肩を落として
「いつ以来じゃけん…。
こんな情けない負け方をしたのは…。」
と、椅子に座ってうなだれるクレア。
ショウもクレアと同じく、椅子に座ってうなだれていた…。
七尾島では『メグロの赤い星』と呼ばれた彼女も、その実力が、ここではまったく通用していない…。
敗北のショックに打ちひしがれているクレアとショウとは異なり、シンは敗れたものの、自信に満ちあふれた
「ケイ。
撫子に刺されたおかげで、オレの
と、自慢げに言うシン。
「えぇ、見てたわ☆
あの
と訊くケイに
「どうやら
反撃が必ず命中する
みたいなんだ☆」
と、興奮気味に話すシン。
その時
『第3試合ですが、ただいま、準備が遅れております。
しばらくお待ち下さい。』
というアナウンスが流れた。
「次、ケイの番だろ?
頼むぞ☆」
と、第3試合に出場するケイを激励するシン。
「そうなんだけど…
チュージ先生、何してるのかな?」
と、チュージがいる方を見るケイ。
チュージは、【イルカ軍】の顧問の教師と【
そのため、第3試合の開始が遅れているのだ…。
話し合いを終えたチュージが、【ブルーノア】の
「ケイ…
試合は中止
だ…。」
と、ケイに言った。
「えっ?
どういう意味ですか?」
というケイの問いに答えるかのように
『みなさま、大変申し訳ございません。
【ブルーノア】と【サメ軍】の第3試合は、【ブルーノア】の降参により、中止となりました。
よって、代表決定戦第3戦の第1試合は、【サメ軍】の勝利となりました。』
というアナウンスが流れた。
途端に、試合会場内は、拍手喝采とブーイングの嵐となった。
続けて
『続く代表決定戦第3戦第2試合の【
よって、ビビッ島ガンプラバトル大会に当校代表として出場するのは、【
というアナウンスが流れた。
「ど…どういうことですか!?」
と、チュージに詰め寄る【ブルーノア】のメンバー達。
「まぁ、聞いてくれ。」
と、説明を始めるチュージ。
「第2試合に負けたことで、オレ達は撃破ポイントでも【
つまり、負けが確定したんだ。
だから、第3試合をする意味が無いから、棄権することにしたんだ。」
と言うチュージ。
「なるほどな…。
たしかに、勝っても負けても結果が同じなら、やるだけムダだな。」
と、納得するヒロ。
ケイは納得のいかない顔をしていたが、それでも、現実を受け入れることにした。
「さ、閉会式だ…。」
と、チュージを先頭に、【ブルーノア】のメンバーは、閉会式に参加する―。
閉会式が始まった。
まずは成績発表。
1位 3勝
男子ガンプラバトル部【
2位 2勝1敗
女子ガンプラバトル部フーカ派【サメ軍】
3位 1勝2敗
ガンプラバトル同好会【ブルーノア】
4位 3敗
女子ガンプラバトル部ルカ派【イルカ軍】
優勝は【
部長のザイテルが、大会委員長から表彰状と景品を渡された。
『続いて、大会MVPを発表いたします。』
というアナウンスが流れた。
『今大会のMVPは…
【ブルーノア】のクレア選手です。』
とアナウンスされ
「うそぉ!?」
と驚くクレア。
みんなに祝福されながら前に出たクレアは、大会委員長から賞状と景品を受け取った。
その後は、大会委員長と校長が閉会の言葉を述べて、3日間におよんだ代表決定戦は幕を閉じた―。
◇
部室に戻ってきた【ブルーノア】のメンバー達―。
「とりあえず、みんな、ご苦労だった。」
と、メンバーをねぎらうチュージ。
続けて
「結果は残念だったが…
そんな中、クレアが大会MVPに選ばれたのは、素直に嬉しい。」
と、クレアを称えた。
「先生。
質問があるんですけど?」
と言うケイ。
「何だ?」
と訊くチュージに
「どうして、【イルカ軍】も棄権したんですか?」
と訊くケイ。
「簡単な話だ。
【イルカ軍】は、すでに代表決定戦の敗退が決まっていたからな。
【
何より、クレア達が負けた時点で、【
と、【イルカ軍】が棄権した理由を話すチュージ。
「先生。
私達は、ビビッ島のガンプラバトル大会には出られんけん?」
と訊くクレアに
「んなわけねぇだろ★」
と言うチュージ。
「そうなんじゃけん?」
と訊くクレアに
「当然だ。
この試合は、あくまで
ビビッ島ガンプラバトル大会に出場する、大洋高校の代表チームを決める試合
だ。
オレ達はオレ達で
一般参加で出場できる
んだよ☆」
と言うチュージ。
「ちょっと待ってください、先生!!
一般参加で出場できるんだったら、代表決定戦に出場する必要なんて、なかったんじゃ…?」
と訊くケイに
「そりゃお前
モチベーションの違い
だよ★」
と言うチュージ…。
「モチベーションって…?」
と、顔をしかめるケイ。
「そりゃ、お前…
やっぱ、学校の代表で出たら、やる気とか、気合とか、違ってくるだろ?」
とチュージが言うが、ケイは納得いかなかった…。
「とにかくだ★
ビビッ島ガンプラバトル大会で、【
と、チュージは強引に締めくくり、メンバー達は帰宅の途につくのだった―。
◇
シン、ケイと一緒に下校するクレア―。
「それにしても、シン君、すごいけん。
撫子に刺されて、能力を開花させたなんて…。」
と言うクレア。
「あぁ☆
これで少しは『ニュータイプ』に対抗できるな☆」
と喜ぶシン。
「だったら、私と戦ってみる?」
と、当の『ニュータイプ』であるケイが、シンを挑発する。
「あぁ☆
勝てないまでも、冷や汗はかかせてやるぜ☆」
と、微妙な言い回しをするシン。
「じゃ、私は帰るけん。」
と言うクレア。
「何だよ?
一緒に来ればいいじゃないか?」
と、クレアを誘うシンに
「2人のデートのジャマをするほど、私はバカじゃないけん★」
と、断るクレア。
「ヘンなところで律儀なヤツだな★
ま、いいや。
またな☆」
「気をつけてね。」
と、クレアと別れるシンとケイ。
クレアは、去りゆくシンとケイの姿が見えなくなるまで、立ちつくしていた…。
◇
帰宅したクレアは、景品を開けることにした。
大きさから、中が何なのか、だいたい想像はついたのだが…
実際には、クレアの想像の、やや斜め上をいく物だった。
景品は、RGのシャア専用ザクだった。
(興味無いけん…。
これは今度の休みの日に、リサイクル屋に売りに行くけん…★)
と、RGシャア専用ザクの箱を部屋の隅に放置して、クレアは布団に寝そべった。
目を閉じ…
昨夜、撫子に言われたことを思い出した…。
□
「お主の力を引き出してやったのに、何も起きておらん…。
それが何を意味するのか、わかっておるのか?」
「つまり、お主には伸び代が無い…
すなわち、もう、これ以上強くなれないということじゃ。」
「たとえ、強くなれたとしても、しょせんは誤差範囲にすぎん。」
□
シンとケイについて行かなかった、本当の理由…
それは
強くなったシンと、強いケイとの戦いを見たくなかった
からだ…。
これまでは、ガンプラバトル歴11年のクレアが実質、【ブルーノア】の
しかし…
【ブルーノア】で一番弱かったケイが『ニュータイプ』に覚醒したことで、力関係が逆転した…。
さらに、シンまでもが『カテゴリーF』となった…。
(まさか…
撫子が…
他にみんなのところにも行ったら…!?)
などと想像してしまうクレア…。
【ブルーノア】のメンバー全員が撫子に刺され…
クレアは1人、取り残されてしまう…。
「いやじゃけんっ!!
そんなの、いやじゃけんっ!!
私は強くなりたいけんっ!!
誤差範囲でもいいけんっ!!
強く…
強くなりたいけぇんっ!!」
と、クレアは泣き叫んだ…。