水曜日の夜―。
クレアは電車に乗って、バイト先であるカフェ【クスクス】に向かう。
クレアが住んでいるブルービーチから【クスクス】があるビビッ島中央区までは、電車で約20分―。
駅から徒歩数分で、【クスクス】に着く―。
更衣室で、店の制服に着替えるクレア。
着替え終わったクレアは、事務室に入る。
「こんばんは☆」
と、
「こんばんは。
今日から、たのむよ☆」
と、
「はいっ!!」
と、元気に答えた―。
・
クレアとは入れ違いに、2人の少女が更衣室に入ってきて、店の制服に着替え始めた―。
「ところでミモザ。
今日から、新しい子が入ってくる。
新人教育は、お前に任せるぞ。」
と、着替えているミモザに話しかける少女の名はビビ。
ビビッ島の島都ノブリスにある大陸高校の2年生で、【クスクス】のバイトリーダーだ。
「はいはい★」
と答えるミモザという名の少女。
ビビッ島の東部にある都市アスマンにある大空高校の1年生だ。
ビビはバイトリーダーなのだが、性格的に、新人教育には向いていない…。
なので、ミモザも、仕事はビビからというよりも、自力で覚えた…。
しかし、仕事はきっちりとやっている。
客からも人気があり、中には
あきらかにビビを目当てに来る男性客もいる
くらいだ…。
・
まもなく、ビビとミモザが事務室に入ってきた。
「おぉ、ビビにミモザ。
紹介するよ。
今日からウチで働くことになったクレアだ。
仲良くしてやってくれ。」
と、ミモザとビビにクレアを紹介する
「はじめましてじゃけん!!
クレアというけん!!
よろしくおねがいするけん!!」
と、自己紹介するクレア。
「私はビビ。
こっちはミモザ。」
と、ビビがクレアにミモザを紹介する。
「よろしくね、クレア☆」
「こちらこそ☆」
と、握手をするミモザとクレア。
「じゃ、さっきも言ったけど、新入りの教育、頼むな。」
と、ビビは事務室から出ていった。
その態度から、ビビは七尾人を毛嫌いしている、典型的な
「じゃ、仕事を教えてあげるわ☆」
と、ミモザの新人教育が始まった―。
接客の仕方―。
注文のとり方―。
レジの打ち方―。
…と、基本的な仕事を教えていくミモザ。
「じゃ、実戦よ!!」
と、クレアを連れて、事務室から出て行くミモザ―。
◇
午後9時―。
クレアのバイト初日は終わった。
七尾人の新人に顔をしかめる客もいたが、大きなトラブルもなかった―。
ロッカーで着替えていると…
「ミモザさん…
ノーブラじゃけぇッ!?」
と、上着を脱ぎ、上半身裸になったミモザを見て、顔を真っ赤にするクレア。
「さわってもいいよ♡」
と言うミモザだったが
「悪いけんど…
それはちょっと…。
そういうのは、いくら女の子同士でも、よくないと思うけん…。」
と言うクレア。
「私も、こればかりはクレアに同意だな。
お前の、そういうところが理解できん。」
と言うビビに、ミモザも反論できなかった…。
「あっ…!!」
と、ミモザが着替えている最中、GPベースを落としてしまった。
「えっ?
ミモザさん、ガンプラバトルするんけん?」
と訊くクレア。
「まあね。
まだ、始めたばかりなんだけど…
クレアもするの?」
と訊くミモザに
「はい☆
幼稚園の頃
からけん☆」
と、笑顔で言うクレア。
「えっ…!?
幼稚園の頃からって…?
じゃ…
クレアって…
ガンプラバトル歴10年…?」
と驚くミモザ。
「ミモザさん。
よかったら、今度の土曜日にでも、ガンプラバトルをやらんけん?」
と訊くクレア。
「いいけど…
でも、クレアって、どこに住んでるの?」
と訊くミモザに
「ブルービーチじゃけん。」
と言うクレア。
「ブルービーチか…。」
と、考え込むミモザ。
ミモザが住んでいるビビッ島東部の都市アスマンからブルービーチまでは、だいたい、急行電車で1時間ほどだ。
「わかった☆」
と、ミモザはクレアからの誘いを承諾した。
「10年選手と『カテゴリーF』だけどド素人か…。
面白い対戦になりそうだな★」
と言うビビ。
「えっ?
ミモザさんって、『カテゴリーF』なんじゃけん?」
と訊くクレア。
「そういうふうに言われるのって、あんまり好きじゃないんだけどね…。」
と言うミモザ。
「どんな能力を持っとるけん?」
と訊くクレアに
「射撃が絶対に当たる能力
なんだけどね…。」
と答えてしまうミモザ…。
(えっ!?)
と
もうすぐ、ビビッ島ガンプラバトル大会だというのに、今日会ったばかりの
ミモザに、驚くクレア…。
たしかに『射撃が絶対に当たる能力』なんて、
(むしろ、気軽に誘った私の方が愚かだったのかもしれんけん…★)
と、クレアは思うのだった…。