デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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火奈はボルシャック・ヴォルジャアクと太陽の試練を行い、ボルシャック・カイザーはCOMPLEXに立ち向かうための力を手に入れる。その頃御白は、ボルシャック・バラフィオルに連れられて神殿の奥に連れられてきた。


富轟王、ここに蘇る

 

バラフィオルとクリスドについて行った御白は、神殿の外の大きな石碑のある広場まで辿り着いた。その石碑以外はまるで何もなくなっているその広場は、そこで何が起きたのかを伺わせることに十分であり、その石碑を守るためにどれだけの尽力があったのかも想像させるものであった。

 

「すまんな、クリスドは無口なんじゃ。じゃから儂が代わりに説明しよう。ここは歴史を紡いできたボルシャック達の慰霊碑じゃ」

「ボルシャックの慰霊碑…火奈ちゃんとライダーじゃなくて、私にですか?」

「そうじゃな。今から太陽の力を手に入れるのに、その太陽の力に耐え切れなかったクリーチャー達の話をしてもじゃろ?」

 

御白はその言葉に大きく動揺する。それじゃライダーは失敗して最悪、死んでしまうのではないだろうか。サポートに入っている火奈も無事ではすまない可能性がある。

「そんな…なんで言わなかったんですか!?」

「言ったところであの2人を止めることにはならんだろう。そして何より。ドラン・ゴルギーニよ。石碑の一番上に、『火文明では読めない言葉』が書いてあるじゃろう?」

 

バラフィオルの言った通り、ドランは石碑を見る。

「『太陽の力を一緒に支え、そこに立った富轟王(ふごうおう)』。この先は読めません。光文明の古い言葉が、なんでここに書いてあるのですか?」

「うむ、光文明。それもゴルギーニ・タウンを作った頃の言葉で、ある英雄を讃えているのだ」

「この先の文章…もしかして…。カオスマントラさん!お願いします!」

 

御白はデッキケースからカオスマントラを呼び出す。

「コンニチハ。夕花のことデスカ?」

「そうじゃないんですけど、読んで欲しいものがあるんです」

「コレは…。昔からシノビの間で伝わる暗号文デスネ。後半の文章は、よほど限られたクリーチャーにしか読んでほしく無かったのデショウ」

 

カオスマントラが暗号を読み取り、一つ一つ丁寧に音読していく。

「『富轟王の力は未だ衰えず。その力はまだ眠り、目覚める時を待っている』だソウデス」

「じゃあ、バラフィオルさんが連れてきたのって…」

「儂は長生きじゃからな。祖父の頃の言い伝えをこの代で伝えることができて満足じゃ。その力の得る方法は、その文章のところにそれぞれの文章を読めるクリーチャーが力を注ぐこと。つまり、メカとシノビのクリーチャーのパワーが必要というわけじゃな」

 

そう言われたドランとカオスマントラは、それぞれで力を注ぐ。

「ハァ…ハァ…なかなか反応がありません…」

「ワタシ達の力では足りないのでショウカ…」

2人の様子を見ていた御白が声をかける。

「もしかしたら…ピッタリ同時にやらなきゃいけないんじゃないですか?もしもの誤作動で目覚めることがないように、多少時間差だと動かないように…。私がタイミングをとります!2人はそれに合わせて!」

「分かりました!」「ワカリマシタ」

「せーの!」

 

そのように2体のクリーチャーが力を与えると、石碑が横にズズズとずれて、中に何か巨大な機械が埋まっていることに気づく。

「この車体は…エン・ゲルス様!?」

ドランがそのエン・ゲルスという機体に駆け出す。

「ドランさん!?」

「これは、この方は…。私達のゴルギーニ・タウンを作ってくれた、偉大なるゴルギーニ・エン・ゲルス様そのものです!」

 

そう言ってドランがエン・ゲルスに手を添えると、光の力がドランに流れ込んでくる。ドランに力が注ぎ込まれ、後ろに天使のヘイロゥ(輪っか)の形をしたタイヤを背負い、ドランは生まれ変わる。

「コレは…身体が軽い!自由に動ける!前よりも早く、そして小回りが効いてくれる!自分の身体じゃないみたいだ!」

「それは…今のメカ・デル・ディネロには見れないヘイロゥの存在は…!成程、エン・ゲルスからの贈り物というわけか…。メカ・エンジェル・コマンド、《ドラン・ゴル・ゲルス》と名乗って良いほどのものじゃ!」

「ドラン・ゴル・ゲルス……!」

 

「御白さん!御白さんとカオスマントラも触ってみてください!何か聴こえてきます!」

そう言われた2人も機体に体を触れると、仄かに、しかしはっきりと頭に荘厳な男性の声が流れ込んでくる。

『私が目覚めたということは、何か外でよからぬことが起きているのですね…。私が力を貸すのに足りる者か、子孫と共に証明してみなさい。その力の如何では、私が直接貴方の力になるでしょう』

「子孫…じゃあこれはエン・ゲルスさんの声ですか!?」

「信じられマセン…コレだけ永い時を経ても、自分を目覚めさせる機構を備えているトハ」

 

「…とりあえず、力を証明といえばデュエマですね!」

「ほぉ、なら儂の出番か?」

「バラフィオルさん!?いいんですか急に…!」

「言い伝えから考えると力を貸すための試験になるだろうと思ってな。儂がきて正解だったようじゃな」

「それじゃあ、お願いします!」

「うむ、やるとしよう!」

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

バラフィオル シールド5 マナ3

《アシスター・コッピ》

御白 シールド5 マナ2

《星姫機(プリマシーン) エルナドンナ》

 

バラフィオルと御白のデュエマは、バラフィオルが先行となり、お互いに初動となるクリーチャーを出し合う展開から始まる。

 

「アシスターコッピで軽減をかけて、《ボルシャック・バラフィオル》を召喚じゃ」

「バラフィオル…4体揃ったら動き出しますけど、私のデッキに軽量除去はそんなに入ってないんですよね…」

「その通り、タマシード状態である間に対処できるか。お手並み拝見といこうではないか」

「私のターン!《アシステスト・アルデッド》を3マナで召喚!出た時自分の場に他のメカがいるので1ドロー!」

「成程、アルデッドのウルトラセイバー、エルナドンナのシールド1枚を犠牲にすることで他のクリーチャーに与える耐性。コレらを使って場を自軍で埋め尽くすのがお主のデッキか」

「そうです!そしてエルナドンナで攻撃する時!」

 

後ろからスピードスケートの容量で2足でタイヤを走らせる御白の新たな相棒が、エルナドンナの隣に現れる。

「ドランさん!《ドラン・ゴル・ゲルス》に革命!」

「チェンジ!」

 

「エルナドンナが手札に戻るがいいのか?」

「大丈夫です!ドランさんの登場時効果!シールドを1枚ブレイクして、その後コスト3以下のメカを手札から出します、エルナドンナをバトルゾーンに出し直します!そのままシールドブレイクです!」

(すごい!これなら私がやりたかったあの戦い方も…!)

 

御白 シールド4

バラフィオル シールド4

「シールドトリガーなし。面白い戦法じゃの」

「前に風音さんと戦った時、私はほぼ負けていました。だからこそ、絶対に負けないデッキを作ろうって!ドランさんを100、いや120%活かそうって、今は思っています!」

「そう言ってくれる御白さんに応えるのが、今の私のやることですね!」

ドランも首を縦に振る。バラフィオルは感心したように

「成程、エン・ゲルスの好きそうな人間達じゃ。儂のターン!ボルシャック・バラフィオルの2体目を召喚!ターンエンドじゃ」

「あー…速度のなさを利用されてますね」

「さぁ、どうするのじゃ?」

 

「勿論!できることをやるだけ!なんて、夕哉くんみたいなこと言ってみましたけど、今はそれしかないですから!私のターン!」

御白がカードを引き抜くと、デッキに入れた覚えのない真っ暗なカードが現れる。

「これって…ドランさんに初めて会った時の…」

『面白い…私の力を使ってみなさい。使いこなすには少しクセがありますが、貴方を助けてくれることでしょう』

「分かりました!エン・ゲルスさん!アルデッドはメカの使用コストを永続で1軽減します!まずは《ブラジェスコ-W1》を1マナで召喚!アシスターコッピのパワーを下げて破壊!さらに《警鐘の聖沌 n4rc0(ナルコ)》を2マナで召喚!山札の上5枚から2枚目のエルナドンナを取り寄せて、そのまま1マナで召喚します!」

「ほぉ、三重に味方に耐性を与えるクリーチャーか。真っ向からじゃ倒しきれそうにないのぉ」

「ドランさんで攻撃する時!革命!」

「チェンジ!」『チェンジといきましょう』

「《富轟王 ゴルギーニ・エン・ゲルス》!!」

 

現れた金色の体に、四足のタイヤ。信号を模った大きな刀に、ドランのものよりも一際大きいタイヤのヘイロゥ。そこにいるだけで相手を威圧するような存在感のクリーチャーが、今ここに再誕した。

「凄い、ドランさんのご先祖様が…!」

「さぁ行きましょう、まずはWブレイクです!」

 

バラフィオル シールド2

「シールドトリガー!《ボルシャック・テイル・ドラゴン》!パワー7000でバトルし、攻撃できるエルナドンナを破壊!」

「もう片方のエルナドンナでシールドを回収することで生き残らせます!そしてそのエルナドンナさんで攻撃する時更に革命チェンジ!ドラン・ゴル・ゲルスです!」

 

御白 シールド2

「自分のシールドをブレイクして、エルナドンナをバトルゾーンに、新しく出直したので、味方全体がシールド1枚を代償に無敵状態なのは変わりません!」

「ふむ、少し狙う相手を間違えたのぉ」

 

バラフィオル シールド1

「Gストライク!《コッコ・ルピアGS》!アルデッドの動きを止める!」

「ターンエンドです!」

「儂のターン!そんなにシールドを増やしたら手札が増えても防御が疎かではないか?ボルシャック・バラフィオルを召喚!」

「3体目ですか!?」

「バラフィオルで攻撃!その時効果発動!デッキトップをめくりコスト6以下の火のクリーチャーかタマシードなら場に出す!《ボルシャック・クリスド》!《アニー・ルピア》!コッコ・ルピアGS!アニーのシビルカウント3で全員スピードアタッカーじゃ!」

「…シールドに通します!」

 

御白 シールド0

「なんじゃそんなものか!それじゃあボルシャック・クリスドで攻撃!手札からボルシャック・テイル・ドラゴンを出してエルナドンナとバトル!さらにバラフィオルの効果でアシスター・コッピ、ボルシャック・クリスド、ボルシャック・バラフィオルをバトルゾーンに!」

「…ニンジャチェンジ!発動です!5コスト以上のドランさんを手札に戻して、手札から《聖(セント)カオスマントラ》をバトルゾーンに!出た時能力で全てのクリーチャーをタップです!」

「しかし!儂の攻撃は続いておる!せめてブロッカーは削らせてもらう!」

「ドランさんのメガ・ラスト・バースト発動!《豪龍の記憶》!シールドを1枚追加して、さらにシールドトリガーを与えます!」

 

御白の大胆なプレイにバラフィオルは驚く。

「じゃあ先ほどの攻撃を通したのは…」

「はい!さっきの2枚のシールドから来ました!賭けでしたけど、私は勝ちましたよ!」

「…面白い!」

 

エン・ゲルスが興味深そうに御白を見る中、御白はシールドチェックに入る。

「シールドトリガー!《千羽忍革 ボジソワカ》!このカードが来てくれるなんて!」

「お主のデュエマは…本当に楽しそうじゃのう」

「はい!ずっとずっと大好きな!私の宝物なんです!」

 

御白が山札に手をかけると、エン・ゲルスのカードがキラリと光る。

「…今、なんですね!」

「私の力、まずはこちらを使いなさい」

 

御白は頷き、高らかに宣言する。

「終極宣言(ファイナル・エンド)!」2つの効果のうち、1つを選択する効果を4回使います!でも今回は2つ目の効果を4回宣言します!2つ目はシールド追加+墓地回収!これを4回です!」

 

御白 シールド4

「追加したシールドに加え、墓地にあったドランさんとアルデッドを手札に加えます。ここで私のターン!ドロー!アルデッドを3マナで、もう1体のアルデッドを2マナで召喚!カオスマントラでシールドを攻撃する時、ドランさんに革命チェンジ!」

「成程、これで先程と同じ陣形を取ることができるのか…」

「今までみたいに除去耐性を併せ持って攻撃することも、夕花ちゃんのカオスマントラカウンターも両方やるんです!これが私の答えですから!」

 

その様子を見たエン・ゲルスは、前を走るドランに語りかける。

「子孫よ、面白い人間を見つけましたね」

「……はい!!」

 

バラフィオル シールド0

「トリガーなしじゃ!いいデュエルじゃったぞ!」

「ありがとうございます!ゴルギーニ・エン・ゲルスで!ダイレクトアタックです!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うむ、良いデュエマじゃった。これなら太陽の力を手に入れたあやつとも一緒に戦えるのでは無いかのぉ」

「そうですか!?ありがとうございます!」

 

そのように喜ぶ御白を見て、エン・ゲルスはドランに疑問を呈する。

「子孫よ、その闇の力とは、ジャシンのことですか?」

「ジャシン…。いや、COMPLEXという壺のクリーチャーになりますね」

「壺…。成程、数奇な。私と一緒に戦ったボルシャックは、太陽の力を持ってCOMPLEXに挑みました。私を連れて行きなさい人間よ。必ず役に立つと約束します」

「良いんですか!?」

「えぇ、ですが契約は無しです。私は過去からの忘れ形見。下手に現代のクリーチャー達と関係を持つべきではないでしょう」

「それは…少し寂しいですね」

 

御白は元の場所に戻り、飛水達と合流した。ボルシャック・ライダーはまだ少し受け取った力の重さに振り回されているように見えたが、本人が少しずつ慣れてきたと言ったため、カクメイジンに乗って帰りの道を進んでいた。

 

「なぁ。叔父さんの話と、過去の神話が存在するクリーチャー界。合わなくねぇか?」

飛水が溢した疑問にエン・ゲルスが答える。

「私達の世界が貴方達の世界と繋がる前の話ですね。と言っても殆どのクリーチャーは知覚していない、『デュエル・マスターズ』という形になる前の話になります」

「つまり、ジャシンが言ってたデュエマに関する皆の想いが集まる前の世界ってことか」

「ジャシン!?ジャシンも復活しているのですか!?」

 

狼狽えるエン・ゲルスに対し、御白が優しく対応する。

「大丈夫ですエン・ゲルスさん。ジャシンは凄く優しい男の子、夕哉くんの相棒として、今は悪さをしていないですよ」

「そうは言いますが…。子孫は納得しているのですか」

「最初はそう思いましたが、ジャシンに助けられているのです、何回も。契約者に逆らえない特殊なパターンなのもありますが、今はそれどころじゃありませんし何より…」

「もし悪さしようとしたら私達が止めます!」

「……。成程、思ったより面白い時代に目覚めたのかもしれません」

 

その頃火奈はボルシャックのカードを見つめて、決意を新たにしていた。

「あたし達。士穂先輩に、風音さんに、届くかな…」

「大丈夫だ、この力があればCOMPLEXに対応できる」

「あとさ、もう少しあたしに負担をかけても良かったんじゃない?」

「それ以上負担を火奈にかけたら、『お前が人間でなくなる』可能性が出てくる。それは俺としても避けたい」

「でもそれでライダーが辛い思いしたら…!ただの神様にならないようにって!」

「あぁ、十分だ。力を得た瞬間自我を失うことすら考えていた中で、これで済んでいるのが奇跡と言えるほどだ。あまりにも、恵まれている」

「ライダー…」

 

ライダーは火奈に顔を見せず、言葉を続ける。

「火奈には『優しい人間』でいてほしい。それはずっと思っている。朱野と会った時の取り乱したお前を見て、俺も少し心がざわついた。俺にとってもお前はかけがえのないものだと、分かってくれ」

「うん、ありがと」

(……クリーチャーと人間じゃどうしても差がある。なのにこうも寄りかかれるのは。火奈を頼りに思えるのは。……何となく答えは見えてきた。それが本当に正しいかは、実際に太陽の力を使う時次第か)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

Side:夕哉

 

火奈達が試練に行っている間、俺は緑とデュエマをしていた。

「銀河龍ゴルファンタジスタダイレクトアタック!」

「「ありがとうございました!」」

「強いなぁゆうや。ギリギリだったよ」

「うん、流石に何戦も付き合ってもらってるし、ちゃんと身につけないとね」

「勉強熱心だよねぇ」

「そりゃ、夕花や皆のことがあるし、約束もしたから」

「やくそく?」

「うん、遥風さんと」

 

そう言った時に聞いたことないアラートが鳴って、公輝さんが部屋、いわゆる部室に駆け込んできた。

「大変だ、何かがここに入ってくる!」

「ワープゲートがですか!?すぐ行きます!」

 

そう言って急いでワープゲートまで向かうと、そこにいたのは、いや、そこに倒れていたのは。

「刃金!?」

「……黒井、夕哉…!風音は、もう…!」

 

そう言って刃金は倒れ、俺たちはすぐに刃金を病院に運ぶことになった。

 




御白と!飛水の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「富轟王 ゴルギーニ・エン・ゲルス!」」
「コスト5以上のメカから革命チェンジできるコスト7の大型メカです!」
「各ターン、どちらかのシールドが離れるまで場を離れない強力な耐性を持つ、攻撃に反応するニンジャチェンジなども相性いいな」
「終極宣言で破壊&1ドロー、シールド追加&墓地回収を行うことができます!これを4回!攻めにも守りにも使える強力な切り札です!」
「というわけで次回、『神様に見放された子供』」
「「お楽しみに!」」
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