デュエル・マスターズOverRevolution(オーバーレボリューション)   作:シグレサメ

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ジャシンと出会った少年、黒井夕哉(くろい ゆうや)たちは探索に向かったクリーチャーの世界で本来不可能なクリーチャーとの契約を行う少女、神谷祈雨(かみや きう)と遭遇する。妹の夕花(ゆうか)が不可解な怪我に侵されている夕哉は、祈雨が探しているという薬草のことを聞き、夕哉は何度もクリーチャー世界に入るようになったのだった…


ゴルフやらない?

Side:飛水

 

あの翌日、俺は光屋にめちゃくちゃ怒られた。夕哉はこの1週間、暇さえあればクリーチャー世界に入り、その薬草を探し続けていたらしい。須谷さんはともかく、俺は妹、夕花のことを知っていたのに、俺は本当に迂闊だった。

 

須谷さんはずっと夕哉のアシスタントとして動いていた。何も文句を言わずに、ずっと。生息域の情報を俺に聞いてからは入るための地図作りという建前を忘れて、生息域の崖付近をずっと探索していた。火奈と緑はこの頃気づいたらしい。

 

黒井夕花(くろい ゆうか)。真沢の実験により事故に巻き込まれ下半身付随になってしまう。元凶だった真沢こそ倒したものの、彼女の不随は治らず、夕哉はその入院代の足しのために働き続けていた。

 

「飛水くんまずいです…兎に角夕哉くんのガス抜きしないと」

「あぁ、アイツ見つけるかぶっ倒れるまで続けそうだ」

 

そんなふうにして、緑が提案した場所に須谷さんを運転手として呼ぶことで、2人を連れ出すことになんとか成功した。

 

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Side:御白

 

「というわけで!テスト終了記念!皆でゴルフしにいきましょー!」

「おー!」「うん」「あぁ」「うん、そうだね」

「夕哉くーん?」

「…うん?どうしたの?」

 

自分で自分を追い詰めすぎているのはもう何も見なくても分かります。虹村さんと戦った時、ジャシンに飲まれそうになった時を思い出します。あの時のようなことが起きたらと思うと…私は居ても立っても居られなくなりました。更にいうならそれにずっと付き添う須谷さんのことも気になって…

 

私達はゴルフ場につき、緑くんの号令で並びます。

「じゃあそれぞれ分かれてレンタルしたら、この第一コースに集合だよ!」

「私もいなければならないのでしょうか?」

と須谷さんが律儀に横に並んで答えます。

「当たり前だよ!早く着替えてきてね!」

 

緑くんはもうゴルフウェアに着替えて、道具を準備して待っています。

私は親に連れてこられたこともあったので早かったのですが…

 

「緑くんは、どうしてゴルフしようという話になったのですか?」

「昔からゴルフ好きなんだぁ、ボクのいた場所は皆やってたよ!」

「皆って…クリーチャーがゴルフをですか?」

「うん!ゴルファンタジスタが1番上手かったんだぁ」

 

よく分からない世界観です…私なんてゴルフには…

「俺もう帰りたいんだけど」

「ねぇ!確かボール打ったら全力ダッシュだよね!?任せて!」

「皆元気だなぁ…ちょっと眠いし、俺だけ待ってても良かったりする?」

 

そんなことを言う夕哉くんの手を掴んで、引っ張り出します。

「ダメです!全員参加!です!」

「…うん、分かったよ…?」

 

ゴルフコースに全員で入り、緑くんが最初の1打を打ちます。

「………えい!」

緑くんの振ったドライバーはボールの芯に当たり、真っ直ぐグインと飛んでいきます。

「緑すごーい!」

「えへへ…ゴルファンタジスタに色々教えてもらったんだー」

 

続いて火奈ちゃんは、

「はぁ!」

力任せに振ったドライバーは土を抉りながらボールを捉え、緑くんほどではありませんが飛んでいきます。

「馬鹿力…」

「飛水?なんて?」

「ひな凄い!でもフォームを変えたらもっと良くなるかも!」

 

そんなやりとりをしている中、カンと音が鳴って須谷さんのボールが飛んでいきます。

「成程、こんな風にすれば良いのですね」

「「おぉーー」」

その場は拍手で包まれました。

 

私と飛水くんはそれぞれ空振りとカスッと音がしながらボールが転がりました。緑くん達のところまで、あと何打打てばいいんでしょうね…?

 

夕哉くんは…

「あ、案外飛んだ」

火奈ちゃんほどじゃありませんがボールがコロコロと転がっていきました。

「凄いじゃないですか夕哉くん!」

「うん、ありがとう御白…御白?」

「夕哉くん…ちょっとお話ししましょう?普通じゃない状態ですよ?」

 

戻ったところには青海くんも居て、私達が戻ってくるのを待っていました。

 

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Side:緑

 

ゴルフ場に来てからというもの、ボクの頭の中には小さい頃の沢山の思い出が流れていた。自然文明の緑に包まれた景色。綺麗な川。賑やかに過ごすクリーチャー達。そして何より…

 

「よぉ緑!今日も早いな!」

「ゴルファンタジスタの方が早いよ、今朝もスタイル整えてきたんでしょ?」

「あぁ、スノーフェアリーの皆、ラウンドナンバーズの皆に良いところ見せなくちゃだからな!俺様は首領竜(キャプテン)だしな!」

「うん、キャプテン ゴルファンタジスタ!かっこいいよ!」

「だろう?やっぱかっこいいよな!キャプテン!」

 

ある日起きたあの火事。今はまざわさんのせいだって知ってるけど、あの日のゴルファンタジスタのことを思い出すと今でも心がキュッとなる。

 

「緑…お前だけでも…逃げろ…!」

「やだよゴルファンタジスタ!一緒に逃げよう!ボク達は一緒に…」

『強くなれ緑…お前が強くなれば、また…!』

 

そう言ってゴルファンタジスタは1枚の黒ずんだカードの中に封印されてしまった。まざわさんは最後まで彼を呼び出すことはなかった。呼び出せなかったのかもしれない。でも今、ゴルファンタジスタを失ったボクは、ポッカリと空いた穴が空虚に残るだけ。何度も夢で見たあの火事の光景を、今もフラッシュバックしてしまう。

 

「…緑!緑!」

「守木さん、守木さん」

 

「…あ!ごめん、ぼーっとしてた」

「やっぱり、ゴルファンタジスタのこと?」

「まぁ、そうかな」

「どうやったら呼び出せるんだろうねぇ…」

「やっぱりあの火事もだし、まざわさんにも利用されてたし…」

「そんなことないよ!絶対復活するから!」

 

ひなの前向きな考え方には元気がもらえる。けど、ボクじゃダメなんじゃないかとも、そう思っちゃうんだ。

「よーし!パターっていうんだっけ?緑、教えて!」

「うん!任せて!」

 

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Side:夕哉

 

「とりあえず夕哉くんは休んでください!」

うんうんと隣で飛水が首を縦に振る。でも…

 

「でもさ、皆なら分かってくれると思って…!」

「分かるからこそだよ、間違いなくオーバーワークだ」

「夕花ちゃんのことはある程度知ってるつもりです、だから…」

「……… 神谷さんの話を火奈達から聞いてさ、ちょっと分かると思ったんだ、全てを投げ打ってでも必要なものがある人もいるんだって」

「夕哉くん…」

「皆が止めようとしてるのを見て、俺のやってることは間違ってるんじゃないかななんて思った。何が違うんだろうって思った」

「だから考えないように蓋してたのか」

「うん…」

 

御白が俺の前に座り直し、俺の両手を取って掴む。

「それ、夕花ちゃんには話したんですか?」

「…ううん、言ってない」

「私達にも話してくれなかったですよね」

「うん」

「そこなんですよ!夕哉くん色々考えてくれるのは嬉しいんですけど、その上で人に相談しないんですよ!」

「困ったら言ってください!私が間違えた時は夕哉くんが引き戻してくれました、私達にはそれを頼れないですか?」

 

御白が掴んだ手を自分の目の前に持っていく。

「私が言うまでバイトが必要な理由は言ってくれなかったですし!ジャブラッドさんと会った時とか、クリーチャー界探索してた時とかは熱中してすぐ連絡よこさないですし!でも勉強の連絡はキッチリしてるから私はサボれないし!」

「…最後関係なくない?」

「関係ないです!でも夕哉くん約束です!なんかの壁にぶつかった!って思ったら私達4人のうちの誰かに絶対言ってください!」

「御白…」

 

御白が俺の身体を自分側に寄せる。

「もうあの時みたいに夕哉くん失いそうになるのは嫌なんです…」

 

虹村への怒りを利用されてジャシンに乗っ取られそうになった時。あの時は御白が助けてくれた。確かに、このぐちゃぐちゃした感じのまま戦ったら…今ようやくそう思った自分に嫌気が差す。

 

「ごめん御白、飛水!だいぶ周り見えてなかった!本当にごめん!」

「後で火奈と緑にも言えよ、アイツらも心配してた」

「本当ですよ…友達なんですから…グスッ、ごめんなさい、少し席を外しますね…」

 

御白の言った友達という言葉を反芻する。涙ぐんだ御白がとても印象的に写った。その後飛水が俺の隣に座って、喋ってくる。

 

「まずはすまねぇ、俺も迂闊だった」

「ううん、俺ももう少し皆の話聞くべきだった」

「…それでも気をつけるわ、本当にすまん」

「…飛水も大概頑固じゃない?」

「…そうかもな」

2人でなんかおかしくなって笑った。飛水が仕切り直して言葉を続ける。

 

「話が変わるけどさ、俺が気になるのはさ、妹さんのこともだけど、お前が妹さんの病気治して、その後どうすんのかって話」

「え?それは…」

「光屋への家庭教師も、今やってるクリーチャー界の探索の仕事も、治療費、入院費のためなんだろ?だったらそれ終わったらどうすんだよって話」

「どうすんだよって、終わってないことに対して…」

「終わってないことは、いずれ終わる可能性があることだろ、爺さんになるまで妹さんの手伝いするつもりか?」

「それは…」

「俺からはさ、もっと自分大事にしろってだけ。今のうちに趣味とか、自分が打ち込めるもの考えといた方がいいぞ」

 

飛水はそのままトイレに行ってしまった。1人になった俺は考える。

「自分を大事に…か」

夕花にも言われた覚えがある。友達は、居た方がいいってことは分かってた。でもあの日以来、どうしても作る気が起きなかった。自分だけが幸せになっちゃいけない気がしたから。御白も飛水も火奈も緑も、そういうのを抜きにして俺に接してくれる。自分の作った壁を取り払って接してくれる。

 

「本当に、恵まれてるんだなぁ…」

 

「ゆうやー!」

緑がやってきて、俺に抱きついてくる。

「ねぇねぇ!デュエマしよ!」

「え!?デュエマ!?なんで?」

 

「緑がデュエマをすればゴルファンタジスタを復活させる手がかりが見つかるかもだって」

「うん、ボクはもう一つデッキを持ってるんだけど…」

「それがゴルファンタジスタのデッキ?」

「うん、それとゴルファンタジスタと仲良しだった皆で作られてるんだ。前は見るだけで辛くなったけど、今は大丈夫。だからお願い!」

「…分かった、やろっか!」

「夕哉?眠そうだよ?あと涙も出てる」

「大丈夫、ちょっと安心したからだし…今は自分の気持ちの整理のためにやりたいかな」

「おっけー、じゃあ!」

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

「…ゴルフ場でデュエマしたら邪魔じゃない?」

「でもあそこにデュエママシーンあるよ?」

「なんで!?」

「ただいまです夕哉くん、…?あれですか?そりゃあ仲良しなゴルフ場に行くに決まってるじゃないですか」

(御白がお金持ちの娘さんなの忘れてた…)

 

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「もうあなたには頼らない、お姉ちゃん」

 

私が黒井くんにあのことを伝えた時、あの言葉がフラッシュバックしました。多分、似ていたと感じたのでしょう。

 

妹とは離縁状態。今何をしているかも知らない。なんとなしに黒井さんからいつクリーチャー界に行くと言われてもナビゲートを断れませんでした。

 

黒井さんは他の皆さんが心配して来てくれたみたいですが、私はあの時、何をするべきだったのでしょうか。

 

 




夕哉と!飛水の!今日のカード紹介!
「今日のカードは…」
「「邪龍 ジャブラッド!」」
「このタマシードが出た時と味方のアビスが攻撃する時、墓地を2枚増やすことができる俺のドラゴン!」
「墓地を4枚山札に戻せば相手の除去を無効化。さらに4体並べばクリーチャーになるとんでもないクリーチャーだな」
「ジャシンと並ぶ俺の相棒だよ!」
「というわけで次回、『戻れ思い出』」
「「お楽しみに!」」
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