでに作ったオーブを持ち出す時間稼ぎができるの。御白ちゃんが勝ったら、私を捕まえられるかもねぇ」

 

風音さんは大きな純白の騎士のような、それでいてそれが操り人形によっているような生気のないクリーチャーを呼び出します。

「さぁ、やるの?御白ちゃん」

「やります!ここで全部を終わらせます!」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私のターン!マナチャージして、2マナで《ブラジェスコ-W1(ホイールワン)》をバトルゾーンに!登場時効果で相手1体に−3000を放つことができますが、今は不発します。ターンエンド」

「私のターン、呪文、《ピクシー・ライフ》。山札の上から1枚目をマナゾーンに送って、無色のカードを1枚手札に加えられるけど、今回はせずにターンエンドだよぉ」

 

御白は異質な雰囲気を醸し出す風音のデッキをよく観察する。

(マナゾーン、プレイしたカードを見る限り、文明を持たないゼロ文明のゼニスと、それを補助する自然文明がメインのデッキですね。今スパーク落ちましたし、光もケアしましょう。でも、今ではかなり使う人が少ないデッキですよね…)

 

「何でこのデッキなのか考えてるでしょう?」

「えっと…好きだから、ですか?」

「ぶっぶー。正解は、私の契約したクリーチャーがゼニスで、このデッキでデュエマに勝つのが一番手っ取り早く才能を奪えるからぁ」

「…夕哉くんが言うには、貴方から才能を奪われた人は酷い目にあったと言います。何をしているんですか?」

「私の相棒、プロフェシーは才能以外も吸い取っちゃうんだ。一緒に『希望』ってやつもね」

「希望…それって…」

「うん、生きる希望、明日に進もうとする力。それが私に力をくれる。ずっと前に進めなかった私に力を」

 

御白はそのように簡単に事を言う風音に怒りを露わにする。

「貴方、今何を言ってるか分かっているんですか!!私のターン!《警鐘の聖沌 n4rc0(ナルコ)》をバトルゾーンに!山札の上から5枚を見て、《セラフ・テンペストא(アレフ)》を手札に加えます!」

 

「ブラジェスコでシールドを攻撃する時にセラフに革命チェンジです!セラフは各ターン、自分のクリーチャーが出た時と離れた時に1枚ドローすることができます!セラフが出たのでドロー!」

 

風音 シールド4

「シールドトリガー、《創世と終焉のゼニスパーク》。カードを1枚引いて、手札を1枚御白ちゃんに見せるよぉ。見せた《「智」の頂 レディオ・ローゼス》(10コスト)以下のコストを持つ相手のクリーチャーを全てタップして、見せたカードの種族がゼニスなら次のターンアンタップしないよぉ」

(革命チェンジ戦術にフリーズ能力は天敵ですね…)

「ターンエンド。風音さん、奪ってきた方に申し訳ないと思ったことはないのですか?その人の家族や友達に、申し訳ないと思わないんですか!?」

 

風音の目が一際冷たくなり、御白はゾワっと寒気を覚える。

「私のターン、呪文、《フェアリー・Re:ライフ》、ピクシー・ライフ。2マナ加速してターンエンド。逆だよぉ。私には誰も振り向かなかった。まぁ、振り向かせられるような人間でも無かったんだけどねぇ」

「才能を奪い取るようになる前の話ですか?」

「うんうん。私、何もできなくてさ。ゴミみたいな扱いだったんだ。お姉ちゃんに聞けばわかると思うよぉ」

「ゴミって…。そう簡単にそんな言葉…」

「そうだよ。そう簡単に人間がそんなふうに言われちゃいけないよね」

 

風音のその声には諦観、絶望、怒り。それらをはじめとした様々な冷たくて黒いものが御白の胸に、ズンとのしかかってくるようだった。

「…私のターン!《瞬現の聖沌 n41kun4》を召喚、セラフの効果でクリーチャーが出たのでドローして、ターンエンドです」

 

「私のターン、6マナ溜まったならこれだね。3マナでそれぞれ呪文、《旋律のプレリュード》、《妖精のプレリュード》。2枚とも効果は同じで、次に召喚する無色クリーチャーのコストを5下げる。合計で10下がるね。よって、0マナでさっきのレディオ・ローゼスを0マナで召喚するよぉ」

「ゼロ文明は文明用のマナを払わなくていいから、0マナまで軽減されたんですね…!」

「その通りだよぉ。効果でこっちは5枚ドローして、御白ちゃんは手札を5枚捨てるよ」

「ドランさん!」

「セラフやナルコで手札稼いできたのに可哀想だなぁ。諦めたら?」

「諦めません!このデッキにはドローカードがたくさん入っています!まだ0%になったわけでもないのに、勝負から逃げるわけが無いじゃないですか!」

「ふーん…。じゃあ0%になったら?」

「小数点以下に賭けます!それがデュエマの楽しさですよ!」

「へぇえ。前に話した時も思ったけど、御白ちゃんって面白いなぁ」

 

そう言って手で顔を隠して笑う素振りを見せる風音だが、一切声と顔は笑っておらず、冷たく、小さく、言葉を漏らした。

「本当の0%を見たことないから言えるんだよ」

 

「私のターン!ドロー!来ました!ナルコをバトルゾーンに!5枚見て1枚を、《千羽忍革 ボジソワカ》を手札に加えて、クリーチャーが場に出たのでセラフの効果で1枚ドロー!」

「本当にトップ解決しちゃった。凄いなぁ」

「セラフでシールドに攻撃!その時革命チェンジ!《千羽忍革 ボジソワカ》をバトルゾーンに!」

 

カオスマントラが作った千羽鶴からできたような折り紙の集合体のクリーチャーが、風音の方に向かっていく。

「セラフさんの離れた時のドローを誘発して、ボジソワカでWブレイクです!」

 

風音 シールド2

「うん、まぁ。いいんじゃない?シールドトリガー、《天運ゼニスクラッチ》。山札をシャッフルして、ゼニスが山札の上ならバトルゾーンに召喚するよ」

風音は無気力にデッキをシャッフルし、デッキの上を開く。

「来たのは《「戦慄」の頂 ベートーベン》。召喚時能力で、墓地からピクシーライフ、プレリュード2枚を手札に加えて、3枚マナ加速。おまけに出た時にこのクリーチャーをタップして、可能ならこのクリーチャーを攻撃しないといけないよぉ。じゃあこれで御白ちゃんは…」

 

しかし御白も負けじと、全力でカードの効果をぶつける。

「私のターン終了時、ボジソワカの効果で手札と墓地から1枚ずつ、

《バトファール-P4(ポリスフォー)》、《ドラン・ゴルギーニ》をバトルゾーンに出します!パトファールの効果でドランさんを次の私のターンまで離れなくして、ドランさんの効果でレディオローゼスとベートーベンは次のターンにアンタップしません!」

「へぇ?時間稼ぎ?」

「ただの時間稼ぎじゃありませんよ!次のターン、手札にあるブラジェスコの効果でベートーベンのパワーを下げれば、ボジソワカやドランさんでベートーベンを超えられます!その後はWブレイカーやまだ攻撃できるクリーチャーが控えてるんですから!」

 

「そっかぁ。やっぱり持ってる側なんだねぇ」

「持ってる側とか勝ち組とか言うのやめてください、私はそんなつもりはありませんよ!」

「つもりがなくてもそうなるんだよぉ。クリーチャーに認められて契約した人間たち、才縁高校で数々の才能を花開かせる人間たち。それらは総じて私よりも恵まれてる幸せ者だよぉ」

「そんなの、勝手に僻(ひが)んでるだけじゃないですか!」

「でも人間は僻むものじゃない?モノのあるなしから不公平を感じて、それで奪い合いを始めるんだよぉ。だったら最初っからそんなものなんてない世界の方がいいじゃん」

 

御白は、その言葉に強く反論する。

「貴方はその奪い合う人間と同じです。分配すると言って自分の都合のいいように振りなおしているだけじゃないですか!貴方のそれが自分勝手に振る舞う貴方を馬鹿にした人と変わらないんじゃないですか!?」

風音はその言葉にデュエマをプレイする手を一瞬止めた。

「そっか、そう見えるんだ」

 

「私のターン、戦慄のプレリュードを唱えて、6マナで《黄金龍(ゴールデン・ドラゴン)鬼丸「王牙(オーガ)」》を召喚、召喚時にこのクリーチャーのパワー未満、13000より小さいクリーチャーを全て破壊する!」

「ナイクーナのウルトラセイバーでボジソワカを生き残らせます!」

「皆私を姉と比べて、蔑んできた。私はずっとゴミだった。出来損ないだった!須谷遥風の劣化コピーだった!!そんな人間二度と作っちゃいけない!だから私は理想郷を作る!誰も差異なんてない、誰も衝突することのない楽園を!」

 

風音はプロフェシーを呼び出し、そのクリーチャーの出す強いオーラが御白に全身を震えさせる。

「王牙でシールドに攻撃!その時、革命チェンジ!《「心」の頂天 プロフェシー》をバトルゾーンに!その時の登場時効果で、お互いの無色でないコスト7以下のエレメント全てを破壊する!全部、壊れろぉ!」

「ドランさんはパトファールの効果で守られています!けれども、ボジソワカが破壊されます…!」

「Q(クアトロ)ブレイク!!」

 

御白 シールド1

「ぐううぅぅぅっっ!きゃあぁ!!」

「御白さん!」

 

御白は大きく後ろに吹っ飛び、身体を地面に打ってしまう。ドランは彼女に駆け寄るが、幸い大きな怪我では無いようだ。

「ハァ、ハァ…シールドトリガーなし、です…!」

「そっか。才能奪われる前の遺言はなぁに?」

「私は、まだ負けていません…!」

「そっかぁ。早く負けを認めて、絶望した方が早いのになぁ」

 

[そうだ、絶望しろ]

 

「今の声、なんですか…?」

「何?変な声でも聞こえた?いるんだよねぇ、必死で時間稼ごうとしてる人。そんなことしたって何も変わらないのに」

 

[そうだ、何も変わらない]

 

「…だから、私が代わりにやってあげるの。酷い目にあって、黒い気持ちに染まらないように。だから、諦めて」

 

[そうだ、諦めて…]

 

 

 

[私(わたし)の忠実なる使徒となれ!!]

 

突然プロフェシーが一気にひび割れ、中から緑の壺が、そして更にその中から、黒く、機械仕掛けの身体をギィギィと不快な音を鳴らしながら、化け物としか称しようのない、異形のクリーチャーが現れる。

「これがプロフェシーの真の姿…。いや、プロフェシーに擬態していたんだねぇ。…私と同じだぁ」

 

[私の力を使え]

 

「うん、そうするよ。『この世の不公平全部、私が消してやる』」

 

そう言うと風音から無数の機械の腕が伸びて、近くにまだあった才能のオーブを取り込んでいく。

「凄い、前より沢山、沢山手に入れられる!凄い!!」

 

ただならぬ雰囲気を感じた御白は必死に逃げようとする。そこに風音が、

「良いよぉ、デュエマは中断で。でも、貴方の才能、貴方の黒い気持ち。今すぐに欲しいなぁ!」

 

そう言って御白に飛んできた黒い機械の手をドランが受け止めようとする。しかしその機械の手の力はとても強く、ドラン一人では押し負けてしまう。

「グアッ…!契約したとはいえこんなパワーがあり得るのですか!?」

「ドランさん!」

近くに回収されていないオーブを見つけたドランはそれを掴み取り、御白に投げる。

「御白さん!早く逃げてください!!このオーブを持って!」

「でも…!」

 

そうドランが言った直後、御白に機械の腕が飛んでくるかと思われたその時…

「御白!!」

「なんだあやつは!先程従えていたクリーチャーが変化した…?いや、本当の力を余にすらも隠していたのか…!」

 

覇ロードのバイクの駆動音と、シスとジャブラッドと共に、夕哉が工場へと突っ込んできた。

「御白、ドランを戻して早く乗って!」

「余のバイクをそう何人乗りにも使うな!」

「ジャシンのことは良いから!早く!」

「は、はい!」

 

「な、この腕、私の無限の闇でも消し去れないだと!?」

「ジャブラァァァアアア!!」

「ありがとうジャブラッド、シス!2人ともカードに戻って!ジャシン、早く!」

「ドランさん、大丈夫ですか…!」

「余はお前の専属ドライバーではないわ!夕哉よ、振り落とされて余の存在に支障をきたすなよ!」

 

逃げ出した夕哉と御白たちを見て、そのクリーチャーは機械の腕をしまい、風音に問いかける。

 

[これからどうする]

 

「決まってる、世界の全部を平等にするの」

 

[そうか、それは、最上の楽しみになりそうだ]

 

 




御白と!夕哉の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「千羽忍革 ボジソワカ!」」
「コスト5以上のメカから革命チェンジできる強力な切り札です!」
「うん、ターン終了時手札と墓地からコスト4以下のクリーチャーを呼び出すことができて、その上そのクリーチャー達にブロッカーを与えることができるんだ」
「革命チェンジを通すのは少し大変ですが、1体が3体に分身するのはやはりとんでもないパワーですね!」
「というわけで次回、『クラヤミを払うまで』」
「次回から龍皇神爆照編です、よろしくお願いします!」
「「お楽しみに!」」
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