デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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それぞれの準備が終わり、決戦の火蓋が切られる。ある日の朝、須谷風音はCOMPLEXの力を使うことで才縁高校を乗っ取り、中にいる人間は皆COMPLEXの操り人形と化してしまう。それを止めるために夕哉は風音の姉である遥風を連れて学校内に突入するのだった。


革命の狼煙

 

『皆、クリーチャーの準備はできたか?』

「うん、大丈夫だよひすい」

『遥風さんは』

「ジャブラッドを同行させるよ。流石にジャシンとシスはデッキに使うから手放せないし」

『あぁ。頼む。学校の外は公輝さん達の部隊が待機してくれてる。つってもクリーチャーの力がないから校内から救出したメンバーを預かるしかできないつってたが』

「十分です、でもそれよりも…」

『あぁ、少しずつこの紫のオーラが広がってる。2七の地点にあったオーラが1八の地点まで広がってきてる。盤上全部を覆うのも時間の問題、早く風音を片付けるか…』

「あたしとカイザーが、太陽の力で打ち消すんだよね」

『あぁ、頼む火奈』

「任せて!」

「じゃあ、行くぞ…。デュエマ部、始動!」

 

「「「「おー!」」」」

 

飛水の号令で4人と遥風が才縁高校の中に飛び込んでいく。まず最初に感じたものは重苦しい雰囲気。クリーチャーが力を貸してくれなければすぐにでも意識を失いCOMPLEXの支配下に置かれかねない強力な闇のオーラに夕哉達は驚く。

 

「前に会った時よりも強力になってる……」

『多分学校中のマイナス感情を食べて成長してるんだな』

「もしこれが成長したら……」

『この街どころか、世界中がCOMPLEXの支配下になる』

 

皆が息を呑んだところに、遥風が何かに指を指す。

「何か、近づいてきてませんか?」

「俺の、性格をバカにした…」「私の、趣味を踏み躙られた…」

 

そう言って何人もの才縁高校の生徒が、夕哉達を取り囲もうと集まってくる。その中には教員の姿もあり、夕哉達は余計に狼狽える。

『急げ!包囲されたら不味い!』

「ボクがこの人たちを抑える!夕哉達は先に行って!」

「緑!!でも!!」

「いいから!」

「……アビスベル=覇=ロード!」

「ドラン・ゴルギーニ!」

「覇炎龍 ボルシャック・ライダー!」

 

そう言って夕哉と御白は校内へ、火奈は結界の生成地点であるカクメイジンの地図でいう5五の地点、天王山へと向かって行くのだった。

 

『おい緑、一人で引き受けることなかったんじゃねぇか?』

「うぅん。ゆうや達は皆大事なことしなきゃだから。そして何より、ここで一緒に戦っちゃったら一生後悔しちゃう!なんてね」

『……そうか。くれぐれも無理はするなよ』

「オッケー、絶対に勝つから待ってて」

 

そう言って緑がデッキを構えると群衆の動きがぴたりと止まる。

何事かと緑がその様子を伺うと、人混みの中から見慣れた顔が出てくる。

「かみやさん!?」

「………」

 

祈雨は意を決したように喋り始める。

「我が名は神谷祈雨。新しい世界に円滑に塗り替えるため、須谷風音の元で、神の使者として戦うと決めたのだ」

「我が名って…。神谷さん!ボクが分からないの!?緑だよ!分かってくれてるよね!?」

「……分からない。お前のようなものを知っていたとしても、それが何になる。お前のような人間一人、強大な力の前では木端に等しいのだからな」

 

そう言って祈雨は支配された人間達を差し向ける。それに動けなくなる緑を見てゴルファンタジスタが飛び出し、ゴルフクラブを一度素振りすることで人間達を遠のかせる。

「ファー。まるで昔のカミヤに戻っちまったみたいだな」

「うぅん。戻ってなんてないと思う。あの辛そうな顔、やっぱり仲間を人質に取られたんだ」

「望んでもないのにまた仮面を被んなきゃいけなくなっちまったのか…」

「ゴルファンタジスタ。この仮面、ボク達で外してあげられないかな?」

「ファー、甘いな。俺たちの目的は風音の撃破かCOMPLEXの結界の対処だ。ここで時間を使っていたら本命の夕哉達のサポートに間に合わなくなるぞ?」

 

緑はもう意が決したかのように、祈雨を見つめている。

「……お前って結構強情だよな、緑。いいぜ、俺様も乗った。あの偽りの神様、もう一度ボコボコにしてやろうぜ!」

「行くよ、ゴルファンタジスタ!!」

「デュエマか?それをやって何になる。それでその絶望は覆るのか?」

「やってみなきゃ分からないよ!!」

(もしここでデュエマに負けたら、守ってくれてるクリーチャー達の守りが切れて、ボクは才縁高校の皆と同じようになっちゃう。だから基本はリスクしかない勝負。だけど…)

 

「行くよ、かみやさん!」

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「呪文、《神化設計図(アカシア・プロジェクト)》。山札の上から3枚から《プロジェクト・ゴッド》を手札に加える。ターンエンドだ」

「《キャディ・ビートル》を召喚、ターンエンドだよ」

 

「……ボクの知ってるかみやさんは、もっと優しくて、皆に頼られる凄い人だと思う、なんでこうなっちゃってるの!?」

「お前と戦った時、人を守る難しさを知った。そして我は自分なりの方法で、人を助けようとした」

「じゃあなんで!」

「人間は好き勝手に願いを、望みを言う。それら全てを叶えることなどできやしないのに人間は好きなようにモノを言い続ける。それに絶望したのだ」

「……嘘つき。かいださんやあまみくんを守るためでしょ!なんでそんな嘘をつくの!」

 

「我のターン、《悪魔右機 フリル》を召喚、コスト3以下の相手エレメント、キャディビートルを盾に送りつける」

「キャディ!!」

「お前は全てのことに涙するのか?それは本当に疲れるものだ。終わりのない救済に、私たち叶える側はどうすればいいのだ?」

 

緑 シールド6

「ッー!かみやさん!その絶望もかみやさんの本当かもしれない!だけど!だけど!!本当にそれだけだったの!?《マーチングドラム ミドリ》を召喚!山札上2枚をみて1枚をマナ、残りを山札の上に!」

 

「私のターン。……叶える側の努力は、多大なモノを要求する割に合わず人間はすぐに次を要求する。それならもう全てを叶える世界になってしまえば、それは問題ないのだ。お前もゴルファンタジスタが、平和な自然文明がずっといれば、その世界は幸せだろう?」

「ゴルファンタジスタが、ずっといる…?」

 

緑はそう言ってその世界を考える。ゴルファンタジスタが、自然文明が、ずっと元気にいる世界。

「騙されんな緑!もしそんなものができたとして、それは自然に反していることだ、自然の摂理に反することだ、できるわけねぇだろそんなこと!」

ゴルファンタジスタが声を荒げると、祈雨が悲しそうに返す。

「理論上可能だ。COMPLEXがクリーチャーの力、才能を奪い取り、適当なクリーチャーに渡せば、その知識や記憶は受け継がれるらしい。実際そうやって風音は永い間世界を支配するつもりらしいからな」

「知識を、記憶を…ずっと引き継ぐ……」

「おい緑、緑!」

 

「4マナで呪文、プロジェクト・ゴッド。山札の上から5枚を墓地に送り、フリルにGリンクできるクリーチャーを好きな数リンクさせることができる。左に《極限究極神アク》、中央に《無法神類 G・イズモ》、右にフリルをG(ゴッド)・リンク!」

「クリーチャーが3体で1つになっただとぉ!?」

「整理しよう、アクの効果でゴッドが出るたび1ドロー1捨てを行い、攻撃時1体破壊し、Gイズモはコスト5以下の呪文を封殺し、このクリーチャーが3枚でリンクしていればリンクしているゴッドは場から離れることはなくなる、ターンエンドだ。次のターン、Gリンクによる召喚酔い無効で1ターンで決める」

 

祈雨は悲しそうにこの言葉を口にする。

「どうしようもなくなった時。人間は絶望し、何か不確かなものに縋ろうとし、それで更に深淵へとはまっていく。これが才能というもの、周りより優れた自分というものに縋った才縁高校の皆の末路だ。お前はどうする、守木緑」

 

放心する緑に、まるで隣の国に紙飛行機を届けるような、そんな不可能なことを行うかのように祈雨は問いかける。そして祈雨が顔を背けたその時、

「……ボクさ、一人だったんだ。一人でクリーチャー界に捨てられて、ゴルファンタジスタと仲良くなったけど一度引き離されて、また一人ぼっちになった。まざわさんに出会った。ひすいと会った。ゆうや達と会った。ゴルファンタジスタとも、再開できた。かみやさん達、うぅん、きうとも会えた」

「…何を、言っている」

「もし記憶とかだけ引き継いだとしても、それは絶対にゴルファンタジスタになったりしない。ボクの出会った皆は、全部星みたいに連なって、ボクの心の中で銀河になったんだ。だからその絶望は、リアルの世界でも、心の中でも、ボクが大好きな皆と、一緒に乗り越えていけると思うんだけど」

「……そんな、都合のいいことを…」

「ボクもそう思う。でも、きっと希望って、皆がきうに求めたものってそれだったんだと思う、どんなに自分が辛くても助けてくれる誰か。それを助けるのに疲れたとしたら、ボクがきうを助ける。きっと世界は、そうやって助け合うんだと思う」

 

「帰ってきて、きう。ボクが絶対に連れ戻すから」

 

緑はそう言ってデッキトップのカードを掴む。引き抜いた緑の手にあったのは、《チアスペース アカネ》。

「5マナで!チアスカーレットアカネを召喚!」

「芸がないな、そんな都合よく神は微笑まない!」

「微笑ませる!飛水が言ってたよ!『最後に女神様が微笑むのは…自分から掴みにいったやつだ!』って!チアスカーレットアカネでGイズモに攻撃、その時に革命チェンジ!《チアスペースアカネ》!まずはチアスペースの効果、デッキトップ2枚を手札とマナに振り分ける!」

「だからなんだというのだ、自爆してマナを増やすだけか!?」

「チアスカーレットアカネのメクレイド条件は、他のジャイアントをマナに戻すこと。攻撃中のチアスペースアカネをマナに戻すことで、ジャイアントメクレイド8を行うよ!」

 

そう言った緑が捲った山札の3枚目、そこにはゴルファンタジスタが、新たな装いで緑のことを待っていた。

「これ、もっと出し惜しむつもりだったんだけどな…しゃあねぇ!全力で行くぞ緑!」

「うん、《超重竜(ブラックホール・イン・ワン) ゴルファンタジスタ》をメクレイドでバトルゾーンに!」

「パワー12000、7コスト?その程度で何を…?」

「ゴルファンタジスタの第一の能力、コスト6以下のジャイアントをマナゾーンから呼び出せる。《五番龍 レイクポーチャー ParZero》をバトルゾーンに!山札上6枚から2枚を手札に加える!ターンエンド!」

 

祈雨の顔に汗が伝う。初めてボルシャックライダーを使った時の火奈を、自分を助けてくれた時の緑を、思い出していたからだ。

「結局手札を整えただけか?ならこれで終わらせる!2枚目のプロジェクト・ゴッド!《極限龍神 ヘヴィ》!アクのリンクを外し、Gイズモにヘヴィをリンクさせる!出た時効果でヘヴィを破壊して1体破壊させる!Gイズモで離れはしないがな!」

「…ミドリを破壊するよ」

「さらにミルクもGリンク!中央に《機械神類 ヨミ》、右に2体目のフリルをGリンク!」

「プレイヤーを攻撃しろ!ヨミ!攻撃時にこのクリーチャーの18コスト以下のクリーチャー、ゴルファンタジスタを破壊してシールドを全てブレイク!」

 

(あれを発動できなかったら勝ち目がない!)

「シールドで受ける!」

「勿論キャディビートルのシールドを残す」

 

緑 シールド1

「シールドトリガー!《輝跡の大地(アース・ウインド・アンド・パット)!マナゾーンから超重竜 ゴルファンタジスタをバトルゾーンに出す!さらにGストライク!《とこしえの超人(プライマル・ジャイアント)》!Gイズモの動きを止める!」

「また輝跡の大地、さらにヘヴィの動きを止めたか…まるであの時の戦いのようだ…」

「そうだね、でもその攻撃順は間違ってなかった。輝跡の大地が、ゴルファンタジスタが今なかったら勝敗は絶望的だった」

「…ターンエンドだ」

 

「ボクのターン、そして、終極宣言(ファイナル・エンド)発動!今ボクの手札は7枚、マナは5枚。ゴルファンタジスタの終極宣言は手札とマナの倍数を倍にする!」

「手札とマナを、倍に…!?」

「皆ボクのかけがえのない友達なんだ、だから皆を呼び出すためのマナを、手札を揃えられる。それがゴルファンタジスタの、首領(キャプテン)の終極宣言」

「ファー!マナが全部アンタップインだ!超ラッキーだぜ緑!」

「うん、任せてゴルファンタジスタ。…ここからだよ、きう!ボクが、きうを助けるんだ!」

「……!守木、緑……」

 

祈雨は、力無くそう言った。

 




緑と!飛水の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「《無法神類 G・イズモ》!」」
「9コストの大型ゴッドで、右と左に好きなゴッドをリンクできる強力なカード。しかもそのクリーチャーが3枚でリンクしていたらリンクしている味方のクリーチャーは場を離れなくなるよ」
「コスト5以下の呪文を止めながら、ゴッドリンクで召喚酔いを無効化して一斉攻撃。《プロジェクト・ゴッド》の出目次第では、1発で終わらせちまうカードだな」
「というわけで次回、『神様にもできないこと』」
「「お楽しみに!」」
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