デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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ジャシンと出会った少年、黒井夕哉(くろい ゆうや)たちは探索に向かったクリーチャーの世界で本来不可能なクリーチャーとの契約を行う少女、神谷祈雨(かみや きう)と遭遇する。彼女の足跡(そくせき)を求めて、青海飛水(おうみ ひすい)、赤坂火奈(あかさか ひな)、守木緑(もりき みどり)の3人は彼女がいるとする神谷神社へと向かう。飛水は回田千弥佳(かいだ ちやか)という少女に連れられ、神谷祈雨の暴走を止めるように願われるのであった。


神(ゴッド)対暴龍爵(アーマード)・前

Side:火奈

 

飛水達が神谷神社に戻る少し前…

 

神谷さんは必死で走り、あたしと緑が休んでいるコンビニへと追いついてきた。

「ハァ、ハァ、追いついた、ぞ…」

「え!?なんでかみやさんが!?」

「まさか、追いかけてきたの…?あ、走ってきて疲れたよね、買ってたポカリ飲む?」

「…飲ませていただこう」

 

あたし達は3人並んで近くの公園まで歩き、そのベンチに座る。

「その…あの光はなんだ?クリーチャー達の力を使ったのか?」

「ボクのこと?それは…分からないんだ。ボクの相棒は生きているのか、消えているのか」

「どういうことだ?」

 

緑はこう続ける。

「ボクは元々クリーチャーの世界で過ごしていたんだ。だから時の流れが違って、今は高校生と同じくらいの年齢になってる」

「時の流れが違う…それはクリーチャーと契約することで解かれるはずだろう」

「ちょっと待って!神谷さんは契約してるの!?」

「あぁ、ヘヴィデスメタルと契約した。あいつは我の相棒だ」

 

緑は捲し立てるように続ける。

「じゃあやっぱり一度消えたクリーチャーは…」

「消えたのか?だったら厳しいだろう、そんなものと契約する方法は書いていなかった」

「そっか…」

 

「ねぇ、なんでここに来てくれたの?知らないフリしても良かったのに」

「…ヘヴィデスメタルらクリーチャーの力を借りて、人々の悩みを解決する。それが我の生きる意味だ、その為にクリーチャーとの契約を更に強固にする方法を探している」

「人々の悩みを解決…強化する方法って…またクリーチャー世界で何かやるつもり…!?」

「当たり前だ!それができなければ…!」

「ダメだよ」

 

突如として緑が言葉を続ける。

「いくら必要だからって、勝手にやったら迷惑になることがある。誰かの良いことは誰かの悪いことになることがある。ボクは、それで彼を失った」

「緑…」

 

神谷さんは激昂して、感情を抑えられないまま緑の襟を掴み、問い詰める。

「じゃあ…何もするなっていうの…!?そのまま諦めろっていうの…!?そんなことできるわけない!私の居場所も!存在価値も!全部!!失うわけにはいかないの!!!」

 

神谷さんが振り上げた拳、緑は目線を変えずに神谷さんを見据える。

そんな2人を見てあたしは駆け出し、神谷さんの手を止めた。

「…待って。前と同じだよ、デュエマで勝負」

「そうか、確かにこれなら殴り合いなどせずとも…だな」

神谷さんの口調は戻っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あたし達は近くの倉庫へと移動して、準備を始める。

 

あたしのデッキは御白ちゃんと飛水が調整したもの。ボルシャック・カイザーに声をかける。

「ねぇ、相手も本気な場合はさ、普通だったらまたやろうってなるんだよ。スポーツとかだったら」

「…あぁ、そうだな」

「もし、お互いに譲れないものがあって、それがその時しか手に入らないものだったらどうなるんだろう」

「お前は大会等の決勝に行ったことがあるのか?」

「…あるよ、その時は、あたしが勝った。あの人は、すごく辛そうだった」

 

カイザーが一拍置いて喋る。

「それならわかるはずだ、一つしかないものを賭けて全力で戦うこと、その重さ、それに向き合うことを。それと同じだ」

「うん、分かった。あたしは真っ直ぐ進むよ。ぶつかったとしても、ぶつかって新しい自分に変えてやる」

(なんだ…先ほどから火奈から感じる暖かく、そして真っ直ぐな力は…)

 

「準備はできたのか?」

「うん、あたしは赤坂火奈。対戦、よろしくお願いします」

 

「「デュエマ、スタート」」

 

「安心しろ、お前の命を取ることはせん、しかしこの勝負に負ければ、お前は二度と我に関わらないと誓え、破ればクリーチャーがお前を襲う。どうだ?」

「分かった、負けないよ。あたしこういう日常生活に最悪支障が出る罰ゲーム大っ嫌いだから」

 

「2コストで呪文《勇愛の天秤》。1枚捨てて2枚ドローする」

「あたしのターン!《アシスター・コッピ》を召喚!」

 

あの試合と先後を入れ替えてそのままの試合。墓地にデスフェニックスとその眷属がいないから比較的マシかも。

 

「我のターン、3マナで《デュザメの黒像》をバトルゾーンに。山札の上から四枚を墓地に送り、その中から《暗黒破壊神デス・フェニックス》のみを手札に加える、ターンエンド」

 

「ひな!墓地にヘヴィがある!このままじゃ!」

大丈夫。…大丈夫。確かにあの時はボロボロに負けたけど、でも。

「大丈夫、全部が同じな試合なんてありえないから!今も回収したカード違ったし!」

「ひな…」

 

「大丈夫、秘策もあるから!アシスター・コッピでアーマードのコストを下げて、《ザーク・砲(カノン)・ピッチ》を2マナで召喚!コスト3以下のエレメント、デュザメの黒像を選んで破壊!ターンエンド!」

「秘策?確かに多少カードが変わったがそのままではダメだな」

 

神谷さんが大きく腕を1回回し、山札に手をかける。

「我のターン、ドロー!…上手くいかないのか…。しかし!お前のデッキは火単色!これを突破できない!4コストで《暗黒破壊神デス・フェニックス》を墓地進化Vで召喚!そのまま攻撃する時、ヘヴィをメテオバーンして、そのままG(ゴッド)リンク!パワー14000で、Tブレイクだ!!」

 

火奈 シールド2

「ぐぅ…シールドトリガーなしだよ…!」

「ターンエンド、このターンからデスフェニックスの強制攻撃誘導の絶望が始まる。ゴッド・ウォールが無いが、お前のデッキでは対処札も限られているだろう」

 

私の手札にはボルシャック・カイザーがいない。

「………ドロー!」

 

引いたのは、《ファイン・撃(シュート)・ピヨッチ/「暴龍爵は不滅なり!」》。

「終わりのようだな、それじゃあ諦めて…」

「…やだ」

「はぁ?」

「諦めたら終わりだよ、そこまでに頑張ってきた過去の自分も、これからの未来の自分も両方裏切ることになっちゃう。前のあたしは諦めちゃったけど、今度は絶対諦めない!まだ希望は繋がってる!」

 

あたしはまだ、終わってない。

「呪文!《「暴龍爵は不滅なり!」》アーマード・メクレイド5を行う!」

「前と同じか!?それなら…」

「いいや、まだ使ってない彼がいる!来て…来て…来て!来った!《ボルシャック・アークゼオス》!登場時能力で更にアーマード・メクレイド5を発動!さらにボルシャックアークゼオス!クリーチャー側、《ファイン・撃・ピヨッチ》を召喚!この子はスピードアタッカーでファイアーバード!」

「それが何に…」

「ファイアーバードがバトルゾーンに出た時、ボルシャック・アークゼオスは相手1体とバトルを始める!更にパワーは元の5000に加えて、ファイアーバードの数×3000、つまり9000アップして14000!ヘヴィデスフェニックスと相打ちになるよ!」

「デスフェニックスは眷属を犠牲に生き残る!」

「じゃあアークゼオスの2体目で、バトルをもう一発だよ!」

 

アークゼオス2体がヘヴィデスフェニックスに組み付き、倉庫をぶち破り飛んでいく。炎を纏いまるで花火のように飛び上がったアークゼオス達はは、たどり着いた上空でヘヴィデスフェニックスを突き落とし、自慢の拳で叩き潰す。その拳を掴んだヘヴィデスフェニックスは至近距離でビームを浴びせ、そのバトルは轟音を轟かせ、アークゼオス1体のみがバトルゾーンに戻ってくる。

 

「ターンエンド!」

「我のターン、《デュザメの黒像》を再びバトルゾーンに、デスフェニックスを回収して、ターンエンド」

 

神谷さんがこちらに向き直る。

「赤坂火奈!お前はなんの為に戦っている!」

「友達を助ける為だよ、そしてカイザーさんと一緒に毎日を過ごす為だよ」

「笑止、クリーチャーの力は大きなもの、もっと大きなもののために使い、人々を助けるべきだ」

「人を助けるっていうのは正直ピンと来てないかも。クリーチャーの力があったとしてもあたし一人じゃ、カイザーだけじゃ限界があるから」

「あたしはあたしが少し届かないものを助けてもらう。あと、カイザーさんは神様じゃないもの。相棒で、一緒に戦ってくれるから、あたしは前に進める」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

突如としてあたしの目の前が真っ暗になり、そこにカイザーが現れる。

 

「火奈、お前の俺との契約はこれで終わりだ」

 

「え、なんで…!?」

あたしは狼狽える。何か間違ったことしちゃったのかな…!

 

「あぁ…言葉を間違えたな。前にした契約ではお前と俺の力を受け止められないらしい」

 

「じゃあ、どうすればいいの?」

 

「再履行だ、お前の今の望みを契約すれば、俺たちは更なる高みに行ける」

 

大きく息を吸って、あたしは声を出す。自分の進む方向を迷わないように。誰かに助けてもらいながらでも、あたしはあたしのまま強くなる。

 

『あたしと!カイザーさん両方が!手を取って強くなれるように!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なんだ、突然気を失って…」

 

カイザーのカードが光り輝く。カードが赤くひび割れ、眩い光を放ち始める。

「なんだ…、こんなもの書いていなかったぞ…!?」

「行くよ、《覇炎龍 ボルシャック・ライダー》!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃飛水と千弥佳は2人で爆発の方向に向かっていた。そこにはスマホを携えた野次馬が来ているが、不思議なことにその野次馬達は動かない。

 

「おい!早く前行けよ!何が起きたんだ!?」

「わからない!でも、前に進めないの!!」

「助けて、潰れるー!」

 

「地獄絵図だな…」

「ねぇ、これって…」

「あぁ、真のデュエルのフィールドだろうな」

「ねぇ回田さん、何してるの?」

 

「天見くん」

天見(あまみ)と呼ばれた金髪の男子が、こちらの方に声をかけてくる。

 

「回田先輩は何してるの?神谷さんのサポートに行かなきゃなのに、俺も合流しなきゃいけなかったのに。嘘を教えたんですか?」

「…そうだよ、あなたは最近急ぎすぎてる」

「急ぐよ。神谷神社には余裕がない。早く成果を出して、神社を建て直す。それが神谷さんの願いだから」

 

そこに飛水が口を挟む。

「道理でそう、全体的に強引なのか」

「君は誰?何をしに来たの?回田先輩の差金?」

「そんなところだ、クリーチャーの力で来た奴の願いを叶えたところで、欲張って新しい願いを言われるのが関の山だろうなって」

「君に何がわかる!?」

「お前の話じゃない、一般論の話だ。なんでも出る打ち出の小槌があったとして、それに使うたびお返しをするようなやつはいない。お前達は今、すごく都合がいいだけの神様になってんだよ」

 

天見と飛水はお互いにお互いを見据える。お互いに一歩も引き下がらない。その緊迫が解かれるのは、もう一度倉庫から爆発音が聞こえた時だった。




夕哉と!御白の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「ボルシャック・アークゼオス!」」
「出た時にアーマード・メクレイド5がタダで行える、5コストのアーマード・ドラゴン!」
「バトルゾーンにファイアーバードが出た時、相手1体とバトルする効果を持ちますね、パワー10000くらいなら簡単に倒せちゃいます!」
「アークゼオスからアークゼオスが出るから、連鎖的に大展開もできる可能性があるトンデモカードだね…」
「というわけで次回、『神(ゴッド)対暴龍爵(アーマード)・後』です!」
「「お楽しみに!」」
「そういえば今回なんで私達なんでしょう?」
「他の3人全員デュエマしてるかとかで忙しいみたいで」
「あぁー…なるほどです」
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