HG ガンダムビルド…ビビッドアーミー   作:星龜

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夏休み
七尾島(ふるさと)(1)



 

8月中旬―。

 

 

クレア、ショウ、ケイ、シンの4人は、ガンプラバトルをするため、ブルービーチ駅前にあるガンプラバトルアリーナ【ミッド】に来ていた。

 

そこで、【ミッド】の入り口横の壁に貼られた

ミッドカップ開催のポスター

に書かれた開催日時を見たクレアは

「ぬかった…★」

と、うなる…。

 

「どうしたの?」

と訊いてくるケイに

 

「この日は

オヴォンの日

だから

七尾島に帰らなきゃならない

けん…。」

と言うクレア。

 

「おぼんのひ…

って、何?」

と訊くケイ。

 

「オヴォンというのは

祖先の霊を祀るの日

の事じゃけん。

七尾島では、オヴォンの期間中、先祖の霊がこの世とあの世を行き来するための乗り物として

精霊馬(キスカ)

という、ナスで作った馬の供物を用意するけん。」

と言うクレア。

 

しかし、それを聞いたショウは

「ハッハッハッ★

西に住む人間は、いまだにそんな古臭いことをしとるんケン?」

と嘲笑う。

 

「フンッ★

そんなこと言ってるから、東の人間は野蛮人だって言われるけん★」

と言い返すクレア。

 

「何をッ★

この時代遅れがッ★」

「野蛮人めッ★」

と、不毛な言い争いを始めたショウとクレアを

 

「やめなさい!!」

と止めるケイ。

 

「おい、クレア。

まさか、ミッドカップに出ないつもりか?」

と訊くシン。

 

「さっき言ったけん。

オヴォンの日は七尾島に帰るから、ミッドカップには出られんけん。」

と言うクレア。

 

「そのオヴォンとやらは、そんなに大事な事なのか?」

と訊くシンに

 

「G国人には、わからないことじゃけん。」

と言ってのけるクレア。

 

「心配するな、シン☆

こんな時代錯誤なヤツいなくても、(ソレガシ)がおるケン☆」

と言うショウを

 

「いいかげんにしなさい!!」

と諌めるケイ。

 

「ミッツも出れないと思うけん。」

と言うクレア。

 

ミッツも、クレアと同じ、七尾島西部出身の七尾人だ。

 

「とりあえず、クレアとミッツがミッドカップに出られないということを、チュージ先生に言っておかないとね…。」

と言うケイ。

 

「ミッツはともかく、クレアが出れないと聞いたら、先生、腰抜かすかもな★」

と言うシン―。

 

 

ミッドカップ開催日の朝―。

 

 

身仕度をととのえたクレアは、家を出る。

 

下に降りると…

 

「おはよう、クレア。」

と、自転車に乗ったケイとシンがいた。

 

「おはよう。

しかし…

ケイも物好きけんねぇ…★」

と、あきれるクレア。

 

ケイは、七尾島に帰るクレアを見送りに来たのだ。

 

一緒にいるシンは、あからさまに嫌そうな顔をしている。

 

どうやら、シンはケイによって、無理矢理連れてこられたようだ。

 

「ところでクレア…。

何なの、その恰好?」

と訊くケイ。

 

「これは、七尾人の正装の

リューコ

じゃけん☆」

と言うクレア。

 

 

七尾人の民族衣装リューコ

 

【挿絵表示】

 

七尾人が、祭りや行事の時に、正装として着る服だ―。

 

 

クレア、ケイ、シンの3人は、自転車に乗って、ブルービーチ港へ向かう。

 

そこから、七尾島行きの船が出るのだ―。

 

 

ブルービーチ港へ向かう途中…

 

「まったく…★

ミッツがミッドカップに出るなんて、思わなかったけん★」

と愚痴るクレア…。

 

ミッツも、クレアと同じ、七尾島西部出身の七尾人なので、ミッドカップには出ないと思っていたのだが、意外や意外、ミッドカップに出るという。

 

ミッツいわく

『あんなめんどくせぇこと、まだやってる人いるのかよ★』

 

ショウも、七尾島の東側では、オヴォンという行事は廃れていると言っていた。

 

どうやら、オヴォンという行事は、今や七尾島の西側でのみ行われているようだが、ミッツの言うように、西側でも少しずつ廃れ始めているようだ…。

 

 

自転車を走らせること10数分…

 

ブルービーチ港に到着した。

 

「あっ。」

とクレアが海の方を見れば、防波堤の向こうに、入港してくる船が見えた。

 

「着いてきてくれて、ありがとうけん☆」

と、頭を下げるクレア。

 

「気をつけてね。」

と言うケイ。

 

「ケイとシン君も、試合、がんばるけんな☆」

とクレアは、この後、ミッドカップに出場するケイとシンを激励する。

 

「ありがとう☆」

「目標はベスト8だ☆」

とケイとシンは言って、帰っていった。

 

 

ケイとシンの姿が見えなくなってから、クレアは改札で切符を買い、乗船する。

 

そして10数分後、船は七尾島に向かって出港した―。

 

 

船は、ビビッ島を南北に分断するブルービーチ海峡を南下する。

 

ブルービーチ海峡の幅は約30キロ。

 

そこを2時間で航行する。

 

船内は一般客(G国人)が多いが、オヴォンで七尾島に行く、リューコを着た七尾人の客も多数いた。

 

そんな、リューコを着た七尾人を、一般客(G国人)は奇異の目で見ていた。

 

「ママー。

ヘンな服着てる人がいるよ☆」

と、一般客(G国人)の子供は容赦がない。

 

そんな子供に、母親が

「近づいちゃダメよ★」

と、子供の手を引く。

 

とても小さく、狭い世界の中で…

 

クレアは七尾人とG国人との間にある溝の深さを知った…。

 

 

気分転換に、外に出ようとしたら…

 

(ゑっ!?)

 

なんと、船内の娯楽スペースにガンプラバトルステージがあった。

 

さすがに試合用の物ではなく、有料の1対1で行う小型のステージで、試合時間も10分間という物だった。

 

対戦表に子供の顔写真が表示されていることから、今は子供が使用しているようだ。

 

ステージでは、平原のバトルフィールドで、ピンク色に塗られたガンダムマークⅡと、黒く塗られたマラサイが対戦していた。

 

ガンダムマークⅡは綺麗に色が塗られているが、マラサイは、かなり雑に塗られており、所々、塗り忘れている場所もある。

 

どうやら、ガンダムマークⅡは親が塗ったのだろうが、マラサイは使っている本人が塗ったのだろう。

 

よく見れば、ゲート跡も処理されていない。

 

どうやら、マラサイを使っているのは、かなり低年齢の子供ようだ。

 

だが、試合の方は、ガンダムマークⅡがマラサイに圧されている。

 

スムーズな動きでガンダムマークⅡにダメージをあたえていくマラサイを使っている子供は、かなりの手練のようだ。

 

対戦は7分で終了した。

 

ガンダムマークⅡは、マラサイに手も足も出ず敗れさった。

 

ガンダムマークⅡ側のコクピットルームからは、7〜8歳くらいの子供が、負けた悔しさで泣きながら出てきたが…

 

なんと!!

 

マラサイ側のコクピットルームからは、子供と一緒に、父親も出てきた。

 

しかも、子供は、どう見ても4〜5歳くらい。

 

ガンプラバトルができるような歳ではない。

 

おそらく、マラサイを使っていた親子は、対戦表に子供の顔写真を表示させ、実際には父親が戦っていたのだろう。

 

これでは、ガンダムマークⅡを使っていた子供が勝てるわけがない。

 

外からコクピットルーム内が見えないのをいいことに、平気で卑劣なことをした親子に、見物人達も憤っていた。

 

そんな、卑劣な親子に

「次は私と対戦してほしいけん。」

と、クレアは対戦を申し込んだ。

 

「何を言っているんだい?

君は、こんな小さな子供と対戦するというのかい?」

と、クレアの申し出を断る父親。

 

だが、クレアは引くことなく

「はい。

私は、その子と対戦したいけん☆

そんな小さな子でも、あれだけの動きができるけん☆

あんなの見たら、対戦してみたくなるけん☆」

と、父親の方を見て言う。

 

(…!?)

 

にわかに、少年の父親の表情がこわばった。

 

「パパ、やろう☆」

と言う子供。

 

「そ…そうか…★

どうやら、ボブもやる気みたいだし…★」

と、焦るボブの父親。

 

「私の名はクレア。

よろしく、ボブ君☆」

「うん☆」

と握手するクレアとボブ。

 

「でも、その前に…」

と、クレアは、先ほど、ボブの父親に敗れた少年のところに向かった―。

 

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