HG ガンダムビルド…ビビッドアーミー   作:星龜

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強さの限界


 

よくやったぞ、クレアァアァッ♡

と、待機所(ベンチ)に戻ってきたクレアを、両手を広げ、歓喜の表情で走り寄ってくるチュージに…

 

クレアは無表情で…

 

右足を蹴り上げた!!

 

蹴り上げた右足のつま先が…

 

チュージの股間を直撃した―!!

 

ギャンッ!?

と悲鳴をあげ、股間をおさえて、前に倒れるチュージ…。

 

待機所(ベンチ)に戻ってきたクレアの勝利を称える【ブルーノア】のメンバー達。

 

しかし、シンとケイは、クレアに股間を蹴られて悶絶しているチュージを医務室に連れて行った。

 

「何でオレも…!?」

と、シンは文句を言うが

 

「私1人で運べるわけないでしょ。」

と、ケイはシンをたしなめた―。

 

 

「ところでミッツ。」

と言うケンタ。

 

「何だよ?」

と答えるミッツ。

 

「さっきの話だよ。

ショウが髪を切っている理由だよ。」

と言うケンタ。

 

「あぁ、その話か。

七尾人の女はな、彼氏ができると髪を切る

んだよ。」

と、ミッツはしれっと言ったが…

 

ゑっ…!?

と、ケンタにとっては、衝撃的な理由だった。

 

「おいおい★

お前、本土(G国)人じゃなくてビビッ島民だろ?

だったら、七尾人の女が髪を切る理由くらい知ってるだろ?」

と、呆然としているケンタに呆れるミッツ。

 

しかし、どうやらケンタは、七尾人の女性が髪を切る理由を、本当に知らなかったようだ…。

 

「何の話をしとるけん?」

と訊くクレアに

 

「いや、聞いてくれよ☆

ケンタのヤツ、ショウに惚れたんだとよ☆」

と、笑いながら言うミッツ。

 

「なるほどな…☆

何でケンタが試合出場に志願したのか、腑に落ちなかったが…

そういうことだったのか…☆」

と笑うヒロ。

 

「惚れるも何も…

ショウには彼氏がいるって、見ればわかるじゃないか…。」

と、呆れるタツヤ。

 

「ハァ!?

ケンタが(ソレガシ)に惚れている…?」

と、ショウまでもが話に入ってきた。

 

ショウは、ケンタの前に立つと

「あいにく、(ソレガシ)には彼氏(ダーリン)がおるケン♡」

と、スマートフォンを取り出し、待ち受け画面を見せた。

 

「・・・・・・!!」

 

ショウのスマートフォンの待ち受け画面に映る、彼氏とのツーショットを見たケンタは、がっくりと肩を落とした…。

 

 

下校時―。

 

クレアは、ケイとシンと一緒に下校した。

 

「はぁ?

ケンタがショウに振られた?」

と言うシン。

 

「私とシンがいない間に、そんな話があったの?」

と言うケイ。

 

「まったく、呆れて、ものも言えんけん★」

と言うクレア。

 

「七尾人の女が髪を切る理由を知らなかったなんて…

ケンタのヤツ、いくらなんでも情弱すぎだろ?」

と、ケンタの情弱ぶりに呆れるシン。

 

「逆に私は、クレアに訊きたいわね☆」

と、珍しく、いたずらっぽい笑みを浮かべるケイ。

 

「何をじゃけん?」

と訊くクレアに

 

クレアは、いつ髪を切るの?

と言うケイ。

 

大きなお世話じゃけん★

と、そっぽむくクレア。

 

そして

「少なくとも

高校を卒業するまでは髪は切らない

けん。」

と言った。

 

「どうして?」

と訊くケイに

 

「こればっかりは、ケイにも秘密じゃけん★」

と言うクレア。

 

すると、ケイはクレアの背後に回り込むと、背後からクレアを抱きしめ

白状しなさい☆

何で、高校を卒業するまで、髪を切らないの?」

と、クレアの右耳に息を吹きかけた。

 

や…やめるけんっ★

と、右耳をケイに息を吹きかけられて、悶えるクレア。

 

「わかった★

わかったから、離すけんっ★」

と、体をよじらせるクレアだったが

 

「ダメよ★

離したら逃げるつもりでしょ★」

と、クレアを離さないケイ。

 

「わかったけん★

白状するけん★」

と、体の動きを止めるクレア。

 

「でも、笑わんけん?」

と訊くクレア。

 

「何よ?

笑うような話なの?」

と言うケイに、小さく頷くクレア。

 

他人の恋話を聞いて笑うほど、私は薄情じゃないわ☆」

というケイの言葉を信じたクレアは…

 

 

私は年下が好きなんじゃけん…。」

と言った―。

 

 

「・・・・・・。」

 

・・・・・・。

 

「・・・・・・。」

 

ぶっ★

 

「ぶっ…?」

 

あはははははっ☆

と、クレアの話を聞いたケイは、盛大に笑った…。

 

ウソつきっ!!

笑わんて言ったけんっ!!

と、ケイの裏切り(?)に、マジギレするクレア…。

 

「ごめん、ごめん★

あまりにも衝撃的(笑撃的)な話だったから…★」

と、謝るケイ。

 

「フン★

もう、ケイは友達でも、なんでもないけん★」

と、拗ねるクレア。

 

「でも、年下といったら

中学生

になるのよね…。

さすがに、中学生とは付き合えないわね…★」

と言うケイ。

 

「しかし、ヘンな話だよな…。

オレ達だって、ほんの2ヶ月前までは中学生だったのに…

高校に入った途端に、中学生がガキっぽく見えるんだからな…★」

と言うシン。

 

「本当ね。

でも、それが成長ってことなのかな?」

と言うケイ。

 

「ま、2年生になって、髪を切れるような1年生の男の子と出会えたら、うれしいけん☆」

と言うクレア。

 

「でも、わからないな。

何で髪を切るんだ?」

と訊くシン。

 

「髪は女の命じゃけん。

その髪を切る…

すなわち

命を捧げることができるくらいに愛している

っていう、覚悟の現れじゃけん☆」

と教えるクレア。

 

「髪切ったあとに、別れたりしたら、どうするんだよ?」

と訊くシンに

 

「その時は

ウィッグをつける

けん。

でも、それは

ものすごく屈辱的なこと

だし

髪を切った女と別れるような男は最低野郎として蔑まれる

けん。」

と教えるクレア。

 

「そうなのか…。

ところで、思いっきり話を変えるけどよ…

今朝、訊きそびれたけど…

クレア。

お前、撫子に刺されたんだよな?」

と、話題を変えるシン。

 

「うん。」

と答えるクレア。

 

 

昨夜、クレアは部屋の中に現れた

『悠久の地』八戦神の一人・八乙女 撫子

の薙刀で刺された…。

 

 

「撫子に刺されたら

不思議な力を授かる

っていうウワサだけど…?」

とシンが言うが

 

「そんなの、迷信じゃけん★」

と一蹴するクレア…。

 

 

その後は、他愛もない話をしながら、クレア、ケイ、シンは、クレアの住むアパートの前まで来た。

 

「じゃ、また明日っさ☆」

と、ケイとシンと別れ、クレアは自室に戻った―。

 

 

夜―。

 

23時に就寝…

 

…したが、尿意で目が覚めた。

 

トイレに行って…

 

出てきたら―

 

夜分にジャマしておるぞ☆

と、布団の上に、八乙女 撫子がいた…。

 

どっから入ってきたけんっ!?

と怒鳴るクレア。

 

「そう怒鳴るな★

夜中じゃぞ★」

と、クレアをたしなめる撫子。

 

「こんな夜中に、何の用じゃけん?」

と訊くクレア。

 

昨夜、お主の力を引き出してやったのに、何も起きておらんではないか★

と言う撫子。

 

「えっ?

それって…

私を刺した夢…?」

と、驚くクレア。

 

「残念じゃが

夢ではない

昨夜、お主の力を引き出してやったのに、何も起きておらん…。

それが何を意味するのか、わかっておるのか?」

と言う撫子。

 

クレアは小さく、首を横に振る。

 

「つまり

お主には伸び代が無い

すなわち

もう、これ以上強くなれない

ということじゃ。」

と言う撫子。

 

「それがどうしたけん?

私は

強くなることに興味は無い

けん。」

と言うクレア。

 

強くならずして、これからの戦いに勝つことなどできん

ぞ?」

と言う撫子。

 

そして、立ち上がり、玄関に向かう。

 

「期待ハズレじゃった★

ジャマしたな☆」

と言って、撫子は出ていった―。

 

 

はッ!?

と、目が覚めるクレア。

 

起き上がるが、部屋の中は真っ暗で、誰もいない…。

 

(えっ?

夢…?)

と、クレアは立ち上がり、玄関から外に出た。

 

しかし、外には誰もおらず、周囲は夜の闇につつまれていた…。

 

(本当に、夢だったんさ?)

と困惑するクレア。

 

しかし…

 

クレアの頭の中に、撫子の言葉が響く―。

 

 

お主には伸び代が無い

 

強くならずして、これからの戦いに勝つことなどできんぞ

 

 

(強くなるための力なんていらんけん。

私が欲しいのは

勝つための力

じゃけん…!!)

と、クレアは夜空の月を見上げた―。

 

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