デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション) 作:シグレサメ
火奈、御白、飛水の3人は、カクメイジンから火文明の大地を臨んでいた。
「ライダー、あれが、火文明?」
「…そのようだな」
「人間が耐えれるような暑さであるのは唯一の救いだが、にしてもだよな」
火文明はまるで燻った火のように風前の灯火となっていた。クリーチャー達の気配はせず、人が住んでいる気配がしない。まずやり取りされるようなモノがあるのかも甚だ疑問である状態であった。
「とりあえず火文明についたら安全な場所に辿り着くまではドランさんに乗って移動しましょう、ライダーさんは道案内をお願いします」
「カクメイジンは岸で待機してもらう。変に大人数で動くのもだしな」
レイクポーチャーが岸につき、火奈達は神殿の場所に向かう。ライダーがボルシャックレイダーを呼び出してそれに跨り、その後ろからドランがついていくという形になった。
「なんていうか、不毛の大地って感じですね…」
「そんなことは、なかったのだがな。クリーチャーがいなくなれば、そこにあるものは町ではなく、ただの空の箱だろうな」
「ライダー…」
「神殿に行く前に、行きたいところがある」
突然ボルシャックライダーが止まり、左の方に進むよう皆を促す。それに従ってドラン達が着いていくと、ボロボロになった西洋の城のようなものが、火奈達の目の中に入ってくる。
「あそこが《龍の闘技場 マグマンシャック》。俺が訓練をしていた場所だ。そしてあの城が…」
「カイザー様…?」
「カイザー様ッピ!」
「カイザー様が来たッピ!」
突然多数のファイアーバードに取り囲まれ、ライダーはくすぐったそうにそれらに対応する。火文明の不毛の大地と言えど、まだ完全に火が消えたわけでは無かったようだ。
「紹介しよう、《ピッピ・修(メンテ)・ピヨッコ》、《パロッタ・夜(ナイト)・ミエッピ》、《チック・医(メディック)・スルッチ》だ。昔から俺を助けてくれたファイアーバード達だ。無事だったんだな…」
「カイザー様こそ、よくご無事でしたッピ!」
「この世界から抜け出したんじゃないのかッピ?」
「ここにはあるものを取りに来たんだ。火文明と人間界を救うために必要な…」
「もしかして太陽の神殿に行くッピ!?」
「危ないッピ!カイザー様に何かあったら!」
「何かはもう起こっているだろう。火文明の建て直しのためには、俺は太陽の力を得なければならない。状況が変わっていて前の地図では頼りにならない。ミエッピ、力を貸してくれ」
「でも…」
「お願いします!ライダーとあたしに力を貸してください!」
いつの間にかドランから降りていた火奈が、深々としたお辞儀でファイアーバード達に頭を下げる。
「ニ、ニンゲンッピー!?」
「どうしてニンゲンがここにいるッピ!?」
「あたし、ライダーいや、カイザーの相棒なの!カイザーの覚悟は本当だよ、今度は絶対、全員を助けるって思ってる!だから、お願いします!カイザーに力を貸してください!」
代表として火文明の偵察の仕事を請け負っていたミエッピが、火奈に話しかける。
「正直カイザー様をさっき見た時驚いたんだッピ。優しいカイザー様だったけど、正直人を助ける、立ちはだかるものと戦う力は弱い当主だって皆に言われていたッピ」
「そうなの?あたしにはそうは…」
「初めて会った時はかなり虚勢を張っていた。また、頼りにならないと思われてあのようなことになるのが怖かったのだ」
「カイザー様が頼りにならないっていうことじゃないッピ!ただ、毎日皆が狂っていって、少しずつその知らせに心の限界を迎えていったカイザー様を見るのが、皆たまらなく辛かったんだッピ」
「でも、今日来たカイザー様は凄いカッコよかったッピ!勇気に溢れているッピ!これなら、神殿を守っている彼らにも説得できるッピ!」
「火奈と沢山のデュエマをしてきたお陰だ。真沢との戦い、Prayers、シノビ騒動、Uta-Awase-Fes。そこでずっと火奈と戦い、こんな俺でも少しずつ自信をつけることができた。ありがとう、火奈」
「もう、もうすぐお別れみたいなこと言わないでよ。でもミエッピ、それって…」
「任せろッピ!2人ならきっと太陽の試練を突破できるッピ!」
「やったぁ!ありがとう!」
「感謝する、ミエッピ」
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火奈はここからはミエッピやライダーの話をもっと近くで聞きたいとライダーと一緒にレイダーに乗ると言い、そのまま神殿に向けて歩を進めていく。
「五龍神ってご存知ッピか?」
「五龍神?知ってる、御白ちゃん?」
「アークゼオス、クリスド、モルナルク、ヴォルジャアク、バラフィオルの5体の原初のドラゴンと言われているクリーチャーですね」
「あぁ!ボルシャック・バラフィオル!ボルシャック・アークゼオス!あの子達か!」
「知ってるみたいッピね、火文明の英雄として五龍神の名前を借りている彼らが、今は太陽の神殿を守っているんだッピ」
「だからこそ、五龍神ボルシャックが守ってくれているんですね」
「あぁ、彼らは戦いに出れば八面六臂の活躍をする、まさに英雄だった。いまはそこに、全員無事でいるのだな…」
「世の中が荒れるとそれらの貴重なものはやはり壊されたり、盗まれたり…。嫌な想像はいくらでもできるッピ」
「ボルシャックライダー、慕われていたんだな…」
「飛水よ、そう受け取っておこう」
「でもそれって、ライダーが来たらすぐに渡してくれるんじゃない?」
「そうだと、いいッピね」
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太陽の神殿は荘厳な出立ちで、崩壊なんて何も起きなかったかのようにそこに建っている。
「でかいな…ここをこんな綺麗に守る五龍神ボルシャックは、途轍もなく強いんだろうな」
飛水が思わず漏らした言葉に、火奈は決意を固め直す。
「何があっても、あたし達はライダーさんの新しい力を目覚めさせないと!」
突然ドシンと、火奈達の後ろに2足の鎧を見に纏ったドラゴンが現れる。その身は赤と黄に染められており、大きな角が彼の存在感をさらに強固なものにしていた。
「私はボルシャック・ヴォルジャアク、お前は何者だ、ニンゲンなら今すぐに元の世界に帰れ」
凄まじい威圧感に火奈は気圧されそうになるが必死に耐えて宣言する。
「あたしは赤坂火奈!ボルシャックライダー、いやカイザーと一緒に太陽の力を取りに来ました!あなたが試練を受けさせるっていうクリーチャーですか?
「カイザー?今更何をしに来た。ニンゲンの世界に逃げ出し、挙句ニンゲンの裏に隠れるとはな」
「俺は火奈の裏に隠れるつもりはない。2人で並び立って戦う。そのつもりだ」
「並びたつだと?太陽の力を得たのは代々1人のみ。お前はその歴史にも仇なすつもりか?」
「…俺は、火奈と2人でこの力の使い方を考える。その為に火奈と一緒に戦わせてくれ」
ヴォルジャアクは呆れ、諦めたかのように首を傾げると、
「そうか、なら来い。お前に渡せる力など一つたりともない事を証明して見せよう」
と言って神殿の奥へと向かっていく。
「オッケーが出たってことで良いんだよね?」
「あぁ、行くぞ」
「試練、よろしくお願いします!」
そう言って火奈とライダーも神殿の奥へと消えていった。
「あとは、待つしかねぇのかな」
「そうですね…。ゆっくり待ちましょう」
そう言って御白がドランをカードに戻そうとした時、今度は神殿から4体のドラゴンが現れる。
「ヴォルジャアクから頼まれた。儂等に鍛えてほしいと言ったものはそいつか?」
「え、どういうことだ、俺たちも試練受けるのか!?」
荘厳な中、何処か小さいもの、弱いものへの優しさを感じる壮年のドラゴンと、火奈が何度も使ってきた空をどこまでも駆け抜けるドラゴンが、飛水の前に立つ。
「俺はボルシャック・モルナルク、そしてこいつはボルシャック・アークゼオス。水の力を使うもの、俺達と戦うことが経験値にならないか?」
「…なるほど、よろしくお願いします。本気で、行きますよ」
「俺は強いぞ、覚悟しておけよ」
もう一つ、髭を蓄えた老齢のドラゴンと、五龍神の中で一際武装した、頭から燃える炎が特徴的なドラゴンが御白の前に立つ。
「儂はボルシャック・バラフィオル。こやつはボルシャック・クリスドだ。お主、ドラン・ゴルギーニとその契約者じゃな?」
「はい!ドランさんと、一緒に戦わせてもらってます!」
「そうか、なら良いところに連れていってやろう」
「…よろしくお願いします!」
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神殿の奥に案内された火奈達は、そこで黄金に仄かに輝く太陽の冠を見つける。
「綺麗…」
「これを手にすることで資格ある者が太陽の力を手に入れることができる」
「だが、これを得るには試練が必要なのだろう?」
「あぁ、この太陽の力は大きい分、民を照らす恵みの太陽にも、民を滅ぼす災いの太陽にもなれるだろう」
ヴォルジャアクは火奈達の方に向き合い、デッキを構える。
「赤坂火奈。ボルシャックカイザー。お前達の試練は私にデュエマで勝つことだ」
「え、デュエマ?もう少し難しいものだと思ってた…」
「そうか、難しくないというか。しかし私に興味本位で試練で挑んできた全てのクリーチャーを私は捻り潰してきた。お前に私を突破できるのか?」
「ヴォルジャアクの強さは本物だ。行けるか、火奈」
「うん!ここで負けたら、士穂先輩に笑われちゃう!」
「「デュエマ、スタート!」」
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「あたしのターン!呪文、《バーニング・フィンガー》!1枚捨てて2枚引くよ!」
「私のターン、呪文、《勇愛の天秤》、1枚捨てて、2枚引く」
火奈とヴォルジャアクのデッキは火と光文明を使った7マナのドラゴンを主軸にしたまるで鏡合わせのようなデッキ。序盤はお互いに手札を整えて、それぞれの戦法への準備へと入っていく。
「あたしのターン!呪文、《ダブルアックス・チャージャー》!手札を2枚戻して2枚引く!」
「私のターン、呪文、《決闘者(デュエリスト)・チャージャー》。山札の上から3枚を確認して、《ボルシャック・ヴォルジャアク》を手札に加え、残りを山札の下に送る」
ヴォルジャアクが火奈に声をかける。
「聞いていなかったな、お前はなぜ太陽の力を手に入れたい?」
「COMPLEXや、士穂先輩に勝たなきゃいけないから!それを止める為にあたしは強くならなきゃいけないの!」
「民を守る為に太陽の力が必要だ。今からでも、俺は彼らを守る英雄にならなければならない」
「そうか…。その程度の心では、太陽に焼き尽くされるだろうな。それどころか、私に勝つことも不可能だな」
「太陽というものはそこにあるだけで世界の生態系を変化させ、多数の生命に影響を与え続ける。赤坂火奈!その利己的な理由では、太陽を得る資格はない!」
「でも、あたし達にはそれが必要で…!」
「太陽を得るというのはそういうことだ。お前は、カイザーはそれを手に入れたら神に近しい存在になる。遍く人々に視線を向ける、神にな」
「そんな……ライダー!」
「すまない火奈、わざと、言わなかったのだ。そうすると、火奈は反対するだろう?」
「…ライダー、そんな覚悟で…」
「さぁデュエマを続けよう、火奈、ヴォルジャアク。俺はここで止まるわけにはいかない」
「…あたしの、ターン!行くよ、合計5マナで《クック・撃・ブルッチ》+《覇炎龍 ボルシャック・ライダー》!!シールドに攻撃する時にアーマードメクレイド5を2回発動!《アシステスト・インコッピ》!《飛ぶ革命 ヴァル・ボルシャック》!インコッピはアーマードが場にいるなら出た時に1枚ドロー!ヴァル・ボルシャックでライダーをアンタップ!」
ヴォルジャアク シールド3
「シールドトリガーなしだ」
「ライダーでシールドを攻撃!もう一回アーマードメクレイド5を2回発動!《ボルシャック・アークゼオス》!《飛ぶ革命 ヴァル・ボルシャック》!アークゼオスの登場時能力で再度メクレイドしてインコッピの2体目を出して、ヴァル・ボルシャックでライダーをもう一度アンタップ!いっけー!」
ライダーが全力でぶつかったシールドを、ヴォルジャアクはニヤリと笑って掴み取る。
「欲しいパーツは揃った。あとはこれで終わりだ」
「嘘、まさかあたしに攻撃させて手札補充を!?」
ヴォルジャアク シールド1
「その通りだ。シールドトリガー、《ドラゴンズ・サイン》!コスト7以下の光のドラゴンを1体バトルゾーンに呼び出す!《ボルシャック・ヴォルジャアク》をバトルゾーンに!私はクリーチャーが出た時にシールドを1枚追加することができる。さらにシールドトリガー、《極閃呪文「バリスパーク」》!シールドを追加し、相手クリーチャー全てをタップする!」
ヴォルジャアク シールド3
「バリ、スパーク…!」
『嫌なら止めてみなよ、火奈、貴方の言ってることも私の言ってることも、突き詰めればそれでしか証明できないよ』
「そうだ、ここで負けたら、先輩に…!」
「火奈!!」
火奈は士穂とのデュエマがフラッシュバックしてしまう。何もできなかった時のこと。手も足も出なかった時のこと。
「火奈!相手はヴォルジャアクだ!落ち着け!お前が今戦っているのは朱野ではない!」
「何か辛いことでもあったのか?人間側のメンタルがブレると契約クリーチャーにも悪影響というらしいな。なら好都合だ、カイザーはともかく、赤坂火奈は完全に足手纏いだ、ここでリタイアするか?」
「や、だ…!あたしは、まだ…!」
「ヴォルジャアク、ターンエンドだ。俺たちにこのターンできることはない」
「分かっているぞ、カイザーよ。私のターンだ」
「あの必殺技か…!来るぞ、火奈!」
「赤坂火奈よ、強くなりたいのは自分が強くなって、先輩か何かに勝ちたいからか?笑わせるな、利己主義で私に渡り合えると思うな、これで完全に希望を砕いてやる」
ヴォルジャアクの背後に太陽の円環のようなものが現れ、火奈達を眩しく、熱く照らしてくる。
「終極宣言(ファイナル・エンド)!!!ゲーム中に1度しか使えない制約はあるが、私のシールドを全てブレイクして、次の私のターン開始時まで、私はゲームに敗北しなくなる!」
「敗北、しなくなる…!?」
絶望を突きつける全てを燃やすような光に、火奈は立ち尽くすことしかできなかった。
火奈と!御白の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「《ドラゴンズ・サイン》!」」
「コスト7以下の光のドラゴンをブロッカーをつけた状態で場に出す強力な呪文ですね!」
「うん、ボルシャック・ヴォルジャアクはこの呪文と相性抜群みたい。シールドを追加する以外にも…」
「終極宣言、一体なんなんでしょう…」
「というわけで次回、『竜は神になれるのか・後』」
「「お楽しみに!」」