「よくやったぞ、クレアァアァッ♡」
と、
クレアは無表情で…
右足を蹴り上げた!!
蹴り上げた右足のつま先が…
チュージの股間を直撃した―!!
「ギャンッ!?」
と悲鳴をあげ、股間をおさえて、前に倒れるチュージ…。
しかし、シンとケイは、クレアに股間を蹴られて悶絶しているチュージを医務室に連れて行った。
「何でオレも…!?」
と、シンは文句を言うが
「私1人で運べるわけないでしょ。」
と、ケイはシンをたしなめた―。
「ところでミッツ。」
と言うケンタ。
「何だよ?」
と答えるミッツ。
「さっきの話だよ。
ショウが髪を切っている理由だよ。」
と言うケンタ。
「あぁ、その話か。
七尾人の女はな、彼氏ができると髪を切る
んだよ。」
と、ミッツはしれっと言ったが…
「ゑっ…!?」
と、ケンタにとっては、衝撃的な理由だった。
「おいおい★
お前、
だったら、七尾人の女が髪を切る理由くらい知ってるだろ?」
と、呆然としているケンタに呆れるミッツ。
しかし、どうやらケンタは、七尾人の女性が髪を切る理由を、本当に知らなかったようだ…。
「何の話をしとるけん?」
と訊くクレアに
「いや、聞いてくれよ☆
ケンタのヤツ、ショウに惚れたんだとよ☆」
と、笑いながら言うミッツ。
「なるほどな…☆
何でケンタが試合出場に志願したのか、腑に落ちなかったが…
そういうことだったのか…☆」
と笑うヒロ。
「惚れるも何も…
ショウには彼氏がいるって、見ればわかるじゃないか…。」
と、呆れるタツヤ。
「ハァ!?
ケンタが
と、ショウまでもが話に入ってきた。
ショウは、ケンタの前に立つと
「あいにく、
と、スマートフォンを取り出し、待ち受け画面を見せた。
「・・・・・・!!」
ショウのスマートフォンの待ち受け画面に映る、彼氏とのツーショットを見たケンタは、がっくりと肩を落とした…。
◇
下校時―。
クレアは、ケイとシンと一緒に下校した。
「はぁ?
ケンタがショウに振られた?」
と言うシン。
「私とシンがいない間に、そんな話があったの?」
と言うケイ。
「まったく、呆れて、ものも言えんけん★」
と言うクレア。
「七尾人の女が髪を切る理由を知らなかったなんて…
ケンタのヤツ、いくらなんでも情弱すぎだろ?」
と、ケンタの情弱ぶりに呆れるシン。
「逆に私は、クレアに訊きたいわね☆」
と、珍しく、いたずらっぽい笑みを浮かべるケイ。
「何をじゃけん?」
と訊くクレアに
「クレアは、いつ髪を切るの?」
と言うケイ。
「大きなお世話じゃけん★」
と、そっぽむくクレア。
そして
「少なくとも
高校を卒業するまでは髪は切らない
けん。」
と言った。
「どうして?」
と訊くケイに
「こればっかりは、ケイにも秘密じゃけん★」
と言うクレア。
すると、ケイはクレアの背後に回り込むと、背後からクレアを抱きしめ
「白状しなさい☆
何で、高校を卒業するまで、髪を切らないの?」
と、クレアの右耳に息を吹きかけた。
「や…やめるけんっ★」
と、右耳をケイに息を吹きかけられて、悶えるクレア。
「わかった★
わかったから、離すけんっ★」
と、体をよじらせるクレアだったが
「ダメよ★
離したら逃げるつもりでしょ★」
と、クレアを離さないケイ。
「わかったけん★
白状するけん★」
と、体の動きを止めるクレア。
「でも、笑わんけん?」
と訊くクレア。
「何よ?
笑うような話なの?」
と言うケイに、小さく頷くクレア。
「他人の恋話を聞いて笑うほど、私は薄情じゃないわ☆」
というケイの言葉を信じたクレアは…
「私は年下が好きなんじゃけん…。」
と言った―。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「ぶっ★」
「ぶっ…?」
「あはははははっ☆」
と、クレアの話を聞いたケイは、盛大に笑った…。
「ウソつきっ!!
笑わんて言ったけんっ!!」
と、ケイの裏切り(?)に、マジギレするクレア…。
「ごめん、ごめん★
あまりにも
と、謝るケイ。
「フン★
もう、ケイは友達でも、なんでもないけん★」
と、拗ねるクレア。
「でも、年下といったら
中学生
になるのよね…。
さすがに、中学生とは付き合えないわね…★」
と言うケイ。
「しかし、ヘンな話だよな…。
オレ達だって、ほんの2ヶ月前までは中学生だったのに…
高校に入った途端に、中学生がガキっぽく見えるんだからな…★」
と言うシン。
「本当ね。
でも、それが成長ってことなのかな?」
と言うケイ。
「ま、2年生になって、髪を切れるような1年生の男の子と出会えたら、うれしいけん☆」
と言うクレア。
「でも、わからないな。
何で髪を切るんだ?」
と訊くシン。
「髪は女の命じゃけん。
その髪を切る…
すなわち
命を捧げることができるくらいに愛している
っていう、覚悟の現れじゃけん☆」
と教えるクレア。
「髪切ったあとに、別れたりしたら、どうするんだよ?」
と訊くシンに
「その時は
ウィッグをつける
けん。
でも、それは
ものすごく屈辱的なこと
だし
髪を切った女と別れるような男は最低野郎として蔑まれる
けん。」
と教えるクレア。
「そうなのか…。
ところで、思いっきり話を変えるけどよ…
今朝、訊きそびれたけど…
クレア。
お前、撫子に刺されたんだよな?」
と、話題を変えるシン。
「うん。」
と答えるクレア。
昨夜、クレアは部屋の中に現れた
『悠久の地』八戦神の一人・八乙女 撫子
の薙刀で刺された…。
「撫子に刺されたら
不思議な力を授かる
っていうウワサだけど…?」
とシンが言うが
「そんなの、迷信じゃけん★」
と一蹴するクレア…。
その後は、他愛もない話をしながら、クレア、ケイ、シンは、クレアの住むアパートの前まで来た。
「じゃ、また明日っさ☆」
と、ケイとシンと別れ、クレアは自室に戻った―。
◇
夜―。
23時に就寝…
…したが、尿意で目が覚めた。
トイレに行って…
出てきたら―
「夜分にジャマしておるぞ☆」
と、布団の上に、八乙女 撫子がいた…。
「どっから入ってきたけんっ!?」
と怒鳴るクレア。
「そう怒鳴るな★
夜中じゃぞ★」
と、クレアをたしなめる撫子。
「こんな夜中に、何の用じゃけん?」
と訊くクレア。
「昨夜、お主の力を引き出してやったのに、何も起きておらんではないか★」
と言う撫子。
「えっ?
それって…
私を刺した夢…?」
と、驚くクレア。
「残念じゃが
夢ではない。
昨夜、お主の力を引き出してやったのに、何も起きておらん…。
それが何を意味するのか、わかっておるのか?」
と言う撫子。
クレアは小さく、首を横に振る。
「つまり
お主には伸び代が無い…
すなわち
もう、これ以上強くなれない
ということじゃ。」
と言う撫子。
「それがどうしたけん?
私は
強くなることに興味は無い
けん。」
と言うクレア。
「強くならずして、これからの戦いに勝つことなどできん
ぞ?」
と言う撫子。
そして、立ち上がり、玄関に向かう。
「期待ハズレじゃった★
ジャマしたな☆」
と言って、撫子は出ていった―。
・
「はッ!?」
と、目が覚めるクレア。
起き上がるが、部屋の中は真っ暗で、誰もいない…。
(えっ?
夢…?)
と、クレアは立ち上がり、玄関から外に出た。
しかし、外には誰もおらず、周囲は夜の闇につつまれていた…。
(本当に、夢だったんさ?)
と困惑するクレア。
しかし…
クレアの頭の中に、撫子の言葉が響く―。
『お主には伸び代が無い』
『強くならずして、これからの戦いに勝つことなどできんぞ』
(強くなるための力なんていらんけん。
私が欲しいのは
勝つための力
じゃけん…!!)
と、クレアは夜空の月を見上げた―。